事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
土木事業 | 363,333 | 13.1 | 23,268 | 17.1 | 6.4 |
建築事業 | 1,104,233 | 39.7 | 53,311 | 39.2 | 4.8 |
開発事業等 | 85,383 | 3.1 | 18,431 | 13.5 | 21.6 |
国内関係会社 | 367,424 | 13.2 | 24,174 | 17.8 | 6.6 |
海外関係会社 | 859,657 | 30.9 | 16,920 | 12.4 | 2.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社、子会社206社、関連会社107社で構成され、当社は土木事業、建築事業、開発事業等の事業活動を展開するとともに、国内関係会社が主に日本国内において多様な事業を、海外関係会社が海外地域において建設事業、開発事業等を展開している。
当社グループに属する各社の事業に係る位置づけ及びセグメント情報との関連は、次のとおりである。なお、次の5つは、セグメント情報と同一の区分である。
(1) 土木事業
当社が建設事業のうち、土木工事の受注、施工等を行っている。
(2) 建築事業
当社が建設事業のうち、建築工事の受注、施工等を行っている。
(3) 開発事業等
当社が不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業を行っている。
(4) 国内関係会社
当社の国内関係会社が主に日本国内において行っている事業であり、大興物産㈱が建設資機材の販売を、カジマメカトロエンジニアリング㈱が建設用機械の納入を行っているほか、鹿島道路㈱、ケミカルグラウト㈱、㈱クリマテック、㈱イリア等が専門工事の請負を行っており、その一部を当社が発注している。
また、鹿島リース㈱が総合リース業を、鹿島建物総合管理㈱が建物総合管理業を行っており、その一部を当社が発注している。
イートンリアルエステート㈱が不動産の売買及び賃貸等を、鹿島東京開発㈱がビル賃貸・ホテル経営を、鹿島八重洲開発㈱がビル賃貸事業を、㈱森林公園ゴルフ倶楽部がゴルフ場の経営を行っているほか、熱海インフラマネジメント合同会社が有料道路の運営・管理を行っている。
(5) 海外関係会社
当社の海外関係会社が海外地域において行っている事業であり、主にカジマ ユー エス エー インコーポレーテッドが米国を中心とする北米で、カジマ ヨーロッパ リミテッドが欧州で、カジマ アジア パシフィック ホールディングス ピー ティー イー リミテッドがアジアで、カジマ オーストラリア ピー ティー ワイ リミテッドが大洋州でそれぞれ建設事業、開発事業等を行っている。
事業の系統図は次のとおりである。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりである。
① 経営成績の状況
売上高は、建設事業、開発事業等ともに国内外で増加し、前連結会計年度比11.4%増の2兆6,651億円(前連結会計年度は2兆3,915億円)となった。
利益については、建設事業の売上総利益が国内外において増加し、国内の開発事業等の売上総利益も増加したことから、営業利益は前連結会計年度比10.3%増の1,362億円(前連結会計年度は1,235億円)となった。経常利益は、営業外収益の減少等により同4.2%減の1,501億円(同1,567億円)となったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損益が改善したことから、同2.9%増の1,150億円(同1,117億円)となった。なお、当連結会計年度において政策保有株式を27銘柄売却(284億円)しており、投資有価証券売却益を特別利益に計上している。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。)
a 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
売上高は、大型工事の施工が着実に進捗したことなどから、前連結会計年度比20.5%増の3,633億円(前連結会計年度は3,016億円)となった。
営業利益は、売上総利益率が高水準であった前連結会計年度を下回り、前連結会計年度比20.6%減の232億円(前連結会計年度は293億円)となった。
b 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
売上高は、大型工事の施工が順調であったことなどから、前連結会計年度比1.7%増の1兆1,042億円(前連結会計年度は1兆862億円)となった。
営業利益は、当期に完成した工事を中心に損益が改善し、前連結会計年度比14.2%増の533億円(前連結会計年度は466億円)となった。
c 開発事業等
(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
当期に計画していた販売用不動産の売却が実現したことを主因に、売上高は前連結会計年度比90.0%増の853億円(前連結会計年度は449億円)、営業利益は同156.2%増の184億円(同71億円)となった。
d 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業等)
開発系関係会社が保有する販売用不動産の売却を主因に、売上高は前連結会計年度比4.2%増の3,674億円(前連結会計年度は3,526億円)となり、営業利益は同38.8%増の241億円(同174億円)となった。
e 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)
売上高は、米国や大洋州における建設事業売上高の増加を主因に、前連結会計年度比16.3%増の8,596億円(前連結会計年度は7,392億円)となった。
営業利益は、米国開発事業において着実に売却益を計上したものの、高水準であった前連結会計年度を下回ったことなどから、前連結会計年度比25.6%減の169億円(前連結会計年度は227億円)となった。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比3,654億円増加し、3兆1,351億円(前連結会計年度末は2兆7,697億円)となった。これは、保有株式等の時価上昇による含み益の増加を主因とする投資有価証券の増加863億円、現金預金の増加689億円、棚卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他の棚卸資産)の増加649億円及び有形固定資産の増加616億円があったこと等によるものである。
負債合計は、前連結会計年度末比2,029億円増加し、1兆9,114億円(前連結会計年度末は1兆7,085億円)となった。これは、有利子負債残高※の増加748億円及び未成工事受入金の増加535億円があったこと等によるものである。なお、有利子負債残高は、6,126億円(前連結会計年度末は5,377億円)となった。
純資産合計は、株主資本9,496億円、その他の包括利益累計額2,604億円、非支配株主持分135億円を合わせて、前連結会計年度末比1,625億円増加の1兆2,236億円(前連結会計年度末は1兆611億円)となった。
また、自己資本比率は、前連結会計年度末比0.6ポイント好転し、38.6%(前連結会計年度末は38.0%)となった。
(注) ※短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債(1年内償還予定の社債を含む)及び長期借入金の合計額
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,237億円の収入超過(前連結会計年度は291億円の支出超過)となった。これは、税金等調整前当期純利益1,689億円に減価償却費272億円等の調整を加味した収入に加えて、未成工事受入金及び開発事業等受入金の増加522億円の収入があった一方で、法人税等の支払額505億円、棚卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他の棚卸資産)の増加487億円、仕入債務の減少332億円及び売上債権の増加316億円の支出があったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、629億円の支出超過(前連結会計年度は817億円の支出超過)となった。これは、有形固定資産の取得による支出415億円、貸付けによる支出414億円及び投資有価証券の取得による支出192億円があった一方で、投資有価証券の売却等による収入301億円及び貸付金の回収による収入258億円があったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額368億円及び自己株式の取得による支出150億円があった一方で、短期借入金、長期借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債による資金調達と返済の収支が381億円の収入超過となったこと並びに自己株式の処分による収入50億円があったこと等により、95億円の支出超過(前連結会計年度は1,118億円の収入超過)となった。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から678億円増加し、3,500億円(前連結会計年度末は2,822億円)となった。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、また、受注高について当社グループ各社の受注概念が異なるため、「生産の実績」及び「受注の実績」は記載していない。
売上実績
(注) 1 売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載している。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
〔参考〕提出会社単独の受注高及び売上高の状況
a 受注高、売上高及び繰越高
(注) 1 前事業年度以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注高にその増減額を含む。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれる。
2 期末繰越高は、(期首繰越高+当期受注高-当期売上高)である。
b 受注工事高
c 受注工事高の受注方法別比率
建設工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
d 完成工事高
(注) 1 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
2 当事業年度の完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
e 繰越工事高(2024年3月31日現在)
(注) 繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
(※) 当社からの受注高は繰越工事高に含んでいない。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2021年に「鹿島グループ中期経営計画(2021~2023)-未来につなぐ投資-」を策定し、変化する経営環境に対応しつつ、業績の維持向上と当社グループの将来にわたる発展を目指してきた。その結果、3期連続で親会社株主に帰属する当期純利益が1,000億円を超えたとともに、ROEは10%を上回り、中期経営計画の経営目標を達成した。また、2050年度のカーボンニュートラルやサプライチェーンを含めた人的資本強化に向けた施策に加え、国内・海外の不動産開発投資を推進し、持続的な成長の基盤整備を着実に進めることができた。こうした投資や施策は、今後も継続して取り組んでいく。
「鹿島グループ中期経営計画(2021~2023)」経営数値目標達成状況
当社グループの当連結会計年度の売上高(2兆6,651億円)は、当社建設事業(土木事業・建築事業)の順調な工事進捗や海外売上高の増加などにより、過去最高となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、増収効果に加え、当社建築事業の利益率向上や国内・海外開発事業の着実な利益計上により、前連結会計年度を上回る1,150億円となった。
業績予想との比較では、売上高は業績予想を上回った。利益面では、営業利益、経常利益が業績予想を下回ったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は業績予想を上回った。
当連結会計年度の経営成績(連結業績予想との対比) (単位:百万円)
財政状態については、当連結会計年度末の資産合計が前連結会計年度末比3,654億円増加し、3兆1,351億円となった。計画に基づく国内外の不動産開発投資の進捗により、開発事業資産(販売用不動産及び有形固定資産など)が増加し、建設事業における売上債権(受取手形・完成工事未収入金等)も売上高の増加等に伴って増加している。投資有価証券については、政策保有株式の中長期的な縮減に向けて、保有する株式の一部(27銘柄284億円)を売却したものの、国内株式市場における株価上昇や競争力強化に向けた国内外での戦略的な出資、為替変動に伴う外貨換算増などにより増加した。なお、計画に掲げた政策保有株式の縮減目標(当連結会計年度までの3年間で総額300億円以上の売却)に対しては、3年間で累計533億円を売却し目標を達成している。連結自己資本は、1,000億円を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、保有株式の株価上昇などにより、その他有価証券評価差額金が564億円増加したこと等に伴い前連結会計年度末から1,577億円増加の1兆2,101億円、自己資本比率は38.6%となった。連結有利子負債残高は、海外の不動産開発投資において外部資金を活用したことや海外の借入金における為替変動に伴う外貨換算増により前連結会計年度末から748億円増加し、6,126億円となったものの、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.51倍であり、財務の健全性は十分に維持できていると考えている。
経営成績に重要な影響を与える主な要因は、国内外の建設事業及び開発事業における需要やコストの急激な変動等の事業環境の変化である。当連結会計年度においては、国内建設需要は、堅調な公共投資と民間企業の旺盛な設備投資意欲により高い水準を維持し、そうした建設需要を背景に受注競争は緩和の動きが見られた。海外における建設需要は、欧米では製造業を中心に底堅く推移し、東南アジアでは経済活動の正常化に伴い増加基調となった。コストに関しては、国内外ともに資機材価格は総じて高い価格水準に留まっており、労務費にも上昇の傾向が見られるため、動向を注視した適切な対応が必要と考えている。
今後については、国内建設事業は、当面の間は高い水準の建設需要が継続すると予想されるため、適切な施工体制の確保による工期遵守や品質保全、着実な利益確保に取り組むとともに、時間外労働上限規制や働き方改革への対応として、ICTツール等を積極的に活用した施工の自動化、デジタル化、遠隔管理化などによる生産性向上やノンコア業務のアウトソーシングなどを推進していく。また、長期的には建設技能労働者が減少していく見通しであることから、賃金・休暇面での処遇改善やデジタル技術活用による建設業の魅力向上など次世代の担い手確保に向けた施策に取り組んでいる。海外事業においては、地政学的リスクの高まりや、欧米を中心とするインフレ及び金利動向が事業環境に与える影響を見極めつつ、リスク管理を徹底した事業展開を進めていく。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
a 土木事業
(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)
売上高は、大型工事を中心に施工が着実に進捗したことなどから前連結会計年度を大きく上回る3,633億円となった。2025年3月期についても、7,000億円を超える繰越工事高を踏まえ3,500億円を予想し、それ以降も同水準の売上高が継続すると見込んでいる。売上総利益率に関しては、四半期ごとに利益率は改善したが、一部の工事において施工条件の変更等に伴うコストの増加があったことから、高い水準であった前連結会計年度の利益率(18.0%)を下回る13.7%となった。2025年3月期には、15.4%に回復すると予想している。
土木事業における建設需要は、インフラ更新などの国土強靭化に関連した分野や風力発電などのエネルギー分野における需要の拡大が続き、今後も堅調に推移すると考えている。
b 建築事業
(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)
売上高は、生産施設や再開発事業等の大型工事の施工が順調に進捗したことなどから増収となった。2025年3月期以降も強い建設需要が継続すると見通しており、1兆円を超える水準の売上高が継続すると見込んでいる。売上総利益率は、建設コスト上昇の影響が一部の工事にあったものの、当連結会計年度に竣工した工事を中心に損益の改善が進んだことから、前連結会計年度における8.5%から9.2%に上昇した。2025年3月期は、竣工を迎える工事が少なく損益改善が進みにくい時期であるとともに、引き続き建設コスト上昇などにも注意が必要であることから、売上総利益率を9.0%と見込んでいる。
競争環境については、高水準の建設需要を背景に緩和の動きが見られ、受注時の利益率は改善傾向にある。サプライチェーンを含めた施工体制の確保や、建設コスト上昇への対応を確実に行うとともに、技術力や提案力を軸とした受注活動により、採算性の維持・向上を図っていく。
c 開発事業等
(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)
開発事業等の売上高及び営業利益は、不動産販売事業において、オフィス、ホテルの売却や分譲マンションの引渡しがあったことを主因に、前連結会計年度を上回った。当社が保有する賃貸ビルは総じて高い稼働率を維持しており、不動産賃貸事業も堅調に推移した。
2025年3月期についても、分譲マンションの引渡しに加え、オフィスの売却を計画しているため、売上高及び営業利益は当連結会計年度を上回る見通しである。国内の不動産開発事業においては、「鹿島グループ中期経営計画(2024~2026)-中核をさらに強化し、未来を開拓する-」の投資計画に基づき、レパートリー拡充、優良資産の積み上げによる収益源の多様化及び収益機会の拡大を目指している。これまでの投資の成果として、2025年3月期からの3年間における売却による回収額は、当連結会計年度までの3年間の実績を大きく上回る計画としている。
d 国内関係会社
(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業等)
当連結会計年度においては、開発系国内関係会社の保有するオフィスの売却が実現したことを主因に、売上高及び営業利益が前連結会計年度を上回った。
2025年3月期は、不動産開発物件の売却予定がないことから減収減益を予想しているが、建設事業等は堅調に推移し、安定的な業績を維持する見通しである。
e 海外関係会社
(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)
海外関係会社の売上高は、建設事業、開発事業等ともに増収となったものの、営業利益は前連結会計年度を下回った。建設事業では、東南アジアの一部の工事においてコロナ禍の影響が残ったものの、第3四半期連結会計期間以降、業績は回復基調となった。開発事業等は、各地域においてインフレや金利上昇などの影響を受ける事業環境となったが、米国流通倉庫開発事業において12件を売却し、東南アジアではホテル等運営事業の稼働率改善が進み、全体として底堅い業績を維持した。
2025年3月期については、各地域における施工中工事の順調な進捗と開発事業における物件売却により、売上高は1兆円を超える見通しである。利益面でも、東南アジアにおける業績回復や着実な開発物件の売却益計上により、増益を見込んでいる。
海外事業は当社グループの成長領域であり、中期経営計画(2024~2026)に定めた施策や投資を推進する。不動産開発事業では、事業展開地域の市場特性に合わせた投資を実施し、北米では、流通倉庫、賃貸集合住宅など、短期回転型事業を中心に推進している。東南アジアでは、長期保有型のホテルやオフィスなどの複合開発に加え、短期回転型の販売事業も強化しており、欧州においては、流通倉庫、学生寮、再生可能エネルギー発電施設など多様な事業ポートフォリオの構築を進めている。資産売却により回収した資金・利益を再投資するサイクルの確立が進んでおり、このサイクルを拡大することにより、更なる収益力の強化を図っていく。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは当連結会計年度において、建設コストが上昇した中でも、国内建設事業で着実な利益を確保するとともに、国内外の不動産開発事業における物件売却などによりキャッシュを創出した。これに加え、政策保有株式の売却や有利子負債の活用等によるキャッシュを原資として、投資計画に基づく国内外の不動産開発投資やR&D・デジタル投資、先端技術を保有するスタートアップ企業への出資など当社グループの着実な利益成長と経営基盤強化に繋がる投資を積極的に実施した。また、配当の引き上げとともに、機動的な株主還元として、市場からの100億円の自己株式取得を実施するなど、株主還元を拡充している。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ678億円増加し3,500億円となった。当連結会計年度は、着実な利益計上に加え、未成工事受入金及び開発事業等受入金などの増加による営業キャッシュ・フローの収入超過が、国内外の不動産開発事業に係る有形固定資産の増加などによる投資キャッシュ・フローの支出超過並びに配当金の支払いや自己株式取得による財務キャッシュ・フローの支出超過を上回り、現金及び現金同等物の残高が増加した。今後の建設事業における資金需要の予測は難しいものの、2025年3月期については、完成を迎える大型工事が少なく工事代金の回収が減少することに加え、協力会社等への支払先行に伴う一時的な資金負担の増加により、建設事業収支が悪化することを見込んでいる。ただし、現金及び現金同等物の残高は月商程度の水準を上回り、D/Eレシオも0.5倍程度と財務健全性を維持していることに加え、コミットメントラインを設定する等、安定的な資金運営に向けた多様な資金調達手段を備えていることから、資金面に懸念はないと考えている。
「鹿島グループ中期経営計画(2024~2026)-中核をさらに強化し、未来を開拓する-」の投資計画に基づき推進するR&D・デジタル投資やバリューチェーン拡充・新規事業創出等に向けた戦略的投資、国内外の不動産開発投資などの原資として、今後も国内外における建設事業の収益力を高め、キャッシュの創出に努めるとともに、開発事業資産の計画的な売却や政策保有株式の縮減を進めていく方針である。株主還元については、配当性向の目安を40%とするとともに、業績、財務状況及び経営環境を勘案した自己株式の取得など機動的な株主還元を行うことを基本方針とし、成長投資とのバランスを考慮した柔軟な資金配分を予定している。
また、投資計画の実施に伴う資金需要に対しては、投資効率の向上に向けて、金利動向を見極めながら弾力的に外部資金を活用していくため、2025年3月末の連結有利子負債残高は8,300億円に増加する見通しであるものの、拡大する開発事業資産などに対するリスク耐性を備えるため、D/Eレシオ0.7倍程度を目安として財務健全性を維持していく方針である。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されているが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されている。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものである。
当社グループは、当社において土木・建築・開発等の事業別に本部を置いて戦略を立案し、事業活動を展開するとともに、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業など多様な事業を展開する国内関係会社及び北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域において建設事業、開発事業等を展開する海外関係会社が当社と連携しつつ、幅広い多角的な事業を行っている。
したがって、当社グループは、当社の事業別並びに国内関係会社及び海外関係会社別のセグメントから構成されており、以下の5つを報告セグメントとしている。
2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
当社グループの報告セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」と同一である。報告セグメントの利益は営業利益であり、セグメント間の内部取引における価格は外部顧客との取引価格に準じている。
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1 セグメント利益の調整額196百万円は、セグメント間取引消去等によるものである。
2 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っている。
3 減価償却費には長期前払費用等の償却額が含まれている。
4 資産は、事業セグメントに配分していないため、記載していない。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1 セグメント利益の調整額119百万円は、セグメント間取引消去等によるものである。
2 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っている。
3 減価償却費には長期前払費用等の償却額が含まれている。
4 資産は、事業セグメントに配分していないため、記載していない。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(注)1 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類している。
2 北米の売上高は、全額が米国である。
(2) 有形固定資産
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はない。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(注)1 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類している。
2 北米の売上高は、全額が米国である。
(2) 有形固定資産
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はない。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
減損損失 336百万円
(注) 1 内訳は、事業用資産336百万円である。
2 減損損失は、事業セグメントに配分していない。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項なし。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当期償却額 645百万円
当期末残高 1,398百万円
(注) のれんは、事業セグメントに配分していない。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当期償却額 395百万円
当期末残高 1,119百万円
(注) のれんは、事業セグメントに配分していない。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項なし。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項なし。