リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に由来するリスク
① 飼育動物頭数について(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社グループは、動物病院事業を主たる事業領域としていることから、飼育動物(特に犬猫)の頭数の影響を大きく受けると考えられます。飼育動物の全体の頭数は2013年以降緩やかに減少傾向にある一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でペットとの生活に癒しを求めることや、家族内でコミュニケーションを深めることを目的に新規飼育頭数は増加傾向にあります(出典:ペットビジネスマーケティング総覧2022年版(矢野経済研究所))。今後の飼育頭数の推移については人口動態や景気動向によると考えられますが、飼育頭数が減少した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクは長期的な期間で顕在化する可能性はありますが、短期的に顕在化する可能性は低いと考えており、また、高品質の医療サービス及び高度医療を提供していく体制維持を継続することで、顧客の確保及び診療単価上昇によるリスクの軽減を図っております。
② 医薬品や医療用消耗品及び医療機器価格について(顕在化可能性:中/影響度:中)
当社グループは、動物病院事業を主たる事業領域としていることから、動物病院運営で使用する医薬品や医療用消耗品及び医療機器の価格水準の影響を大きく受けると考えられます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による昨今の世界的な原材料費や輸送費の高騰に伴い、医薬品、医療用消耗品、医療機器においてもメーカー側での値上げが相次いでおり、今後もこの状況が継続した場合には当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くはないと考えているものの、価格水準の上昇に合わせて医薬品代や診察単価の改定等の対応を実施することでリスクの軽減を図っております。
③ 競合について(顕在化可能性:小/影響度:小)
当社グループが主たる事業領域としている動物医療業界におきましては、動物病院の数が増加傾向にありますが、その大半が少人数の獣医師で運営されている一次診療施設となっております。当社グループのような一次診療から二次診療までを自社グループ内で行っている病院は少なく、同様のモデル形成には多額の資金や人的資源が必要となることから、競合性は低いと考えております。ただし、今後新規参入等や業界再編等により競争が激化した影響で診療件数が減少した場合等には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くはないと考えているものの、提供サービスの差別化やM&Aによる事業承継を積極的に推進していくことで、リスクの軽減を図っております。
④ 関連法令の規制について(顕在化可能性:中/影響度:小~大)
当社グループの動物病院事業につきましては、「獣医師法」、「獣医療法」、「動物の愛護及び管理に関する法律」その他法令により規制を受けておりますが、今後、それらの法令の改廃又は新たな規制が設けられる場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス委員会を組織し、コンプライアンス体制の充実に向けた取り組みを推進する他、内部監査により法令遵守の状況を確認しております。なお、現時点においては、行政処分に該当する事象は発生していないものと認識しております。
また、会社法及び金融商品取引法への対応も上記と同様の取り組みを行っております。当社グループにおいては2020年12月に実施したJ-STAR株式会社の組成する投資ファンドからの自己株式の取得が財源規制に違反しておりましたが、社外役員に法律専門家及び会計専門家を選任しガバナンス体制を強化するとともに、再発防止策として配当や自己株式の取得の際には財源規制に関するチェックリストを用いて確認するフローに変更しており、同様の違反が生じない体制が構築できていると認識しております。
イ.獣医師法
獣医師法では、獣医師の任務、免許の取得、免許の取消・業務の停止、義務等について定められており、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.獣医療法
獣医療法は、飼育動物の診療施設の開設及び管理に関し必要な事項並びに獣医療を提供する体制の整備のために必要な事項を定めること等により、適切な獣医療の確保を図ることを目的とした法律であります。また、診療施設の構造設備の基準、診療施設の管理、獣医療を提供する体制の整備のための基本方針等について定められております。同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.動物の愛護及び管理に関する法律
動物の愛護及び管理に関する法律では、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項について定められており、ペットサロン運営にあたり第一種動物取扱業者としての登録が求められています。当社グループではペットサロン運営を行っているため、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ニ.電波法
電波法は電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって公共の福祉を増進することを目的とした法律であり、その中で通信、医療、工業等の目的のために高周波電流のエネルギーを利用している設備(MRI等の高周波利用設備)のうち、一定の周波数及び電力を使用するものについては設置や変更にあたり許可を受けることが求められています。当社グループでは動物病院事業運営に当たり、高周波利用設備を使用しているため、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ホ.放射性同位元素等の規制に関する法律
放射性同位元素の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱い、放射線発生装置の使用及び放射性同位元素又は放射線発生装置から発生した放射性汚染物の廃棄その他の取扱いを規制することにより、これらによる放射線障害を防止し、及び特定放射性同位元素を防護して、公共の安全を確保することを目的とする法律であり、放射性同位元素であってその種類若しくは密封の有無に応じて政令で定める数量を超えるもの又は放射線発生装置の使用、詰替え及び装備をしようとする者は、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を求められています。当社グループでは動物病院事業運営に当たり、放射線発生装置を使用しているため、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ヘ.その他法令、及び法令改正対応
獣医療法を始め当社グループが運営する事業に関係する法令改正については、本社人事総務部を中心に情報収集を行っており、各部署において必要に応じた対応を行っています。2019年6月に制定された「愛玩動物看護師法」は、今後ますます重要性が増していくことが想定される愛玩動物を対象とした動物看護師の資質向上・業務の適正を図ることを目的に、愛玩動物看護師の国家資格化を定める法律であり、当該制度を踏まえた獣医師と動物看護師の役割分担と連携をより明確にした医療体制の構築を図っていきます。当該法令に関して医療体制の変更等が必要となるような改正が行われた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に由来するリスク
① 医療サービスの過誤について(顕在化可能性:小/影響度:小)
当社グループでは、高度医療サービスを提供しているため、提供する医療サービスの品質管理及び飼い主とのインフォームドコンセントに細心の注意を払って事業運営を行っておりますが、提供する医療サービスに過誤が生じるリスクがあります。その場合、医療サービスの過誤が原因で飼い主が被った損失に対する責任を追及される可能性があり、訴訟になった場合には状況によっては裁判が長期化することや、和解、敗訴に応じることにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、医療サービスに過誤を原因として風評等により当社グループのブランド価値が毀損した場合は、当社グループに対するニーズが低下し、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと考えており、クレーム等が発生した場合にはクレーム報告書で社内に報告・共有する体制を構築して再発防止を図ることでリスクの軽減を図っております。
② M&A及び事業承継について(顕在化可能性:小~中/影響度:小~中)
当社グループは、今後の事業拡大及び収益力向上のため、国内外を問わず動物医療施設の買収や事業承継を実施する可能性があります。当社グループといたしましては、M&A実施に当たり、リスク及び回収可能性を十分に事前評価した上で取引を行う方針ですが、将来的な買収先の事業の状況には不確実性が存在します。
仮に、当初予測困難な事象の発生により投資額が回収できなくなった場合には、買収時ののれん等の減損処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある他、何らかの事情によりM&A後の統合プロセスが計画通りに進まない場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「第1 企業の概況 (はじめに)」にて記載したとおり、設立当初に実施したLBO取引により生じたのれんについて、2020年6月期に2,054,303千円の減損損失を計上しております。当該減損損失の計上に至った直接の要因は、再編・経営統合のプロセスの中で生じたコスト増加等に起因する当初計画からの乖離でありますが、M&Aに対して多角的な検討を行い得る役員体制、管理体制が整っておらず、M&Aの検討・実施プロセスが十分に整備されていなかったことがその背景にあったものと分析しております。
当社グループは、これを踏まえ、法律専門家、会計専門家等を社外取締役として招聘するなどの役員体制の充実に取り組むとともに、具体的な案件については、経営戦略会議及び取締役会において外部専門家を起用したデューデリジェンスや価値評価の結果をもとに慎重な議論を実施することとするなど、M&Aの検討・実施プロセスの整備に取り組んでまいりました。その結果、本書提出日現在ではM&Aに対して多角的な検討を行い得る体制が整備されたものと考えております。
当社グループでは、適切なデューデリジェンス及び取引条件の検討・交渉を行い、取締役会等での慎重な議論を経て取引を実行する限り、当該リスクが顕在化する可能性は高くはないと考えておりますが、M&Aの検討・実施プロセスを適切に実行することにより、当該リスクの低減に努めてまいります。
(3)その他のリスクについて
① 人材の確保及び育成について(顕在化可能性:小/影響度:中)
当社グループで提供する二次診療を含めた高度医療の継続的・安定的な供給のためには、臨床経験及び専門知識の高い優秀な獣医師の確保及びその育成と定着が重要な課題となります。獣医師数は近年増加傾向にありますが、獣医学生のリクルートに関しては激化傾向にあるため、上記取り組みによっても必要な人材を採用できない場合、また役職員の育成から想定通りの成果が得られない場合、もしくは育成した役職員が社外流出した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクが顕在化する可能性は高くないと考えておりますが、獣医大学や人材紹介会社と連携しながら説明会の開催や実習の受け入れを積極的に実施することで獣医大学新卒者を確保する取組みを進めるとともに、入社社員に対する定期的な研修、指導医によるOJT、獣医療教育コンテンツであるVMNの無料視聴等の教育施策の実施、社内評価制度の充実・労働環境の整備等を進めることで人材育成と定着率の向上を図り、リスクの低減を図っております。
② 情報管理に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中)
当社グループは、医療サービスの提供を通じて、飼い主の個人情報を入手・管理いたします。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生する可能性があります。これらの機密情報が第三者に漏洩、不正使用された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと考えており、システム管理室を設置してグループ内のセキュリティシステムの強化を図るとともに、個人情報管理に関連する規程類を整備すること等によりリスク軽減を図っております。
③ 特定人物への依存について(顕在化可能性:小/影響度:小)
当社グループの代表取締役CEOである北井正志は当社グループの創業以来の最高経営責任者であり、経営戦略や事業の立案、診療現場の運営等についてリーダーシップを発揮しております。そのため、不慮の事故等何らかの理由により当人が当社グループの事業展開に関与することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、上記のリスクが顕在化する可能性は低いと考えているものの、属人的な経営体制を避けるため、役員及び幹部社員の情報共有や権限の委譲、業務分掌に取り組んでおり、最高経営責任者に過度に依存しない経営体制の整備を進めることでリスクの軽減を図っております。
④ ストック・オプションについて(顕在化可能性:小/影響度:小)
当社グループでは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権によるストック・オプション制度を採用しております。本書提出日の前月末現在における新株予約権による潜在株式数は398,000株であり、発行済株式総数の5.0%に相当しております。今後も、優秀な人材の獲得及び確保を主たる目的としてストック・オプションの付与を継続する方針であります。これらストック・オプションの行使がなされた場合、当社株式上場後の株価動向によっては需給バランスに変動が生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 関連当事者取引について(顕在化可能性:小/影響度:小)
当社グループでは株式会社大冬辰(当社代表取締役CEO北井正志が議決権の100%を保有する会社)と不動産賃貸契約等の取引を行っています。
当社は、独立性の観点を踏まえ関連当事者との取引について「関連当事者取引管理規程」を定めており、その取引が当社グループの経営上合理的なものであるか、取引条件が外部取引と比較して適正であるかなどの観点から、都度取締役会の承認を得ることとしています。
なお、2024年6月期における取引実績は次のとおりであります。
物件名 |
支払賃借料(千円) |
備考 |
大阪動物医療センター駐車場(注) |
12,000 |
取引価格は、周辺駐車場の賃料相場等を参考に価格を決定しております。 当該取引については将来的な取引解消に向けての取組を継続しております。 |
大阪動物病院店舗建物 |
12,720 |
取引価格は、不動産鑑定評価額等を参考に価格を決定しております。 当該取引については将来的な取引解消に向けての取組を継続しております。 |
(注) 株式会社大冬辰(当社代表取締役CEO北井正志が議決権の100%を保有する会社)が所有している物件を、第三者の不動産管理会社を介して賃借しております。直接の取引ではないものの実質的な関連当事者取引として記載しております。
⑥ のれんについて(顕在化可能性:小/影響度:小~中)
当社グループは、過去の動物病院事業買収に伴い、相当額ののれんを連結貸借対照表に計上しており、2024年6月期末現在、のれんの金額は連結総資産の25.4%(1,471,068千円)を占めております。当社グループは、当該のれんにつきまして、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等により期待する投資成果が得られないと判断された場合、又は適用される割引率が高くなった場合等は、減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「第1 企業の概況 (はじめに)」にて記載したとおり、設立当初に実施したLBO取引により生じたのれんについて、2020年6月期に2,054,303千円の減損損失を計上しておりますが、「(2)事業内容に由来するリスク ② M&A及び事業承継について(顕在化可能性:小~中/影響度:小~中)」に記載しましたとおり、M&Aの検討・実施プロセスの整備に取り組み、直近の動物病院事業の買収に際しては、十分な検討・実施プロセスを経てM&Aを実施しております。
こうした状況を踏まえ、現在では当社グループでは過年度に計上されたのれんも含め、収益力に照らして回収可能性が認められると判断された部分について計上していることから、今後のれんの減損リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。
⑦ 固定資産の減損について(顕在化可能性:小/影響度:小)
当社グループでは、病院設備及び医療機器を中心にその資産性を検討した上で、事業用資産を計上しております。当該資産については固定資産の減損に係る会計基準に従い将来のキャッシュ・フローを算定し、減損損失の認識・測定を行っております。しかしながら、経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等により、対象となる資産に減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは現在計上している固定資産に関して、収益力に照らして回収可能性が認められる部分について資産計上しており、今後当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。
⑧ 借入金及び財務制限条項について(顕在化可能性:小/影響度:中)
当社グループの過去の組織再編における買収資金及び病院運営に係る土地購入資金、建築費等は、主として個別案件毎に金融機関からの借入によって調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率が常に一定程度あることから、将来において、金利が上昇した場合及び金融機関の融資姿勢に変化が生じた場合には、資金調達コストの増加や資金手当への影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、一部の借入金に財務制限条項が付されており、条項に抵触し一括返済をする場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えているものの、対応策として、定期的に金利動向や金融機関の融資姿勢についてモニタリングを行うとともに、借入における機動的な資金確保のための融資枠設定や金利固定化を行う等、安定的かつ経済的な資金調達に努めております。
⑨ 資金使途について(顕在化可能性:小/影響度:小~中)
当社グループは上場時に実施した公募増資による調達資金につきましては、その全額を運転資金として、事業拡大のための獣医師等の採用活動資金として2025年6月期に充当する予定であります。
しかしながら、急激に変化する事業環境により柔軟に対応するため、現時点における計画以外の使途にも充当される可能性があります。また、計画に沿って資金を使用した場合でも想定通りの投資効果を上げられない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 配当政策について(顕在化可能性:小/影響度:小)
当社グループは株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えており、創業以来配当を行っておりません。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ではあるものの、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
⑪ 投資事業組合の当社株式保有割合に関するリスクについて(顕在化可能性:大/影響度:中)
当連結会計年度末現在における当社の発行済株式総数(自己株式を除く)は7,474,000株であり、このうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下、「VC等」という。)が保有する株式数は2,852,000株と当社株式の発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合は38.2%となっております。当該VC等は当社の上場時の株式売出において、保有する当社株式の一部を売却する方針でありますが、一定割合の株式を引き続き保有することが想定されます。一般に、VC等にとって保有株式の売却によりキャピタルゲインを得ることは投資の目的の一つであり、いずれは売却が想定されます。VC等が当該継続保有する当社株式の一部または全部を市場にて売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を与える可能性があります。
⑫ 自然災害・火災・事故・感染症への対応について(顕在化可能性:小~大/影響度:小~大)
当社グループの本社及び主要な施設は大阪・東京を中心とした都市部及び沖縄で運営を行っており、当該地域において、地震、津波、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、感染症の蔓延等、予測の範囲を超える事態の発生により、事業活動の停止や事業運営への重大な支障が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの拠点は全国にあり、当該リスクによる影響は分散されると考えられるため、全社的な影響度は相対的に高くはないと考えているものの、各拠点において停電時における非常電源の確保を行う等の対応を進めてまいります。
⑬ 風評被害について(顕在化可能性:小/影響度:中)
当社グループでは、噂、悪評、信用不安情報や誤解、誤認、誇大解釈等が、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等やマスコミ、その他社会一般等に広がることにより当社の評価、評判が低下し、当社の業績に悪影響が生じる等の影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではSNSやメディアでの報道等を注視して誤った情報の拡散状況の有無のモニタリングを実施するとともに、適切な診療サービスの提供を継続することで風評が発生するリスクの抑制に努めており、今後当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。
⑭ 業績の季節的変動について(顕在化可能性:大/影響度:小)
当社グループの四半期における業績は、第4四半期において売上高及び営業利益が偏重する傾向にあります。これは、動物病院業界においては狂犬病ワクチンの接種やノミ・フィラリア薬等の購入が集中する3月から6月にかけて来院数が大幅に増加し、繁忙期になる傾向にあるためです。
当社グループでは、当該季節的要因及び過年度の実績を踏まえた業績予測・利益計画の策定に努めているものの、何らかの事情により第4四半期の動向が予測と異なった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主への利益還元を経営上の重要課題として認識しております。しかしながら、当社グループは現在、成長過程にあることから、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えており、創業以来配当を行っておりません。
将来的には、事業基盤の整備状況や投資計画、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを検討していく方針であります。内部留保資金については、事業の拡充や組織体制の整備への投資のための資金として、有効に活用していく方針であります。
剰余金の配当を行う場合は、年1回の期末配当を基本方針と考えておりますが、毎年12月31日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。なお、当社は会社法第459条第1項に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。