2023年10月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、前連結会計年度から継続して多額の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」に照らすと、当連結会計年度末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているとみなされます。

このため、当社グループは、継続的に固定費用の圧縮や有価証券・不動産などの売却を進めるとともに、取引先金融機関に対して既存の借入契約の維持(リファイナンス)を要請しております。

当社グループは、合理的な資金繰り計画に基づいて、2024年10月31日まで十分な資金を有することが可能と判断しておりますので、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

② 旅行需要・業界動向に関するリスク

当社グループにおけるセグメント別売上高は、旅行事業が80.2%を占めております。中でも、国別の売上高は日本に集中しており64.3%を占めております。従って、日本における旅行事業の環境変化によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業は、取引先のビジネスモデルの変革や異業種の新規参入など、他企業との厳しい競争状態にあり、持続的に競争優位性の確保に努めているものの、今後の展開によっては当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然災害・人為的災害の影響

当社グループにおける事業を取り巻く環境として、台風、津波、地震などの自然災害による、観光や各種インフラへの被害、感染症の流行、加えて、航空事故、テロや戦争などによる各国・各地域の不安定な政治的及び社会的状況などがありますが、これらが発生した場合の様々な影響により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 情報漏洩・システム管理におけるリスク

当社グループでは、予約手配などの業務にコンピューターシステムを活用しており、多数のお客様の個人情報を管理しております。構築・運営には十分なセキュリティの確保に努めておりますが、通信ネットワークやプログラムの不具合、またコンピューターウィルス感染などにより、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの重大な障害が生じた場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。また、障害の規模によってはお客様へのサービス提供の中断や修復費用が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績、社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 商品・サービス提供に関するリスク

当社グループでは、旅行商品内に含まれる飲食店の選定や、その他事業において行っている飲食店の営業において、品質管理基準マニュアルを策定し、食品の安全性に十分留意しておりますが、食中毒など衛生問題が発生した場合には、信用の失墜などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 為替レート・原油価格の変動

当社グループは、外貨建の取引を行っており、これに伴って外貨建の収益・費用及び資産・負債が発生しております。為替レートの変動による影響を軽減すべく為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、急激な為替変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を邦貨換算しているために、為替レートが変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。加えて、旅行事業において、原油価格の変動に伴い、海外旅行代金とは別に燃油特別付加運賃をお客様にご負担いただいておりますが、この燃油特別付加運賃の著しい上昇があった場合は、旅行総需要が停滞してしまう可能性があります。急激な原油価格の変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 有価証券等保有資産価値の変動

当社グループは、上場及び非上場の株式及び債券等を保有しております。このため、市場価格を有する有価証券については株式市況及び債券市況の動向により、また、市場価格のない有価証券については投資先会社の財政状態の動向により、売却損や評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 固定資産等の減損

当社グループは、国内及び海外で実施した投資活動や買収に伴い発生した有形固定資産、無形資産、株式、のれん等を連結貸借対照表に資産として計上し、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発現すると見積もられる合理的な期間で償却しておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該資産等について減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ コンプライアンス

当社グループは、日本国内はもとより、海外の現地拠点が所在する国においても、様々な法令・規則・商慣習・社会的道徳などの下で事業活動を行っており、その遵守に努めております。しかしながら、予期しない新たな規制の導入、執行当局の方針の変更、理解や解釈の相違などの何らかの原因により、コンプライアンス違反と判断される事態が生ずる可能性があります。このようなコンプライアンス違反と判断される事態が生じた場合、法的手続き対応費用の発生や、ブランドイメージが毀損することなどにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社グループは、株主の皆様への利益還元を経営上の重要政策の一つとして認識しており、当社グループの企業価値の向上を図りながら、世界情勢や旅行業界の動向、企業体質の強化と今後の事業展開などを総合的に勘案し、実績に応じて安定的かつ継続的に会社の利益配分を実施してまいりたいと考えております。また、当社には中間配当制度がありますが、事業年度全体では下半期の売上等の割合が比較的高くなる傾向がみられることから、業績に対して公平な配当を実現するために、年間を通しての配当とさせていただいております。

上記の利益配分の基本的な方針等に基づき、当期の期末配当金(年間配当金)につきましては、収益回復に向けた財務基盤の安定化が急務であると考え、無配とさせていただきます。

なお、次期の配当金につきましては、旅行需要の回復が継続する見通しであり、今後の財務状況を総合的に勘案し、年間1株当たり普通配当10円を予定しております。業績の回復に沿って従来からの基本方針である継続的かつ安定的な株主還元の実現に努めてまいります。

当社は、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に掲げる事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる。」旨を定款に定めておりますが、株主総会で決議することを排除するものではありません。