リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、セグメント別に以下のとおりであります。
当社では、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に判断した上で行われる必要があると考えております。また、当該リスクを把握し管理する体制・枠組みとして、当社内にコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し対応しております。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ホ コンプライアンス・リスク管理委員会」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべての事業活動上又は投資判断上のリスクを網羅するものではありません。
1.当社の事業について
(1) 月極イノベーション事業
① 法的規制等について(顕在化の可能性:低、発生時期:長期、影響度:大)
当社の月極イノベーション事業は、「駐車場法」及び「建築基準法」等の関連法規制に従って事業を遂行するとともに、当社の事業が直接的に規制を受けていない分野においても、間接的に影響を受ける可能性のある環境下で経営を行っております。これらの分野において、将来における法律の変更、法律解釈の変更、政策の変更、実務慣行等の変更により、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、駐車場の設置に関する法令としては、都市における自動車の駐車のための施設に関し必要な事項を定めた「駐車場法」をはじめ、都道府県公安委員会による交通規制等を定めた「道路交通法」並びに自動車保有者に対して自動車の保管場所等を定めた「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」等があります。現在、当社が営む「アットパーキングクラウド」及び月極駐車場サブリースサービスの運営上、直接的な影響はありませんが、これらの法律が変更された場合、若しくは今後、都市部の自動車利用の制限につながるような法改正等がなされ、駐車場需要が減少した場合には、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、社内の管理体制を構築することによりこれら法令を遵守する体制を整備しております。また、顧問弁護士等とも連携し、最新の情報を収集しております。法的規制等への対応が必要となった場合には、事業部門の責任者、管理部門の法務担当、コンプライアンス・リスク管理委員会を中心に、適切な対応を取れる体制を整備しております。
② 競合優位性について(顕在化の可能性:中、発生時期:中期、影響度:大)
当社の月極イノベーション事業における「アットパーキングクラウド」は、月極駐車場管理業務をオンラインで提供する比較的新しい事業であります。当社としては、月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」による集客力や、駐車場の空き埋まりに関する情報をリアルタイムに収集可能といった競合優位性を有している一方で、競合他社が存在しており、今後も他業種大手企業から高度に専門化した新興企業に至るまで、様々な事業者が新規に参入する可能性があります。これらの競合他社や新規参入業者は、その資金力、技術開発力、営業力、知名度などにおいて、当社よりも優れている場合があり、その優位性を活用してサービス開発に取組んだ場合、競争が激化する可能性があります。そのため、既存事業における既存顧客との関係強化及び営業体制強化による新規顧客獲得、これまで培ってきたIT技術・知見・データを活かした顧客ニーズに合致した新たな高付加価値サービスの開発と事業領域の拡大により、競合企業に対する競争優位性を保持すべく努めておりますが、競争環境の大きな変化や激化等、競合の状況によって当社の競合優位性が失われた場合には、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、営業人員の拡充及び広告宣伝活動等の知名度向上施策の実行により顧客である管理会社の新規獲得のペースを速めし、「アットパーキング」のリニューアルや掲載台数の拡大により顧客である駐車場利用者の新規獲得に注力するとともに、当社に蓄積された月極駐車場のデータや満空情報、利用者及びその保有する自動車に関するデータを利用し、EV充電設備付駐車場や短期貸しといった月極駐車場内の未稼働区画の有効活用など、管理会社の収益改善、駐車場利用者の利便性向上につながる多様な高付加価値サービスを開発・提供することで競合優位性を保持できるよう努めてまいります。
③ 駐車場需給の急激な緩和について(顕在化の可能性:低、発生時期:長期、影響度:大)
ガソリン価格の急騰や若者の車離れ、MaaS(※)の発展による自家用車保有の減少等により、国内の自動車保有台数が急激に減少する等の外的要因により、駐車場需給が急激に緩和することとなった場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、そのような事業環境の変化も想定し、当社に蓄積された月極駐車場のデータや満空情報、利用者及びその保有する自動車に関するデータを利用し、EV充電設備付駐車場や短期貸しといった月極駐車場内の未稼働区画の有効活用など、新たな駐車場スペースの有効活用方法を継続的に検討し多様な高付加価値のサービスを開発・提供できるよう努めてまいります。
※ MaaS:Mobility as a Serviceの略で、従来の交通手段・サービスに自動運転やAI(人工知能)などの様々なテクノロジーを掛け合わせた次世代の移動サービスを意味します。
④ 安全性について(顕在化の可能性:低、発生時期:短期、影響度:小)
当社は、月極イノベーション事業において自社運営駐車場(サブリース)を展開しており、ここでは平置き駐車場だけではなく機械式駐車場も提供していることから、その安全性確保については、最優先課題として取組んでおります。しかしながら、当社が契約する機械式駐車場や付帯設備等において、利用者が適切な方法・手順により使用されない場合には車両の破損といった安全性に問題が生じる可能性があります。このような問題は、当社のブランド価値及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、機械式駐車場や付帯設備等に対し、監督官庁の法定点検を実施し、適用される規制を遵守し、要求される全ての安全性・品質基準を満たすよう努めるとともに、事前に駐車場利用者へ適切な使用方法・手順の説明を実施しております。
⑤ 訴訟等について(顕在化の可能性:低、発生時期:短期、影響度:小)
当社は法令及び契約等の遵守に努めており、現在、当社の経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来当社に対して訴訟が提起されその内容又は請求額等によっては、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、当事業に関わる新しい法令の施行や法令の改正が行われた場合にその影響を適時に把握し対応策を検討すべく法務担当を設け、また顧問弁護士からも適時に専門的な助言を受ける体制を整えることでリスクへの対応に努めてまいります。
⑥ 個人情報保護について(顕在化の可能性:低、発生時期:短期、影響度:大)
当社の月極イノベーション事業は、法人顧客及び個人の月極駐車場利用者との取引がメインとなりますが、顧客企業の担当者名や利用者個人の情報等の様々な個人情報を取得する機会があり、万が一、重要な個人情報の漏洩が発生した場合には、当社の社会的信用が失墜し、損害賠償費用の発生等当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社では「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、「個人情報保護規程」「顧客情報管理規程」「情報システム管理規程」等の関連規程の適切な整備・運用と従業員への教育により、個人情報の管理には万全を期しております。さらに、「プライバシーマーク」及びISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格「ISO/IEC27001:2013」と国内規格「JIS Q27001:2014」の認証を取得しており、情報セキュリティの強化に努めております。しかしながら、万が一、重要な個人情報が社外に流出すること等により、個人情報の保護が損なわれた場合には、直ちに経緯及び内容を公表し、被害拡散防止等の対策を講じるとともに、徹底した事実調査と原因究明を実施し、再発防止策を策定することにより、信用回復を図ることができるような管理体制を整備しております。
⑦ 駐車場利用者の滞納及び回収不能リスクについて(顕在化の可能性:大、発生時期:中期、影響度:大)
当社のAPクラウドサービスにおいては、当社が管理会社に対して滞納保証しており、仮に、駐車場利用料の遅延・滞納が起きた場合には、利用者に代わって当社が利用料の立替払いをいたします。これにより、当社は保証契約に基づく求償債権を取得することになり、当社の定めるルールに従い過度な督促にならないよう配慮し、債権回収を専門に行う部署が回収を担当しております。しかしながら、経済状況や雇用環境が著しく悪化し利用者の支払能力が低下した場合には、これらの債権を全額回収できるとは限らず、回収の長期化、回収不能債権の増加につながることで、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、このリスクに対して過去の未回収金の発生状況等を勘案した保証料率を設定し、保証契約に基づく求償債権に対して過去の滞納実績に基づき貸倒引当金を計上することで対処しております。また、駐車場利用料の遅延・滞納が発生する前の段階で、契約に基づく請求額が遅延・滞納となり未回収となる金額を過去の滞納実績に基づき保証履行引当金を計上することで対処しています。したがって、個別の滞納状況を適時に把握し社内ルールに基づく適切な回収努力により未回収実績を減らすことで貸倒引当金及び保証履行引当金の計上金額を抑えるよう努めております。しかしながら、実際の未回収件数が当社の想定した見積りを上回った場合、現時点の貸倒引当金及び保証履行引当金は不十分となる可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)ビルディングイノベーション事業
① 競合について(顕在化の可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)
当社の属する貸会議室業界は、参入障壁が高いとはいえないため大企業から各種団体や公共施設まで全国に多数の同業者が存在しております。当社では競合他社に比較して、出店エリアや価格面ではより有利な利用条件を求める顧客層向け会議室や、時間単位の面では休日を含め早朝から深夜まで利用可能な会議室の充実や、1時間単位での利用を可能にすることで、競合他社よりも幅の広い顧客層を取り込むとともに、貸会議室に付随する多様なサービスを展開し、差別化することで優位性を確保しております。しかしながら、これらの競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストの増加や、他社が参入することでさらに利用客数や利用単価が低下し利幅が縮小すること等により、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、顕在化した利用者のニーズに対応するとともに、潜在的なニーズを素早く察知しサービス内容を充実させることで、競争優位を保持できるよう努めてまいります。
② 貸会議室の物件の確保について(顕在化の可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)
当社の強みは、物件の所有権を取得しない持たざる経営による機動的な出店戦略にあります。このため事業の拡大に向けて、貸会議室を新規契約若しくは既存契約を延長し、さらなる会議室の貸出しを実施する必要がありますが、貸会議室の新規物件が当社の計画どおりに確保できない若しくは既存物件が計画どおりに延長できない場合、定期借家契約において賃料の値上げを通知された場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、新規物件を取得する場合は、不動産オーナーのニーズを的確に把握し、対応すべく契約獲得に向けて、必要な措置を講じております。加えて、既存契約の延長については、不動産オーナーによる再開発計画の進捗等を的確に把握し、延長交渉を行うことで対応してまいります。
③ 不動産オーナーへの敷金及び差入保証金について(顕在化の可能性:低、発生時期:中期、影響度:小)
当社が貸会議室を運営するにあたり、フロアの借り上げにより直営する場合、不動産オーナーに対して、当社が敷金及び保証金を差し入れます。この場合、契約終了に伴って、契約条項に基づき、敷金及び保証金の返還を受けることとなりますが、何らかの理由により、不動産オーナーから敷金及び保証金の返還を受けられず、回収できなくなる場合は、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、敷金及び保証金を差し入れている不動産オーナーへの信用調査を定期的に行うことで、回収できなくなるリスクを低減するよう努めております。
④ 顧客ニーズの変化への対応について(顕在化の可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
当社貸会議室の大口顧客企業における利用目的は、採用活動や新入社員研修を中心とした利用が比較的多い傾向にあると考えております。これは特に大手企業において、業績回復等を要因とした人材採用活動が積極化していることと一定の関連性があるものと当社は考えております。今後、景気後退等の理由により企業の採用活動や新入社員研修等が鈍化した場合や感染症の影響により採用方法が変化した場合、貸会議室の利用が減少し、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、会議や各種セミナー、研修・試験・検査会場、ファンミーティング会場などの様々な会議室需要を積極的に取り込み、顧客の貸会議室利用の多様化ニーズへの対応強化を図っております。
2.その他
(1) 自然災害、人災等について(顕在化の可能性:低、発生時期:長期、影響度:大)
当社が月極イノベーション事業において扱う月極駐車場は全国に分布しており、またビルディングイノベーション事業において扱う貸会議室の多くは首都圏に集積しております。したがって、全国、特に首都圏において、地震、暴風雨、洪水、ウイルス、その他の天災地変、事故、火災、戦争、暴動、テロその他の人災等が発生した場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 人材獲得と人材育成に関するリスクについて(顕在化の可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)
当社の事業には、顧客を始めとする様々なステークホルダーと良好な関係を構築することができる人材が不可欠でありますが、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合、長期的視点から、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、事業の継続的発展のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開し、また、目標管理制度に基づいた公平性・透明性・納得性のある評価・処遇制度の構築、自律型人材や当事者意識を強く持つ人材を育成するための各種教育制度の拡充、貸会議室運営のノウハウの伝承等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し社員の定着と育成に努めております。
(3) システムトラブルについて(顕在化の可能性:低、発生時期:短期、影響度:大)
当社は、情報システムの安全性には最善を尽くしておりますが、例えば、自然災害や事故、また、システムの欠陥、コンピュータウイルスの侵入、外部からの不正手段によるコンピュータ内へのアクセス等により、顧客へのサービス提供等に支障をきたす可能性があり、自然災害等を原因としシステム上なんらかのトラブルが発生した場合には、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこれらのリスクに対して、PCや顧客との接点となるポータルサイト、各種管理システムへのセキュリティ強化や稼働状況の監視、社内体制の整備等を実施することでリスクの軽減に努めております。
(4) 有利子負債への依存について(顕在化の可能性:低、発生時期:中期、影響度:小)
当社は、主要事業の運営資金を金融機関からの借入金及び社債の発行によって調達しております。当社は特定の金融機関に依存することなく借入金の調達を行っておりますが、金融情勢や経済情勢等により金利水準や金融環境等に変動があった場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、上場時の新株発行による資金調達により、有利子負債に過度に依存しない資本構成となるよう努めてまいります。さらに、資本コストの最小化の観点から、有利子負債と自己資本の割合が最適となるよう、上場後の資金調達についてはその方法を慎重に検討してまいります。
(5) 特定人物への依存について(顕在化の可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
当社の代表取締役会長である大竹弘は、2005年当時当社の代表取締役社長へ就任以来、当社の経営戦略の構築やその実行に際して、重要な経営方針を決定し、特にビルディングイノベーション事業推進において重要な役割を果たしてまいりました。また、当社の代表取締役社長である増田知平も、2007年当時当社の取締役へ就任以来、当社の経営戦略の構築やその実行に際して、特に月極イノベーション事業推進において重要な役割を果たしてまいりました。しかしながら、何らかの理由により当社における業務遂行が困難になった場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、当社の事業が順調に成長を遂げる中で、特定の人物に依存しない体制を構築すべく、人材の強化を図るとともに、権限委譲を積極的に推し進めており、さらに、任意の指名報酬委員会を設置し、サクセッションプランの策定により後継者の育成に努めてまいります。
(6) 配当政策について(顕在化の可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
当社の事業は、現時点では先行投資の段階にあり、事業展開のスピードを高め、規模の拡大に伴って必要な資金を確保する観点から、当面は利益配当を実施せず、内部留保に努め、事業拡大に必要な資金の確保を優先する方針であります。この方針のもと、当社は創業以来利益配当を実施しておりません。しかしながら、株主への利益還元についても重要な経営課題と認識しており、将来、経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益配当による株主還元を実施していく方針ではありますが、本書提出日現在において、配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であります。
(7) 調達資金の使途について(顕在化の可能性:低、発生時期:中期、影響度:小)
当社が計画している新規株式公開に伴う公募増資による調達資金については、新たなサービスの開発及び事業拡大のために必要なシステム投資や人材の採用費・人件費等の運転資金、貸会議室の新規開発に係る設備投資、事業拡大に伴う人員増に対応するための新オフィスに係る設備投資に充当する予定であります。しかしながら、今後の事業展開において事業計画の変更が必要となり、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があります。その場合は、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性があります。このリスクに対して、投資に対するリターンを最大化するための事業戦略及び事業計画を慎重に立案・実行し、また事業環境の変化に応じて適時かつ柔軟に戦略や施策の修正を行うことでリスクの低減に努めてまいります。
(8) 株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、発生時期:中期、影響度:小)
当社では、取締役、従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権を含めた株式報酬制度を活用していくことを検討しております。現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権等について権利行使が行われた場合には、既存の株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は184,400株であり、発行済株式総数(自己株式数控除後)の11.1%に相当しております。
(9) 税務上の繰越欠損金について (顕在化の可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
当社は、2020年12月期から2022年12月期にかけて、感染症の影響による売上高の減少と事業拡大のための積極的な投資等を行ってきたことから、当期純損失を計上し繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の控除には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画どおりに課税所得が発生しない場合、通常の税率に基づき税負担が増えることから当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があり、当社はこのリスクに対し、事業計画に基づく課税所得の予測を慎重に検討しリスクの低減に努めてまいります。
(10) 内部管理体制について(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)
当社は、今後の事業運営及び業容拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しておりますが、事業規模に応じた内部管理体制の整備に遅れが生じた場合は、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこのリスクに対し、今後、事業規模の拡大に合わせて、システムの導入及び人員の拡充により内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。
(11) 過年度業績等について(発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
当社は、2020年12月期から2022年12月期まで経常損失及び当期純損失を計上しておりますが、これは感染症の影響 による売上高の減少と事業拡大のための積極的な投資等を行ってきたことによるものであります。
当社では、「アットパーキングクラウド」の顧客である管理会社の管理業務の省力化及び収益性の向上、駐車場利用者の利便性の向上により顧客基盤の拡大に努めるとともに、引き続き営業人員の拡充等の将来投資を継続し黒字化に向けて事業を推進してまいりますが、想定通りに新規顧客の獲得が進まない場合や、新たな感染症拡大により貸会議室の需要が大幅に減少した場合には、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、市場や競合企業の動向を含む経営環境の変化を素早く察知し、売上高の先行指標となるKPIの計画と実績の差異が発生した場合にはその原因を分析することで必要に応じ適宜戦略・戦術を修正し、また、継続的にコスト構造の見直しと業務の効率化を進めることで経営環境の変化に対応してまいります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の最重要課題の一つであると認識し、企業価値の継続的な拡大を図ってまいります。今後の株主の皆様への利益還元にあたりましては、経営成績及び財政状態を総合的に勘案し、財務体質の強化、事業拡大のための投資等にも十分留意しながら、安定的且つ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期については未定であります。なお、内部留保金につきましては、今後の変化の激しい経営環境の下で絶え間ない事業拡大を図ることを目的とし、中長期的な事業原資として利用してまいります。
当社は、剰余金の配当につき年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっておりますが、上場後の期末配当、中間配当の年2回配当についても視野に入れ、会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度においては、事業拡大に資金が必要であったため、無配といたしました。