リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
リスク管理体制につきましては、事業所である各校舎及び管理部門等に係るリスクに関して、それぞれの対応部署にて、必要に応じて研修・指導の実施、マニュアルの作成・配布等を行う体制としております。また、グループ全体のリスクについて定期的に検討するために、リスク管理委員会が経営会議内に設置されております。新たに生じたリスクへの対応が必要な場合は、代表執行役より全社に示達するとともに、速やかに対応責任者となる執行役を中心に対策を定めることとしております。また、リスクが現実化し、重大な損害の発生が予測される場合には、執行役は速やかに取締役会に報告することとしております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 学齢人口の減少問題
学齢人口の減少は、中学、高校、大学の各段階における受験(受検)人口の減少に影響を与えるため、大きなリスクと認識しております。このような状況下においては、質の高い親身な指導と、あらゆる教育ニーズに対応できる態勢が求められます。当社グループでは、こうしたリスクを予見し、様々な教育ニーズに応えるべく進学塾ブランド(ena[集団授業]、ena個別[個別指導]、ena最高水準[最難関中高受験指導]、enaオンラインclass[オンライン授業専門]、家庭教師Camp[オンライン家庭教師]、個別教師Camp[オンライン個別指導]等)を確立し対応しております。また、教育事業のその他のブランドとして、ena看護[医療系受験指導]、ena美術[芸大・美大受験指導]の運営を行っております。
(2) 参入障壁の低い業界
学習塾業界の特徴としまして、参入障壁が低いことが挙げられます。これは、進学塾の新規開業・開校と閉校・撤退・廃業、業界内での合併・統合等が頻繁に繰り返されている現状からも伺い知ることができます。それと同時に、講師の移籍・引抜や教材作成のノウハウの模倣といった幾つかのリスクに晒されていることは、業界の特異な性質であると認識しております。当該リスクを完全に回避できる保証はありませんが、学習塾(教育サービス)の本質である「授業の質」と「合格実績」を徹底的に追求し、生徒・保護者様を始めとする地域社会の信頼と信用を築くこと、それにより生徒数と校舎数を増加させ、リスク吸収に足る磐石な事業基盤を築くことが重要と考えております。
また、多くの競合先がある中で、当社グループは都立中高一貫校入試対策や都立難関高校入試対策の強化により差別化を図り生徒数の増加に努めておりますが、合格実績が競合先より相対的に低下した場合や対象校の志望者数が減少した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 業績の四半期ごとの季節的変動
当社グループの主要事業である教育事業では、新学期がスタートして間もない第1四半期は生徒数が最も少なく、受験期を迎える第3四半期で生徒数が最も増加する傾向にあります。また、春期、夏期、冬期の季節講習が実施される時期に売上高が増大します。一方、校舎運営費用(人件費、家賃等)は通期で継続して発生します。また、新年度の生徒募集に対する広告宣伝費用は第4四半期に多く発生します。このため、第2・3四半期と比較して、第1・4四半期の収益性が低くなる傾向にあります。
(4) 人材の確保と育成
当社グループでは、質の高い授業を提供しながら、かつ、経営計画に基づき新規校舎の出校を進めているため、社員・時間講師等の人材の確保とその育成が企業の成長拡大にとって極めて重要な要素となっております。現状におきましては、計画的な採用活動と徹底した研修等を行っておりますが、今後、採用環境の急激な変化により必要な人材が十分に確保できない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 海外事業展開によるリスク
当社グループは、日本国内のみならず、北米、欧州において事業を展開しております。連結売上高に占める海外売上比率は低いものの、進出先地域での経済環境、為替変動、自然災害、戦争、テロ等の不可抗力により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 個人情報の管理に関するリスク
当社グループでは、多数の生徒に関する情報を有しております。そのため、情報セキュリティ基本方針を定めるとともに社内規程の整備及び役職員への啓蒙等により、情報漏洩の未然防止を徹底しております。しかしながら、万一、何らかの原因により個人情報が外部に流出した場合は、信用の低下により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 災害・感染症の発生に関するリスク
当社グループが校舎展開している地域において、大規模な地震等の災害や感染症が発生した場合は、当社グループの一部または全部の業務遂行が困難となる可能性があります。当社グループでは、災害や感染症の発生に備えた体制整備に努めておりますが、新型コロナウイルス感染症のような想定を大きく上回る規模で災害や感染症が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 教育制度等の変更に関するリスク
入試制度の変更や学習指導要領の改訂等、行政機関による教育制度等の変更が度々行われております。当社グループでは、これらの制度変更に対応して入試対策及び学習指導を行っております。しかしながら、これらの制度変更に早期に対応できなかった場合は、生徒数の減少を招き、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 事業拠点の集中に関するリスク
当社グループが運営する校舎は関東圏、とりわけ東京都に集中しております。今後も東京都を中心に建物を賃借して校舎展開をしていく方針ですが、適切な物件を適切な時期に確保できない場合は開校が計画通りに進展せず、また当該地域の人口動向や競合状況によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 生徒の安全管理に関するリスク
当社グループでは、安全な学習環境の提供に努めております。自然災害等に備え、各校舎に防災グッズを常備するなど校舎内における安全はもちろんのこと、通塾時の安全管理にも注力し、通塾指導や通塾メールを導入しております。また、当社合宿場において合宿を開催する際は、生徒の安全と健康管理を最優先に、細心の注意を払って運営を行っております。
これまで特段の事態は発生しておりませんが、今後、万一、何らかの事情により当社グループの管理責任が問われる事態が発生した場合には、信頼性や評判の低下に繋がり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 法的規制に関するリスク
学習塾の運営に関連する主な関連法令は、特定商取引に関する法律、著作権法、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、個人情報の保護に関する法律等があります。当社グループでは、役職員に法令等の遵守の重要性及び必要性について周知するとともに、その実践の徹底に努めております。しかしながら、関連する法令等に基づいて損害賠償請求等に係る訴訟等が提起された場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 固定資産の減損に関するリスク
当社グループでは、校舎設備や賃貸用不動産等の有形固定資産を保有しているほか、企業買収に伴いのれんを計上しております。保有しているこれらの固定資産について、事業の収益性が大きく低下した場合や不動産等の市場価格が著しく下落した場合には、減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 差入保証金の保全、回収に関するリスク
当社グループが展開する校舎の多くは賃借物件を利用しております。賃借物件の賃借条件は近隣相場を参考にしながら採算性を考慮した水準で締結し、契約締結後は定期的に賃借条件を見直すと同時に賃貸人の信用状況の把握に努めております。しかしながら、賃貸人の調査確認は必ずしも完璧に行えるとは言い切れない面もあり、賃貸人の状況によっては差入保証金の保全、回収ができない可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主様に対する利益還元を経営の重要課題として位置付けるとともに、今後の収益力向上のための内部留保による企業体質の強化を図りながら、業績に対応した成果の配分を行うことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当回数は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針とし、配当の決定につきましては、経営成果をより迅速に株主の皆様へ還元することを目的として、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定めております。配当の決定機関は、取締役会であります。
当事業年度の配当につきましては、当期の連結業績を踏まえ、1株87円(うち、中間配当金45円)の配当を決定しております。
内部留保資金につきましては、新規校舎の設備投資、賃貸用不動産の取得及びシステム整備など、企業価値向上に資するさまざまな投資に活用することで、将来の事業展開を通じて株主の皆様へ還元していくこととしております。
なお、当社は毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。