リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① 経済状況の変動に関するリスク
当社の経営成績は、一般的に国内の経済状況に影響されます。教育人材支援事業及び福祉人材支援事業においては、将来的に景気が停滞し、企業が人材の採用を抑制する場合には、求人の減少に伴い有効求人倍率が低下する可能性が考えられます。昨今では、ウクライナ情勢の長期化や物価上昇などの影響が景気全体に波及し、景気後退の要因となった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社の教育人材支援事業及び福祉人材支援事業においては、教育業界および福祉業界に特化した専門性の高い求職者を多く抱えることから、一般の人材紹介会社と比較すると、その影響は緩やかではありますが、当社の想定を超えた経済状況の変化が生じた場合には、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。また、個別指導教室事業においては、経済状況の悪化により家計における教育費支出が抑制され、学習塾へ通う生徒が減少し、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。同リスクの対策として、既存の事業の枠に捉われず、新たなビジネスを創出・推進することで経済状況が変動した場合であっても新たなビジネスチャンスを捉えることができるよう、努めてまいります。
② 少子化に関するリスク
当社は、教育分野において事業を展開しておりますが、少子化による児童数・生徒数の絶対的な減少という問題に直面しております。子ども1人当たりの教育費は増加傾向にあり、中学受験率も年々増加していることから、教育業界の市場規模は拡大していますが、家庭教師の会員数の減少や、学習塾や学校法人の減少が当社の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、個別指導教室事業においては、新規教室の出店と展開エリアの拡大を目指しており、少子化により既存教室の生徒数や出店計画が想定通り推移しなかった場合、当社の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、福祉人材支援事業においても、少子化による保育園や学童施設の減少により、当社の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 教育制度の変更に関するリスク
当社の事業のうち教育分野である教育人材支援事業及び個別指導教室事業においては、教育制度の変更に影響を受けます。学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置、大阪市塾代助成事業、構造改革特区並びに国家戦略特区等、行政による教育に係る制度変更は度々発生しております。このような制度変更に対して早期の察知及び、適切な対応ができなかった場合は、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 法的規制に関するリスク
a.人材紹介事業について
当社の人材紹介事業は、職業安定法に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を必要とします。当社は、2020年6月1日から2025年5月31日の間での許可を受けており、適宜更新をしております。教育人材支援事業及び福祉人材支援事業において、事業の運営に関して、現在は同許可の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、将来的に職業安定法第32条の9に定められた欠格事項等が判明した場合には、許可の取り消し、業務停止命令または業務改善命令の対象となるおそれがあり、それが当社の事業運営に大きな支障をきたす結果、経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。同リスクの対策としては、リスクマネジメントシステムの中で把握されたリスクに対してコンプライアンス・リスク管理委員会において、そのリスク対応策を決定し、その運用を継続することでリスクが低減された状態が維持されるよう、引き続き努めてまいります。
b.人材派遣事業について
当社では、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣の許可を受け労働者派遣事業を行っております。当社は、2020年6月1日から2025年5月31日の間での許可を受けており、適宜更新をしております。教育人材支援事業及び福祉人材支援事業において、事業の運営に関して、現在は同許可の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、将来的に更新が必要となった際に第7条の許可の基準に適合せず非継続となった場合、また、関係法令違反や、第6条に定められた許可の欠格事由に該当した場合及び第14条に定められた許可の取消事由に該当した場合には、許可の取消、事業廃止命令または事業停止命令を受けることがあります。同リスクの対策としては、リスクマネジメントシステムの中で把握されたリスクに対してコンプライアンス・リスク管理委員会において、そのリスク対応策を決定し、その運用を継続することでリスクが低減された状態が維持されるよう、引き続き努めてまいります。
c.労働関係法令における規制等について
当社は、人材紹介サービス、人材派遣サービス、委託・請負等を行っており、多数の有期・無期雇用労働者が就労し、労働関係法令における規制を受けます。法改正により労働環境が変化した場合、原価率や販管費の上昇や、必要な人材の確保が十分にできなくなる恐れがあり、その場合、当社の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 競合に関するリスク
当社が各事業を展開する各市場では、多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社より低い価格で同水準のサービスを展開した場合や斬新なサービスを提供した場合、当社のシェアが下がり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスクについて
① 新規事業に関するリスク
当社は、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業を開拓していく方針であります。実施にあたってはリスクを軽減するために必要な情報収集及び分析を行っておりますが、不確定要素が多く存在し新規事業の展開が予想通りに進まない場合、また、新規事業への取り組みに付随したシステム投資・研究開発費・広告宣伝費・人件費等の追加的な支出が発生した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 人材紹介サービスに特有の取引慣行に基づく返金制度に関するリスク
人材紹介サービスにおいては、当社の紹介した求職者が、求人先に入社した日付を基準に売上高を計上しております。当該サービスにおいては、人材紹介業界での取引慣行に基づき、求職者が入社した日から3ヵ月未満で自己都合により退職した場合は、その退職までの期間に応じて紹介料を返金する旨を求人先との契約に定めております。
教育人材支援事業及び福祉人材支援事業において、当社は求人先と求職者双方のニーズを十分に斟酌した上で人材紹介を進めており、過去の返金実績に基づき返金引当金を計上しておりますが、当社の想定した返金率を上回る返金が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 情報セキュリティに関するリスク
当社は、顧客および登録者等の個人情報、その他業務上必要な情報を保有しています。セキュリティ対策には万全の措置を講じておりますが、万が一これらの情報が漏洩した場合、当社の信用やブランド価値が毀損され、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 検索エンジンへの対応に関するリスク
インターネットユーザーの多くは、検索サイトを利用して必要な情報を入手しており、当社の各サービスにおいても、これら検索サイトから多くの利用者を集客しております。当社では、担当部署を設け検索エンジンの仕様変更等に対応できる体制を整えております。しかしながら、今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更やシステムトラブル等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社にとって不利に働いた場合には、当社の集客効果は減退し、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 広告宣伝活動に関するリスク
広告宣伝活動は、一般に効果を予測することが困難であり、過大な広告宣伝費の支出は、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社の事業拡大には、当社のブランド認知度を向上させることが重要であり、専門部署による適切な管理のもと、既存媒体を含めた広告宣伝活動を積極的に展開しております。しかしながら、広告宣伝活動の内容によっては費用の増大に繋がるリスクがあります。
⑥ 取引先の信用リスク
当社では、取引先との契約において、当社独自の与信管理や調査等の結果をふまえ取引等の可否判断を行っております。また、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。しかしながら、取引先が経営状況の急激な変化等により資金繰りの悪化や倒産に至り、万一多額な貸倒損失が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ 訴訟に関するリスク
当社は人材紹介サービスおよび人材派遣サービスを営んでおりますが、その事業活動の運営の中で、取引先企業及び求職者並びに競合他社その他の関係者から、当社が提供するサービスの不備、個人情報の漏洩、知的財産の侵害等に関する訴訟等の法的手続を提起されるリスクがあります。その結果、当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続に関連して多額の費用を支出する可能性があり、当社の経営成績や財政状態に大きな影響を与える可能性があります。同リスクに対する対策としては、リスクマネジメントシステムを構築し、関連法規に対するリスクを網羅的に可視化し、各リスクを適切に評価したうえでコンプライアンス・リスク管理委員会にて各リスクに対する対策を検討し、実行したうえでモニタリングする体制を整備・運用致します。
(3) 事業体制(会社組織)に関するリスクについて
① 代表取締役への依存に関するリスク
当社の代表取締役社長である高木毅は、当社の経営方針や事業戦略全般の策定等、多方面において重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏に不測の事態が生じた場合には、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
② コンプライアンスに関するリスク
当社においては、「コンプライアンス・リスク管理規程」のもと、統括責任者を明確化し、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、取締役及び従業員に対して法令遵守意識を浸透させ、その強化、充実を図っております。その結果、現時点では特段のリスクは顕在化しておりませんが、万が一当社の取締役及び従業員がコンプライアンスに違反する行為を行った場合には、当社の信用並びに経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。同リスクに対する対策としては、リスクマネジメントシステムを構築し、関連法規に対するリスクを網羅的に可視化し、各リスクを適切に評価したうえでコンプライアンス・リスク管理委員会にて各リスクに対する対策を検討し、実行したうえでモニタリングする体制を整備・運用致します。
③ システム障害に関するリスク
当社では請求業務や勤怠管理等の様々な事業活動にITシステムを多用していることから、大規模なシステム障害が発生した場合には、業務に支障が生じ業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、情報セキュリティ管理規程及びネットワーク管理規程を定め、情報セキュリティインシデントの管理を行うとともに、日頃から情報セキュリティ強化やデータ破損等の事故に備えたバックアップ強化に努めております。また、基幹系業務システムは社内のサーバーに置かず、より安全性と信頼性の高いクラウドサービスを利用しています。
④ 運営教室における事故に関するリスク
当社では、教室の運営において事故が起こらないように万全の体制で臨んでおりますが、万が一重大な事故が発生した場合には、信用やブランド価値の毀損や生徒の流出等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) その他
① 地震・風水害等の大災害発生に関するリスク
教育人材支援事業及び福祉人材支援事業においては、本社に人員を集中して配置しております。また、個別指導教室事業においては、運営教室を神奈川県に集中して設置しております。首都直下型地震・南海トラフ地震等の大災害が発生し、施設の損壊や営業の中止を余儀なくされた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 感染症等のパンデミックに関するリスク
当社の個別指導教室事業において、多数の教室を運営しており、感染症のパンデミックによる営業自粛等の要請がなされた場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、感染症対策には万全を期しておりますが、教室スタッフや生徒が多数感染した場合には風評の影響を受ける可能性があります。教育人材支援事業及び福祉人材支援事業においても、学校向け、学習塾向け、保育施設向けサービスの一部停止を余儀なくされた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 減損会計への対応に関するリスク
当社の個別指導教室事業においては、校舎・教室等設備の有形固定資産を計上しております。当社が保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減額した当該金額を減損損失として計上することとなります。これらの固定資産の資産価値につきましては、業績悪化、投資の回収懸念、事業環境の変化等、収益性の悪化により減損損失を計上する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 配当政策について
当社は、株主の皆様への利益還元を行うことを経営上の重要課題と捉え、将来の事業展開と経営基盤の強化を図るための内部留保資金を確保しつつ、配当を行うことを基本方針としております。
現段階においては、配当による株主の皆様への利益還元も検討しつつ、事業拡大のための設備及び人材投資への再投資を実施していく方針であります。
⑤ 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について
当社は、当社取締役、従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は40,050株であり、潜在株式を含む株式総数3,618,750株に対し1.11%に相当します。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、当社株式の1株当たりの価値が希薄化する可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
剰余金の配当につきましては、業績及びキャッシュ・フローの状況、並びに配当性向及び配当金額を総合的に勘案しながら、配当水準を継続的に向上していきたいと考えております。また、内部留保金につきましては、事業拡大や今後の事業成長を長期的に維持するための設備投資及び人的投資に活用してまいります。
当社の配当の決定機関は取締役会であります。なお、2021年8月12日開催の臨時株主総会決議により、会社法第459条第1項に基づき、期末配当は3月31日、中間配当は9月30日を基準日として、剰余金の配当等を取締役会の決議により行う旨の定款規定を設けております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、当該基本方針のもと、1株当たり14円としております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。