2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

設備工事事業 表面処理事業 その他
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
設備工事事業 50,514 97.4 3,732 101.9 7.4
表面処理事業 1,236 2.4 -60 -1.6 -4.8
その他 92 0.2 -12 -0.3 -12.6

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(田辺工業株式会社)及び連結子会社5社により構成されております。当社グループは、日本国内において設備工事事業(産業プラント設備工事、設備保全工事、電気計装工事、メカトロニクス、送電工事、管工事)を主体とした事業と、その他(鋳造用工業炉の製造・販売)の事業を営んでおります。また、海外においては中国、シンガポール、マレーシアを中心に設備工事事業と、タイ国内では表面処理事業及び設備工事事業を営んでおります。
 当社グループの事業内容及び当社と関係会社との当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

 なお、次の部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

(1)設備工事事業

 

当社及び連結子会社が次の設備工事事業を営んでおります。

 

産業プラント設備工事

化学・医薬、その他工業部材等のプラント設備・装置、環境設備の設計・製作・施工を主な事業としております。

海外においては、田工実業(上海)有限公司(連結子会社)が中国において産業機械装置の販売、メンテナンス、機材の輸出入を、タナベエンジニアリングシンガポール社(連結子会社)がシンガポール国内を中心にプラント設備の設計・施工・メンテナンスを、タナベテクニカルサービスマレーシア社(連結子会社)がマレーシア国内を中心にプラント設備の設計・施工・メンテナンスを、タナベエンジニアリングアジア社(連結子会社)がタイ国内を中心にプラント設備の設計・施工・メンテナンスを行っております。

 

 

設備保全工事

化学・食品・医薬品等のプラント設備、発電所機器の設備診断・保全改修を主な事業としております。

 

 

電気計装工事

化学・食品・医薬品等のプラント設備、公共・一般建築物の電気計装設備、情報通信設備の設計・施工及び太陽光発電設備の設計・施工・売電を主な事業としております。

 

 

メカトロニクス

各種省力機器システム、自動化機器の設計・製作・施工を主な事業としております。海外においては、タナベタイランド社(連結子会社)が主に機械装置の設計・製作を行っております。

 

 

送電工事

送電用鉄塔建設、送配電線の新設・張替の施工を主な事業としております。

 

 

管工事

公共ガス水道工事、防消火設備、衛生設備の設計・施工を主な事業としております。

 

(2)表面処理事業

連結子会社であるタナベタイランド社がタイ国内で表面処理事業を行っております。

 

(3)その他

鋳造用工業炉

当社の鋳造用工業炉部門が鋳造用工業炉(アルミ鋳物生産用工業炉)の製造・販売、また産業機械の輸入・販売を行っております。

 

 

  事業の系統図は次のとおりであります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果などもあり、景気は緩やかな回復基調が続きました。一方、地政学リスクによる経済への影響、エネルギー価格・原材料価格の上昇など、先行きは不透明な状況が続いております。

 設備工事業界においては、公共投資は堅調に推移し、民間設備投資は持ち直しの動きがみられましたが、物価上昇や国際情勢により先行きが不透明な状況等があり、受注・価格競争は厳しい状況で推移しております。

 このような状況下で、当社グループはお客様のニーズに合った設備の提案を積極的に行い、受注の確保・拡大に努めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,665百万円増加し、46,239百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,999百万円増加し、23,605百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,665百万円増加し、22,633百万円となりました。

 

b.経営成績

 設備工事事業におきまして、当社グループの主要顧客である化学業界において半導体関連の大型プラント建設工事、EV材関連設備工事、設備改修工事、脱炭素対応に向けた設備工事、また、定期修繕工事等を中心とした受注があり、前期を上回る受注高となりました。タイ国の表面処理事業は、HDD向け表面処理は新規顧客の獲得などがあり、持ち直しの動きがありました。また、自動車部品向けの表面処理は総じて横ばいの状況のなか、EV用の需要は堅調であり、表面処理事業全体では前期を上回りました。売上高は、懸念されていた工事資材の納期長期化や物資不足などの影響は想定より少なく、大型案件をはじめとした工事の進捗は想定以上に順調に推移し、前期を上回る結果となりました。

 この結果、受注高54,725百万円(前連結会計年度比13.1%増)、売上高51,842百万円(同20.7%増)となりました。

 利益面につきましては、売上高は増加しましたが、設備工事事業における複数件の工事において、市場環境の変化による資材費、労務費などの上昇を吸収できず低収益化したこと、大型工事案件の一部に工事損失及び工事損失引当金を計上したことなどから、売上総利益率は低下しました。また、ESGへの取組などの諸施策による販売費及び一般管理費の増加がありましたが、増収効果などにより、営業利益2,677百万円(同2.0%減)、経常利益2,726百万円(同2.1%減)と前期を若干下回りました。また、当連結会計年度及び今後の業績動向等を勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、法人税等調整額を計上しました。これにより親会社株主に帰属する当期純利益1,895百万円(同14.5%増)と前期を上回る結果となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

(設備工事事業)

 民間プラント・機械装置を主体としております産業プラント設備工事は、半導体関連の大型プラント建設工事、EV材関連設備工事、設備改修工事、脱炭素対応に向けた設備工事を中心とした受注があり、受注高26,579百万円(前期比20.6%増)と前期を上回りました。売上高は、大型案件をはじめとした工事の進捗は想定以上に順調に推移し、24,484百万円(同34.8%増)と前期を上回りました。

 民間プラント保全工事を主体としております設備保全工事は、工場設備の定期修繕工事を中心とした受注が堅調であり、受注高10,332百万円(同6.1%増)、売上高10,446百万円(同4.5%増)ともに前期を上回りました。
 電気計装工事は、産業プラント設備工事部門とのジョイントによる、プラント建設工事を中心とした受注があり、受注高9,095百万円(同3.4%増)と前期を上回りました。売上高は前期からの繰越工事の完成や進行基準による売上などにより、9,194百万円(同17.9%増)と前期を上回りました。

 メカトロニクスは、電子材料メーカー向け充填ラインの大型受注が寄与し、受注高3,412百万円(同6.8%増)、売上高2,782百万円(同24.3%増)ともに前期を上回りました。

 送電工事は、電力会社の設備保守等の受注が堅調でありましたが、受注高2,290百万円(同5.9%減)、売上高2,168百万円(同8.3%減)ともに前期を下回りました。

 管工事は、官公庁設備の改修等の受注があり、受注高1,663百万円(同60.0%増)、売上高1,437百万円(同19.1%増)ともに前期を上回りました。

 設備工事事業合計では、受注高53,373百万円(同13.0%増)、売上高50,514百万円(同20.9%増)、セグメント利益3,731百万円(同2.0%減)となりました。

(表面処理事業)

 タイ国で事業展開しております表面処理事業について、HDD向け表面処理は新規顧客の獲得などがあり持ち直しの動きがあり、また、自動車部品向けの表面処理はEV用の需要が堅調であったことなどから、受注高1,235百万円(前期比18.2%増)、売上高1,235百万円(同18.2%増)と前期を上回りました。また、原材料価格や燃料価格は落ち着いてきているものの原価率の低減は限られ、セグメント損失59百万円(前期は85百万円の損失)となりました。

(その他)

 鋳造用工業炉は、受注高116百万円(前期比4.7%減)、売上高92百万円(同27.1%減)、セグメント損失11百万円(前期は2百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,883百万円減少し、3,290百万円(前連結会計年度末比46.7%減)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が2,616百万円、減価償却費727百万円、仕入債務の増加3,997百万円などの収入がありましたが、売上債権の増加11,185百万円等の支出があり、営業活動によるキャッシュ・フローは4,740百万円の支出(前連結会計年度末は1,829百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に建設仮勘定等の有形固定資産の取得による支出等により、1,089百万円の支出(前連結会計年度末比68.3%増)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加、長期借入れによる収入等により、2,899百万円の収入(前連結会計年度末は196百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事事業(産業プラント設備工事、設備保全工事、電気計装工事、メカトロニクス、送電工事、管工事)では生産実績を定義することが困難であり、設備工事事業においては請負形態を取っているため販売実績という定義は実態にそぐいません。

 従って、生産、受注及び販売の実績については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」における各セグメントの状況に関連付けて記載しております。

 なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。

 

(1)受注工事高、完成工事高、繰越工事高

第55期(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

工事別

前期繰越工事高

(千円)

当期受注工事高

(千円)

計(千円)

当期完成工事高

(千円)

次期繰越工事高(千円)

産業プラント設備工事

10,113,379

21,176,542

31,289,921

17,109,839

14,180,082

設備保全工事

1,774,016

9,736,317

11,510,334

9,996,959

1,513,374

電気計装工事

5,999,248

8,795,486

14,794,735

7,796,443

6,998,292

メカトロニクス

1,244,006

3,071,800

4,315,806

2,138,180

2,177,626

送電工事

197,984

2,434,337

2,632,322

2,364,210

268,111

管工事

533,954

1,039,886

1,573,840

1,207,438

366,402

鋳造用工業炉

14,592

121,789

136,381

126,574

9,807

19,877,182

46,376,160

66,253,343

40,739,645

25,513,697

 

第56期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

工事別

前期繰越工事高

(千円)

当期受注工事高

(千円)

計(千円)

当期完成工事高

(千円)

次期繰越工事高(千円)

産業プラント設備工事

14,180,082

26,135,284

40,315,367

23,988,765

16,326,601

設備保全工事

1,513,374

10,332,297

11,845,672

10,446,382

1,399,290

電気計装工事

6,998,292

9,095,693

16,093,985

9,194,609

6,899,375

メカトロニクス

2,177,626

3,311,252

5,488,879

2,674,457

2,814,422

送電工事

268,111

2,290,230

2,558,342

2,168,451

389,891

管工事

366,402

1,663,312

2,029,714

1,437,853

591,861

鋳造用工業炉

9,807

116,038

125,846

92,332

33,513

25,513,697

52,944,110

78,457,807

50,002,852

28,454,955

 (注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。

    2.第55期まで産業プラント設備工事に含めていたメカトロニクスを第56期から独立して表記しております。

      このため、第55期の受注工事高、完成工事高、繰越工事高の数値は変更後の区分に組み替えております。

 

(2)受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第55期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

産業プラント設備工事

17.6

82.4

100

設備保全工事

45.8

54.2

100

電気計装工事

38.7

61.3

100

メカトロニクス

61.6

38.4

100

送電工事

30.1

69.9

100

管工事

15.4

84.6

100

鋳造用工業炉

100.0

0.0

100

第56期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

産業プラント設備工事

33.8

66.2

100

設備保全工事

48.9

51.1

100

電気計装工事

40.1

59.9

100

メカトロニクス

86.6

13.4

100

送電工事

23.1

76.9

100

管工事

4.3

95.7

100

鋳造用工業炉

100.0

0.0

100

 (注)1.百分比は請負金額比であります。

    2.第55期まで産業プラント設備工事に含めていたメカトロニクスを第56期から独立して表記しております。

      このため、第55期の受注方法別比率の数値は、変更後の区分に組み替えております。

 

(3)完成工事高

期別

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

合計(千円)

第55期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

産業プラント設備工事

199,988

16,909,850

17,109,839

設備保全工事

32,826

9,964,133

9,996,959

電気計装工事

583,176

7,213,266

7,796,443

メカトロニクス

2,138,180

2,138,180

送電工事

3,500

2,360,710

2,364,210

管工事

229,590

977,847

1,207,438

鋳造用工業炉

126,574

126,574

 

1,049,082

39,690,563

40,739,645

第56期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

産業プラント設備工事

136,545

23,852,220

23,988,765

設備保全工事

36,338

10,410,044

10,446,382

電気計装工事

459,687

8,734,922

9,194,609

メカトロニクス

2,674,457

2,674,457

送電工事

2,500

2,165,951

2,168,451

管工事

513,002

924,851

1,437,853

鋳造用工業炉

92,332

92,332

 

1,148,072

48,854,779

50,002,852

 (注) 第55期まで産業プラント設備工事に含めていたメカトロニクスを第56期から独立して表記しております。

     このため、第55期の完成工事高の数値は変更後の区分に組み替えております。

 

 第55期の完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりであります。

亀田製菓㈱

白根工場 糯第1工場2階、第2工場3階天井不燃化工事

デンカ㈱

SN粉第Ⅴ期増強工事

ソーダニッカ㈱

広島大野ケミカルセンター能力増強工事 1期工事

セントラル硝子㈱

1233Z増能工事(二期)

 

 第56期の完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりであります。

㈱カネカ

コンパウンドプラント設置工事

AGC㈱

上中工場E系増設工事

㈱クラレ

MMB増産対応(KST新設)工事

 

 

 

 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

相手先

第55期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第56期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

完成工事高に対する割合(%)

金額(千円)

完成工事高に対する割合(%)

デンカ㈱

7,673,508

18.8

8,790,420

17.6

7,673,508

18.8

8,790,420

17.6

 

(4)手持工事高(2024年3月31日現在)

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

合計(千円)

産業プラント設備工事

54,171

16,272,429

16,326,601

設備保全工事

103,600

1,295,690

1,399,290

電気計装工事

405,610

6,493,765

6,899,375

メカトロニクス

2,814,422

2,814,422

送電工事

389,891

389,891

管工事

823

591,037

591,861

鋳造用工業炉

33,513

33,513

564,205

27,890,750

28,454,955

 手持工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

旭化成㈱

D6Z P1-7、8建設工事 機電計一括工事

2024年 5月 完成予定

デンカ㈱

先端球状フィラー工場新設工事

2024年 8月 完成予定

東日本高速道路㈱

北陸自動車道 子不知トンネルラジオ再放送設備更新工事

2025年 1月 完成予定

コニシ㈱

新水性工場 設備工事

2025年 3月 完成予定

 

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は35,915百万円(前連結会計年度末27,608百万円)となり、8,306百万円増加しました。これは、主に受取手形・完成工事未収入金等が10,882百万円増加したことによるものと分析しております。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は10,324百万円(同9,965百万円)となり、359百万円増加しました。これは、主に機械、運搬具及び工具器具備品が376百万円、建設仮勘定が357百万円増加したことによるものと分析しております。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は22,205百万円(同15,051百万円)となり、7,153百万円増加しました。これは主に電子記録債務が4,511百万円、短期借入金が3,500百万円増加したことによるものと分析しております。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は1,400百万円(同1,554百万円)となり、154百万円減少しました。これは、主に長期借入金が175百万円増加した一方で退職給付に係る負債が376百万円減少したことによるものと分析しております。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は22,633百万円(同20,967百万円)となり、1,665百万円増加しました。これは、主に利益剰余金が1,467百万円増加したことによるものと分析しております。

 

2)経営成績

 (売上高)

 売上高は、半導体関連の大型プラント建設工事、EV材関連設備工事、設備改修工事、脱炭素対応に向けた設備工事、また、定期修繕工事等を中心とした受注があり、懸念されていた工事資材の納期長期化や物資不足などの影響は想定より少なく、大型案件をはじめとした工事の進捗は想定以上に順調に推移し、前連結会計年度の42,944百万円に対し8,898百万円増(前連結会計年度比20.7%増)の51,842百万円となりました。なお、セグメント別の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。

 (売上総利益)

 売上総利益は、前連結会計年度の7,227百万円に対し、101百万円増(同1.4%増)の7,328百万円となりました。また、売上総利益率は14.1%となりました。競争が厳しさを増し、資材費の高騰等もあるなか、売上高は増加しましたが、設備工事事業における複数件の工事において市場環境の変化による資材費、労務費などの上昇を吸収できず低収益化したこと、大型工事案件の一部に工事損失及び工事損失引当金を計上したことなどから、前連結会計年度に比べ2.7ポイント低下したものと分析しております。

 (販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の4,494百万円に対し、156百万円増(同3.5%増)の4,651百万円となりました。ESGへの取組、業務のDX推進などの諸施策等が56百万円、従業員給料手当が60百万円増加したこと等によるものと分析しております。

 (営業利益)

 以上により、営業利益は前連結会計年度の2,732百万円に対し、55百万円減(同2.0%減)の2,677百万円となりました。

 (営業外損益)

 営業外損益(純額)は、前連結会計年度の52百万円の収入に対し、3百万円減(同6.7%減)の48百万円となりました。

 (経常利益)

 経常利益は、前連結会計年度の2,785百万円に対し、58百万円減(同2.1%減)の2,726百万円となりました。

これは、主に営業利益の減少によるものと分析しております。

 (特別損益)

 特別損益(純額)は、前連結会計年度の149百万円の損失に対し、109百万円の損失となりました。

これは、主に特別損失が前連結会計年度より37百万円減少したことによるものと分析しております。

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,656百万円に対し、239百万円増(同14.5%増)の1,895百万円となりました。

 1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の154円78銭に対し、24円93銭増加し179円71銭となりました。

 

 当社グループの経営に影響を与える要因として、当社グループの属する設備工事業界は受注産業であり、国内外の経済動向や国際情勢の影響を受けやすく、景気の変動により公共投資や民間設備投資の大幅な抑制が続くと、当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。

 現状の見通しとして、国内外経済に影響を与える不確定な要素が多いなか、物価高や金融引き締めに伴う景気減速懸念に加え、地政学リスクによる経済への影響など、依然として不透明な状況が想定され、先行きは予断を許さない厳しい状況が続くものと思われます。

 当社グループにおきましては、お客様のニーズを的確に捉え、当社グループの特色である、「技術力」、「機動力」、「総合力」を活かし、独立系エンジニアリングメーカーとしての柔軟な対応力を強みに、同業他社との差別化を図り「ものづくり」に関するあらゆる産業分野を網羅すべく、広範囲な事業フィールドで事業を推進する所存です。

 このような状況のもと、当社グループは2020年度から中期経営計画(ローリング方式により定め)により、「成長促進」の時期として位置付け、事業活動を推進してまいりました。同計画における目標のうち、連結売上高50,000百万円以上については、大型EPC案件の受注拡大や当社グループの技術力と機動力を活かした設備改修・修繕工事等の安定的な受注確保、自動化・省力化機器・システムの業績拡大等が寄与し、その目標を達成したものの、連結営業利益率(8%以上)、ROE(10%以上)、海外比率(15%以上)の目標は未達成であり、課題を残す結果となりました。残された課題については、現在策定中であります新中期経営計画において解決を図ってまいります。なお、2025年3月期の連結業績見通しは、連結売上高は前期からの繰越工事が多いこともあり52,000百万円(前連結会計年度比0.3%増)と予想しております。利益面では、連結営業利益3,000百万円(同12.0%増)、連結経常利益3,050百万円(同11.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円(同5.5%増)と予想しております。

 経営者の問題意識と今後の方針について、現在の事業環境及び入手可能な情報を基に環境変化にスピード感を持って柔軟に対応すべく、最善の経営方針を立案し、諸対策を実着に実行してまいります。

 今後は不透明な市場環境ではありますが、優先的に対処すべき事業上の課題に記載のとおり、まずは、安定収益を確保すべく、足下の受注案件の獲得及び業績見通し達成に全力を挙げていくとともに、中長期的な成長に向け、確実に「手を打つ」、両面での経営が重要であると認識し、最適な経営資源の配分を行いつつ「世の中から必要とされ、存続する企業」として、次世代の社会・産業に貢献する会社を目指します。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持及び向上が重要であると認識しており、主要な取引先金融機関との良好な取引関係の維持に努めております。加えて、健全な財務状態の維持も重要であると認識しており、自己資本比率を50%以上に維持することを、経営目標の一つとして掲げております。

 この様な基本的な考え方に沿って諸施策を進めることにより、当社グループの成長を維持するために必要とされる運転資金及び設備資金の調達に、何らの支障も生じないものと認識しております。

 

 次に経営資源の配分に関する考え方として、営業活動により得た収益を事業活動の財源と捉え、その効率的な運用を最重点課題としております。運用先として、運転資金、更なる経営基盤の充実に備えるための人材育成・教育、設備及び研究開発への投資、財務基盤強化に繋がる有利子負債削減を企図した借入金返済がございます。

 株主に対する利益還元につきましては、株主還元の安定的拡大を目指し、配当性向の目安を将来的に30%以上とすることを目指しております。

 

 上記の考え方に基づき、次のとおり、資金需要に応じた資金調達を行っております。

 まず当社グループの資金需要について、運転資金需要の主なものは、工事施工に係る材料費及び外注費の他、人件費であります。また、設備資金需要の主なものは、事業領域拡大に向けた拠点の設立や、生産性向上に向けた機械の購入であります。

 上記の運転資金及び設備資金の調達に当たっては、内部資金及び国内金融機関からの借入を活用しております。

 運転資金の調達につきましては、当社において取引先金融機関3行とコミットメントライン契約(60億円)を締結し、機動的な資金調達を行っております。設備資金の調達につきましては、取引先金融機関からの長期借入金により賄うことを基本的な方針としております。また、緊急時の資金需要への備えとして、当社において複数の取引先金融機関と当座貸越契約を締結しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社グループは、活動拠点ごとに設備工事事業を主体とした事業活動を展開しております。

 したがって、当社グループは「設備工事事業」「表面処理事業」の2つを報告セグメントとしております。

 「設備工事事業」は産業プラント設備工事、設備保全工事、電気計装工事、メカトロニクス、送電工事、管工事等の設備工事に関連する事業を展開しております。

 「表面処理事業」はタイ国において当社の連結子会社が表面処理(メッキ)事業を展開しております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、棚卸資産の評価基準を除き、連結財務諸表を作成するために採用される会計処理の原則及び手続きに準拠した方法であります。

 報告セグメントの利益は営業利益ベースの数値であります。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

 前連結会計年度(自2022年4月1日  至2023年3月31日)

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

その他

(注)

合計

 

設備工事事業

表面処理事業

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

41,772,729

1,044,875

42,817,604

126,574

42,944,179

41,772,729

1,044,875

42,817,604

126,574

42,944,179

セグメント利益

3,807,604

△85,467

3,722,137

△2,442

3,719,694

セグメント資産

33,629,325

1,557,635

35,186,961

91,691

35,278,652

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

379,388

178,496

557,884

3,921

561,806

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

668,645

36,563

705,208

705,208

 (注)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントである鋳造用工業炉事業等であります。

 

 当連結会計年度(自2023年4月1日  至2024年3月31日)

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

その他

(注)

合計

 

設備工事事業

表面処理事業

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

50,514,467

1,235,558

51,750,025

92,332

51,842,358

50,514,467

1,235,558

51,750,025

92,332

51,842,358

セグメント利益

3,731,967

△59,778

3,672,188

△11,601

3,660,587

セグメント資産

41,912,995

1,671,906

43,584,901

89,946

43,674,848

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

376,678

158,794

535,472

3,190

538,662

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

379,700

104,612

484,313

329

484,642

 (注)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントである鋳造用工業炉事業等であります。

 

4.報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)

(単位:千円)

売上高

前連結会計年度

当連結会計年度

報告セグメント計

42,817,604

51,750,025

「その他」の区分の売上高

126,574

92,332

セグメント間取引消去

連結財務諸表の売上高

42,944,179

51,842,358

 

(単位:千円)

利益

前連結会計年度

当連結会計年度

報告セグメント計

3,722,137

3,672,188

「その他」の区分の利益

△2,442

△11,601

セグメント間取引消去

全社費用(注)

△986,797

△983,128

連結財務諸表の営業利益

2,732,896

2,677,458

(注)全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

 

(単位:千円)

資産

前連結会計年度

当連結会計年度

報告セグメント計

35,186,961

43,584,901

「その他」の区分の資産

91,691

89,946

全社資産(注)

2,295,426

2,564,481

連結財務諸表の資産合計

37,574,079

46,239,329

(注)全社資産は、主に提出会社での余資運用資金(現預金及び有価証券)及び管理部門に係る資産等であります。

(単位:千円)

その他の項目

報告セグメント計

その他

調整額

連結財務諸表計上額

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度

当連結会計年度

減価償却費

557,884

535,472

3,921

3,190

184,587

191,171

746,393

729,833

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

705,208

484,313

329

337,602

648,807

1,042,811

1,133,450

(注)有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額は、主に全社共通の目的で使用する資産の設備投資額であ

  ります。

 

【関連情報】

 前連結会計年度(自2022年4月1日  至2023年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

  設備工事事業の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しており

 ます。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

  本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

                                   (単位:千円)

日本

タイ国

中国

シンガポール

マレーシア

合計

7,484,458

914,883

224

13,451

3,509

8,416,527

 

3.主要な顧客ごとの情報

                                       (単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

デンカ㈱

7,673,508

設備工事事業

 

 当連結会計年度(自2023年4月1日  至2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

  設備工事事業の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しており

 ます。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

  本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

                                   (単位:千円)

日本

タイ国

中国

シンガポール

マレーシア

合計

7,815,321

936,929

107

47,212

2,668

8,802,239

 

3.主要な顧客ごとの情報

                                       (単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

デンカ㈱

8,790,420

設備工事事業

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

その他

(注)

全社・消去

合計

 

設備工事事業

表面処理事業

減損損失

91,859

91,859

91,859

 (注)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントである鋳造用工業炉事業等であります。

 報告セグメント「表面処理事業」事業用資産について、収益性の低下に伴い、投資額の回収が見込めなくなったため、当該減少額を減損損失として特別損失に計上しております。

 

当連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

その他

(注)

全社・消去

合計

 

設備工事事業

表面処理事業

減損損失

56,017

56,017

56,017

 (注)「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントである鋳造用工業炉事業等であります。

 報告セグメント「設備工事事業」事業用資産について、収益性の低下に伴い、投資額の回収が見込めなくなったため、当該減少額を減損損失として特別損失に計上しております。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

 該当事項はありません。