事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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SaaS事業 | 619 | 40.6 | 335 | 79.2 | 54.1 |
マーケティングソリューション事業 | 697 | 45.8 | 299 | 70.9 | 43.0 |
SPAIA事業 | 207 | 13.6 | -212 | -50.1 | -102.3 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は「思いやりのあるテクノロジーで世界を変化させていく」ことをミッションに、「世界で一番、やさしく、つよく、おもろいテックカンパニー」であることを経営ビジョンに掲げております。AI 搭載のウェブマーケティング支援プロダクトを提供する SaaS 事業、インターネット広告運用代行のマーケティングソリューション事業、AIによる勝敗予想を展開するスポーツメディア「 SPAIA (スパイア)」 を開発・運営する SPAIA 事業、顧客課題を解決するための企画提案型受託開発事業など、データ解析力と開発力を強みとした幅広い事業を展開しております。
(注)2024年12月期より事業セグメントを変更しており、今後はプロモーション統括本部マーケティングDX事業部及びイノベーション統括本部テクノロジー事業部の2つでご報告いたします。
「SaaS事業」…自社開発のSiTestの販売、並びにSiTest用い、アクセス解析、ウェブサイト・コンテンツ制作、コンサルティングによる包括的なデジタルマーケティング施策を顧客に提供しております。
「マーケティングソリューション事業」…インターネット広告の提案型運用、コンテンツ制作、アクセス解析を行い、広告効果を報告するために事業部内で作成したレポート等の成果物を顧客に提供しております。
「SPAIA事業」…自社開発によるSPAIAのメディア運用、AIによるプロ野球及びサッカーの勝敗予想、スーパー選手名鑑、SPAIA競馬のウェブ・アプリで予想オッズ配信や予想に役立つコンテンツ等を一般消費者へ無償提供しているほか、AI予想家によるAI競馬予想、詳細な競馬データ等を一般消費者へ有償で提供しております。プロ野球及びサッカーのデータ提供元であるデータスタジアム株式会社と協業し、プロ野球一球速報ウィジェットを顧客に提供しております。また、2023年10月24日付でworkhouse株式会社の一部の事業譲受により、AI領域におけるコア人材を確保し新たな技術力を獲得できたことから、新たなプロダクト開発やAI領域における研究開発やWEBサービスなどの受託開発も行っております。
(1) SaaS事業
SiTestはウェブサイト解析から改善まで一気通貫して実施できるオールインワンのLPOツールであります。顧客のウェブサイトを訪れたユーザーがどこを閲覧しているか、クリックしているかを可視化するヒートマップを提供しております。ユーザー行動が蓄積されたデータを検証し仮説を立て、管理画面内からA/Bテスト(スプリットテスト、多変量テスト)を行うことにより、ウェブサイトの課題を発見し改善を行うことができます。一般的にA/Bテストを行うには別のウェブサイトを2つ以上制作してテストを実施するため、コストと時間を必要としますが、SiTestでは専門的な知識を持たないユーザーでも即時にテスト用のパターンを作成できます。ショッピングカートやウェブサイトの入力フォームを最適化するEFO(Entry Form Optimization)、マーケティング担当者の効率化をサポートする自動レポート機能など、ウェブサイトの最適化に必要な機能をオールインワンで兼ね備えているのがSiTestの最大の特徴であります。
当社の営業プロセスモデルでは、潜在顧客を獲得し見込顧客に転換するマーケティング担当、見込顧客の育成を行うインサイドセールス担当、ツールの活用支援やサポートを行い契約継続を促すカスタマーサクセス担当がおります。セールスコストの削減を可能とするマーケティングソリューション事業からのリードシェア、自社の強みであるインバウンド営業とデジタルマーケティングの強化の結果、LTV/CAC(*1)については、足元の当事業年度第4四半期における3.6とマーケティングコスト増加により一時的に悪化いたしました。ネットレベニューチャーンレート(*2)で計測しております解約率については、足元の当事業年度第4四半期における四半期平均は3.8%と、当事業年度第2四半期より上がりましたが、一時的なものと捉えております
(*1)LTV/CAC…顧客生涯価値/ 顧客獲得コスト
(*2)ネットレベニューチャーンレート…(失った月次経常収益-増額した既存顧客分の月次経常収益)/月初(先月末)の月次経常収益
SaaS事業の主要KPIは平均単価とアカウント数としております。第4四半期時点で四半期期間平均単価は90,661
円で過去最高金額となりました。また、アカウント数につきましては2022年12月期の第4四半期時点で四半期期
間平均アカウント数は584件とこちらも過去最高数値となり、平均単価、アカウント数共に順調に推移しておりま
す。平均単価の定義はツール費や付随するサービスを合計したものを平均単価とし、四半期ごとの平均を四半期
期間平均としております。アカウント数の定義は有料アカウントの発生ベースで積み上げております。また、
SiTestには小規模事業者向けのヒートマップ機能を抜粋した「SiTest Lite」がございます。
(注)事業セグメントの変更に伴い、今後算出するKPIは四半期ごとの平均解約率推移及び四半期ごとの平均稼働アカウント数推移の2つとなります。
SiTestの主な機能は以下のとおりであります。
(*1)ポップアップ…ウェブサイト上に小さい画面を重ねて表示させるウェブサイトを指します。
(*2)コンバージョン…インターネットを利用するユーザーが広告を操作し(広告のクリックや動画広告の視聴等)、広告主にとっての広告の目的とする特定の行動(サイトでの商品購入やアプリのダウンロード等)に至ることを指します。
(*3)ニューラルネットワーク…人間の脳の神経回路網を模した数学モデルであり、機械学習の一手法のことを指します。
(*4)Search Console…Google社が提供するウェブサイトのパフォーマンスが分析できるツール。
(*5)セッション…ウェブサイトへのアクセス開始から終了までの一連の通信を指します。
(*6)CPA…Cost Per Actionの略で、顧客獲得単価と訳されます。コンバージョン1件あたりに要した広告費用のことを指します。
2022年7月にローンチしたウェブサイト高速化ツール「FasTest(ファーステスト)」においては、現在SiTestとともに提案・導入に向けた営業活動をしております。
FasTestの主な機能は以下のとおりであります。
(2) マーケティングソリューション事業
当該事業においては、主に大企業・中小企業に対してインターネット上の広告運用代行と付随するアクセス解析及びクリエイティブ制作を行っております。人材のリソース不足や専門的な知識を持たない企業の課題に対し、現状分析から戦略立案、効果的な出稿媒体選定、コンテンツ制作、実行、効果測定までワンストップで提供しております。十分な予算やリソースが不足している中小企業、個人事業主に対しては少額プランを提供しており、幅広い企業の収益機会の拡大に貢献しております。
当該事業の顧客に対してもSaaS事業のプロダクトであるSiTest等を提供することにより更なる価値を提供可能であることから、両事業間でのリードシェアを積極的に実施しております。当社は営業専任の人材を有していないものの、広告運用及び顧客折衝教育まで幅広く社員教育を行っております。そのため、顧客の求めるビジネス成果の達成に寄与しております。
当社が顧客に提供している主なサービスは以下のとおりであります。
① インターネット広告運用
主に運用型広告を中心に、インターネット広告の代理販売及び運用代行を提供しております。なお、当社が提供する主なインターネット広告は以下のとおりであります。
・リスティング広告運用
インターネットにおいて、ユーザーの検索結果に適した広告を表示するサービスであります。検索結果の画面に広告が表示される検索連動型と、訪問先のウェブサイトに広告が表示されるコンテンツ連動型、テキストや画像、動画形式で掲載されるディスプレイ広告があります。
・DSP広告運用
DSPとは「Demand Side Platform(デマンドサイドプラットフォーム)」の略称であります。DSPを用いて広告配信を行うのがDSP広告であり、配信先ターゲット層の設定や広告予算の設定など、広告の成果を上げるための配信設定や調整を行っております。
・SNS広告運用
SNSとは「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」の略称で、特定のメンバーでコミュニケーションをとる機能を持つウェブサイトやサービスを指します。各SNSのウェブサイトや検索結果を通じて広告を出稿することで、共通の興味関心が多いユーザーの目に留まりやすく、ターゲット層を詳細に設定できることが特徴であります。
・バリュープラン
中小企業向けにSiTest Liteを含めた少額プランを提供しております。
② アクセス解析
Google Analyticsを用いてウェブサイトのアクセス解析を提供しております。広告運用による解析とあわせて、広告によってウェブサイトを訪れたユーザーの動向や属性を解析し、顧客の求めるターゲット層に乖離がないか、また広告運用を効果的に実施できているかなど様々な切り口の解析結果を顧客へ提供しております。
③ サイト解析
自社開発のウェブサイト解析ツールSiTestを用いて広告によってウェブサイトを訪れたユーザーの動向や属性を解析し、顧客の求めるターゲット層に乖離がないか、また広告運用を効果的に実施できているかなど様々な切り口の解析結果を顧客へ提供しております。②のアクセス解析で実現できないヒートマップ解析及びスクロール解析を主に用いております。
上記SaaS事業及びマーケティングソリューション事業はセグメントを分けておりますが、両事業のパッケージ販売、顧客リストの共有等を行うなど連携によるシナジー効果がございます。
[クロスセル計算方法]
・分母をSaaS事業全体とマーケティングソリューション事業全体の売上合計とし、分子はSaaS事業とマーケティングソリューション事業両方で取引のある顧客の売上高の合計です。
・クロスセルの成長戦略を開始した2020年12月期からとしております。
・クロスセル売上比率は四半期ごとの平均値で計算しております。
(注) SaaS事業とマーケティングソリューション事業の統合により、今後はクロスセル売上比率を算出いたしません。
(3) SPAIA事業
当社はAIの機械学習を使用したスポーツメディアプラットフォームとして、プロ野球一球速報等を軸とするSPAIAを運営しております。プロ野球一球速報ではウィジェット化して新聞社やメディアへ販売しているほか、メディアの記事連携による広告収入及び自社サイトでの広告収入が収益モデルとなっております。
その中でも顧客需要があった競馬コンテンツを別サイトに切り出し、無料会員及びサブスクリプション型の有料会員を募ったところSPAIA事業の売上が拡大したことから、特にSPAIA競馬に注力しております。SPAIA競馬に関しては有料会員による収益のほか、メディアの記事連携による広告収入がございます。
■SPAIA競馬
SPAIA競馬はSPAIAから競馬コンテンツを切り出したサブスクリプション型サービスであります。SPAIAのAIとは異なるAIを搭載していること、異なるデータを活用していることなどから、アプリもSPAIAと分けて開発及び運用しております。SPAIA競馬には有料会員と無料会員があります。有料会員(月額課金)の場合、コースが3種類(ダイヤモンド・プラチナ・ゴールド)あり、無料会員では利用できないAIによる解析データを付加価値として提供しているほか、コースごとに利用可能なコンテンツの範囲・質が異なっております。
有料会員数は2021年度第4四半期から減少傾向にありますが、同年8月に価格を引き上げた影響により解約率が悪化したものであります。現在は価格を引き下げ、UI/UXの改善等を行い、有料会員数が改善するよう継続してプロモーション施策等を行っております。
有料会員数とは、当社が提供している各コース(ダイヤモンド・プラチナ・ゴールド)の登録会員数から算出しており、四半期ごとの平均値をとっております。
■SPAIA
SPAIAはAIの機械学習によってプロ野球やJリーグの勝敗予想コンテンツを兼ね備えたスポーツメディアプラットフォームであります。SPAIAでは編集部が取材・編集したオリジナル記事を読めることに加え、自社開発にて一部自動生成されるインフォグラフィック(*1)記事を提供しております。
SPAIAは、記事を配信するだけでなく、ソーシャル機能も兼ね備えたユーザー参加型の勝敗予想や詳細なセイバーメトリクス(*2)が掲載されたスーパー選手名鑑、立体的なグラフィックのプロ野球の一球速報でスポーツをより身近に愉しんでもらえるコンテンツを複数展開しているのが最大の特徴であります。
主な機能は以下のとおりであります。
(*1)インフォグラフィック…情報、データ、知識を視覚的に表現したもの
(*2)セイバーメトリクス…野球のデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法
① AI勝敗予想
AIが過去の対戦データや選手データを分析して、試合の勝ち負けを予想。プロ野球AI勝敗予想では、勝つと予想したチームに投票することで、ユーザー自身の勝敗予想結果と的中率を記録できる。試合ごとにAI勝敗予想の根拠を説明したレポートも配信。月ごとにユーザーランキングも発表するコンテンツ。
② 一球速報リアルタイム配信
プロ野球の球種・配球・打球方向をAIが予想。投球の軌跡と球種情報を臨場感あふれる3Dグラフィックでリアルタイム配信を行う。1試合中の勝利確率やターニングポイントがわかるWPAグラフ(*1)も掲載することで、深い視点で試合観戦ができるコンテンツ。
③ スーパー選手名鑑
プロ野球、Jリーグ、Bリーグに登録されている選手の詳細情報を配信。選手プロフィールなどの基本情報だけでなく、シーズン成績や試合別成績データも選手ごとに掲載し、更新性の高い選手名鑑コンテンツを提供。
④ セイバーメトリクス
プロ野球の選手個人別、チーム別の豊富なデータをわかりやすく、比較しやすくするために数値だけでなくレーダーチャート(*2)や様々な種類のグラフで視覚的に掲載するコンテンツ。
⑤ ドラフト注目選手・歴代指名選手情報配信
今季のドラフト注目選手や候補選手のプロフィール、シーズン成績を掲載。ドラフト会議当日はリアルタイムで速報結果を配信。今季だけでなく、遡ってデータを閲覧することができ、現役から歴代まで幅広いドラフト候補選手情報が年代別、チーム別で閲覧することができる。守備や属性(高校生・大学生・社会人)、現在の状況がひと目でわかるグラフを掲載しているコンテンツ。
⑥ SPAIA totoによるサッカーくじtoto予想
「SPAIA toto」とは、最先端のサッカー戦況予想AIを搭載したAIサッカーシミュレーションメディア。Jリーグなどのtoto対象試合の展開を、独自に開発したAIがリアルにシミュレーションして勝敗を予想するコンテンツ。
⑦ インフォグラフィック記事
ライトなスポーツファンもスポーツデータを愉しめるよう、視覚的にグラフィックで表現した記事。
⑧ アプリ内での配信
スマートフォン向けアプリでは競馬コンテンツを中心に、セイバーメトリクス軸でのプロ野球選手分析など、SPAIAならではのコンテンツを配信。
⑨ オリジナル記事
長く親しみやすいロングテール記事(*3)を中心に、オリジナルの記事、スポーツ界の著名人をゲストに招いた対談記事、独自のインタビュー記事を配信。
(*1)WPAグラフ…WPAとは「Win Probability Added」の略であり、「勝利期待率加算値」「勝利確率」を意味します。WPAグラフは、勝利確率の推移をグラフ化したものになります。
(*2)レーダーチャート…複数の変数を構成比に直すことなく、正多角形上に表現したグラフを指します。
(*3)ロングテール記事…時事性のある記事と比較した場合、閲覧数は少ないものの、時期を問わない内容であるため、長期間にわたって読まれやすい記事を指します。
■DRAGON DATA CENTER(ドラゴン データセンター)
スポーツエンターテインメント分野において、あらゆるスポーツ・競技の魅力を最大限にファンにお届けするプロジェクトを進めることとし、その一環としてスポーツデータセンター「DRAGON DATA CENTER(ドラゴンデータセンター)」を開設いたしました。
このプロジェクトでは、「データ×解析×テクノロジー」をコンセプトとし、画像解析やウェアラブルデバイス、センシング技術などの最新テクノロジーを駆使して、スポーツ・競技に関連する情報(データ)を取得します。取得したデータは、生成AI、インフォグラフィックや3Dグラフィックなどを活用し、取得したデータを分かりやすくファンにお届けし、スポーツに新たな視点を創出することが最大の特徴であります。
また取得したデータはワンソース・マルチユースを目指し、ファンの方々の利用に留まらず、競技現場の選手や監督、チーム経営者や管理者、スポーツコンテンツ制作に関わるスタッフの方々にデータ解析を通じた新たな洞察やDXを通じた利便性を提供することも特徴であります。
今後は、スポーツベッティング市場への参入に向け、あらゆるスポーツのデータを取扱い、そのデータを分析予想をするためのベッティングに関するシステムの開発を行い、DRAGON DATA CENTERにおける収益モデルの創出をいたします。
■受託開発、医療DX
2023年10月24日付でworkhouse株式会社の一部の事業譲受により、新たなプロダクト開発、AI領域における研究開発やウェブサービスなどの受託開発を行っております。特徴として、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)テクノロジーを利用したWebサービスやアプリ、AI(人工知能)を活用した自動応答システム(チャットボット)などの次世代型新サービスに関する開発を強みとしており、AI・IoTなど先端技術によるさまざまなソリューションの提供を行っております。
当社の事業系統図は、以下のとおりとなります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における日本国経済は、新型コロナウイルス感染症にかかる行動制限の緩和等により経済活動が徐々に正常化に向かっている一方で、全世界的なインフレの長期化や為替相場の変動による消費者物価の上昇、頻発する異常気象など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況下、当社が属するデジタルトランスフォーメーション市場は引き続き成長するものと見込まれており、デジタルマーケティングを支援するサービスへの需要は一層高まっております。また、株式会社電通「2023年日本の広告費」によると、インターネット広告の市場規模は2023年に前年比7.8%増の3兆3,330億円となり、引き続き拡大傾向にあり、堅調な成長を続けております。
上記のような経済環境の中、サイト解析ツールの機能拡充、IT導入支援事業者として認定、動画制作体制の強化、競馬予想AIのサービス拡大、オンラインセミナーの実施、YouTubeチャンネルでの発信等、拡大を続けるインターネット広告市場と、インターネット利用者のニーズに応えるべくソリューションを提供してまいりました。また、2023年10月24日付でworkhouse株式会社の一部の事業譲受により、AI領域におけるコア人材を確保し新たな技術力を獲得できたことから、新たなプロダクト開発、AI領域における研究開発やウェブサービスなどの受託開発も行ってまいりました。
この結果、当社の当事業年度の経営成績は、売上高1,523,120千円(前期比2.9%増)、営業利益142,907千円(前期比69.0%減)、経常利益143,037千円(前期比68.6%減)、当期純利益59,491千円(前期比80.0%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(SaaS事業)
SaaS事業においては、「SiTest(サイテスト)」のツール販売だけでなく、SiTestを活用した付随する解析サービスの提供によって、堅調に売上を増加させることができました。それが実現できた理由といたしましては、現状まで培われたデジタルマーケティングにおける実績やノウハウ、今期よりアウトバウンド部隊の立ち上げによる営業体制の強化が寄与しております。セールス、カスタマーサクセス、コンサルタントの人材教育によって、一人当たりの受注獲得件数や運用担当件数が増加したことにより、安定的な収益基盤を築くことができました。また、関連するサービスとして、ウェブサイトやランディングページの制作、コンサルティングの売上が伸長してきていることも要因の1つです。
この結果、当事業年度における売上高は619,057千円(前期比6.8%増)、セグメント利益は334,785千円(前期比4.9%減)となりました。
(マーケティングソリューション事業)
マーケティングソリューション事業においては、取り組みとして従来のインバウンド営業に加え、今期よりアウトバウンド部隊の立ち上げによる営業体制の強化により、既存顧客からの継続的な発注依頼、協業パートナー企業からの案件受注を推し進めております。業務提携先企業への人材派遣ではマーケティング支援を行いながら広告案件依頼に繋げる取り組みができており、広告予算案件の受注に繋がっております。動画をはじめとしたクオリティの高いクリエイティブ制作の受注も逓増しており、市場の動向から特に動画広告の需要がより高まることも想定されるため今後の案件増加にも期待できます。なお、前年同期比で売上が減少している要因としましては、前年の大型のスポット案件獲得によるものでありますが、継続的な大型案件の獲得も進み、更なる新規の獲得を進めてまいります。
この結果、当事業年度における売上高は696,945千円(前期比6.8%減)、セグメント利益は299,461千円(前期比32.9%減)となりました。
(SPAIA事業)
SPAIA事業においては、SPAIA競馬では、顧客満足度向上を目的としたシステム開発・サービス改善施策を実施したことやシェア獲得の強化へ重点をシフトし無料会員の獲得の強化をしたことにより、有料会員数は漸減したものの、無料会員数は前事業年度末日に比べ117.3%増加し、99,178人となりました。プロ野球やJリーグの勝敗予想コンテンツを兼ね備えたスポーツメディアプラットフォームのSPAIAでは、他のプロスポーツ及び海外のスポーツデータも取入れたことにより、会員数は前事業年度末日に比べ126.0%増加し、25,755人となりました。
新たな展開として、スポーツエンターテインメント分野において、あらゆるスポーツ・競技の魅力を最大限にファンにお届けするプロジェクトを進めることとし、その一環としてスポーツデータセンター「DRAGON DATA CENTER(ドラゴン データセンター)」の開設に向けてプロジェクトを開始いたしました。
また、2023年10月24日付でworkhouse株式会社の一部の事業譲受により、AI領域におけるコア人材を確保し新たな技術力を獲得できたことから、新たなプロダクト開発、AI領域における研究開発及びウェブサービスなどの受託開発も行いました。
この結果、当事業年度における売上高は207,118千円(前期比35.5%増)、セグメント損失は211,793千円(前期は115,331千円の損失)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産の残高は3,224,518千円となり、前事業年度末に比べ316,448千円増加いたしました。これは主にworkhouse株式会社の一部の事業譲受等による現金及び預金の減少419,286千円、売掛金及び契約資産の増加187,834千円、事業譲受に伴うのれんの増加263,796千円、投資事業組合への出資による投資有価証券の増加87,204千円、繰延税金資産の増加123,844千円、投資その他の資産のその他の増加57,557千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債の残高は1,846,434千円となり、前事業年度末に比べ255,338千円増加いたしました。これは主に新規借入による長期借入金の増加286,331千円、買掛金の増加98,933千円、未払法人税等の減少106,258千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は1,378,084千円となり、前事業年度末に比べ61,110千円増加いたしました。これは主に利益の計上による利益剰余金の増加59,491千円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は1,738,947千円となり、前事業年度末に比べ419,286千円減少しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、148,820千円の支出となりました。これは主に税引前当期純利益94,463千円の計上、仕入債務の増加98,933千円があったものの、売上債権及び契約資産の増加187,834千円、法人税等の支払額162,858千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、604,417千円の支出となりました。これは主に事業譲受による支出400,000千円、投資有価証券の取得による支出90,000千円、敷金の差入による支出58,937千円、無形固定資産の取得による支出50,210千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、333,951千円の収入となりました。これは主に長期借入による収入550,000千円、長期借入金の返済による支出177,443千円、社債の償還による支出40,000千円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り及び仮定を必要としております。これらの見積り及び仮定については、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に際して採用する会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 「経理の状況」1「財務諸表等」(1)「財務諸表」「注記事項」(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当事業年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③ キャッシュ・フローの状況分析・検討の内容並びに資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況分析の詳細につきましては、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金は、主に金融機関からの借入であります。当事業年度末における現金及び現金同等物は1,738,947千円であり、十分な流動性を確保しております。当社は、インターネット広告運用代行における広告費が大部分を占めており、今後も安定した運用環境の維持及び大型案件、M&A等へ備えるための十分な資金を確保する方針であります。必要な資金につきましては、自己資金のほか、金融機関からの借入によるデットファイナンス等により、資金調達を行う方針であります。
④ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2「事業の状況」 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、より高い成長性及び収益性を確保する視点から、売上成長率及び経常利益を重視する経営指標と捉えております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2「事業の状況」1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、3「事業等のリスク」及び4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積りに用いた仮定」に記載しているとおりであります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2「事業の状況」1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」」をご参照下さい。