2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。

 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、顕在化の回避及び顕在化した場合の迅速な対応に努める方針であります。

 具体的には、当該リスクを把握し、管理する体制・枠組みとして当社内にコンプライアンス・リスク管理委員会を設置して対応しております。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ 企業統治の体制の概要 f.コンプライアンス・リスク管理委員会」をご参照ください。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

<経営環境に関するリスク>

(1)当社グループ事業が対象とする市場について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:重)

 当社グループの展開するChargeSPOT事業が属するモバイルバッテリーシェアリング市場は年々拡大しておりますが、モバイルバッテリーシェアリング市場の環境整備や新たな法的規制の導入、その他何らかの要因によってモバイルバッテリーシェアリング市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。当社グループは、アプリケーションと連携した広告展開や他社との差別化を推進することで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループのマーケティングソリューションの中心であるデジタルサイネージの市場では、広告配信手法や販売メニューが多様化し、競争が激化する傾向にあります。また、デジタルサイネージ市場の他に革新的な広告方法や広告配信技術が出現した場合、デジタルサイネージへの需要が縮小する可能性があります。当社グループは、広告効果の継続的なモニタリングや新機能や新たな技術の研究開発を推進することで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合環境が激化するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

 当社グループの展開するモバイルバッテリーシェアリングサービスは規制業種ではなく、また、モバイルバッテリーやバッテリースタンドの製造はOEMが可能なため、同サービスへの参画企業の増加による競合激化リスクが存在します。

 サイネージサービスにおいては、例えば銀行業におけるATMでのデジタルサイネージ等、既にさまざまな業種でデジタルディスプレイによるサイネージサービスが展開されております。これら競合となり得るサービスはこれからも増加することが想定されます。

 当社グループが展開するChargeSPOT事業のモバイルバッテリーシェアリングサービスのマーケットシェアは、国内におけるバッテリースタンド設置台数ベースで約8割を占めており、収益基盤は安定していると考えております。また、サービス開始時から、カスタマーサポート体制の充実、バッテリーの偏在を解消するためのシステムの精緻化、バッテリースタンドおよびバッテリーの改善など、ユーザーの利便性と設置先さまの安心感を高めるための取り組みを進めてまいりました。バッテリースタンドの設置台数の多さとサービスレベルの高さは、当社サービスにとっての競合優位性であると言えます。

 当社グループは、今後もバッテリースタンド設置台数及びユーザー数拡大、サービスレベルのさらなる向上に向けて種々の施策を講じていく計画ですが、競合環境の激化によりこれらの計画が想定どおり進行しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

※ 2023年12月末時点の当社グループの設置台数と競合他社が公表している台数を基に当社で算出

 

 

(3)技術革新について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:重)

 近年、スマートフォンやモバイルバッテリーに関連する新しい製品やテクノロジーが次々と開発されております。ChargeSPOT事業を牽引するニーズはスマートフォンの電池性能に大きく影響されるため、将来発売されるスマートフォンの内蔵バッテリーの電池性能の向上は、当社グループの事業活動及び業績に大きな影響を与えます。当社グループが、これらの変化へ適切に対応できない場合、当社グループの業界における競争力が低下する可能性があります。当社グループにおいては、関連するテクノロジーの最先端である中国広東省広州市に研究開発拠点を設け、最新の技術革新への対応を図ることにより当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの発生によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 スマートフォンに内蔵されるリチウムイオンバッテリーは、購入後2年が経過した時点を目安に電池充電容量が80%まで低下する性質を持っています※1。一方で、スマートフォンの買い替え周期は機種の高額化などによって長期化しており、2022年時点ではおよそ4年7ヶ月になっています※2

 バッテリーの内蔵電池容量は1994年以来、年平均で約11%増加していますが、同時にディスプレイの高精細化、アプリケーションの高容量化などによってスマートフォンの消費電力量も年間平均17.9%増加しています。その結果、電池容量と消費電力の差分は28年累計で5倍の乖離が発生しています。

 リチウムイオン電池の性能は負極材料の改良等による改善の可能性があるものの、現在の電池性能を大きく上回り、上記のとおり今後一層の増加が予想される消費電力を完全に賄うことができる程のイノベーションが発生する可能性は必ずしも高くないと考えております。また、リチウムイオン系の電池以外の電池技術に関しても、技術及び価格の両側面においてスマートフォンで利用可能となるまでに相当程度の長期間を要するものと考えております。

 当社グループは、バッテリー技術の動向を継続的にモニタリングしており、重要な技術革新には遅滞なく打開策を策定してまいります。しかしながら、当社グループの想定していない電池分野における急速な技術革新により、重度なスマートフォン利用にもかかわらず長時間追加充電を必要としないバッテリー等、消費電力の増加を賄うことができる高性能なバッテリーを内蔵したスマートフォンが広く普及する事態となった場合には、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

※1 「移動端末用リチウムイオン電池の容量劣化特性」(NTT DoCoMo テクニカル・ジャーナル)による

※2 内閣府「2022年度版・消費動向調査」

 

(4)通信インフラ環境やネットワーク環境について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)

 当社グループが展開するChargeSPOT事業は、通信インフラ環境やサーバー等のネットワーク環境に依存しております。当社グループは、安定的なサービス提供のため、通信業者の分散化、サーバーの負荷分散及び監視強化、障害が発生した際に早急に復旧するための体制整備等を進めております。しかしながら、自然災害や事故、サイバー攻撃、サービス利用者急増に伴う負荷、その他何らかの事由によって当該環境に障害が発生し、サービスを停止せざるを得ない状況となった場合は、機会損失、顧客への損害の発生、サービスに対する信頼性の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)海外に事業を展開していること(政治や規制、為替など)(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)

 当社グループは、日本国内のほか、アジアを中心に海外でも事業を展開しております。また、ChargeSPOT事業で使用するモバイルバッテリー及びバッテリースタンドの研究開発拠点及び生産委託先企業は中国にあります。当社グループは、中国以外に所在する生産委託先の開拓を進める等、同国への依存度の低下を推進しておりますが、同国の政治・経済・社会情勢の変化に伴い、事業環境の悪化や従業員の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、政治的・経済的要因等により、予期できない投資規制、移転価格税制を含む税制や法的規制の変更等が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、本書の提出日現在、当社グループでは、為替予約等は行っておりませんが、当該リスクの変化を継続的に評価するとともに、今後は、為替予約等のリスクヘッジ取引の利用を検討してまいります。

 

 

 

(6)自然災害等について(顕在化の可能性:-、顕在化の時期:-、影響度:中)

 地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電(以下「自然災害等」という)が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの主要な事業拠点である日本の首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供等がやむを得ず一時的に停止する可能性もあり、当社グループの信頼性やブランドイメージを毀損する可能性があります。

 当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等、有事の際の対応策の整備を進めております。また、自然災害等の発生によって首都圏での災害後対応が難しい場合には他エリアの営業拠点に災害対策本部を設置することを想定しています。しかしながら、自然災害等の発生による影響を完全に回避できる保証はなく、物的、人的損害が甚大である場合には事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。

 このように、自然災害等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)感染症について(顕在化の可能性:-、顕在化の時期:-、影響度:中)

 当社グループが提供するサービスは、ヒトの移動に深く連動しており影響を受けます。感染症拡大に伴い政府による緊急事態宣言等が発令された場合、外出自粛や飲食店・サービス業の運営自粛により人流が抑制され、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、コンビニエンスストア等の外出制限時にも往訪頻度が高い場所へバッテリースタンドの設置を進めることで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、生産拠点である中国国内で感染症が拡大した場合は、生産委託先の工場の閉鎖、工場作業員の感染による生産性の低下などのリスクがあります。当社グループでは年間の発注計画を早期に取りまとめ、オーダー時期を早める事で納期遅延のリスク低減を図っております。また、工場の閉鎖が長期化した場合には、生産委託先工場の中国外の拠点に生産ラインを変更できるように体制を整えておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)風評被害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:-、影響度:軽)

 当社グループの事業運営に関し、悪意を持った第三者が、意図的に噂や憶測、悪評を流すなどした場合は、当社グループに対する誤解、誤認、誇大解釈等が生じる可能性があります。その場合、顧客マインドにマイナスの影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、倫理規程の周知やコンプライアンス研修の実施により、役職員のコンプライアンス意識の醸成を図ることで健全な企業経営を推進してまいります。また、悪意のある風評等には毅然とした姿勢で対応する方針です。

 

<経営戦略に関するリスク>

(9)継続的な投資と損失計上について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 当社グループの展開するChargeSPOT事業は、投資が先行し、事業規模の拡大につれて収益性が高まるという特性があります。

 当社グループは、スピード重視の経営と積極的な投資を実施し事業規模が拡大した結果、2023年度12月期の連結業績が黒字化いたしました。今後も引き続き国内事業への投資を継続するほか、海外新規エリアへの直接投資を行う可能性があります。投資については財政状況を見ながら決定し、今後も黒字が継続するものと考えておりますが、当該投資によっても当社グループが想定している成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)フランチャイズについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:軽)

 当社グループの海外展開においては、効率的な事業運営のため、当社グループの中国の一部、台湾、タイ及びシンガポールにおけるChargeSPOT事業は、フランチャイズ契約により展開しております。フランチャイジーの選定においては、現地での事業運営に寄与する営業力や経営資金を有することを重視しており、現地でのビジネス立ち上げのスピードを早めております。しかしながら、何らかの理由で事業の立ち上げや運営に支障が生じた場合や、フランチャイズ先においてブランドイメージ等に悪影響を及ぼすような事態が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)新規事業、業務提携や企業買収等について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 当社グループが事業を運営していく中で継続的な成長性や収益性等を維持するためには、新規事業への挑戦や他社との業務提携または企業買収(以下、「企業買収等」という)が必要となる可能性があります。その際、当該企業買収等が想定した成果を得ることができず、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループにおいては、企業買収等を実施する前に外部専門家による綿密なデューデリジェンスや事業価値評価を実施することで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<企業体制に関するリスク>

(12)内部管理体制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 当社グループは、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の整備、運用が追いつかない場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)有能な人材の確保・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

 当社グループの事業においては、各業務分野において専門性を有する人材が必要であり、今後とも業容拡大に応じて継続した人材の確保が必要であると考えております。特に「ACT GLOBAL」を目指す上で重要な、グローバルでの知見を持つ人材の確保を重要事項と定め、採用に取り組んでおります。

 当社グループにおいては、優秀な人材を採用するための手法を取り入れつつ採用広報を積極的に実施することで安定的な人材の確保に努めております。しかし、今後、各業務分野及び地域における人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材の獲得が困難となる場合又は在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)特定の人物に対する依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:重)

 当社グループの創業者は、当社の代表取締役社長兼執行役員CEOの秋山広宣であります。同氏は、日本語の他、英語、中国語を使いこなすことができ、また、中国におけるネットワークを有していることから、当社グループの海外展開において重要な役割を担っております。さらに、当社設立以来、経営方針や経営戦略の決定等の事業運営において、重要な役割を果たしております。当社グループとしては、特定の役職員に依存しない組織的な経営体制の構築に努めておりますが、専門的な知識、技術及び経験を有する同氏に、何らかの理由によって不測の事態が生じた場合、又は、同氏が早期に退任するような事態が発生した場合には、当社グループの事業展開及び業績等に影響を与える可能性があります。

 なお、当連結会計年度の関連当事者取引の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおりであります。

 

<事業運営に関するリスク>

(15)モバイルバッテリー及びバッテリースタンドの不具合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 当社グループがChargeSPOT事業で使用するモバイルバッテリー及びバッテリースタンドは、市場投入後に不備が発生し、想定していた収益を生まない可能性や当該製品の回収費用等が発生する可能性があります。

 当社グループでは、製造委託先の分散化を進めており、品質に問題が発生した場合の損失軽減を図っております。また、製品の検品体制を強化しており、開発段階のみならず量産段階においてもパーツごとの耐久テストを継続的に行っております。さらに、安定した品質を保つべく常時デザインの改良を行っており、新しいデザインを市場に投入する際は、研究開発拠点の近郊市場で実稼働テストを行った上でグローバル展開に移行することでリスクの最小化を図っております。

 品質管理部門においては、隔週で日本と中国間の情報共有の場を設け、製品品質に問題が無いことを確認しております。また、想定されるリスクについては、四半期に一度のコンプライアンス・リスク管理委員会で定常的な検討を行い、万が一品質に問題が発生した場合やその可能性を認識した場合は、直ちに臨時のコンプライアンス・リスク管理委員会を召集し迅速に対応することとしております。

 

 昨今では、インターネット等で日本の安全基準を満たしていない海外製のモバイルバッテリーの流通が増えているほか、モバイルバッテリーを自動車内に放置するなどの危険な使い方が起きていることによって、バッテリーから発火する事故が発生しています。当社グループで使用しているモバイルバッテリーは、「電気用品安全法」(PSE法)に定められた「電気用品」に該当し、当該基準に適合しているものです。引き続き安全性の高いバッテリーを使用するとともに、ユーザーに対してはモバイルバッテリー全般を危険な形で使用しないように啓蒙活動を実施してまいります。

 当社グループでは、上記のような対策を講じリスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)バッテリースタンドの設置先について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:重)

 当社グループがChargeSPOT事業で使用するバッテリースタンドの設置先は、ユーザーにとって利便性が高い場所にあるという理由からコンビニエンスストア内の占める割合が相対的に高い状態となっております。かねてより、複数のコンビニエンスストアチェーンに導入していただいているほか、他業種への設置も進め、リスクの低減化を図っております。

 しかしながら、何らかの理由で大手コンビニエンスストア等との設置契約が継続的に更新されない場合は、バッテリースタンドの設置台数が大幅に減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)ラウンダー委託会社について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:-、影響度:重)

 当社日本法人では、バッテリーの偏在を解消するためのラウンダー作業を外注しております。半数ほどの作業を「スポットワーカー」のマッチングプラットフォームを経由して依頼しておりますが、プラットフォームの運営企業に予期せぬ事態が発生した場合、偏在解消作業が滞る可能性があります。

 当社では、軽貨物配送サービスを展開する企業にも委託を行う、エリア内でのラウンダー担当アルバイトを採用するなどして分散を図っており、サービス停止時の移管先も確保しておりますが、当該事象が発生した場合、サービスの品質低下によって財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)主要な原材料について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 当社グループが委託生産しているモバイルバッテリー及びバッテリースタンドにはディスプレイや汎用モジュールなどの多くの部材が使用されております。当社グループは、仕入先の多角化を進めるとともに、一定数の在庫を確保しております。需給バランスの崩れ等により購入価格に影響がでた場合や計画通りに購入できない場合にも即時に影響が出ないように対策を行なっておりますが、長期的に購買ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)製造物責任について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 当社グループがChargeSPOT事業で使用しているモバイルバッテリー及びバッテリースタンドは、中国本土の外部工場へ生産委託を行っておりますが、製品開発は当社グループが行っており製造物責任を負っております。そのため、予期しない理由で発生した事故等により、当社グループの社会的信用の低下や多額の賠償義務が生じる場合があります。当社グループは、当該外部工場に厳格な品質管理体制の構築を求めること及び賠償責任保険の付保により当該リスクの低減を図っております。また、大型のバッテリースタンドについては倒れにくい設計にしているほか、必要に応じて設置時の固定を実施し転倒による事故を防いでいます。しかしながら、当該リスクの顕在化によって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)情報セキュリティについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:-、影響度:軽)

 当社グループは、ユーザーの個人情報、その他業務上必要な情報を保有しております。当社は、このような機密性の高い情報を適切に管理するため、プライバシーマーク(JISQ15001)を取得し、個人情報保護規程等の社内規程に基づいた情報管理に関する社内ルールの周知徹底をはかる等、セキュリティ対策には万全の措置を講じております。また、情報漏洩等が発生した場合の社内対応フローを整えると共に、社内外の専門家に相談できる体制を設けております。加えて、サイバー攻撃を予防、検知し、対応する体制を構築しております。

 しかし、万が一これらの情報がサイバー攻撃等によって漏洩した場合は、当社グループの信用やブランド価値が毀損し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<規制等に関するリスク>

(21)法的規制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:重)

 当社グループがChargeSPOT事業で使用しているモバイルバッテリー、バッテリースタンド等は、「電気用品安全法」(PSE法)に定められた「電気用品」に該当するため、この法律による規制を受けております。

 当社グループの製品は当該法律の基準に適合しており、製品製造にあたっては厳格な品質管理体制を整備・運用しておりますが、製造・検品の工程に重大な欠陥があった場合、予見できない不具合等が生じた場合、または将来の法改正等によって当該基準に不適合となった場合は、事業活動が制限され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社日本法人においてはバッテリーの偏在を解消するためのラウンダー作業の一部を「スポットワーカー」のマッチングプラットフォームを経由して委託していますが、このような労働形態に規制が設けられた場合、サービスの提供に影響を与え、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22)許認可について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:軽)

 当社グループは、製品規格に関する認証や海外グループ会社の設置のための法人認可等、事業を営む上で様々な許認可を取得しており、かかる許認可に基づく基準を遵守する取り組みを行っております。そのため、将来において、法令の変更や許認可の有効期限到来時の更新のため、更なる対策を講ずる費用が生ずる可能性があります。また、将来の事業領域の拡大の際に新たな許認可取得の必要性が生ずる場合には、当該許認可取得のための対策費用が生ずる可能性があります。さらに、何らかの原因で許認可の更新が適切に行われない場合、当社グループの事業運営に支障をきたす可能性があります。

 当社グループでは、社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備するとともに、規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応していく予定でありますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(23)知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 当社グループが提供するサービスについて、現時点で第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、弁理士・弁護士などの専門家に相談しながら知的財産権侵害を回避するための必要な措置を講じていく方針です。また、当社グループの保有する知的財産権が侵害されることがないよう、知的財産権の管理業務の一部を外部の専門家へ委託すると共に、関連部署が共同して知的財産権の保全に努めております。

 しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、または第三者により当社グループの知的財産権が侵害された場合は、当該第三者から損害賠償請求を受ける、または第三者からの権利侵害により不利益を被る等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<会計税務に関するリスク>

(24)固定資産の減損について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、回収可能性が見込めなくなった固定資産については減損処理を実施する方針であります。

 当社グループは、ChargeSPOT事業で使用しているモバイルバッテリー、バッテリースタンドを固定資産に計上しておりますが、当該資産から得られるキャッシュ・フローの状況等が悪化し、それらの回収可能性が著しく低下した場合には減損処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、各拠点ごとに「ChargeSPOT」の稼働状況に関する実績データを集積及び解析し、稼働が見込める場所に集中投資するなど設置戦略に反映することで当該リスクの軽減を図っております。

 

(25)税務上の繰越欠損金及び繰延税金資産について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:軽)

 当連結会計年度末において、当社グループには税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税等が課せられておりません。今後、繰越欠損金の使用、又は期限切れによる繰越欠損金の解消により、課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税等の負担が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討し、繰延税金資産を計上しています。しかしながら、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

<株主に関するリスク>

(26)配当政策について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、創業して間もないことから、現状では、持続的成長と事業拡大に向けた積極的な投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考え、創業以来配当は実施しておりません。

 将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して利益還元策を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。

 なお、内部留保資金については、更なる事業拡大のための設備投資、海外展開エリアの開拓のための投資、人材採用及び研究開発等に活用していく予定であります。

 

(27)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期、影響度:軽)

 当社グループは、役職員及び社外協力者に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。連結会計年度末日における新株予約権による潜在株式数は674,350株であり、これは発行済株式総数及び潜在株式数の合計10,054,125株の6.7%に相当いたします。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

<その他のリスク>

(28)事業歴が浅いことについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:-、影響度:中)

 当社は、2015年9月に設立され、2018年4月にChargeSPOT事業をローンチした比較的事業歴の浅い会社です。ChargeSPOT事業におけるモバイルバッテリーシェアリングサービスは、国内初の事業であり当社グループはそのマーケットリーダーでもありますが、未だ成長過程にあると認識しており、今後も積極的な成長投資等により一定期間業績が安定しない可能性があります。

 また、当社グループはIR・広報活動等を通じて積極的に経営状況を開示していく方針でありますが、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための有効な材料とならず、今後の業績等を判断する情報としては不十分である可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、創業して間もないことから、現状では、持続的成長と事業拡大に向けた積極的な投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考え創業以来配当は実施しておりません。

 将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して利益還元策を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。なお、内部留保資金については、更なる事業拡大のための設備投資、人材採用及び研究開発等に活用していく予定であります。

 剰余金の配当を行う場合は、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。

 なお、株主への機動的な利益還元を可能にするため、取締役会の決議により毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。