2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

 

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものです。また、当社グループのリスク管理の概要及び運用状況は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。

 

① 国際紛争・テロ等の社会的混乱

(リスク)

当社グループは、国内と共に北米・欧州を主要な拠点として事業展開しており、国際紛争やテロ等が発生した場合には、各拠点における事業の中断や物流の寸断等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、国際紛争やテロ等に対する事業継続計画(BCP)を定めていませんが、事象の実態を見極め、必要に応じて各拠点・部門・子会社(SPCを含む。)等において個別に作成した事業継続計画(BCP)を参考に事業の継続に取り組みます。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に対しては、海外子会社と連携を密にし、従業員及び家族の安全を最大限に優先した上で、事業の継続に取り組んでいます。

 

 

② 自然災害、感染症等のパンデミック

(リスク)

当社グループの拠点及び当社グループが受託した建設・運転維持管理等の現場において、大規模な自然災害(地震、豪雨、台風、洪水等)が発生した場合には、現地工事の中断及び損壊や現地稼働設備の停止及び損壊等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業は、国内外の公共事業の占める割合が高く、特に国内においては、全国で事業活動を実施しているため、新型コロナウイルスのような感染症が発生した場合には、現地工事の中断・中止、運転維持管理の作業中止等により、当社グループの業績への影響と共に顧客及び地域住民に多大な影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、自然災害及び感染症の発生等に備え、「事業継続マネジメント(BCM)規程」及び「事業継続計画(BCP)」を策定し、これらの規程等に基づき、各拠点・部門・子会社(SPCを含む)等において個別に事業継続計画(BCP)を定めています。また、定期的に各拠点において災害等を想定したBCP訓練を実施しています。

 

③ 法令順守・コンプライアンス

(リスク)

当社グループの事業は、公共事業の占める割合が高く、入札制度及び建設業法を始め様々な法的規制の適用を受けており、法令違反があった場合には、指名停止や建設業の許可取消処分等を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、法令順守の意識の醸成を図るため、「コンプライアンス規程」を制定し、コンプライアンスプログラムとして、社内ルール・監視・監査・教育の各側面において役割や実施方法等を定めています。コンプライアンスプログラムの運用状況は、当該年度の終了後にサステナビリティ委員会のガバナンス分科会において取りまとめ、当委員会及び経営会議、取締役会に報告しています。

 

④ 情報漏洩・セキュリティ

(リスク)

当社グループの事業活動において、情報システム(携帯電話、モバイルPC等を含む)の利用頻度や重要性が増大するなか、サイバー攻撃やコンピューターウイルス等も進化しており、情報システムへの感染等が発生した場合には、情報の寸断や復旧対応等で業務が滞ることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、情報資産に対するセキュリティの向上を図るため、「情報セキュリティポリシー」及びその関連規程・基準等を制定し、情報システムの利用基準や管理方法、情報セキュリティ事故に対する対応方法等を定めています。サイバー攻撃やセキュリティ事故等による被害が発生した場合には、情報セキュリティ統括管理者を責任者として、情報収集や対応策等を実施し、サステナビリティ委員会のガバナンス分科会にて情報セキュリティのインシデント状況等を整理し、当委員会及び経営会議、取締役会に報告しています。

 

⑤ 人財採用・教育

(リスク)

当社グループの事業は、公共事業の占める割合が高く、建設業法に基づく技術者の確保が重要であり、採用及び教育に努めていますが、近年の少子高齢化による人口減少により技術者の確保が困難となることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは人を最大の財産と捉え「人事理念」を定め、社員と企業が共に成長していくための取り組みを実施しています。当社は「働きたい会社No.1」を目指すなかで、社会の変化やニーズに対応し、働き方改革、教育、支援等の様々な取り組みを実施しています。

 

⑥ 技術・調達及び価格競争力

(リスク)

当社グループの事業は、公共事業(主に上下水道事業)が大半を占めており、入札制度が適用されています。落札に際して、応札時の価格や技術力(性能等)、経営成績等が非常に重要となっていますが、当社製品・調達品の価格上昇や競合他社による新製品の市場投入等により競争が激化した場合には、受注高の低下や収益性の悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(対応策)

当社グループは、全社横断で研究開発の方針及び開発テーマの選定等を実施するため、開発戦略委員会を設置しています。中長期的な成長に向けて、製品開発・ソリューション開発・新事業開発等を推進しています。また、価格競争力の向上に対して、エンジニアリングツールの採用による合理化や製品・システムの改良によるコストダウン等を継続的に実施しています。近年の半導体の需要拡大、新型コロナウイルス感染症からの経済回復やウクライナ情勢の長期化等による半導体不足や原材料の高騰等に対して、電気製品の貯蔵化、物価上昇に対する顧客交渉等に取り組んでいます。

 

⑦ 安全衛生

(リスク)

当社グループは、公共事業における機械設備及び電気設備の工事を主な事業としており、建設現場において労働災害等が発生した場合には、従業員の安全を脅かすだけでなく、顧客(地方自治体)から指名停止措置等を受ける可能性があり、一定期間入札に参加できなくなること等により受注機会を損失し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、従業員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するため、「労働安全衛生管理規程」や関連規程・基準を制定しています。また、全社安全衛生委員会において安全方針及び重点実施事項等を決定し、安全衛生の向上に取り組むとともに、当該年度の安全衛生状況を管理し、適宜対応策を検討しています。

 

⑧ 製品・サービスの品質管理

(リスク)

当社グループは、製品・システム・サービス等を提供しています。当社グループ及び調達先において品質の確保及び向上に努めていますが、予期せぬ事象等により品質問題が発生した場合には、顧客(地方自治体)に多大な迷惑をかけるとともに、復旧や信頼回復に係るコスト負担等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社は、顧客及び社会が求める製品及びサービスを持続的に提供するために、「品質管理規程」やその関連規程・基準等を制定しています。また、全社品質保証委員会において、品質方針及び重点施策等を決定し、品質向上に取り組むと共に当該年度の品質の状況を管理・共有し、適宜対応策を検討しています。

 

⑨ その他の関係会社等との関係

(リスク)

当社の大株主である日本碍子株式会社及び富士電機株式会社は、当期末現在において、それぞれ当社株式8,620千株(議決権所有割合19.77%)及び9,100千株(議決権所有割合20.87%)を所有しています。また、当社グループは、日本碍子株式会社にセラミック膜の製造等の委託、富士電機株式会社に配電盤の製造等の委託を行っているため、適正な取引等がなされない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社は、調達品の取引における価格等の取引条件について、市場実勢等を参考にし、一般取引と同様に見積書をベースとして、その都度交渉の上で決定しており、決裁権限の手続き等を定めた「職務権限規程」に基づき、管理部門が合議に加わる等により、管理機能を強化しています。また、監査役監査や内部監査による取引内容の事後的なチェックを行うとともに主要株主との年間取引について整理の上、毎年、取締役会に報告し、取引の健全性及び適正性の確保に努めています。

配当政策

3 【配当政策】

 

当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議により定めることができる旨を定款に定めており、また、安定成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営状況に応じた株主への利益還元を継続して行うことを基本方針としております。

 

基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額 (百万円)

1株当たりの配当額 (円)

2023年11月14日

取締役会決議

941

22

2024年5月21日

取締役会決議

1,046

24

 

 

なお、2024年4月24日開催の取締役会において、剰余金の配当等の決定に関する方針を次のとおり変更しました。変更後の方針は2025年3月期の中間配当より適用します。

「安定成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営状況に応じた株主への利益還元を継続し、累進配当を行うとともに、連結配当性向30~40%を目指すことを基本方針とする。」