リスク
3 【事業等のリスク】
当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。また、当社として必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
① 法的規制について
(顕在化可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)
当社は、主力である先端エンジニアリング事業では労働者派遣法など、様々な法令の規制を受けております。社会情勢の変化に応じてこれらの法制度の改正、強化、解釈の変更などが想定されます。当社は、諸法令に対し、遵法を旨として経営にあたっておりますが、その対応により新たな負担の発生や事業展開の変更を求められることも予測され、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。先端エンジニアリング事業は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)に基づき、厚生労働大臣より労働者派遣事業の許可を取得しております。
労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、当社が一般労働者派遣事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)、及び、当該事業許可の取消事由(同法第14条)に該当した場合には、厚生労働大臣が事業許可の取消、業務の停止を命じることができる旨を定めております。現時点において認識している限りでは、当社においてはこれらの法令に定める欠格事由及び取消事由に該当する事実はありません。しかしながら将来、何らかの理由により許可の取消等が発生した場合には、当社の主要な事業活動に支障をきたすとともに、事業遂行に支障が生じ、業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
また、当社は関係法規の遵守に努めておりますが、何らかの事情で、取引先や協力会社において適格要件を欠くなどの労働者派遣法違反や偽装請負問題などが発生した場合には、当社の社会的信用の失墜を招くとともに、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
リスクへの対応策として当社管理本部にて顧問弁護士と連携し、法的規制の動向については常に注視し、臨機応変に対応できる体制を取っております。
当社は前述の労働者派遣法の他、職業安定法、労働基準法等の労働関連法令等により、規制を受けております。法令の変更、新法令の制定、又は解釈の変更等が生じた場合、当社の事業が制約されることが考えられます。そのような事象が生じた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(許認可等の状況)
② 人材の確保及び育成について
(顕在化可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社の事業活動は人材に大きく依存しており、優秀な人材の確保・定着及び育成が重要であると考えております。しかしながら、優秀な人材の確保・定着及び育成が計画どおりに進まない場合、優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
③ 市場の景気動向及び顧客企業の景況感について
(顕在化可能性:中/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、顧客企業の要望に応えるサービスを提供し続けることで、創業以来赤字を一度も計上しておらず、第12期より増収を継続しております。しかしながら、金融危機や大規模な自然災害等の事象、経済環境の変化等により景気が悪化した場合、顧客企業における業績悪化に伴う経費の削減や人事方針の転換等により、顧客企業からの受注が減少し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
④ 労務管理について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、月次での長時間労働の状況及び残業発生見込みの確認を行う等、長時間労働の発生を未然に防ぐ労務管理体制を整備しております。しかしながら、エンジニアの約9割が顧客企業先へ常駐して設計・開発プロジェクトに参画していることから、顧客企業先の受注案件の納期がひっ迫する等、やむを得ない事情により長時間労働が発生し、過重労働を起因とした健康問題や業務事故の発生及びそれに伴う訴訟、従業員の士気の低下等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 技術革新への対応について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、先端テクノロジーを積極的に導入するため、優秀なエンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備により最新の技術動向や環境変化を把握できる体制を構築することで、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、技術革新等への対応が遅れた場合や、開発費等の予想を超える多額の費用が発生した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑥ システム障害について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、人為的ミス、通信ネットワーク機器の故障、ソフトウエアの不具合、サイバー攻撃、自然災害等により、システム障害が発生する可能性があるため、社内システムの定期的なバックアップ等を講じておりますが、システム障害が発生した場合には、当社の事業運営に支障が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 情報管理について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、業務に関連して多くの機密情報及び個人情報を取り扱っており、厳格な情報管理が求められていることから、ISMSの認証取得及びプライバシーマークを取得し、情報管理の徹底を図っております。しかしながら、人為的ミス、コンピュータウイルス、第三者による不正アクセス等により機密情報及び個人情報の外部への漏洩が生じた場合、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 新規事業に係る投資について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、先端エンジニアリング事業の単一セグメントであり、今後のさらなる事業拡大に向けて新規事業を展開していくことが必要であると考えております。そのため、新規事業の開発や新サービスの提供などを企画・検討しております。しかしながら、予測不能な外部環境の変化により開発した新規事業や新サービスが期待どおりの成果をあげられない場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 品質や納期について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、エンジニアによる業務遂行に際して、技術勉強会の開催によるスキルアップ機会の提供や、e-ラーニング環境の整備による資格取得や技術力の向上を図ることにより、顧客企業先の求めるサービスを提供しております。しかしながら、顧客企業先の求める品質の作業を提供できない場合や納期通りに作業できない場合に、顧客企業先との契約の解除や取引の停止等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑩ 競合他社による影響について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、提案力、人材力等の強化、付加価値の高いサービスの提供等により顧客との良好な取引関係の維持等に積極的に取り組み、競争優位性を確保し、品質及び価格の維持向上に努めております。しかしながら、競合他社のサービス力の向上や価格競争の激化により当社の競争力が相対的に低下した場合、収益性の低下等を招き、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑪ 訴訟について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、本書提出日現在において、第三者から訴訟を提起されている事実はありません。当社は、法令遵守に努めておりますが、事業活動を行う中で、訴訟、その他の法律的手続の対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑫ 特定人物への依存について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社設立の中心人物であり、創立以来当社の事業を牽引してきた代表取締役会長兼社長である西川三郎は、経営方針や事業戦略の立案・実施において、極めて重要な役割を果たしております。また、西川三郎及び西川三郎の資産管理会社である株式会社ウェストリバーは当社の大株主であり、親族の所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の63.9%を所有しております。
当社では、過度に西川三郎へ依存しないよう、経営幹部の拡充・育成・権限委譲による組織的業務執行体制の構築を行っておりますが、何らかの理由により西川三郎による当社の業務執行が困難となった場合、現状においては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
西川三郎、その同族関係者及び株式会社ウェストリバーは、その議決権行使にあたって株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しており、また、今後も当社の流通株式比率を高めるための一部売出しの要請に応えつつ中長期的に一定の当社株式を保有する方針と認識しておりますが、何らかの事情により、市場で当該株式の一定以上の売却が行われた場合や売却の可能性が生じた場合は、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社の利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を継続していくことを基本方針としております。
配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の配当につきましては、1株当たり77.00円の配当を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は49.5%となりました。なお、前事業年度に係る配当金につきましては、1株当たり55.00円の配当を実施致しました。これは、利益配分に関する基本方針に基づき、第20期より配当金は当期純利益の50%を目標とした配当性向を基準としたことによるものであります。この結果、前事業年度の配当性向は47.3%となりました。
内部留保資金につきましては、中長期的な視点に立ち、人員の拡充、技術革新への対応等、将来に向けた経営基盤の強化を目的とした投資などに活用し、企業価値の向上を図っていく所存であります。
当社は、「取締役会の決議により、毎年5月31日を基準として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。