リスク
3 【事業等のリスク】
当社及び連結子会社の財政状態及び経営成績に関する事項のうち、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクを以下に記載しています。また、当社及び連結子会社として、これらのリスク要因への対策が講じられている事項についても、積極的な情報開示の観点から記載しています。文中の将来に関する事項は、現在において当社が判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。当社及び連結子会社は、リスクを認識して事業活動を行っており、リスクの最小化及び発生した場合の損失最小化に努めていますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本資料中の他の記載事項もあわせて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えています。
<事業環境>
①景気変動
当社及び連結子会社は、製造業や建設・建築現場を含む幅広いモノづくり現場で必要とされる工具、作業用品、作業用消耗品、機器類などの“PRO TOOL”[間接資材]や約9.1万アイテムに及ぶプライベート・ブランド商品“TRUSCO”を自社開発商品として取り扱う卸売業として、モノづくり現場のお役に立つことを主たる事業としています。モノづくり現場で必要とされる少量多品種の商品ニーズにお応えするために、必要な設備投資を継続し、お客様の利便性向上に努めていますが、製造業を中心とした経済動向に予想外の変動があった場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②市場環境の変化
当社及び連結子会社は、モノづくり現場で必要とされる少量多品種の商品ニーズにお応えするべく、物流センター28か所で、約59万アイテムの在庫を保有し、即納を可能とする卸売に徹した事業を主としています。また、約410万アイテムに及ぶ商品データと仕入先様3,509社との連携に加え、得意先様の口座数は33,225口座、法人数は5,632社と、幅広い販売チャネルを有しています。さらに、オリジナル総合カタログ「トラスコ オレンジブック」及び工場・作業現場のプロツール総合サイト「トラスコ オレンジブック.Com」を媒体に市場のニーズに応え、商品をお客様へ販売することが主要な事業です。今後、国内外の製造業の事業活動において、予期せぬ産業構造の変化、操業休止、減産、または、取引先様の経営状況の変化などにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③競合・優位性低下
当社及び連結子会社は、「持つ経営」を軸として、豊富な在庫商品、取扱アイテムを拡充するとともに、全国にある物流センター28か所及び29か所の在庫保有支店による即納体制の強化を中心に、市場での優位性を高めています。しかしながら、予期せぬスピードで競合他社が資本を投入し、機能の高い物流サービスを提供し、当社及び連結子会社の事業の優位性が低下した場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④製造業の構造変化
製造業や建設・建築現場を含む幅広いモノづくり現場において、電気自動車の普及などにより市場の需要が大きく変化することで、既存の商材やサプライチェーンの見直しが迫られるような根本的な産業構造の変化が起きた場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<事業運営>
①人材育成
当社及び連結子会社は、あらゆる分野において、独創的な発想で活躍できる人材を育てるため、部門を超えたジョブローテーションの実施と多様なコース選択や各種チャレンジ制度をハイブリッドに導入し、個人の能力を最大限に引き出しながら、長く安心して働ける環境を作っています。有能な人材の確保及び育成を重要視しており、各年代においてそれぞれの研修を行い、「自覚に勝る教育なし」という能動的な姿勢を育む環境を構築しています。また、新卒採用を継続することで、長期的な人材育成に努めています。しかしながら、突発的な景気の変動などにより、採用数を抑えなければならない状況、少子高齢化、労働人口の減少等により人材の確保及び育成が計画通り進まなかった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②債権管理
当社及び連結子会社は、社内管理規程等に基づき徹底した与信管理を行い、貸倒リスクの軽減に努めています。しかしながら、取引先様の経営状況が想定外の諸事情により悪化し、債務不履行等が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③品質管理・製造物責任法
当社及び連結子会社は、プライベート・ブランド商品“TRUSCO”を自社開発商品として、国内外問わず幅広い仕入先様とOEM(Original Equipment Manufacturing)による委託生産を行っています。これらの自社開発商品は、PB品質保証課を中心に徹底した品質管理を行っています。しかしながら、大規模なリコールや損害賠償責任を負うような商品の欠陥が発生した場合、プライベート・ブランド商品の安心・安全が損なわれることで、大きな信用失墜につながり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④デジタル・情報セキュリティ
当社及び連結子会社は、事業全般において、高度なデジタル技術を活用しており、予期せぬシステムダウンやプログラムエラー、サイバー攻撃による障害が生じ、かつその復旧に想定以上の時間を要した場合、大きな機会損失につながります。さらに、システムの連携業務の停止や使用不能による事業への悪影響だけでなく、個人や取引先様情報の漏洩等が発生した場合にも、大きな信用失墜につながり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤在庫管理
当社及び連結子会社は、豊富な在庫を成長のエネルギーと捉え、一般的に重要視される在庫回転率ではなく、「在庫出荷率」(ご注文のうちどれだけ在庫から出荷できたか)を重要指標とし、即納体制を強化しています。売れているから在庫を保有するのではなく、「在庫はあると売れる」という信念のもと、独創的な発想でお客様が必要とする在庫商品の拡充を進めています。令和5年12月期連結貸借対照表においては、棚卸資産は508億48百万円を計上しており、総資産に対する比率は20.8%となります。今後もより効果的に在庫を充実させることで即納体制を強化しますが、想定外の販売不振が続いた場合には、棚卸資産の評価減等が発生し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥顧客情報
当社及び連結子会社は、多くの顧客情報を扱っています。万一情報の漏洩等が発生した場合、大きな信用失墜につながり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<その他>
①法規制・コンプライアンス
当社及び連結子会社は、社員一人ひとりが高い倫理観を持てるようコンプライアンスの指針として「取捨“善”択」を掲げ、損得勘定ではなく、善悪を基準に判断するという企業姿勢を浸透させています。また、コンプライアンス手引書「トラスコ善択ブック」の配布や、社内外の通報窓口「善択ホットライン」を設置することで、コンプライアンス上の問題を早期に発見し、対処しています。しかしながら、事業活動に関連する様々な法令・規制等の制定や変更など、予期しない法令の適用などが財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②固定資産の減損
当社及び連結子会社は、「持つ経営」を念頭に、建物や土地、車両に至るまで自社保有を進めています。令和5年12月期連結貸借対照表において、有形固定資産を中心として固定資産の総額は1,128億70百万円を計上しており、総資産に対する比率は46.1%となります。今後、経済環境の変化などにより保有固定資産の経済価値や収益性の著しい低下が発生した場合には、適正な減損処理を実施することとなり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③自然災害・感染症
当社及び連結子会社は、「如何なる時においても商品を供給する」という方針のもと、地震や水害などの自然災害に備えるため、免震構造の物流センターや社屋を構え、災害備蓄品の在庫を6か月分以上保有しています。また、全国の物流センター28か所及び29か所の在庫保有支店を分散配置することで、復旧・復興支援物資の安定供給を目指しています。さらに、事業活動の継続のために、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの作成、防災訓練、新型ウイルス感染症等の対策を講じています。しかしながら、予期せぬ事態が発生し、電力や公共機関などのインフラ機能の停止、感染症の拡大、各事業所の損壊等により、事業活動が継続できなくなった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④資金調達
当社及び連結子会社は、令和5年12月期連結貸借対照表において、自己資本比率65.6%であり、総資産に占める借入依存度は低いものの、今後の金利動向や業績の悪化に伴い返済能力の著しい低下や、更なる資金調達が困難になった場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤気候変動
当社及び連結子会社は、「やさしさ、未来へ」基本方針のもと、幅広い事業活動における環境面に関して、適用可能な法律、条令ならびに協定など、同意するその他の事項の要求事項を順守しています。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づき、気候変動が当社に与えるリスクや機会を分析し開示しています。しかしながら、地球温暖化などの世界的な気候変動の動向により、温室効果ガスの排出量削減を目的とした法的な規制強化やサプライチェーンの規制等により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥海外事業
当社及び連結子会社は、自社ホームページや各種SNSなどを通じて社外に対して情報発信を行っています。予期せぬ、根拠のない風評被害やそれに伴う誹謗中傷が拡散されることにより、企業イメージが著しく低下した場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦レピュテーションリスク
当社及び連結子会社は、自社ホームページや各種SNSなどを通じて社外に対して情報発信を行っています。予期せぬ、根拠のない風評被害やそれに伴う誹謗中傷が拡散されることにより、企業イメージが著しく低下した場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧環境・人権
当社及び連結子会社の事業活動とそのサプライチェーンは国内外問わず多岐に亘っています。その中で、環境問題や人権などにかかわる問題が発生し、事業活動の停止、損害賠償などの負担、既存のサプライチェーンの見直しなどを余儀なくされた場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
1 剰余金の配当についての基本方針
当社は、日本のモノづくりのお役に立つことを目的とした事業活動や設備投資を行い、持続的な成長を果たすことにより、その成果を最大限株主様に還元できると考えています。利益配分につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益を基礎とし、安定配当としての下限を設けた上で、一定の基準を超えた利益が計上された場合、連結配当性向を25%として業績に連動した配当を行うことを基本方針としています。なお、事業活動に直接の関わりのない不動産や株式の売却、及びその他の特殊要因(特別損益)により親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する事業年度については、その影響額を除外し、配当額を決定します。なお、今後、決定した1株当たり年間配当金が前事業年度の1株当たり年間配当金を下回る場合、親会社株主に帰属する当期純利益に、該当期の減価償却費の一部(減価償却費×最大10%)をトラスコ善択配当として加算し、連結配当性向を25%として配当を行います。
剰余金の配当の決定に関しましては、迅速な配当金のお支払を目的に取締役会決議で行うことを定款第39条に定めています。
(配当金計算基準)
(注)1. ( )内は第2四半期累計期間の計算基準です。
2. 配当金の計算上の銭単位端数については50銭刻みで繰上げます。1銭~49銭→50銭 51銭~99銭→1円
3. 事業活動に直接の関わりのない特殊要因により親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する事業
年度については、その影響額を除外し、配当額を決定します。
4. 決定した1株当たり年間配当金が前事業年度の1株当たり年間配当金を下回る場合、親会社株主に帰属す
る当期純利益に、該当期の減価償却費の一部(減価償却費×最大10%)を加算し、連結配当性向を25%と
して配当を行います。
2 当事業年度及び次事業年度の剰余金の配当について
令和5年12月31日時点の期末発行済株式に対する当連結会計年度の配当金は、この基本方針に基づき、1株当たり当期純利益は186円05銭となりますが、事業活動に直接の関わりのない特殊要因を考慮し算定した184円45銭を1株当たり当期純利益とみなすため、上記配当金計算基準により、当連結会計年度の配当金は46円50銭となります。中間配当金23円00銭を既に実施していますので、期末配当金は23円50銭と決定し、3月5日を支払開始日としました。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、次のとおりです。
なお、次連結会計年度については、親会社株主に帰属する当期純利益を147億40百万円と予想していますので、1株当たり当期純利益は223円53銭となりますが、大阪本社移転に伴う固定資産の譲渡による特別利益を除外し算定した195円11銭を1株当たり当期純利益とみなすため、上記配当金計算基準により、配当金につきましては年間49円00銭を予定しています。
今後も株主の皆様のご期待に沿うよう業績向上に努めていきます。