リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) マクロ経済環境変化によるリスク
当社の主要な受注先は、オフィスビル・マンション等の開発事業者(デベロッパー)、大手建設会社(ゼネコン)、建物等の所有者(エンドユーザー)等に加えて、近年、再開発プロジェクトにも注力しており、受注先の業種・業態の多様化により、マクロ経済環境の変動に対して弾力的に対応できる態勢を構築しております。しかしながら、地政学的リスクを含むマクロ経済環境の想定外の変動に伴う民間建設需要の大幅な減退や、資材及び人件費の高騰に伴うコストの大幅な上昇があった場合、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 信用リスクについて
当社は、与信管理規程に基づき、取引先の信用力や支払い条件等の審査を厳格に実施して与信リスクの最小化を図っております。しかしながら、想定外の景気後退局面において取引先の信用不安等が顕在化した場合、貸倒損失が発生し、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 契約不適合工事リスクについて
当社は、施主との契約に適合した施工を完遂させるため、ISO9001(品質マネジメントシステム)及び当社の施工規定に沿った施工管理を実施しております。また、過去事例を参照するITツールを施工現場で活用し、施工における不適合の発生を未然に防いでおります。更に、不適合が発生するリスクの高い工事については、事前に本部技術者も含めて打ち合わせを行い、施工計画を作成し、これに沿った施工管理をしております。しかしながら、想定外の事態が発生し、結果的に契約不適合工事となった場合、契約解除、損害賠償、追完請求、減額請求等により、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制について
当社は、建設業法に基づき、国土交通大臣の特定建設業許可及び一般建設業許可を受けております。当社は当該許可要件の維持及び各法令を遵守しており、これらの免許取消事由に該当する事実はありませんが、万一法令違反等により当該許可の取消等、不測の事態が発生した場合は、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、解体事業では建設業法のほか、関連法規として建設リサイクル法、廃棄物処理法、労働安全衛生法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、資源有効利用促進法等の様々な法規制を受けております。
当社はコンプライアンスの重要性を強く認識し、既存法規制等の規制はもとより、新たな法的規制が生じた場合も適切な対応をとる体制を構築しております。しかしながら、何らかの事由によりこれらの法規制に抵触する等の事態が発生した場合、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 労働災害について
当社の解体工事現場では、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)の認証を取得し、国際基準に則った安全管理体制を構築しております。具体的には社内に安全衛生委員会を設置していることに加えて、計画的に安全教育を実施しており、更に、経営幹部及び安全環境管理部による安全パトロールの実施等、事故災害を防止するための安全管理を徹底しております。
しかしながら、何らかの事由により重大な労働災害が発生した場合は、当社の労働安全衛生管理体制に対しての信用が損なわれ、受注活動等に制約を受ける等、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人財の確保について
建設事業では、優秀な資格者と施工実績の良好な評価が、事業を継続的に拡大するための要件となっております。また、現場では主任技術者の配置が必須であり、今後の業容拡大のためには、優秀な人財の採用及び育成が重要な経営課題と認識しております。当社では、2017年4月より新人事制度の導入を行い、職能・役割等級制の導入、新人事評価制度の導入等を行いました。また、全社的に完全週休二日制に移行し、長期休暇制度を新たに制定する等、働き方改革を推進するとともに、2023年5月には新本社に移転することで就労環境を刷新し、オープンで働きやすい環境づくりに注力してまいりました。
また、有資格者の資格手当・技術手当の充実、資格取得費の会社負担の実施等、資格取得促進に注力するとともに、新たな有資格者の採用にも注力しております。しかしながら、今後、必要な人財を継続的に確保できなかった場合、施工能力に問題が発生する等、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 協力会社の確保について
当社は、工事の施工管理を行っており、実際の作業を担う優秀な協力会社の確保・育成・新規採用が不可欠であります。現状、長年取引を行っている協力会社を中心に新規業者による補完体制の拡充に努めることにより、受注工事に対応できる十分な施工能力を有しております。しかしながら、業容拡大に伴い地方現場が増加することで、協力会社の確保が困難になった場合や、施工能力に想定外の問題が発生した場合、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 自然災害について
地震、台風等の大規模自然災害が発生した場合は、工事現場の復旧等に多額の費用が発生する可能性があります。当社ではこのような自然災害に対しては、「悪天候時における作業中止等の基準」及び「台風等異常気象対策マニュアル」等で安全対策に万全を期しております。しかしながら、甚大な自然災害が発生した場合は、工事の進捗遅延及び復旧費用が発生し、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 近隣トラブルについて
当社が行う建築構造物の解体工事では、工事の施工中に、近隣住民等からの騒音・振動・粉塵等に対する苦情が発生することがあります。当社では解体工事を開始するに際して、近隣住民への明確で丁寧な説明を行うとともに、工事施工中に近隣からの何らかの要望があった場合、これに丁寧に対応し、ご理解を頂きながら工事を進めております。しかしながら、何らかの事由によりトラブルに発展し、それが訴訟等に至った場合は、損害賠償請求・工事中断等により、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 不採算工事の発生
当社は、2021年度から適用された「収益認識に関する会計基準」により、売上高及び利益を計上しております。基本的には、従来の工事進行基準の対象工事を拡大して適用するものです。当社では、工事進捗度の算定にインプット法を採用しており、見積総原価に対する発生原価の割合をもって完成工事高を計上しております。
当社は、工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工期の見直しを実施する等、適切な原価管理に取り組んでおります。しかしながら、大型工事において想定外の事由により、当初見積った原価が、結果的に大幅に超過した場合は、不採算工事となり、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 感染症の蔓延
当社は、建築構造物の解体を主要な業務としており、解体工事は屋外で重機を主体とした工事が多く、工事に係る作業員の数も限られております。このような特性から解体工事の施工現場においては、密集・密接・密閉を回避し、感染を予防することは可能と考えております。当社では、感染リスク低減のため、必要に応じて検温の実施、マスクの着用、事務所の換気の励行、リモートによる会議の開催等の対策を講じており、現在までのところ、新型コロナウイルスによる業績への影響は特段ありません。
しかしながら、今後、新たな感染症が出現し、当社の社員や現場作業者が罹患した場合においては、工事中断による工期遅延や、感染症の蔓延に伴う経済活動の停滞により、当社の主要受注先企業の事業縮退や工事延期により、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、上記の様々なリスクに関してリスク評価表を別途作成し、発生の可能性(頻度)・影響の重大性(損失の規模)により、下記に示す“リスクマップ”を作成し、全社及び各部署でリスク情報を共有しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、継続的な成長と株主の皆様への利益還元を経営の最重要目標として位置づけており、継続的な成長のための財務体質の強化と株主の皆様への継続的かつ安定的な利益還元とのバランスを勘案しつつ、株主の皆様への利益還元を充実していくことを基本方針としております。
当社は2018年8月27日開催の臨時株主総会で、機動的な資本政策の遂行を可能とするため、会社法第459条第1項の定めに関する事項に関して、取締役会決議で定めることができる旨を定款に定めております。また、配当は年1回の期末配当を基準としておりますが、配当の基準日に関しては、期末配当は3月31日、中間配当は9月30日とする旨を定款に定め、利益水準に応じた配当の弾力的な運用が行えるようにいたしました。
内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。
以上の方針に基づき、第43期事業年度の剰余金の配当につきましては、当期純利益が当初計画を上回ったことから、当初予想の1株当たり73円の普通配当に7円増額し、1株当たり80円の期末配当とさせていただきました。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
今後につきましても、将来の事業展開や経営成績及び財政状態等を勘案しつつ、継続的な配当を実施していく方針であります。