リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業活動その他に関するリスクについて、投資家の投資判断上、重要であると考えられる主な事項は以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止および発生した場合の適切な対処に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年4月23日)現在において、当社が判断したものです。
(1)プロジェクトマネジメントに関するリスク
当社グループでは、様々なプロジェクトを進めていくうえで、ますますプロジェクトマネジメントの重要性が高まっており、その強化が不可欠でありますが、顧客とのコミュニケーションギャップを含めた仕様の曖昧さによる当初見積からの乖離による納期遅延、想定外の作業工数・リカバリーコストの発生・協力会社への外注コストの増大等が発生することや、法令・社会情勢の変化等の外部要因によりプロジェクトの進行が阻害されるリスクを完全に回避することができないことがあり、結果としてプロジェクトの採算が悪化し、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、受注前の見積段階において、プロジェクト担当の事業部門、営業部門、品質管理部門における見積検討会の実施、プロジェクト実施段階における予算/実績の乖離モニタリングやプロジェクト監査会での実行状況のチェック、プロジェクト品質向上のための各種研修を行い、プロジェクトマネジメントに起因するリスクの低減に努めており、これら取り組みに対し内部監査部門による業務監査を行うことにより、リスク対策の定着をはかっております。また、取締役会・経営会議などで、特に業績、財務状況に影響を及ぼす可能性が高いプロジェクトについて、モニタリングを行ってリスクの低減に努めております。
(2)人材の確保・育成に関するリスク
当社グループが事業を遂行するうえで重要なことは、高度な技術力やノウハウなどを兼ね備えた優秀な人材を確保することであります。しかしながら、経済情勢や雇用情勢などに加えて人材獲得競争の激化などにより、優秀な人材が確保・育成できない場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、採用担当者の増員など採用体制の増強、社内における教育体制の充実と社外での教育機会の奨励、従業員のモチベーションを高めるインナーブランディングの強化、健康保険組合との協働による健康経営への取り組みなど、人材に関するリスクの低減に努めております。
(3)情報セキュリティ・サイバー攻撃に関するリスク
当社グループでは、業務遂行上、顧客が有する様々な秘密情報を取り扱う機会がありますが、国際的な情勢によりサイバー攻撃等の外部からの不正アクセス等による情報漏えいリスクや業務の中断リスクが更に高まっており、また当社グループ内でも個人情報を含む様々な情報を保有し社内外とやり取りをしているため、個人情報や重要秘密情報の漏えい等の情報セキュリティ事故が発生した場合、損害賠償請求や信用失墜につながり、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、サーバーやネットワークに対するサイバー攻撃等によりシステムやネットワークが停止した場合においても同様に、損害賠償や信用失墜につながり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、各情報セキュリティリスクに対応するセキュリティ機器やサービスの導入、情報セキュリティに関する規程類の整備、日本シーサート協議会など情報セキュリティに関連する団体への加入などによる外部組織との連携強化、当社データセンター等におけるISO/IEC 27001の認証やプライバシーマークの取得など適切な管理、情報セキュリティ教育の実施、インシデント検知と発生時対応のためSOC(Security Operation Center)の活用および、CSIRTである「CEC-SIRT(CEC Security Incident Response Team)」を組織して情報セキュリティ・インシデントへの対応力を強化し、リスクの低減に努めております。
(4)コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、その事業活動において国内外の法令・規制の適用を受けており、それらを遵守し、事業を展開するうえで、意図せず法令等に抵触する事態が発生した場合、損害賠償請求や信用失墜等により、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの従業員の不正、長時間労働やハラスメントといった人事労務問題に起因する社内ルール違反や法令等に抵触する事態が発生し、調査費用の計上や損害賠償請求、従業員の意欲低下などの当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、顧問弁護士や社会保険労務士との相談・コミュニケーションの増強、法令情報取得のための機会の拡大、「シーイーシーグループ企業行動指針」「シーイーシー社員行動基準」を制定し、コンプライアンス遵守体制の強化と企業倫理の向上と法令・社内規程等の遵守を徹底させ役職員の意識向上を図っております。また、コンプライアンス教育を全社員・階層別に実施、内部通報窓口を社内と社外とに二重設置するなど、コンプライアンスに関するリスクの低減に努めております。
(5)顧客・経済情勢に関するリスク
当社グループの売上高に占める上位10社の比率は約4割程度であり、製造業向けの売上合計は、約4割を占めております。安定顧客に対する売上比率、および特定業種に対する売上比率が高いことは、当社グループの強みでもありますが、経済情勢の変化に伴い顧客の事業環境が変化した場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、独立系の強みを生かした新規顧客の開拓、独自製品の拡販戦略、既存顧客の深耕による事業拡大、営業企画部を設置し部門横断の「クロスセル」をさらに推進し、顧客・経済情勢に起因した影響に対するリスクの低減に努めております。
(6)投資に関するリスク
当社グループは事業拡大や競争力強化のため、設備の充実や、新規事業の立ち上げなどの様々な投資を行っております。しかしながら、社会情勢の変化や景気悪化などにより、投資案件が計画どおりに進まず当初見込んでいた利益が得られない場合や想定外の費用が生じることがあり、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、投資効率を高めるため、事前に投資効果やリスク等を十分に検討し、設備投資に対する計画を策定した上で投資を実施し、投資に関するリスクの低減に努めております。
(7)感染症や大規模災害に関するリスク
当社グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等のパンデミックや大規模災害の発生、長期にわたる電力不足など事業継続に支障が起きた場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、従業員の安全確保及び事業継続のため、災害対策計画や事業継続計画を策定、在宅勤務体制の整備、感染者が出た場合の消毒作業等のルール化、被害の防止・軽減および早期復旧等、危機管理の徹底に取り組んでおり、感染症や大規模災害に関するリスクの低減に努めております。
(8)外注取引に関するリスク
当社グループは、外部の技術力やノウハウ等を活用するため、システム開発等、業務の一部を当社グループ外の企業に委託するなど外部発注を行っております。しかしながら、IT需要の高まりによる発注コストの増大、外部発注先に起因する納期遅延や品質低下に加え、ヒューマンエラー等による情報漏えい事故の発生、同業他社との競合により優秀な外部発注先が確保できない場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、下請法の法令遵守はもちろんのこと、外部発注先の技術力やコスト、財務状況等の信頼性などを総合的に勘案した選定、情報セキュリティ等に関するガイドライン等の策定等を行っており、外注取引に関するリスクの低減に努めております。
(9)環境・気候変動に関するリスク
気候変動の影響と考えられる災害等が深刻さを増す中、世界的な対策が求められている温室効果ガス(GHG)削減について、日本においてもより踏み込んだ対応にシフトしています。
当社グループとしても気候変動問題は、社会課題であるとともに経営の課題の一つと捉えており、急速な社会的意識の転換や再生エネルギーを利用したITソリューションへのニーズの増加もあり、気候変動等に対する社会的要請への対応の遅れが発生した場合、事業機会の損失により当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、GHG排出量削減に目標を設定し取り組んでおり、2030年に2016年度比Scope 1、2のGHG排出量を46%削減、2050年に100%削減を目標としております。さらに経営と一体化して進めるため、2022年4月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、管理体制や取り組みをPDCAサイクルで改善して参ります。当社事業所からのGHG削減、ICTサービスで使用するGHGの削減や、ICTサービスを活用した顧客・社会のGHG削減、空調機等の省エネ型設備への更改や再生可能エネルギーの導入等の取り組みを推進することによって、環境・気候変動に関するリスクの低減に努めております。
(10)国際紛争に関するリスク
当社グループは、中国上海において子会社を有し、国外の顧客やサプライヤーからのサービスや製品にかかる取引があります。しかしながら、上海における子会社は小規模でありオフショア開発が主要な事業であり、直接的な海外顧客(主に日系企業への現地展開)との取引量は少なく、またサービスや製品のサプライに関しても、経済安全保障上のリスクが高い国を本拠点とする企業によるサービス等の取扱いは少なく、直接的な影響は大きくありません。一方で、顧客において国際紛争に巻き込まれ、現地工場での操業停止や当該国での市場の閉鎖・撤退等の状況に追い込まれ、業績悪化や計画変更に伴う発注の延期等が発生した場合、また国内のエネルギー供給などに問題が生じ燃料費の高騰に伴う光熱費、特に電気代の高騰が生じた場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、子会社、サプライヤー、顧客との密なコミュニケーション、各種メディアからの情報収集を中心に行い、国際紛争が当社グループに与える影響を分析し、早期に影響を捕捉し国際紛争に関するリスクの低減に努めております。
また、国家によるサイバー攻撃を直接受ける可能性があります。その点については、「(3)情報セキュリティ・サイバー攻撃に関するリスク」において、当該可能性を含めて記載しておりますので、そちらをご参照下さい。
配当政策
3【配当政策】
当社は長期的展望に立ち、内部留保の確保と今後の経営環境等を総合的に勘案し、安定的な配当を継続的に行うことを基本方針としております。剰余金の配当については、中間配当および期末配当の2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
当期の利益配当金につきましては、中間配当として1株当たり25円、期末配当として1株当たり30円としております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年9月8日 |
840,403 |
25.00 |
取締役会決議 |
||
2024年4月23日 |
1,008,484 |
30.00 |
定時株主総会決議 |