2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 10,676 100.0 1,608 100.0 15.1

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、建築構造物の解体工事及びそれに付随する各種工事の施工管理を行っております。長年にわたる建築構造物の解体工事を通じて得られた経験と、その間に蓄積したノウハウやアイデアを基に、現況調査、工法の提案、設計、施工計画、外注・資機材手配、施工管理、安全管理、原価管理、資金管理、行政対応、近隣対応等の業務全般を提供しております。また、建物構造物解体工事に関連する土木工事、山留工事、基礎解体工事、杭抜き工事等の施工管理も行っております。その他、工事に伴い発生する、アスベスト、PCB((注)1)、ダイオキシン等の有害汚染物質の除去、地下水の浄化、土壌改良等に関しましても、豊富な経験を有しており、関連法令・法規を遵守した、コスト・工期・安全性に優れた、様々な解体工事をワンストップで提案・提供しております。当社は工事の施工管理、安全管理、近隣対応等を行い、協力会社を指導、監督して解体工事等の施工を行っております。

なお、当社の事業セグメントは、「解体事業」の単一セグメントであります。

 

(注)1.PCB(Poly Chlorinated Biphenyl):ポリ塩化ビフェニルの略称で、旧式の電気機器に絶縁油等として使用された毒性の高い化学物質

 

なお、当社の主要な事業系統図は次のとおりであります。

 

(事業系統図)

 


業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益等を背景に緩やかな回復基調が継続しました。しかしながら、ウクライナ情勢に加え、中東情勢の緊迫化、原油高・円安の進行を主因としたエネルギー・資材等の価格上昇の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社が属する建設業界におきましては、建築受注が回復傾向にあるものの、建築資材価格の上昇や建設技能労働者の需給の逼迫により、コスト面で不安の残る状況にあります。一方、解体工事におきましては、高度経済成長時代に建築され、老朽化した建物の増加、市街地再開発、マンション建替えの活発化等を背景に、引き続き堅調な受注環境が続いております。

 このような中、当社は、更なる飛躍を展望した長期ビジョン「TANAKEN “Vision NEXT 10”」にて10年後のあるべき姿を明確にしました。そしてその実現に向け、中期経営計画「TANAKEN “Vision NEXT 10” Primary Phase (2023年~2025年度)」を策定しました。Primary Phaseは、成長軌道を維持しながら更なる飛躍を遂げるための「基盤構築の3ヵ年計画」であり、「持たざる経営」の競争力の源泉である人財、技術、アライアンスの強化を進めております。

 堅調な受注環境を背景に受注残高は潤沢なものの、大型案件の着工が前事業年度比において減少したことに加えて、人手不足、資材価格の上昇、それに伴う開発プロジェクト全体の遅れの影響等により減収となりましたが、大型工事の増加に伴い生産性が向上したため増益の結果となりました。

 

 以上により、当事業年度の経営成績は、売上高は10,676,415千円(前事業年度比5.1%減)、営業利益は1,608,193千円(同3.0%増)、経常利益は1,640,213千円(同2.5%増)、当期純利益は1,090,232千円(同0.3%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況 

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて1,045,861千円増加し、7,735,175千円になりました。主な要因は、完成工事未収入金の増加671,408千円、電子記録債権の増加325,916千円及び現金及び預金の増加118,858千円が生じた一方で、受取手形の減少43,613千円及びその他の減少31,394千円が生じたこと等によるものです。
 

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べて55,641千円増加し、1,384,211千円になりました。主な要因は、建物の増加53,981千円、器具備品の増加31,029千円、投資有価証券の増加21,116千円及び繰延税金資産の増加14,066千円が生じた一方で、建設仮勘定の減少29,000千円、投資その他の資産のその他の減少15,458千円及び土地の減少12,090千円が生じたこと等によるものです。
 

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて309,389千円増加し、2,032,122千円になりました。主な要因は、工事未払金の増加314,213千円、賞与引当金の増加38,388千円、未払法人税等の増加33,313千円、未払費用の増加17,988千円及び工事損失引当金の増加15,379千円が生じた一方で、その他の減少47,304千円、未成工事受入金の減少32,194千円、未払消費税等の減少25,641千円が生じたこと等によるものです。
 

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べて19,073千円増加し、97,093千円になりました。主な要因は、役員退職慰労引当金の増加12,138千円及び退職給付引当金の増加6,934千円が生じたことによるものです。

 

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて773,040千円増加し、6,990,170千円になりました。主な要因は、利益剰余金の増加742,276千円並びにその他有価証券評価差額金の増加30,764千円が生じたことによるものです。なお、利益剰余金の増加742,276千円は、当期純利益の計上による増加1,090,232千円並びに配当金の支払による減少347,956千円によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前事業年度末に比べ118,855千円増加し、2,220,620千円(前事業年度は2,101,764千円)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動による資金の増減は、510,813千円増加(前年同期は222,200千円減少)となりました。主な要因は、 税引前当期純利益の計上による増加1,648,516千円、仕入債務の増加314,213千円、非資金項目の減価償却費52,648千円の計上及び賞与引当金の増加38,388千円が生じた一方で、売上債権の増加953,710千円、法人税等の支払による減少553,634千円、未成工事受入金の減少32,194千円及び未払消費税等の減少25,641千円が生じたこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動による資金の増減は、43,936千円減少(前年同期は154,207千円減少)となりました。主な要因は、定期預金の預入による支出231,128千円及び有形固定資産の取得による支出105,133千円が生じた一方で、定期預金の払戻による収入231,125千円、投資有価証券の売却による収入37,527千円及び有形固定資産の売却による収入27,004千円が生じたことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動による資金の増減は、348,021千円減少(前年同期は317,363千円減少)となりました。短期借入金の返済による支出820,000千円及び配当金の支払い348,021千円が生じた一方で、短期借入れによる収入820,000千円が生じたことによるものです。 

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

② 受注実績
当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

項 目

金額
(千円)

前期比
(%)

前期繰越工事高

5,381,279

118.4

当期受注工事高

12,364,590

102.3

当期完成工事高

10,676,415

94.9

次期繰越工事高

7,069,455

131.4

 

 

 

③ 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比

(%)

解体事業

10,676,415

94.9

合計

10,676,415

94.9

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高
(千円)

割合(%)

販売高
(千円)

割合(%)

三田小山西地区市街地

再開発組合

63,645

0.6

1,974,062

18.5

株式会社

長谷工コーポレーション

1,382,905

12.3

1,868,366

17.5

 

 

  顧客区分別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

顧客区分別

前事業年度

当事業年度

販売高
(千円)

割合(%)

販売高
(千円)

割合(%)

デベロッパー

3,490,050

31.0

1,185,402

11.1

ゼネコン

2,086,531

18.6

2,158,715

20.2

エンドユーザー

4,182,312

37.2

3,875,295

36.3

再開発

1,485,402

13.2

3,457,001

32.4

その他

1,760

0.0

合計

11,246,057

100.0

10,676,415

100.0

 

(注) 当社が受注した案件について、顧客区分別に集計しております。

(1) デベロッパー  : マンション・オフィスビル等を開発する不動産会社

(2) ゼネコン    : 総合建設業会社

(3) エンドユーザー : 上記(1)及び(2)を除く一般法人等

(4) 再開発     : 再開発組合・団地再生組合等(デベロッパー、ゼネコン経由の販売を含む)

(5) その他     : 上記(1)から(4)までに当てはまらないもの

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に関しては「第2 事業の状況」「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

(6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 経営成績

(受注高及び売上高)
 受注高は、毎期実施している営業力強化策によって、地方案件を含めた好調な新規受注の増加並びに大型工事の受注を主因に、前期比282,080千円増2.3%増)の12,364,590千円と増加し、過去最高の受注高となりました。

 

 売上高は、堅調な受注環境を背景に受注残高は潤沢なものの、大型案件の着工が前期比において減少したことに加えて、開発プロジェクト全体の遅れの影響等により減少し、前期比569,642千円減5.1%減)の10,676,415千円と減収の結果となりました。

 当期においても、営業力強化は重要な施策であり、再開発等への営業強化、地方案件への対応強化及び新規営業先の開拓を重点項目として、営業力の強化を図ってまいりました。

 

(売上総利益)
 売上総利益は、大型工事の増加に伴う生産性の向上により売上原価が減少し、前期比169,717千円増7.3%増)の2,502,288千円と増益の結果となりました。

 

(営業利益・経常利益)
 営業利益は、売上総利益の増加に加えて、本社移転による地代家賃の増加を要因とした販売費及び一般管理費の増加もあったことから、前期比47,277千円増3.0%増)の1,608,193千円となりました。
 経常利益は、営業利益の増加に伴い、前期比39,819千円増2.5%増)の1,640,213千円となりました。

 

(当期純利益)
 当期純利益は、経常利益の増加に伴い、前期比3,463千円増0.3%増)の1,090,232千円となりました。

 

b 財政状態及びキャッシュ・フロー

 財政状態及びキャッシュ・フローの分析に関しては、「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 財政状態の状況及び(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

c 資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要の主なものは、工事原価、販売費及び一般管理費等の営業経費、法人税等の支払いであります。当社の事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 当社の営業戦略であり、また、ビジネスモデルでもある元請工事の維持・拡大には、大きな資金需要が伴います。これは回収条件と支払い条件の差から生じる運転資金(立替資金)需要であり、大型工事ほど資金需要が多く発生するため、積極的に受注営業を展開する上で流動性の確保が必須となっております。

 当社では、豊富な手元流動資金により対応しておりますが、大型案件の増加に対応すべく金融機関に信用枠を設けており、必要に応じて信用枠を利用しております。2024年3月31日現在の信用枠の合計は2,700,000千円となっております。

 

 上記運転資金以外の資金需要としては、現状システム投資と株主への利益還元が主なものとなります。当社ではリスクのある運用は原則行わないこととしており、運用は短期的な預金に限定しております。

 株主還元については経営における重要課題の一つと考えており、配当性向30%以上を目標としております。当社の配当政策に関しては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認下さい。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況」「1 財務諸表等」「(1) 財務諸表」「注記事項 重要な会計方針及び重要な会計上の見積り」に記載しております。