2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

当社の事業展開上、リスク要因となりうる主な事項を記載しており、これらのリスクが発生する可能性を認識したうえで、その発生の予防及び発生時の対応に努める方針でありますが、当社の経営及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があるものと考えております。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業内容について

① インターネット関連市場の動向について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:短期的 影響度:大

当社はサイト解析ツールSiTestの運営とインターネット上における広告代理店事業の運営を事業基盤としており、インターネット及び関連サービス等の更なる発展が、当社の今後の成長を図るうえで重要であると考えております。現在、国内のインターネット人口普及率は13歳~59歳の各年齢層で9割に達しており、スマートフォン保有の世帯割合は90%を超え(出所:総務省「通信利用動向調査」2023年5月発表)、今後についても同様の傾向が続くと思われます。

しかしながら、インターネット利用に関する新たな規制やその他予期せぬ要因により、インターネット利用環境が急激な変化に見舞われ、インターネット利用の発展が阻害された場合、当社の事業展開に支障が生じ、当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネット広告市場について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:短期的 影響度:小

2023年国内の総広告費は7兆3,167億円(前年比103.0%)となりました。その中でインターネット広告費は継続して高い成長率を保ち3兆3,330億円(前年比107.8%)となりました。(出所:電通「2023年 日本の広告費」2024年2月発表)

しかしながら、インターネット広告市場やその中で行う広告販売代理事業は、一般的に景気変動の影響を受けやすい傾向があります。そのため景況が悪化した場合には、当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 季節変動が業績に与える影響

発生可能性:高 発生する可能性のある時期:1年以内 影響度:大

当社のマーケティングソリューション事業部の売上は、広告主の広告予算をベースに構成されるため、広告主の予算の月ごとの配分の影響を受けます。特に年度末に予算が配分される広告主との取引は、多くの広告主が年度末として設定している12月及び3月に売上が集中する傾向があります。また、8月はインターネット広告市場全体でインターネット広告費用の使用額が他の四半期よりも少なくなる傾向があり(出所:経済産業省 特定サービス産業動態統計調査 毎月公表)、当社の顧客の広告費使用額も減少する傾向があります。したがって、安定的に月次業績が推移する業種に比し売上及び利益の変動が起こりやすいほか、繁忙時に業務を継続するための労働力を確保する必要があり、変動が大きく下振れが顕著な場合には当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競合について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:短期的 影響度:中

当社が事業を展開するSaaS事業部及びマーケティングソリューション事業部は、競合企業が複数存在しており、今後インターネット市場の拡大に伴い、規模の大小を問わず競合企業の新規参入が予測されます。SaaS事業部及びマーケティングソリューション事業部のサービスを組み合わせて提供することにより、競争優位性の確保に努めており、さらに独自の教育体制により企画から制作、運用、コンサルティングに至るまでをワンストップで提供できる体制の構築、競合優位性の確保に努めております。しかしながら、競争の激化等により新規顧客の減少や、既存顧客との取引が終了する場合に、収益性の低下を招き、当社の事業及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定仕入先の依存について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社のマーケティングソリューション事業部においては、グーグル合同会社及びヤフー株式会社からの仕入に大きく依存しております。第17期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)の依存率はGoogle LLCが5.9%、Meta Platforms, Inc.が20.4%、LINEヤフー株式会社が16.5%であります。上記3社以外のメディアから新しい広告商材を仕入れて取り扱うこと等の取組みは継続しております。また、上記3社とは良好な関係を築いており、現時点において取引関係等に支障を来たす事象は生じておらず、当社としては今後も継続的な取引が維持されるものと見込んでおります。しかしながら、上記3社における経営方針、販売方針・販売施策の変更及び取引条件の変更が生ずる場合等には、当社の事業及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社といたしましては、今後も主要取引先との取引拡大に加え、他社からの仕入拡大にも努めることで、当該特定仕入先への依存率低下を図り、リスク低減に努める方針であります。

 

⑥ 与信管理と債権回収について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:短期的 影響度:小

当社は、取引開始の事前に与信調査を行うとともに、取引開始後も継続的に与信調査を行っておりますが、通常予測しえない何らかの事情により、顧客の信用力が急激に悪化し、債権回収の不調等による経済的損失が発生した場合、当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法的規制の変化について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社における事業の直接的な法的規制又は業界の自主規制はありませんが、インターネット関連分野においては、「特定商取引に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」等が存在しております。インターネット取引やソーシャルメディアが普及する一方で、インターネットやソーシャルメディアを悪用した犯罪が頻発する等、社会情勢に影響を及ぼした場合、インターネットやソーシャルメディアの事業に係る法的規制又は自主規制の強化等がなされた場合に、当社の事業において何らかの制約を受け、当社の事業及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、インターネット広告においては、「不当景品類及び不当表示防止法」、「著作権法」、「医療法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等が存在しております。当社では、上記の各種法的規制に抵触しないように、具体的な注意点を記した法令チェックリストを整備し、広告制作担当者やその上長、必要に応じて担当役員が慎重に確認を行っております。広告主がこれらの法律に違反しても直ちに当社の広告取引が違法となるわけではありませんが、当社が広告主の違法行為を助長させているとみなされた場合は、当社の社会的信用が失墜する等、当社の事業及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

公営競技において、運営者が掛け金に対する手数料率の変更や法的規制の変化があった場合に、公営競技の利用者の動向を通して、当社の事業及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 検索エンジンへの依存について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

当社が提供するSaaS事業部及びマーケティングソリューション事業部ならびにSPAIA事業部は特定の検索エンジン(「Google」、「Yahoo! JAPAN」等)の検索結果を受けて営業活動及び集客を行っております。そのため、当社ではSEO(検索エンジンの最適化)対策等の必要な施策を講じております。

しかしながら、検索エンジンにおける表示結果順位は、特定の検索エンジン事業運営者のシステムや判断によるものであり、運営者の方針やシステム変更等により、これまでのSEO対策が有効に機能しなくなった場合に、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑨ SaaS事業部のSiTestの解約リスクについて

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

SiTestの利用規約上、サービスの契約期間は基本的に1年間となっており、その後、顧客の意思に従って契約の更新又は解約がなされます。当社としては、できる限りSiTestの利用契約が継続されるよう、契約締結後、充実したカスタマーサポートの提供、営業活動を通じた顧客ニーズの継続的な把握及び当該ニーズを反映するための機能改善開発に取組んでおります。かかる取組みに加え、顧客属性は分散していることから、解約数が急激に増加するリスクは低いと考えておりますが、万が一解約数が急激に増加した場合は、当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ データサプライヤーとの契約解除リスクについて

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社は、SPAIAに格納しているプロ野球等の試合データ等について、複数のデータサプライヤーと契約を締結し、有償提供を受けております。当社は、継続的により良質なデータサプライヤーの開拓に努めるとともに、既存データサプライヤーとの良好な関係の維持に努めておりますが、データサプライヤーの契約更新が拒絶された場合、あるいは契約が解除された場合には、ユーザーへの安定的なコンテンツ提供、サブスクリプションユーザーの解約数の増加及び収益性等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ SPAIA事業部の先行投資について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:小

当社が展開するSPAIA事業は、開発人員及びクリエイティブ人員の採用、開発の外注、広告宣伝活動等の先行投資を必要とする事業であり、結果として当事業部は発足以来営業損失を継続して計上しております。

これまでの投資内容のうち、内容的金額的に重要性の高かったものは、SPAIA及びSPAIA競馬の開発に係る人件費及び外注費であります。

今後も、より多くの顧客の獲得を目指し、開発や営業などにおける優秀な人材の採用・育成を計画的に行うとともに、魅力あるコンテンツの追加開発、知名度と信頼度の向上のための広報・プロモーション活動、顧客獲得のためのマーケティングコスト投下などを効果的に進め、売上高拡大及び収益性の向上に向けた取組みを行っていく方針であります。しかしながら、想定どおりの採用・育成が進まない場合、開発が遅延する場合、マーケティングPR等活動の効果が得られない場合等には、当社の事業及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 新規事業・プロダクトの開発・提供が当社の計画どおりに進まないリスクについて

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:短期的 影響度:中

新規プロダクトの開発・ローンチが計画どおりに進まない場合、想定外の追加投資や、開発・ローンチに大幅な遅れ、中止・中断が生じる可能性があります。また、それに伴い当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 支配株主との関係について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社支配株主である金島弘樹は、当社の創業者であり代表取締役CEOであります。当社株主である金島由樹は、当社の取締役であり、金島弘樹の実弟であります。金島弘樹と金島由樹、金島弘樹の資産管理会社である株式会社ゴールドアイランドの所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の67.93%を所有しております。今後、市場で当該株式の売却が行われた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、議決権行使の状況及び当社の経営戦略等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 現預金の保有残高について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:小

当社では、プロモーション統括本部 マーケティングDX事業のネット広告関連において顧客のインターネット広告費用の立替が常時必要であることから、売上規模が同水準の他社と比較して多くの現預金を保有しております。既存顧客の広告費用の立替に備えるのみならず、新規案件の受注に備えるためでもありますが、今後、有利子負債にかかる支払利息により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)組織体制について

① 特定人物への依存について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社の創業者は、代表取締役CEOである金島弘樹であります。金島弘樹は、専門的な知識、技術及び経験を数多く有しており、当社設立以来、経営方針や経営戦略の決定等の事業運営において重要な役割を果たしております。当社は、特定の役職員に依存しない組織的な経営体制の構築に努め、社外取締役を配置し取締役体制を強化しておりますが、金島弘樹に何らかの理由によって不測の事態が生じた場合、又は、金島弘樹が早期に退任するような事態が発生した場合には、当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材採用育成について

発生可能性:高 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社は、事業の拡大や新規事業への進出を行っていく中で、人材の採用及び育成を重要な経営課題と捉えており、人材の採用及び育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、優秀な人材を十分に確保することが困難となった場合や、急激な人員増加により当社の各事業現場において運営に大きな支障が生じる場合には、当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 業容の拡大に伴う内部管理体制の充実について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

当社は、事業の適切で効率的な運営のため、内部管理体制の一層の充実を図っておりますが、業容の急拡大により、必要な人員の確保ができない場合や、管理体制の整備に遅れが生じる場合には、内部管理体制の充実を図れず、当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他 

① 自然災害等について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

地震や台風等の自然災害、戦争・紛争やテロ攻撃といった事象が発生した場合、当社の事業が大きな影響を受け、混乱状態に陥る可能性があります。当社は、こうした自然災害等が発生した場合には、適切かつ速やかに危機管理対策、復旧対応を行うよう努めておりますが、自然災害、コンピューターシステムの停止、データベースの漏洩・消失等により、当社の事業活動の停止のみならず、物的・人的な損害等が発生する可能性があり、その場合には当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 風評被害や不適切な業務遂行について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社及び当社が属するインターネット広告販売代理業界に対して何らかの否定的な風評が広まった場合や、当社が展開するSPAIA競馬に対する会員及び非会員からの意見・不満等クレームを受けた場合、当社の役職員による機密情報の漏洩、事務処理のミス、不当な労務管理、取引先とのトラブル、その他不正・不適切な行為等が発生した場合には、当社の信用や事業の信頼が低下する可能性があります。

 当社は、倫理規程の周知やコンプライアンス研修の実施により役職員のコンプライアンス意識を醸成し、リスク管理規程及びコンプライアンス規程に基づきリスク発生の未然防止やリスク発生時の対応を行っておりますが、それにも関わらず役職員による不正・不適切な行為が発生したり、否定的な風評が広まったりした場合には、顧客離れが生じるなどし、当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システムトラブルについて

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社が顧客及び一般消費者に提供しているサービスは、クラウドという特性上、インターネットを経由して行われており、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社は、システムトラブルを最大限回避すべく、企業向けクラウドプラットフォームとして信頼されているグーグル合同会社が提供するクラウドプラットフォーム及びアマゾンジャパン合同会社が提供しているクラウドプラットフォーム上にアプリケーションを構築しております。しかしながら、自然災害や事故、プログラム不良、不正アクセス、その他何らかの要因により予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 個人情報の漏えいについて

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社は事業遂行上、「個人情報保護法」の適用を受ける顧客の個人情報等を取得することがあります。当社では個人情報の取得・利用・管理・廃棄等に関して管理者を定めるなど、情報管理には万全を期しておりますが、外部からの不正アクセスや業務上の過失等により、万一情報漏えい等の事故が発生した場合には、当社の社会的信用が失われ、当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の事業では個人情報に該当する情報を取得しておりませんが、年に数回、SPAIA事業においてプレゼント企画の当選者へ当選物発送のため住所等の個人情報を取得する場合があります。

 

⑤ 情報セキュリティについて

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

コンピューターウイルスの混入、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、役職員の過誤等による社内インフラの停止、重要なデータの消去又は不正流出等の事態が発生した場合には、当社に直接的・間接的な損害が発生する可能性があるほか、当社が提供するサービスへの信頼の低下等、当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

当社が事業活動を行うに当たり、第三者が保有する商標権、著作権、特許権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払い、定期的な著作権に関する社内研修の実施や知的財産権専門の弁護士に随時相談する体制の構築などの対策を行っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者より、損害賠償請求、使用差止請求、ロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があります。その対策として、コンテンツ事業者向けの保険加入により損害額の減少に努めているものの、実際に当該事象が発生した場合には、当社の事業展開、財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 訴訟について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:大

当社では、コンプライアンス規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させること、法令遵守や社会倫理に関する研修を行うことで、法令違反などの発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、ユーザーや取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。また、知的財産による訴訟についても前述のとおり訴訟発生リスクがあるものと考えております。提起された訴訟の内容及び結果によっては、当社の事業展開、財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用や企業ブランドイメージの悪化等により、当社の事業展開、財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性もあります。

 

 

⑧ 新型コロナウイルスをはじめとする未知の感染症拡大の当社事業におけるリスクについて

発生可能性:高 発生する可能性のある時期:1年以内 影響度:小

新型コロナウイルスをはじめとする未知の感染症拡大へのリスクについて、当社としてはリモートワークやウェブ会議、ウェビナーを推進するなど働き方改革を推進しつつ状況を注視しております。

しかしながら、感染症が長期化することによる経済活動の停滞で、市場経済の減退によるSaaS案件・ネット広告案件の減少といったリスクがあると考えております。これらのリスクが顕在化することで既存取引先の減少や新規取引先の獲得ができない場合は、当社の財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:小

当社は、役員及び従業員のモチベーション向上のためストック・オプションを付与しており、本提出日の前月末現在(2024年2月29日)、その数は338,800株、発行済株式総数の4.1%となっております。なお、これらストック・オプションが行使された場合、既存株主の株式価値を希薄化させる可能性があります。

 

⑩ 調達資金の使途について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:短期的 影響度:中

当社の公募増資による資金使途は、システム開発費、広告宣伝費等への充当を考えております。 しかしながら、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化に伴い、当該資金が想定どおりの使途に充当されない可能性があります。また、計画どおりに資金を使用したとしても、期待どおりの効果をあげられない可能性があります。そのような場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化については適時その動向を注視するとともに、変化に応じた投資計画・資金計画の見直しを行うことで、当該リスクに対応してまいります。

 

⑪ 配当政策について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:小

当社は創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来は財務状況及び業績を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存であります。現時点においては、開発資金を優先していくことが企業価値向上、ひいては株主利益の最大化に繋がるものと考えております。

 

⑫ 当社株式の流動性について

発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

当社は、東京証券取引所グロース市場における当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、取引所の定める流通株式比率は本書提出日現在28.7%にとどまる見込みです。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金としての公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 海外展開について

発生可能性:低 発生する可能性のある時期:短期的 影響度:小

当社は、現時点では海外展開に対する具体的な計画はありません。ただし、高い成長を実現するため将来的には海外展開を進めていく方針であり、数年以内に海外展開候補先の調査等を進めていくことを検討しております。海外における商習慣や事業環境の差異等を含め、国内における事業展開以上に高いリスクが存在することは否めず、そのリスクに対応しきれない場合や国内と比較してマーケットの開拓や収益化が想定どおり進まない場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑭ M&A(企業買収等)に係るリスクについて

 発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

当社は、顧客基盤の拡大につながるM&Aを積極的に考えており、既存事業とのシナジー効果による、事業の拡充や新たな事業領域への参入を行い、更なる収益の多角化を考えております。対象企業について事前に可能な限り詳細な審査を行い、十分にリスクを検討した上で、M&Aを進めてまいりますが、買収後に未確認の債務の判明や偶発債務の発生等事前の調査で把握できなかった問題が生じること、買収後の事業の展開等が計画通りに進まないこと等が生じた場合には、当社の業績、財務状況及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑮ 法的規制に関するリスクについて

 発生可能性:低 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

当社の事業において、税制や商取引、労働問題、知的財産権など様々な法的規制を受けております。万が一これらの法規制、ルールを遵守できなかった場合、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 固定資産の減損について

 発生可能性:中 発生する可能性のある時期:長期的 影響度:中

当社が保有する固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けておりますが、現在、成長過程にあると考えており、積極的な事業展開及び経営基盤の強化のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資等に充当し、一層の事業の成長と拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

このことから創業以来無配としてまいりました。今後におきましても当面の間は、将来の事業展開のための投資、事業拡大のための必要運転資金として内部留保の充実を優先する方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益還元を検討していく予定でありますが、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

内部留保資金の使途につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、将来の事業展開と財務体質強化のための財源として活用していく予定であります。

なお、剰余金の配当を行う場合、当社は年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。