事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
食料品製造 | 203,826 | 95.1 | 19,909 | 93.6 | 9.8 |
食料卸売 | 7,157 | 3.3 | 377 | 1.8 | 5.3 |
不動産及びサービス | 1,912 | 0.9 | 834 | 3.9 | 43.6 |
その他 | 1,532 | 0.7 | 142 | 0.7 | 9.3 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、森永製菓㈱、連結子会社16社、非連結子会社1社で構成されており、事業は食料品製造、食料卸売、不動産及びサービスほかを営んでおります。
なお、持分法適用非連結子会社であった森永バイオサイエンス(タイランド)㈱は、2020年6月29日付で解散を決議し、2024年1月12日付で清算結了したため、第4四半期連結会計期間より持分法の適用範囲から除外しております。
事業内容と森永製菓㈱及び関係会社の当該事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
(注)非連結子会社に対する投資については持分法を適用しております。
当社グループの状況について事業系統図を示すと、次のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
■2024年3月期実績
(注)1 EBITDAは簡易版を使用→営業利益+減価償却費
2 2024年2月8日発表値
3 在外子会社換算レートは、1米ドル=140.56円
■2024年3月期実績:セグメント情報
② 財政状態の状況
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,180億4千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ166億7千4百万円増加しております。これは主に、原材料及び貯蔵品が36億7千7百万円、未収還付法人税等が33億2千8百万円減少した一方で、現金及び預金が85億3千5百万円、受取手形及び売掛金が69億1千1百万円、現金及び預金の一部を取崩し合同運用指定金銭信託とした有価証券が49億9千9百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,055億9千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億4千3百万円増加しております。これは主に、機械装置及び運搬具(純額)が15億9千3百万円、土地が77億4千万円、建設仮勘定が25億3千2百万円減少した一方で、建物及び構築物(純額)が58億1千7百万円、無形固定資産のその他に含まれているソフトウエア仮勘定が11億2千6百万円、投資有価証券が30億5千万円、退職給付に係る資産が21億5千9百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、644億3千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ131億3千9百万円増加しております。これは主に、未払金が25億6千4百万円、未払法人税等が58億3千2百万円、返金負債が18億4百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、265億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億1千8百万円減少しております。これは主に、繰延税金負債が2億8千3百万円、退職給付に係る負債が9億6千3百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、1,326億5千3百万円で、前連結会計年度末に比べ67億9千6百万円増加しております。これは主に、株主還元の強化により、配当金の支払い47億1千2百万円や自己株式の取得86億6千5百万円により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益151億5千4百万円の計上による増加やその他有価証券評価差額金が24億9百万、退職給付に係る調整累計額が17億1千2百万円増加したこと等によるものであります。
以上により自己資本比率は、58.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ110億2千4百万円増加し、471億1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は301億7千4百万円となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益205億7千6百万円、減価償却費94億9千2百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は53億4千5百万円となりました。主な内容は、有形固定資産の取得による支出90億9千1百万円、有価証券の取得による支出25億円、有形固定資産の売却による収入76億6千6百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は140億7千3百万円となりました。主な内容は、自己株式の取得による支出86億8千5百万円、配当金の支払額47億1千2百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格(内部取引価格を含む)によっております。
2 「食料卸売」、「不動産及びサービス」及び「その他」のセグメントについては、該当事項はありません。
b. 受注実績
主要製品の受注生産は、行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行以降、経済活動や社会生活が正常化し、インバウンド需要が拡大するなど、緩やかな回復基調が続きました。一方、国内の物価上昇により消費者の節約志向が高まるなど、消費行動に影響を与えていることに加え、不安定な国際情勢の長期化や円安の進行による原材料価格高騰の継続、米国の金融引締め継続による景気下振れリスクなどが懸念され、事業を取り巻く環境は依然として不確実な状況が続いております。
このような中、当社グループは2030経営計画の達成に向け、2021中期経営計画の最終年度として「飛躍に向けた新たな経営基盤づくり」に取り組むとともに、様々な外部環境の変化に対応すべく事業強化を図ってまいりました。
その結果、国内では主に菓子食品事業、冷菓事業及び国内事業子会社が好調であったことに加え、米国事業が高成長を持続したことから、売上高は2,133億6千8百万円と前年実績に比べ189億9千5百万円(9.8%)の増収となり、3期連続で過去最高を更新し、2021中期経営計画の目標である1,900億円を大幅に上回りました。
損益については、原材料価格の高騰影響を受けましたが、増収及び価格改定効果により、営業利益は202億7千3百万円と前年実績に比べ50億3千8百万円(33.1%)の増益となりました。外部環境の逆風を受けながらも、中長期の成長を見据えた経営基盤・事業への投資を一段と加速したこともあり、2021中期経営計画の目標である215億円に対しては未達となりました。経常利益は前年実績に比べ52億8千2百万円(33.5%)増益の210億3千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年実績に比べ50億9千5百万円(50.6%)増益の151億5千4百万円となりました。
■営業利益増減分析
(注)当連結会計年度の実績調達レートは1米ドル=137.12円、前連結会計年度は同128.09円
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造>
菓子食品事業
ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は前期より「ムーンライト」を中心としたプロモーション及び商品展開を強化しており、人気コンテンツとコラボレーションした既存品の限定パッケージの展開や新商品の発売、高付加価値商品の贅沢シリーズが寄与し、ブランド全体で引き続き好調に推移し前年実績を上回りました。
キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」は、世界中で愛されるグローバルブランドを目指しブランドロゴのリニューアルを実施、引き続き食感を訴求する商品及びプロモーション展開の強化により好調に推移し、前年実績を上回りました。また、「森永ラムネ」は、機能性表示食品の発売や受験生をターゲットとした販売促進の強化により、ボトル形態、パウチ形態の「大粒ラムネ」いずれも好調が継続し、前年実績を大きく上回りました。
チョコレートカテゴリーでは、「カレ・ド・ショコラ」は、基幹品は堅調に推移しましたが、新商品が苦戦し、前年実績を下回りました。「ダース」は高付加価値化に向けた戦術の変更が奏功しており、「香るダース」や「半熟ダース」などスイーツ需要に向けた新商品の売上が大きく寄与し、前年実績を上回りました。「チョコボール」は、基幹品はいずれも堅調に推移しましたが、「大玉チョコボール」など大人向け商品の見直しを実施、一部商品の終売によるアイテム数絞り込みが影響し、前年実績を下回りました。
食品カテゴリーでは、「森永甘酒」「森永ココア」ともに健康ブランドとして強化するべく、引き続き機能価値を訴求するプロモーションに取り組みましたが、前年実績を下回りました。
これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は791億9千4百万円と前年実績に比べ48億8千6百万円(6.6%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年実績に比べ25億7百万円(162.6%)増益の40億4千8百万円となりました。
冷菓事業
「ジャンボ」グループは、インパクトのあるパッケージデザインで展開した冬季限定品の販売が好調に推移したことに加え、インバウンド需要獲得の取組みや新たな感性研究結果に基づく情報発信などブランドの価値訴求を継続的に行い、前年実績を上回りました。「板チョコアイス」は、品質の独自価値を訴求するTVCMを投入し基幹品の販売が好調に推移したほか、秋冬限定品として発売した「白い板チョコアイス」の販売好調(9月発売後、想定を上回る販売状況により一時休売、1月販売再開)も寄与し、前年実績を大きく上回りました。通年発売2年目となる「ザ・クレープ」はデザートアイスという品質特徴や喫食シーンを訴求するTVCM等のプロモーション展開を実施、定期的に新商品を発売することでブランド接点の拡大に取り組み、前年実績を上回りました。「アイスボックス」は、お酒の割材としての活用や乾燥対策などの訴求で秋冬の需要拡大に取り組んだことに加え、秋冬の店頭での取り扱い向上も寄与し、前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、冷菓事業全体の売上高は453億9千4百万円と前年実績に比べ48億6千1百万円(12.0%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年実績に比べ13億7千3百万円(39.9%)増益の48億1千8百万円となりました。
in事業
「inゼリー」は、前年に新型コロナウイルス感染者向けとして自治体へ商品を供給した売上実績がある中、引き続きターゲット毎の飲用シーンの訴求に取り組み、前年実績を上回りました。中でも、「エネルギーブドウ糖」は仕事中や勉強中のシーン定着が進んだことで注目が高まり、大きく売上を伸ばしてブランド全体を牽引しました。「inバー」は、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化に伴いプロテインバー市場が漸減する中、主力品の品質改良による活性化を実施、喫食シーンを訴求するプロモーション展開により堅調に推移し、前年実績を上回りました。
これらの結果、in事業全体の売上高は315億7千9百万円と前年実績に比べ9億7千7百万円(3.2%)増となりました。
損益については、価格改定による収益性改善を行いましたが、原材料価格の高騰に加えて、中長期的な事業成長を見据えた戦略的な広告投資を実施したことにより、営業利益は前年実績に比べ3億8千6百万円(5.5%)減益の66億3千4百万円となりました。
通販事業
「おいしいコラーゲンドリンク」は、オンライン広告を戦略的に投入することで定期顧客数を着実に伸ばし、売上高は前年実績を上回りました。通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」も順調に売上高を拡大しております。
これらの結果、通販事業全体の売上高は109億円と前年実績に比べ6億1千5百万円(6.0%)増となりました。
損益については、中長期的な事業成長を見据え、定期顧客数拡大に向けた戦略的な広告投資を実施したことにより、営業利益は前年実績に比べ4億5千3百万円(68.7%)減益の2億6百万円となりました。
事業子会社
㈱アントステラは、引き続き全国の直営店において量り売りやギフト商品の販売が好調に推移したほか、大手量販店の銘店コーナーへの出店の増加も寄与し、前年実績を上回りました。森永市場開発㈱は、国内旅行の好調や訪日外国人の増加を背景に、テーマパークにおける販売が引き続き好調に推移し、前年実績を上回りました。
これらの結果、事業子会社全体の売上高は97億7千7百万円と前年実績に比べ15億7千9百万円(19.3%)増となりました。
営業利益は前年実績に比べ2億1千5百万円(34.5%)増益の8億4千1百万円となりました。
[国内における主な商品の前年同期比 (単位:%)]
※表中の数値は国内販売実績にて算出
米国事業
「HI-CHEW」は、品質価値の1つである“chewy”を訴求する新作TVCMを投入し、更なる認知率の向上及び購買喚起に取り組んだほか、販売好調商品の容量ラインアップの拡充にも取り組み、売上高は前年実績を大きく上回りました。ゼリー飲料「Chargel」は、日系スーパーへの導入が進み、試食販売等で飲用体験を創出し購買喚起に取り組んだほか、引き続き米系スーパー及びスポーツ系チャネルへの導入促進に取り組んでおります。また、スポーツイベントでのサンプリング活動をはじめとしたPR活動を強化し、ブランド認知及び商品理解の促進を積極的に進めております。
これらの結果、米国事業全体の売上高は191億8千7百万円と前年実績に比べ45億3千3百万円(30.9%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰や戦略的な広告投資等がありましたが、増収及び価格改定効果、前年高騰していた海上運賃の低下により、営業利益は前年実績に比べ17億6千4百万円(119.5%)増益の32億4千万円となりました。
中国・台湾・輸出等
中国では「HI-CHEW」の販売が引き続き好調に推移しましたが、日本製品の輸入販売は苦戦しました。台湾では、「HI-CHEW」及び「inゼリー」が好調に推移しました。探索・研究領域である欧州・東アジア・オセアニア地区でも、「HI-CHEW」の売上高を着実に拡大しております。
これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は75億4千万円と前年実績に比べ7億3千2百万円(10.8%)増となりました。
損益については、探索・研究領域である欧州やオセアニア地区におけるマーケティング投資を先行的に実施したこともあり、営業利益は前年実績に比べ1億3百万円(18.1%)減益の4億6千6百万円となりました。
以上の結果、<食料品製造>の売上高は2,038億1千万円と前年実績に比べ9.9%増となりました。セグメント利益は199億9百万円と前年実績に比べ50億8千1百万円の増益となりました。
<食料卸売>
売上高は、69億9百万円と前年実績に比べ10.1%増となりました。セグメント利益は3億7千7百万円と前年実績に比べ1億3百万円の増益となりました。
<不動産及びサービス>
売上高は、19億1千1百万円と前年実績に比べ0.6%減となりました。セグメント利益は8億3千4百万円と前年実績に比べ1千3百万円の減益となりました。
<その他>
売上高7億3千7百万円、セグメント利益1億4千2百万円であります。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローの詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(キャッシュ・フロー指標のトレンド)
(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取組み)
<2021中期経営計画(2021-2023)の振り返り>
当社グループは、2021中期経営計画において、「飛躍に向けた新たな基盤づくり」を進めるべく諸施策の実行に取り組みました。その間、2030経営計画で定めた重点領域の牽引により、3期連続で過去最高売上高(注)1を実現し、計画を大幅に上回りました。重点領域売上高比率は5割を超え、また米国事業を中心とした海外事業の急速な成長によって、海外売上高比率は初めて2桁に到達いたしました。事業ポートフォリオの転換が順調に進展した一方、新型コロナウイルス感染症の拡大や原材料価格等の高騰の影響を大きく受けたこと、また中長期計画に基づき経営・事業基盤づくりに向けた投資を実行したことによる費用増もあり、売上高営業利益率は最終年度の2023年度に回復基調に転じたものの、計画は下回りました。
直近年度での業績回復、アセットライトや株主還元の強化でROEも計画を達成し、2023年度において株価は大きく上昇いたしました。株価の上昇と9期連続の増配の結果、2023年度末の株主総利回り(TSR)は100%を超える水準(119%)に回復いたしました。
(注)1 2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月)等を適用
2020年度に係る各数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値
2018・2019年度は当該会計基準等を遡って適用したと仮定した概算値
2 2018中期経営計画の実績は期間平均
3 2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施
4 TSR:(各事業年度末日の株価+各事業年度の4事業年度前から各事業年度までの1株当たり配当額の累計額)
÷ 各事業年度の5事業年度前の末日の株価
<森永製菓グループの財務課題>
2023年3月に東京証券取引所より、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について要請がありました。
企業価値を資本市場の視点で評価する指標の一つとして、株価純資産倍率(PBR)がありますが、当社グループのPBRの中長期的推移をみると、2018年度以降下落傾向が継続しておりましたが、直近の2023年度末においては、株価上昇と資本収益性の回復を受けて上昇基調に転じ、約1.8倍の水準となりました。今後も持続的な企業価値向上は当社グループにとって最も重要な財務課題と認識し取り組んでいきます。
当社グループの場合、PBRに対するROEやPERの相関は比較的強く、特にROEの改善が企業価値(株主価値)の改善に有効と認識しております。
当社グループのROEは、2010年代半ば以降、相対的に収益性の高い冷菓事業やin事業等の成長を促進し、事業ポートフォリオを変化させたことにより、概ね2桁の水準を維持しております。当社は、CAPMによる理論値やPERの水準から株主資本コストを5~6%程度と推計しており、ROEはこの水準を中長期にわたり上回っております。2030経営計画では、ROEの目標を15%以上と定め、東証プライム市場の中で、さらに高ROEの企業群に加わり、中長期的に安定してその水準を持続することを目指してまいります。
(注) 政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除く(含む場合22.0%)
当社グループの売上高当期純利益率の推移をみると、2020年度以降は新型コロナウイルス感染症の拡大や原材料価格等の高騰といった急激な外部環境の変化もあり、低下傾向となっておりましたが、増収及び価格改定効果等によって、2023年度は上昇に転じました。さらなる収益性の改善に取り組んでまいります。
総資産回転率の推移をみると、直近3事業年度においては改善傾向であります。これは、政策保有株式の売却や配送拠点の再編等を通じて保有不動産を売却し、アセットライトを進めた効果と認識しております。今後は、非事業資産の圧縮に加え、事業用資産(投下資本回転率)の一層の効率化を進めてまいります。
財務レバレッジについては、2021中期経営計画期間において株主還元を大幅に強化したものの、全体としては横ばいに推移しております。中長期的な事業成長のための投資資金需要を考慮しつつ、財務レバレッジを中長期的に調整してまいります。
(注)1 2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月)等を適用
2020年度に係る各数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値
2018・2019年度は当該会計基準等を遡って適用したと仮定した概算値
(注)2 売上高当期純利益率は、政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除いた数値(含む場合15.3%)
(注) みなし保有株式は含まない
<財務戦略骨子>
当社グループは、積極的な成長投資と安定した財務基盤を維持することにより、持続的な企業価値向上と継続的かつ安定的な株主還元を実現していくことを基本方針としております。2030経営計画の達成に向けて、「資本コストや株価を意識した経営」を実践し、企業価値を最大化することですべてのステークホルダーに貢献することを目指してまいります。
当社グループでは、企業価値(株主価値)を示す代表指標の一つであるPBRに着目し、その構成要素であるROEの向上とPERの上昇を狙いとして、3つの主要財務戦略を実行いたします。
戦略①は「ROICマネジメントの実践による成長力と資本収益性の向上」であります。ROIC水準の中長期的な向上を目指し、2024中期経営計画のテーマである「飛躍に向けた成長軌道の確立」を果たすべく、ROICマネジメントに基づき、「成長性」と「資本収益性」の好循環の実現に取組みます。
戦略②は「財務安全性の確保と資本コストの低減」であります。当社グループは財務ガイダンスに基づき一定水準の財務安全性と投資余力を確保することを基本方針としております。これを前提に、最適な財務レバレッジ水準へのコントロールを行うとともに、環境変化に強い事業ポートフォリオの構築を通じて長期事業リスクの低減を図ることで資本コストの低減に努めてまいります。
戦略③は「株主還元の強化」であります。経営基盤の盤石化のもとに、継続的かつ安定的な株主還元を実施し、ROEやPERの改善に繋げてまいります。
<戦略① ROICマネジメントの実践による成長力と資本収益性の向上>
当社グループは、中長期的な企業価値の向上を図るために、ROICマネジメントを実践し、最適なポートフォリオ形成に向けた事業戦略を実行いたします。「成長性」と「資本収益性」の2軸で事業を分析し、各事業の中長期的な戦略・施策を決定いたします。成長を加速する事業、資本収益性を改善する事業を見定め、投資先・投資規模を含めて、経営資源の最適な配分を行ってまいります。
2030経営計画で定める重点領域に対して、事業提携やM&Aなどのインオーガニック成長を含めて、戦略的な成長投資を最優先に実施し、飛躍的な成長を促してまいります。一方、相対的にROIC水準の低い菓子食品等の基盤事業と位置付けられる事業においては、主に収益性や投下資本効率の改善を通じて「資本収益性」の改善に取り組みます。具体的には、保有資産を活かした売上拡大を志向しつつ、維持更新投資の選択と集中により、段階的なアセットライトを推進してまいります。同時に、コスト低減、機動的な価格改定等の収益性改善施策を展開いたします。
これらを通じて、2024年度中期経営計画における各事業のミッションや具体的な取組みの考え方を明確化するとともに、成長と資本収益性の中期目標を事業毎に定めました。同中計期間においては、「重点領域」は成長軌道の確立に向けて、成長投資先行の取組みとなります。基盤領域である菓子食品事業については資本収益性の改善を重視し、全社WACC(5%程度)を上回る8%以上を目指して取り組んでまいります。
(注)1 連結ROICは貸方アプローチ、事業別ROICは借方アプローチ(現預金・投資有価証券等の非事業用資産は
投下資本に含まない)で算出
(注)2 売上高CAGRは2020年度比
(注)3 米国事業の売上高CAGRは現地通貨ベース
ROICマネジメントを実践するためには、各事業の現場部門に対してROICマネジメントの浸透を図ることが重要と考えております。そのため、事業毎にROICツリーを活用して、経営層と事業責任部門で資本収益性の改善につながる課題領域を抽出するとともに、課題解決に向けた戦略及び施策の検討を行っております。2023年度予算編成より、ROICツリーに基づく予算水準の点検を開始し、2024中期経営計画の策定にあたっては具体的な戦略施策の策定と目標選定を行いました。今後、PDCAによる継続的な改善活動につなげてまいります。なお、ROICマネジメントを現場レベルまで浸透させるべく、全社従業員を対象に、独自の動画教材等を用いてROICマネジメントの概念と現場活動との関連性などについて理解の促進を図っております。
また、個別の投資の実行にあたっては、投資決定基準に基づき案件評価を厳格に行い、投資回収状況を継続的にフォローしながら、資本コストを意識した投資管理を行っております。
■従業員を対象とした動画教育プログラム「資本コスト経営の実践に向けて」
<戦略② 財務安全性の確保と資本コストの低減>
当社グループは、外的経営環境の急変や戦略的大型投資案件(M&A等)の発現に備え、一定水準の財務安全性と投資余力を確保することを基本方針としております。財務安全性の基準といたしましては、㈱日本格付研究所(JCR)における長期発行体格付「A」以上を維持することを原則としております。また、財務安全性指標をモニタリングし、財務安全性を確保してまいります。その上で、投資資金需要を満たすための資金調達にあたっては、適切な手元資金の水準、資金調達コストの水準などの調達条件、財務安全性指標やROE・ROIC等の財務指標への影響等を総合的に勘案した上で、決定いたします。
当社グループは、企業価値の向上に向けて資本コストの低減に取り組んでまいります。現状のネットキャッシュの状況に対し、財務安全性や投資資金需要を見極めた上で、有利子負債の構成を高め、財務レバレッジを活用することで、現状5%程度と推計されるWACC(加重平均資本コスト)の低減を図ってまいります。
また、株主資本コストは5~6%程度と推計しておりますが、その低減にあたっては、環境変化に強い事業ポートフォリオの構築による長期事業リスクへの対応が重要と認識しております。そのために、政策保有株式の更なる縮減、非事業不動産等の売却・処分推進等のアセットライトによって、投下資本の圧縮と成長投資資金の確保を図るとともに、資産価値変動リスクを低減いたします。また、マテリアリティへの対応を進めるとともに、無形投資を強化し、事業の長期的成長力(サステナビリティ)を高めてまいります。さらに、財務・非財務情報の開示や株主・投資家との対話を強化し、中長期的な事業成長への取組み、事業リスク等への対応状況等をご理解いただき、適正な株価形成によって株価ボラティリティを抑制してまいります。
<戦略③ 株主還元の強化>
当社グループは、戦略的かつ重要な事業投資を優先することを原則としつつ、株主の皆様への利益還元について、経営基盤の盤石化のもとに、継続的かつ安定的な株主還元の実施を基本方針といたしております。
株主還元にあたっては、健全なバランスシートを維持することを前提に、配当性向の水準、フリーキャッシュ・フローを考慮しつつ、資本政策の指標である純資産配当率 (DOE)の水準を中長期的に引き上げていくことを目指してまいります。また、総還元性向を意識して、投資資金需要を考慮しつつ、必要に応じ自己株式の取得を機動的に実施することも検討してまいります。
2021中期経営計画期間においては、計画を大幅に上回る過去最高の株主還元345億円(注)5を実施いたしました(計画比約3倍)。2024年度まで過去10年連続の増配の予想で、今後とも継続的かつ安定的な配当を目指してまいります。加えて、必要に応じて機動的な自社株式の取得を行うこととし、2024中期経営計画期間の3年間で360億円以上(注)5の株主還元を実現できるように取り組んでまいります。
(注)1 2024年5月10日における2025年3月期配当予想数値
2 当該会計期間中の取得金額を記載(FY24は2024年5月14日までの取得分)
3 当該会計期間に係る剰余金処分の額を記載
4 2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施
FY22以前の数値は株式分割を遡及適用した数値
5 剰余金の配当、自己株式取得ともキャッシュアウトベース
当社グループは、2030経営計画達成のための道筋をつくるため、2024中期経営計画では「飛躍に向けた成長軌道の確立」をテーマと定め、重点領域を中心とした投資を最優先に実施いたします。特にHI-CHEWのグローバルにおけるブランド成長に向けた生産体制構築のための戦略的投資を予定しております。また、DX投資をはじめとした経営基盤強化のための戦略投資、重点領域への積極的なM&A探索を含め、2024中期経営計画期間の3か年で総額約600億円(注)1の投資を予定しております。これは、2021中期経営計画期間の投資実績454億円(注)1から大幅に増額しております。今後の事業展開によっては、さらに投資額を増額していくことも検討してまいります。
一方、株主還元については、事業からのキャッシュ創出力を引き続き強化し、2024中期経営計画期間で360億円以上(注)2の還元を目指す方針であります。
(注)1 中計期間における計上ベースの金額
2 中計期間におけるキャッシュアウトベースの金額
<株主・投資家の皆様との対話について>
当社グループの長期経営計画である2030経営計画の実現に向けて、「資本コストと株価を意識した経営の実践」について注力しております。
株主・投資家の皆様にこれらの取組みについてご理解いただくべく、積極的にIR活動を強化してまいりました。開示情報におけるセグメント情報の充実、決算説明会や資料提供の四半期化、IR Day開催、スモールミーティングや個別IR面談、海外IRやカンファレンスを通じた対話機会の創出に取り組んできた結果、資本市場の皆様との面談回数は過去2年間で大幅に増加しております。また、当社ホームページのIRサイトでの開示情報の拡充や利便性の改善にも努めており、2023年度は外部機関から高い評価をいただいております。
対話の実施状況や内容については、四半期毎に開催されるIR委員会や2024年3月開催の取締役会に報告するとともに、年間を通じて適宜関連する所管部門にもフィードバックしております。
(注) 個別IR面談、IR Day、スモールミーティング、カンファレンス、海外IRにて投資家・アナリストの接点を得た回数
(カウントの単位は「社」、同一四半期において複数回の接点があった場合も「1」とカウント)
また、これらの対話を通じて得られた貴重なご意見を2024中期経営計画策定において参考にさせていただきました。特に、事業ポートフォリオの考え方、ROIC経営の推進に対する関心が多く寄せられたことを踏まえ、主要事業別のROIC実績及び目標ならびに資本コストの推計値を開示いたしました。
引き続き、建設的な対話の促進に努め、対話を通じて得られた示唆を今後の経営活動に活かすことで持続的な企業価値向上を目指します。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1 報告セグメントの概要
(1)報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会等が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、食料品製造を中心に事業活動を展開しております。なお、「食料品製造」、「食料卸売」、「不動産及びサービス」を報告セグメントとしております。
(2)各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
「食料品製造」セグメントは、菓子、食品、冷菓、ゼリー飲料等の製造を行っております。
「食料卸売」セグメントは、業務用食品の卸売を行っております。
「不動産及びサービス」セグメントは、不動産賃貸業、ゴルフ場経営を行っております。
2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。
セグメント間の内部売上高及び振替高は、市場価格等に基づいております。
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注)1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、研究用試薬の製造販売他であります。
2 調整額は以下のとおりであります。
(1) セグメント利益の調整額△817百万円には、各報告セグメントに配分していない全社費用△836百万円などが含まれております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費及び新規事業開発費等であります。
(2) セグメント資産の調整額36,034百万円は、全社資産39,931百万円及びセグメント間の債権の相殺消去等△3,897百万円が含まれております。全社資産は当社グループの現金及び預金、長期投資資金(金融機関株式)であります。
3 セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、研究用試薬の製造販売他であります。
2 調整額は以下のとおりであります。
(1) セグメント利益の調整額△990百万円には、各報告セグメントに配分していない全社費用△1,037百万円などが含まれております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費及び新規事業開発費等であります。
(2) セグメント資産の調整額51,083百万円は、全社資産54,893百万円及びセグメント間の債権の相殺消去等△3,809百万円が含まれております。全社資産は当社グループの現金及び預金、長期投資資金(金融機関株式)であります。
3 セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:百万円)
(注)売上高は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:百万円)
(注)売上高は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。