2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす主要なリスクは以下のようなものがあります。

当社グループにはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また発生した場合の的確な対応に努めていく方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 公共セクターからの受注構成比が高いことに関するリスク

当社グループの各事業において、公共事業領域は依然として当社の主要市場の一つであり、国及び地方公共団体等は主要顧客になります。国及び地方公共団体等の財政状況の悪化や事業量の縮小に伴う発注量の減少、調達方式の変更、並びに不測の事態に伴う指名停止措置等により、当社グループの営業成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、公共事業に依存した従来型のビジネスモデルからの脱却を進めることで、そうしたリスクの抑制に努めています。

 

(2) 為替変動に関するリスク

当社グループの各事業は、国内外で事業を展開しています。各事業における海外での事業は、主に北米地区やシンガポールを拠点とした海外グループ会社が、現地通貨建てで取引しているため、為替変動により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、必要に応じて為替予約等の措置を検討することで、そうしたリスクの抑制に努めています

 

(3) 気候変動や自然災害等に関するリスク

当社グループの各事業は、地震や気候変動に伴う台風・豪雨・河川氾濫等の自然災害、火災等の不測の災害に見舞われた場合には、生産設備やデータの損傷・喪失、人的リソースの喪失等による事業活動の縮退、生産能力の低下などの影響を受ける可能性があります。また、炭素税の導入や環境負荷の少ない設備導入等により事業運営コストが増加する可能性もあります。当社は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとするカーボン・ニュートラルを掲げながら気候変動対策に取り組むと同時に、災害等の発生を想定した事業継続計画(BCP)の作成とその定期的な点検・訓練の実施や、気候変動が事業遂行に与える影響を継続的に評価・モニタリングすることで、そうしたリスクを最小限に抑制するよう努めています

 

(4) 感染症の世界的流行(パンデミック)の発生に関するリスク

感染症の世界的流行(パンデミック)により、当社グループの事業に対する需要減少、サプライチェーンにおける納品遅延や部材不足、調達コスト増加などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、各種リスクシナリオを想定しながら、そうした影響を最小限に抑える対応を取っております

 

(5) 国際紛争・テロ行為に関するリスク

当社グループにおける海外での事業は、新興国や途上国における社会資本整備事業、開発事業を主要な市場と位置付けておりますが、これらの国では、国際紛争やテロ行為が発生する場合があり、紛争活動や武装行為に巻き込まれた場合には、事業の中止もしくは停止など、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、長期化するウクライナ情勢により、エネルギー価格や原材料価格の高騰など、世界経済への影響も継続しています。当社は、随時、諸外国の治安関連情報や最新の経済関連情報の収集を行うことで、そうしたリスクの抑制に努めています。

 

(6) 知的財産等に関するリスク

当社グループの各事業は、専門技術を用いた各種サービスや製品を提供するとともに、事業を展開する各国において商標登録等も実施していますが、将来的に知的所有権などの使用差し止めや、商標の使用停止、あるいは損害賠償を請求された場合には業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、適切な知財管理を行うための組織を設置することにより、そうしたリスクの低減に努めています

 

 

(7) 資源価格変動に関するリスク

当社グループの海外子会社の中には、資源探査用の機器やシステムを販売している会社があります。資源価格の低迷や、資源開発市場の縮小などが発生した場合には、子会社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを低減するため、新しい市場開拓を通して資源依存度の低減を図るなど、事業ポートフォリオの見直しに努めています

 

(8) データの偽装・改ざん・流用に関するリスク

 当社グループの各事業の遂行過程において、社内ルールに反して各種データの偽装や改ざん、及び過去データ等の流用が発生した場合には、信用失墜や損害賠償請求などが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、コンプライアンス教育の徹底や業務監査室による業務プロセスの検証や、業務マニュアルの見直しなどを進めることで、こうしたリスクの顕在化の抑制に努めています

 

(9) ITシステムのセキュリティー管理に関するリスク

当社グループの各企業は、ITシステムを活用した業務処理並びに情報管理を行っています。コンピュータウイルスや悪意ある第三者の不正侵入により、ITシステムの停止やランサムウェア攻撃、情報漏洩等が発生した場合には、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社は、ITシステムの安全性及び情報セキュリティの強化に努めるとともに、関連する諸規定を整備し、ランサムウェア攻撃に対する防御策強化や外部からの不審メールに対する定期的な訓練を行うなどリスクの低減に努めています

 

(10) 人材確保に関するリスク

当社グループの安定的成長を持続させるためには、高度な専門性を有する優秀な人材の確保・育成が必要不可欠です。しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少が進む中で、こうした優秀な人材の確保・育成が進まない場合には、業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、社員の健康保持・増進活動を組織で支える健康経営に取り組むと同時に、働きやすい職場の形成や従業員のエンゲージメント向上、教育制度の充実、安定的な新卒者採用並びに優秀な中途採用者の確保等を推進することにより、そうしたリスクの低減に努めています

 

(11) 法的規制に関するリスク

当社グループは、会社法、金融商品取引法、税法、労働法、独占禁止法及び建設業法等の法規制を始め、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準等、事業展開している国内外のさまざまな法規制の適用を受けており、社会情勢の変化等により、将来において、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合には当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが直接的または間接的に関係する取引の一部が法規制等に違反していると規制当局が判断した場合には、課徴金等の行政処分や社会的な信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。当社は、随時、関連する法規制の最新情報や改正動向に関する情報収集に努めるとともに、社内での法令順守教育を徹底することでリスクの抑制に努めています

 

(12) 保有資産の減損リスク

当社グループは、長期的な取引関係の維持などを目的として株式等の有価証券を保有しており、保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、当該企業の財政状態の悪化等があった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは国内外の事業拠点の不動産を所有していますが、不動産価格の下落等があった場合、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(13) 繰延税金資産に関するリスク

繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しています。将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは制度面の変更等があった場合には繰延税金資産が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主への利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付け、収益力の向上と財務体質の強化を図りながら、安定的な配当を行うことを基本としております。

2023年までの中期経営計画「OYO Advance 2023」では、「連結配当性向40~60%を目処」としておりましたが、2024年から開始しました「OYO 注記経営計画2026」においては、「連結配当性向50%以上、且つ株主資本配当率(DOE)2%以上を原則」とすることといたしました。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当連結会計年度につきましては、業績及び財務状況等を総合的に勘案するとともに、2024年から開始しました「OYO 注記経営計画2026」における配当方針も考慮し、当連結会計年度末の1株あたりの配当を33円00銭とし、中間配当とあわせて1株当たり年間58円00銭(前連結会計年度と比べ10円00銭増配)の配当を実施することにいたしました。この結果、当連結会計年度の連結配当性向は34.7%、単体配当性向は95.1%となりました。なお、2023年12月期における親会社株主に帰属する当期純利益は4,006百万円となりましたが、その中には米国子会社における繰延税金資産計上(約1,026百万円)に伴う親会社株主に帰属する当期純利益の増額分が含まれております。しかしながら、当該増額分については、現時点では資金的裏付けのない利益であることを踏まえ、当該期における配当原資からは除外することとしました。(繰延税金資産を除外した配当原資に対する配当性向は46.6%となります)

内部留保金の使途につきましては、今後予想される経営変化に迅速に対応できるよう財務体質及び経営基盤の強化を図り、事業の拡大のために有効な投資を行います。

なお、当社は「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当連結会計年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年8月9日

取締役会決議

612

25.00

2024年3月26日

定時株主総会決議

808

33.00