2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

<特に重要なリスク>

(1)施工物等の瑕疵に対するリスク

 施工管理の徹底により品質管理には万全を期しておりますが、提供する施工物及びその他製品について重大な瑕疵が発生した場合、当社グループの経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。当社では、本社品質監理室および支店の品質アドバイザーによる品質監理を強化しています。また、発生した瑕疵に対しましては、誠実な顧客対応と確実な是正措置を実施し、信用回復に取り組みます。

(2)重大な労働災害の発生リスク

 当社では「効果的なリスクアセスメントを実践する」を基本方針とする年間安全管理計画にもとづき、安全管理には万全を期しておりますが、施工において重大な労働災害が発生した場合、多大な補償費等の負担や社会的信用の低下により当社グループの経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。労働安全マネジメントシステムの効果的な運用および継続的な改善により、施工における労働災害の撲滅に努めてまいります。

(3)建設市場の変動リスク

 世界の経済動向、天災または悪天候等に左右される建設需要の動向や資材価格の高騰は、主たる売上を建設業としている当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。今後の民間設備投資額が大きく減少する場合、当社グループの受注活動における変動リスクとなると考えられます。そのため、比較的影響を受けにくいと想定される官庁工事や再生可能エネルギー分野への重点的な取り組みを行います。

(4)財務に関するリスク

 今後の市場環境の予期せぬ急変等により、金融機関の支援体制の変化、受注環境の悪化、販売用不動産及び賃貸用不動産の時価の下落等に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。この対策として資金面におきましては、取引金融機関との間で既存のシンジケートローン契約の更改ならびに新規でシンジケートローン契約を締結いたしました。また、季節変動資金にも機動的に対応できる状況を整え、より安定的な資金調達態勢を確保しております。

 

 

<重要なリスク>

(1)コンプライアンス違反リスク

 当社グループは、法令・規制の遵守の徹底に加え、従業員等によるコンプライアンス遵守を推進しておりますが、個人的な不正行為を含め、重大な法令違反等を引き起こした場合には、顧客や社会からの信頼を失うとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社では専門性の高いメンバーによる社内ヒアリングを実施し、コンプライアンスの周知を図っています。

(2)重要な訴訟等

 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては当社グループの法務部門が管理しており、必要に応じて取締役会および監査役会に報告しております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では、危機管理室において常に訴訟の可能性について情報収集し、迅速な対応が図れる体制を整えています。

(3)情報セキュリティに対するリスク

 事業活動を行う過程で機密情報や事業の過程で入手した顧客情報のセキュリティについては細心の注意を払っていますが、万が一保護すべき情報が外部からの攻撃や従業員の過失等によって漏洩又は消失した場合には、顧客や社会からの信用を失うとともに、取引の停止や損害賠償により業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社情報システムには安全対策を施しているものの、高度化するサイバー攻撃にさらされた場合、データの消失やシステム障害により業務が停止する可能性があります。情報セキュリティーポリシーに基づき、最新のシステム保全対策を維持するとともに全社員を対象とするサイバーセキュリティ教育を実施しリスク軽減に努めます。

(4)人材の確保におけるリスク

 近年の少子高齢化による労働人口の減少、また、建設業の担い手である技能労働者の高齢化が進んでおり、人材の確保が十分にできない場合には、長期的な視点から当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では人事部人材開発課を中心に採用活動を強化するとともに、産官学による「海洋開発に関わる人材育成プログラム」などを通じて、建設業の担い手確保に努めてまいります。

(5)気候変動リスク

 近年、気候変動により自然災害が激甚化する傾向にあり、台風や洪水等による施工現場への被害や施工遅延といった物理的リスクがあります。また、気候変動に伴い低酸素・脱炭素社会への移行に向けて、温室効果ガスの上限規制による施工量の制限や、炭素税を導入された場合、コスト増等により、事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は2021年6月、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会の分析と対応についてコーポレートサイト上に開示しています。

(6)外部環境に係るリスク

 当社グループは国内及び海外に建設事業を展開しており、その事業活動は地域の外部環境により大きく影響を受けることがあります。新型コロナウイルスなどの感染症については、引き続き集団感染等による工事中断リスクや事業進捗の不確実性などが生じる可能性があります。このため、社員及び取引先をはじめとするあらゆるステークホルダーの安全と健康を守り、安定的に事業運営を継続していくための対策を講じることを重要課題として取り組んでいます。

(7)海外活動に係るリスク

 当社グループの海外売上高は連結売上高に対する割合は低いものの、海外の各国においては次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ①予期し得ない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更。

 ②為替相場の急激な変動による為替損失の発生。

 ③テロ、戦争等による社会的混乱。

(8)不動産価値下落リスク

 当社グループは、国内各地において販売用不動産及び土地等の有形固定資産を保有しております。国内の不動産市況が悪化した場合には、販売用不動産の評価減及び固定資産の減損処理等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(9)市場リスク

 当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っていますが、長期所有を原則としているため特別のヘッジ手段を用いておりません。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を当社定款に定めており、剰余金の配当等の決定機関は取締役会であります。

 当社は、剰余金の配当として年1回の期末配当を行うことを基本方針としております。

 当期の期末配当につきましては、2024年5月24日の取締役会決議に基づき、中期経営計画(2021年度-2023年度)の目標である当社単体の配当性向30%にあたる1株当たり普通配当120円とさせていただきます。

 次期の利益配分につきましては、資本効率性を重視しながら中長期的に安定的な株主還元を目指すため、配当の目標を純資産配当率(DOE)3.6%を下限とする配当性向40%以上(単体)と設定しております。

 内部留保資金につきましては、長期的な株主利益を念頭に置き、引き続き企業体質の強化や収益力確保のために有効投資してまいります。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年5月24日

1,540

120

取締役会決議