事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
AIソリューション | 2,798 | 37.9 | 162 | -87.5 | 5.8 |
リーガルテックAI | 4,577 | 62.1 | -348 | 187.5 | -7.6 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは株式会社FRONTEO及び連結子会社5社(2024年3月31日現在)で構成され、事業部門をAIソリューション事業とリーガルテックAI事業の2つに大別し展開しております。各事業の内容は次のとおりであります。
(1) AIソリューション事業
① ライフサイエンスAI
自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」を活用し、創薬研究の効率化・加速化・成功確率向上、医療の質向上・効率化、医療従事者の負担軽減・業務改善、高齢者のQOL(Quality of Life)向上などに貢献できるよう、さまざまな製品・サービスを研究開発・提供しています。現在、AI創薬領域、AI医療機器領域の2つの領域に大別し展開しております。
AI創薬領域においては、”FRONTEO Drug Discovery AI Factory”(以下、DD-AIF)を2023年7月に立ち上げました。DD-AIFは、製薬企業・研究機関での創薬研究への従事経験と実績を有し、AIにも精通しているバイオロジストと、自社開発の特化型AI「KIBIT」やAIアプリケーションを活用して最大のパフォーマンスを発揮する高度な解析を行うデータサイエンティストなどがチームとなり、独自の手法で情報解析と提案を行う創薬支援サービスであり、顧客の創薬研究の効率化・加速化・成功確率向上に貢献しています。
AI医療機器領域では、世界初の言語系AI医療機器を目指し、「会話型 認知症診断支援AIプログラム」の開発を着実に進めております。また、開発プロセスで収集された質の高いデータセットや開発ノウハウを活用した非医療機器、「統合失調症診断支援AIプログラム」及び「うつ病診断支援AIプログラム」などその他の製品につきましても、順調に開発を進めております。
② ビジネスインテリジェンス
ビジネスインテリジェンス分野においては、自社開発の特化型AI「KIBIT」を活用した各種ソフトウェア、メール&チャット監査システム「KIBIT Eye(キビット アイ)」、「お客様の声」の分析を行う「KIBIT WordSonar for VoiceView(キビット ワードソナー フォー ボイスビュー)」、災害リスク発見と予知を行う「KIBIT WordSonar for AccidentView(キビット ワードソナー フォー アクシデントビュー)」、ビジネスデータ分析支援システム「KIBIT Knowledge Probe(キビット ナレッジ プローブ)」などの製品ラインナップを中心に、当社AIと連携したシステムの受託開発、AI導入コンサルティングサービス、運営サポートをはじめ、企業内データ解析を様々な角度から行っております。
③ 経済安全保障
経済安全保障分野では、「KIBIT Seizu Analysis(キビット セイズ アナリシス)」を活用した、サプライチェーン解析ソリューション、株主支配ネットワーク解析ソリューション、最先端技術・研究者ネットワーク解析ソリューションの提供を開始し、経済安全保障に関する経営戦略の立案を支援しております。
(2)リーガルテックAI事業
① eディスカバリサービス
ディスカバリは米国民事訴訟で被告・原告の双方が審理前に証拠を開示する制度であります。特に、電子データを取り扱う作業はeディスカバリと呼ばれます。当社は、アジアにおけるeディスカバリ総合支援企業のパイオニアとして、証拠となりうる電子データの特定、証拠保全からデータの処理、ドキュメントレビュー、提出データ作成にいたるまでワンストップでサービスを提供しております。さらに、2019年3月にはAIレビューツール「KIBIT Automator(キビット オートメーター)」をリリースし、AIを活用した文書レビューの提案活動を日米において強力に推進しております。
② フォレンジックサービス
フォレンジックサービスとは、情報漏洩や内部不正等の問題が生じた際に、顧客からの依頼を受けて提供されたパソコン等を、いつ、誰が、どのようなことをしたのか不正調査の観点から調査し、調査結果を顧客へ提供するサービスであります。昨今では年々増加傾向にある第三者委員会への協力案件も増えております。また、当社グループは日本発のデジタルフォレンジックソフトウェアとして独自の人工知能を搭載した「KIBIT XAMINER(キビット エグザミナー)」の販売を行っております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)
(1) 経営成績
(AIソリューション事業)
ライフサイエンスAI分野 AI創薬領域
ライフサイエンスAI分野のAI創薬領域であるDD-AIFは、創薬標的探索をはじめ、ドラッグリポジショニングにおける案件を複数受託し、実績を積み重ねております。その中で、当社の創薬研究者が提案する成果物に加え、製薬企業と当社の研究者間で協調しながら最終成果物を創造する「共創プロジェクト型」の要望が多く寄せられております。こうした顧客ニーズに応えるために、共創プロジェクトの提案を開始しております。
当社は2024年1月30日にSpringer Nature(以下、シュプリンガーネイチャー社)と業務提携契約を締結し、同社が出版するジャーナルの掲載論文などのデータを「KIBIT」で解析する新たなサービスを開始いたしました。本業務提携契約により、最先端の論文のフルテキストデータを解析に用いることができ、情報量の大幅な増加や求める情報に到達するスピード・質の向上など、DD-AIFの機能が強化されます。この新たなアプローチにより、DD-AIFにおいて、従前より早い段階で、多数の標的遺伝子・分子などを捉えることが可能となり、また、極めて高い網羅性を強みとして、新規性の高い標的分子や適応症などとその根拠となる仮説の提案を通して、顧客ニーズに応えてまいります。
ライフサイエンスAI分野 AI医療機器領域
AI医療機器領域では、2024年2月14日に塩野義製薬と「認知症・うつ病の診断支援AIプログラム事業に関する戦略的業務提携契約」を締結し、ライフサイエンスAI分野における中長期的な収益基盤の構築を開始いたしました。この契約により、契約一時金に加え、開発の進展などに応じたマイルストーンフィー、並びに製品上市後の販売額に応じたロイヤリティフィー等を受領する予定です。引き続き両社は、世界に先駆けた自然言語処理AIを用いた医療機器として、「会話型 認知症診断支援AIプログラム」の日本での製造販売承認取得の早期化及び社会実装を目指してまいります。
また、当社はその他の精神神経疾患として、統合失調症やADHDを対象とするAI医療機器の開発についても、協業・アライアンスの検討を開始しており、世界に先駆けた自然言語処理AIを用いた医療機器として、日本での製造販売承認取得の早期化を目指してまいります。
ビジネスインテリジェンス分野
ビジネスインテリジェンス分野においては、企業のDX推進や不正リスクの未然防止に関する社会的な要請の強まりによる旺盛な需要により、売上高は堅調に推移しております。当連結会計年度においては、株式会社三菱UFJ銀行(以下、三菱UFJ銀行)に「KIBIT」を搭載したAIソリューションが導入されるなど、同分野における当社のプレゼンスが向上しております。また、森永製菓株式会社に技能伝承を支援する「匠KIBIT(タクミキビット)」を導入するなど、大手金融機関だけでなく大手製造業や様々な業種においても当社のソリューションの導入が進んでおります。これらは継続的な取引を前提とした契約であり、導入企業数の増加に応じて収益が積み上がる、いわゆるリカーリング/ストックビジネスであり、当連結会計年度は同分野において、収益の約60%まで積み上がり、当社グループの収益基盤の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。
また、不正検知システム「KIBIT Eye」の機能向上や企業の技能伝承を支援する「匠KIBIT零」を開発するなど、AIを含む先端技術を必要とする多様な顧客のニーズに応じた開発にも注力しております。
不正リスクの未然防止に関する顧客認識は、当社が開催している不正対策勉強会においても、申込者数が過去最 高を更新するなど、各社において、取り組みを強化する姿勢・ニーズが確認されており、社会的な要請も強まることが予想されることから、当該市場は今後も拡大するものと見込んでおります。当社は、「KIBIT Eye」の提供を通じて、網羅的かつ最適な監査を支援・実現させることを目的として、引き続きパイプラインの拡大に努めてまいります。
経済安全保障分野
経済安全保障分野においては、昨今の地政学リスクを背景に、企業の調達リスクや各国の規制による制裁リスクが一層高まっております。
当連結会計年度においては、これらのリスク対策だけでなく、対応の遅れによる機会損失も懸念される中、民間企業のサプライチェーンリスクの可視化ニーズが拡大するなど、官公庁や大手企業において、一定規模の投資予算が確保される傾向にあります。米国の税関・国境取締局による輸入差し止めを回避するための対策や、海外からの調達を安定化させる支援を「KIBIT Seizu Analysis」による解析を用いて実施しております。また、官公庁やシンクタンクにおいても当社の独自技術が活用され、多面的な解析やサプライチェーン及び株主支配ネットワークの可視化を通じて、最適な経済安全保障対策の支援を行っております。引き続き、変容する社会情勢を注視しながら研究開発を進め、最適なソリューションを提供することで事業の拡大に努めてまいります。
(リーガルテックAI事業)
リーガルテックAI事業は、当社ポータルサイト「FRONTEO Legal Link Portal」、勉強会、ウェビナーなどのマーケティング活動を積極的に推進しております。それらの活動により、顧客である弁護士事務所や企業からの問い合わせ数、受注数は着実に増加し四半期毎に売上回復基調は継続しておりますが、期初計画からは遅れており、売上高、営業利益ともに軟調に推移しております。一方で全社的なコスト構造の改善効果により、当第4四半期連結会計期間におけるセグメント営業利益は黒字化し、今後も同事業における収益性は改善基調を見込んでおります。引き続き、マーケティングや営業の活動量を高め、収益の回復に努めてまいります。
各事業の当連結会計年度の概況は以下のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、ライフサイエンスAI分野の売上高の一部をビジネスインテリジェンス分野に移管したことに伴い、前年同期の数値を移管後の数値に組替えて比較しております。
また、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため、全社費用の配分基準の見直しを行ったことに伴い、前年同期の数値を変更後の数値に組替えて比較しております。
(AIソリューション事業)
ライフサイエンスAI分野につきましては、当連結会計年度において塩野義製薬と業務提携契約を締結し契約一時金の一部を収益認識したこと、AI創薬の解析案件及びDD-AIFの実証実験を受託したこと等により、売上高は620,523千円(前年同期比147.4%増)となり、期初計画を上回る結果となりました。
ビジネスインテリジェンス分野につきましては、前期に取り組んだ営業体制強化の効果等により売上パイプラインが堅調に積み上がったことに加えて、当連結会計年度において三菱UFJ銀行で「KIBIT」を搭載したAIソリューションが導入されたことなどにより、売上高は1,861,313千円(前年同期比19.3%増)となりました。
経済安全保障分野につきましては、三菱電機株式会社をはじめ、官民複数の企業・官公庁への導入が進み本格的な事業化に向け着実に進捗しており、売上高は316,008千円(前年同期比707.6%増)となり、期初計画を大幅に上回る結果となりました。
その結果、AIソリューション事業全体の売上高は2,797,845千円(前年同期比51.2%増)と期初計画を上回る結果となりました。また、営業損益につきましては、売上増加による利益の増加の一方で、前期下期より実施したビジネスインテリジェンス分野における営業体制の強化、経済安全保障分野の組織体制の構築等によるコスト増加により、162,254千円の営業利益(前年同期は319,913千円の営業損失)となりました。
(リーガルテックAI事業)
リーガルテックAI事業につきましては、顧客基盤の構築に向けた各種施策に対する効果により問い合わせ数が増加し、回復基調を維持しているものの売上高は4,577,427千円(前年同期比14.7%減)となりました。また、営業損益につきましては、全社的なコスト構造の改善により347,583千円の営業損失(前年同期は1,042,077千円の営業損失)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高7,375,273千円(前年同期比2.2%増)、営業損失185,329千円(前年同期は1,361,990千円の営業損失)、経常損失168,112千円(前年同期は1,292,518千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失2,843,119千円(前年同期は1,701,317千円の親会社株主に帰属する当期純損失)という結果となりました。
なお、米国子会社において、主要顧客の案件終了に伴い米国子会社の事業計画を見直した結果、株式取得時に見込んでいた将来の成長及び事業計画の実現が困難であると判断し、米国子会社の株式取得時に発生した、顧客関連資産及びのれんにかかる減損損失を2,475,459千円計上、台湾子会社において、今後の収益性が低下したことから台湾子会社に関する固定資産に係る減損損失を17,769千円計上しております。
また、リーガルテックAI事業の自社利用ソフトウエアの一部について今後の利用停止を決定したこと等により減損損失を98,660千円計上、コスト構造の最適化を目的とした構造改革費用85,757千円を特別損失として計上しております。
(2) 財政状態
(資産)
総資産は、前連結会計年度末と比べて1,622,364千円減少し、7,522,865千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べて1,320,707千円増加し、4,964,657千円となりました。これは主に、塩野義製薬との業務提携契約に伴い契約一時金を受領したこと等により、現金及び預金が1,568,090千円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末と比べて2,943,072千円減少し、2,558,207千円となりました。これは主に、通常の償却と減損処理等によりのれんが1,345,594千円減少、顧客関連資産が1,218,755千円減少したことによるものです。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比べて588,126千円増加し、4,683,305千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比べて1,213,692千円増加し、3,422,866千円となりました。これは主に、借入実行により短期借入金が700,000千円増加、前受金が506,750千円増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末と比べて625,566千円減少し、1,260,438千円となりました。これは主に、長期借入金を流動負債に振り替えたことにより707,455千円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末と比べて2,210,491千円減少し、2,839,559千円となりました。これは主に円安の影響により為替換算調整勘定が393,703千円増加した一方で、のれん等の減損による特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより利益剰余金が2,843,119千円減少したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,039,480千円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は1,710,181千円(前年同期比2,624,797千円の収入の増加)となりました。これは主に、塩野義製薬との業務提携契約に伴う契約一時金の入金やその他未収入金の回収等1,655,981千円によるものです。税金等調整前当期純損失2,837,347千円を計上しましたが、損失の大半は減価償却費680,594千円及びのれん償却額200,454千円、減損損失2,591,889千円の非資金項目によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は181,862千円(前年同期比443,197千円の支出の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出210,252千円、無形固定資産の取得による支出269,867千円、無形固定資産の売却による収入280,351千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は34,354千円(前年同期比571,970千円の支出の減少)となりました。これは主に、短期借入れによる収入700,000千円、長期借入金の返済による支出729,815千円によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
3 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(4)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当社グループの事業内容は提供するサービスの関係上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりません。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
大手国内製造企業 757,952千円 10.50%
大手米国企業 749,734千円 10.39%
訴訟や公的機関が関係する取引であり先方のビジネスへの影響が懸念されるため、主な販売先の社名の公表は控えさせていただきます。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
大手国内製造企業 770,241千円 10.44%
大手米国企業 1,004,837千円 13.62%
訴訟や公的機関が関係する取引であり先方のビジネスへの影響が懸念されるため、主な販売先の社名の公表は控えさせていただきます。
3 AIソリューション事業については、経済安全保障の重要性が増したため、当連結会計年度より組み替えて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の販売実績の組替えを行っております。
(5) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、主に営業活動から得られる自己資金及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。設備投資並びに研究開発等の事業投資の長期資金需要につきましては、資金需要が発生した時点で、自己資金又は、金融機関からの長期借入金、増資等、資金調達コストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。また、運転資金需要につきましては、営業活動から得られる自己資金と金融機関からの借入金等により賄っております。
なお、当連結会計年度におけるシンジケートローン契約締結については、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」、重要な設備の新設等の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」、配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,926,294千円となっており、借入金については主に運転資金や過年度におけるM&A等のための資金で、全て金融機関からの借入となっております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,039,480千円であります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(7) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは「Bright Valueの実現~記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する~」という企業理念のもと、自社開発の特化型AI「KIBIT」の提供を通じて、日夜、社会課題と向き合う専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造することで、祖業である国際訴訟支援、不正調査から製造、金融、小売、流通、そして医療分野といった様々なフィールドで、必要かつ適切な情報に出会えるフェアな世界の実現及び社会課題の解決に貢献しております。
ライフサイエンス、ビジネスインテリジェンス、経済安全保障の各分野でAIソリューションを提供する「AIソリューション事業」を成長事業と明確に位置づけ、それぞれの分野における成長種別 (リニア/非連続)とその因子を明確にし、経営資源の選択と集中を徹底することで、2029年3月期での中期戦略「ステージ4」の達成を目指してまいります。
■AIソリューション事業
(ライフサイエンスAI分野)
AI創薬領域では、2023年7月にDD-AIFを立ち上げ以降、創薬プロセスの最上流工程である創薬標的探索をはじめ、ドラッグリポジショニングにおける案件を複数受託し、着実に実績を積み重ね当社の優位性の検証が完了しております。創薬の開発には長い期間と多額の投資が必要となる一方、上市への成功率の低さや研究開発の難化に伴うコストの高騰が課題となっております。創薬の早期化や成功率の向上には、創薬プロセスの最上流工程である標的探索・選定プロセスと、研究開発の道筋を決める仮説の生成が不可欠ですが、当社はこの課題に対して、自社開発した特化型AI「KIBIT」を駆使した高度な解析・エビデンスに基づき、仮説生成の効率化・高精度化を通じて顧客の創薬の効率化及び成功確率の向上に資する提案を継続的に行っております。これらの実績が認められ、当社の創薬研究者が提案する成果物に加え、製薬企業と当社の研究者間で協調しながら最終成果物を創造する「共創プロジェクト型」の要望が多く寄せられており、当社の中長期的な中核ビジネスに成長させることを目指しております。
また、シュプリンガーネイチャー社との業務提携契約の締結により、同社が出版するジャーナルの掲載論文などのデータを「KIBIT」で解析するサービスを開始し、情報量の大幅な増加や求める情報に到達するスピード・質の向上など、DD-AIFの機能強化も行っております。
当社はこの市場において、自社開発の特化型AI「KIBIT」を用いた仮設生成に特化したAI創薬サービスを提供できる技術力を持つ唯一の企業であると考えております。その優位性は世界でも通用するものであり、海外を含めた創薬力向上に貢献できると考えております。AI創薬ビジネスは当社グループの中長期的な成長の柱と位置付け、早期の収益化を図り、医薬品開発における、効率化、最適化に必要不可欠なイノベーション企業を目指します。
AI医療機器領域では、塩野義製薬と「認知症・うつ病の診断支援AIプログラム事業に関する戦略的業務提携契約」を締結し、両社で世界初となる言語系AI医療機器の開発に着手し、早期の薬事承認申請に向け開発を進捗させております。この契約により開発の進捗に応じたマイルストーンフィーや上市後の販売額に応じたロイヤリティフィーの受領等を含めた中長期的な収益基盤を確保しております。また、「会話型 統合失調症診断支援AIプログラム」や 「会話型 ADHD診断支援AIプログラム」等の他疾患を対象とした複数の医療機器開発パイプラインに対してもアライアンス戦略を推進することで、非連続な成長を目指してまいります。
さらに、非医療機器製品向けには会話型ソリューションという特性を生かし、「銀行」「保険」「通信」「自動車」等の他産業との横断アライアンスによる社会実装や、海外展開も視野に入れ、飛躍的な事業拡大を目指しております。
(ビジネスインテリジェンス)
企業のDXへの投資や不正リスクの未然防止に関する意欲は、社会的な要請を背景として、引き続き旺盛であることが見込まれるため、当社のAIソリューションに対する需要は拡大基調を継続すると考えています。
基幹サービスの不正検知システム「KIBIT Eye」の大手金融機関への導入が加速するなど、当社ソリューションの対象市場におけるプレゼンス向上を背景に、既存顧客との取引深耕に加え、大手企業・準大手企業をターゲットとした大規模プロジェクトの獲得を視野に入れ、リカーリング収益の伸長による安定的な収益基盤とともに、同分野の中長期的なリニア成長を目指してまいります。
(経済安全保障分野)
経済安全保障分野においては、2022年5月に経済安全保障推進法が成立して以降、昨今の国際情勢による地政学リスクの高まりを背景に、官公庁と民間企業双方での経済安全保障への取り組みが進行しており、当社への経済安全保障関連の問い合わせは増加しております。
当社独自のAIシステム「KIBIT Seizu Analysis」は、公開情報を収集・分析し、政府及び企業を取り巻く膨大な情報と見えないネットワークに潜むリスクを可視化する事でチョークポイント(戦略的に重要な意味を持つポイント)を見つけ出す事が可能になり、トップマネジメント層の経営戦略立案及び最適な戦略の選択・実行を支援しています。
グローバルサプライチェーンを有する企業において、経済安全保障リスクは今後も対応が必須な経営課題であることから、当社を取り巻く市場環境は追い風になると見込んでおります。
アーリーアダプターへの訴求を継続し、包括契約(ライセンス、伴走支援の組み合わせ)を前提とした導入先企業拡大による非連続な成長と、その後のリカーリング収益の拡大を基盤とし、連結業績にも大きく貢献することを目指してまいります。
■リーガルテックAI事業
当社は、2003年の創業時から国際訴訟、不正調査の日本におけるパイオニアとして取り組んできた実績と高い信頼性に加え、調査プロセスをAIによって効率化するAIレビューツール「KIBIT Automator」等の技術力により、平時から有事までの一貫した対応を支援しています。
引き続き、当社ポータルサイト「FRONTEO Legal Link Portal」を活用したマーケティング活動、勉強会、ウェビナーなどを継続的に実施し、顧客基盤の強化・拡大を進め、収益相関性の高い組織・オペレーションを維持することにより、堅実な事業運営を推進してまいります。
(8) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、AIソリューション事業やeディスカバリ関連のリーガルテックAI事業に関連したサービスを提供しております。当社及び当社の連結子会社はそれぞれ独立した経営単位として、取り扱うサービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社グループは取り扱うサービス別セグメントから構成されており、「AIソリューション事業」「リーガルテックAI事業」の2つを報告セグメントとしております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)における記載と同一であります。
報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。セグメント間の内部取引は、外部売上価格及び総原価等を勘案して決定しております。
第1四半期連結会計期間より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため、全社費用の配分基準の見直しを行っております。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の費用配分方法に基づき作成したものを記載しております。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) セグメント損失は、連結損益計算書の営業損失と一致しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) セグメント損失は、連結損益計算書の営業損失と一致しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(2) 有形固定資産
3 主要な顧客ごとの情報
(注) なお、訴訟や公的機関が関係する取引であり先方のビジネスへの影響が懸念されるため、主な販売先の社名の公表は控えさせていただきます。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
(注) AIソリューション事業については、経済安全保障の重要性が増したため、当連結会計年度より組み替えて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の製品及びサービスごとの情報の組替えを行っております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(2) 有形固定資産
3 主要な顧客ごとの情報
(注) なお、訴訟や公的機関が関係する取引であり先方のビジネスへの影響が懸念されるため、主な販売先の社名の公表は控えさせていただきます。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
「AIソリューション」において自社利用ソフトウエアの開発費をソフトウエア仮勘定に計上しておりましたが、開発の仕様変更により将来使用見込がなくなったものの使用価値を零として回収可能価額を算定し、6,422千円を減損損失として特別損失に計上いたしました。また、「リーガルテックAI」において81,473千円の減損損失を計上しており、特別損失の構造改革費用258,876千円に含まれております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
「AIソリューション」において8,251千円を減損損失として特別損失に計上いたしました。また、「リーガルテックAI」において2,583,637千円の減損損失を計上しており、米国子会社において、主要顧客の案件終了に伴い米国子会社の事業計画を見直した結果、株式取得時に見込んでいた将来の成長及び事業計画の実現が困難であると判断し、米国子会社の株式取得時に発生した、顧客関連資産及びのれんにかかる減損損失を2,475,459千円計上、台湾子会社において、今後の収益性が低下したことから台湾子会社に関する固定資産に係る減損損失を17,769千円計上しております。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。