リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅しているものではありませんので、ご留意下さい。
(1) 外部環境に起因するリスクについて
① 同業他社との競合
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社が展開しているM&Aアドバイザリー事業は、行政等からの許認可等が存在しないため、参入障壁は比較的低い事業であると考えております。そのため、当社のような主に中小企業をターゲットとしたМ&Aアドバイザリー事業を展開する事業者は、大手事業者のみならず、多数の小規模事業者及び個人事業者(主に会計士や弁護士、コンサルタント等)が存在しており、今後も新規参入や競合事業者間での競争が激化することが容易に想定されます。
当社は競合他社と差別化できる高品質のサービスを展開するために、優秀な人材を確保し、ノウハウの蓄積や共有などM&Aアドバイザーの教育研修の実施・充実に努めております。また、当社は、中小企業と関係性を有する全国の会計事務所・税理士事務所などの士業や金融機関と提携することで安定的な案件確保体制を構築しております。
しかしながら、有力な競合事業者の参入等により競争環境が激化した場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
現在、M&Aアドバイザリー事業を制限する直接的な法的規制は存在しないと考えております。当社は、許認可を含め関係法令の遵守に努めており、取消や行政処分を受けたことはありません。
しかし、今後、M&Aアドバイザリー事業に何らかの法的規制が適用された場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では管理部門による情報収集の実施や顧問弁護士との連携等を通じて、新たな法規制の情報を直ちに入手するための体制を整備しております。
なお、法規制について、その有効期限やその他の期限が法令、契約等により定められているものは下表のとおりであります。
(許認可等の状況)
③ 訴訟の可能性について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
M&Aではクロージング時に譲受企業から譲渡企業に多額の資金が支払われる特性があり、当社の法令違反の有無のみならず譲受企業や譲渡企業の何らかの原因で当社に対して訴訟等の提起がなされる可能性があります。
当社は、クレーム等管理規程の策定、取締役会及びリスク管理推進委員会でのクレーム及びトラブルに対する組織的な管理体制の構築、人材育成等を通じたクレーム及びトラブルの発生防止及び発生時における組織的な管理体制を構築しております。
また、複数人員での案件関与や週次の案件検討会での案件管理、日常的な顧問弁護士との連携を通じて訴訟リスクに対して細心の注意を図っております。しかしながら、何らかの理由で訴訟が提起された場合、その結果如何によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 自然災害について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
自然災害による不測の事態が発生した場合、当社が受託しているM&Aの譲渡希望企業の資産等に損害を受けることによって、案件の中止や中断が発生す可能性があります。そのため、当社の活動する地域を増やすことにより、譲渡希望企業の依頼を受ける地域を分散させ、一極集中によるリスクの分散に努めております。
しかしながら、譲渡希望企業の地域が十分に分散できておらず、自然災害の発生場所が当社の本社周辺である場合には、その影響により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 感染症による影響
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
新型コロナウイルス感染症のような新種の疫病発生に伴う感染症の感染拡大については、当社の事業活動において影響が生じる可能性があります。当社は感染拡大を想定し、WEB会議の活用等により、感染拡大期においても円滑なコミュニケーションを取り、業務を継続できる体制を構築しております。しかしながら、感染が大きく拡大・長期化した場合には、当社や顧客の事業活動が停滞する事態が発生し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に起因するリスクについて
① 案件の確保について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が事業を継続的に展開及び成長させるためには、案件獲得が重要な課題と考えております。当社は、多くの金融機関や士業等との提携先ネットワークを確立し、当該提携先から多くの案件紹介を受けております。当社では、「相談されたら断らない」を経営方針としており、規模の小さい案件も大きな案件も同様の手順で行っており、提携先の当社に対する紹介優先度を上げるための施策として、定例的なミーティング機会の確保や、成約案件の事例紹介等で提携先の深耕を行っております。
当社では、このような案件紹介における提携先をさらに拡大していく方針ではありますが、当社の目論見通りの提携先が確保できない場合、また、提携先から当社への案件紹介の紹介優先度が下がった場合には、提携先からの譲渡希望企業候補の紹介件数の減少に伴う新規アドバイザリー契約の獲得件数及び成約組数が減少することで、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 案件不成立や成約の遅延について
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
M&Aアドバイザリー事業は、ご依頼者と譲受希望企業の意向に従い、受託から成約までの一連の業務が進められております。当社は両者のマッチングが円滑に進み、早期に成約に至るよう取組んでおり、案件の進捗管理を適時に実施する必要があります。しかしながら、両者での条件交渉が難航することや、譲受希望企業が手配して実施するデューデリジェンス作業が遅延すること等を要因として、予定通りに案件が進まない場合も想定されます。
この結果、上記の理由から、案件進捗に遅れが生じ、成約時期が遅れることで当社が見込んでいた売上計上時期にずれが生じ、四半期決算や事業年度別の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ M&Aアドバイザリー事業が経営成績上、大きなウェイトを占めることについて
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社はM&Aアドバイザリー事業を営む単一事業会社であります。中小企業経営者の高齢化に伴う事業承継や、投資家のエグジットなどの手段としてМ&Aが積極的に活用され、国内のМ&Aマーケットは今後も拡大していくものと考えられております。
しかしながら、経済情勢や事業環境の大きな変化などМ&A需要の急激な縮小等が生じた場合には、譲渡希望会社の減少及び譲受希望会社の買収意欲の低下によるアドバイザリー契約の獲得件数及び成約組数の減少により、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
急速な技術革新によりM&AプラットフォーマーのようにM&Aアドバイザーの手を介さない新しいM&Aサービスの提供が増加しております。当社が取扱う事業承継を始めとする中小企業のM&Aでは、M&Aアドバイザーがご依頼者の意向に即した譲受企業を探索し、譲渡希望企業と譲受希望企業の間で条件調整等を行うことで円滑な取引実行ができるものと考えております。
しかしながら、急速な技術革新により正確かつ迅速なご依頼者の意向把握及び意向に即した提案が可能となる新しい技術が開発された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスクについて
① 人材の確保及び育成について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が事業拡大を進めるためには、企業経営や財務に関する専門知識又はМ&A業務経験を有する人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。そのため、継続した採用活動による人材の確保、社内研修の体制強化を進めております。しかしながら、人材を適時確保できない場合や、採用後の教育研修の遅延等の事態が生じた場合、また、社外への人材の流出を防止できない場合には、提携先及び顧客に対する十分なサービス提供ができないことによる当社の風評悪化に伴う提携先からの紹介件数の減少、提携先からの紹介件数の減少に伴う新規アドバイザリー契約件数及び成約組数の減少により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 案件情報管理について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、M&Aアドバイザリー事業において、顧客法人から情報を入手する際、秘密保持契約等を締結し、顧客に対して守秘義務を負っております。当社では、顧客法人から入手した情報が漏洩しないよう、情報の保管管理を徹底するとともに、役職員に対しても守秘義務に関する教育を行う等の施策を講じております。また、業務を通じて取得した個人情報については、社内規程の整備・教育を通じて情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、役職員が情報を悪用し、インサイダー取引や情報漏洩が行われた場合には、当社の事業運営への制限や信頼の失墜等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、サイバー攻撃・コンピュータウィルス等による不測の事態等により、守秘義務の対象となる情報が漏洩した場合、損害賠償請求等の金銭補償や信用力の低下等により、提携先からの紹介件数の減少、提携先からの紹介件数の減少に伴う新規アドバイザリー契約件数及び成約組数の減少により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織であることについて
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、2023年10月末時点において、従業員29名であり、組織規模に適合した内部管理体制を構築し、業務が属人化しないようマニュアル等の作成を行い、業務の平準化や相互牽制機能を働かせております。しかし限られた人的資源に依存しているため、業務が特定の個人に依存している場合があります。当社は今後も事業を大きく拡大していく方針であり、それに併せて従業員の増員や組織の構築、社内管理体制の強化を行っていく方針です。しかしながら、社内管理体制の構築が想定通り進まない場合や人的資源の流出が生じた場合には、内部管理体制やコーポレート・ガバナンス体制に支障が生じ当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 業歴が浅いことについて
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、2019年11月1日に設立された会社であるため、業歴が浅く成長途上にあります。当社はIR及び広報活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、過去の財務情報だけでは今後の事業及び業績を予測するうえで十分な情報の提供をしているとは言えない可能性があります。
⑤ 創業者への依存について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、現代表取締役社長である三橋透が設立した会社であります。同氏は当社事業であるМ&Aアドバイザリー事業における豊富な知識と経験を有しており、当社の経営方針や事業戦略の立案・実行など当社の企業活動全般において重要な役割を担っております。
当社は事業を継続する上で、優秀な人材の確保と教育・育成に注力するとともに、組織の強化による権限委譲を進めることで、特定の個人に過度に依存しない事業体制の構築を進めております。
しかしながら、同氏が何らかの理由や不測の事態により、当社の取締役を退任するような事態が発生した場合、当社の事業戦略等に影響を与える可能性があります。
⑥ 配当政策について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、財務体質の強化と事業成長のための投資が経営の優先課題であると考えており、創業以来配当を実施しておりませんが、株主への利益還元は最重要課題であると認識しております。
今後は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、当社を取り巻く事業環境等を勘案して、株主に対する安定的かつ継続的な利益還元を実施していく方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期については未定であります。
⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:直近1年~3年以内、影響度:中)
当社は、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプション制度を採用しております。これらの新株予約権が行使条件を満たして行使された場合、当社株式が新たに発行され、当社株式の1株当たりの価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、2023年10月31日現在における新株予約権による潜在株式数は131,200株であり、発行済株式総数1,378,000株の9.5%に相当しております。
⑧ 資金使途
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
今回計画しております公募増資による資金調達の使途につきましては、当社の主力事業であるМ&Aアドバイザリー事業の更なる拡大を目的としたITの活用や人材の確保、企業規模拡大に伴う営業拠点の設置などの費用に充当する予定であります。
しかしながら、急速に変化する事業環境に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途へ充当する可能性もあります。また、当初の計画通りに資金を使用したとしても、必ずしも当社の成長に寄与せず、想定通りの投資効果が得られない可能性があり、その場合には速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、財務基盤の強化と事業の持続的な拡大・成長を目指していくために、まずは内部留保の充実と事業推進に必要な投資活動を積極的に行っていくことが重要と考え、創業以来配当を実施しておりません。しかしながら、株主への利益還元を重要な経営課題として認識しており、今後の経営成績及び財政状態を鑑みつつ、事業・投資計画、事業環境等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりつつ配当について検討していく方針であります。
内部留保につきましては、企業体質の強化及び将来の事業展開のための財源としてM&Aアドバイザリー事業の営業活動を行うにあたっての専門知識及び経験を有する人材の採用の強化及び事業拡大に必要不可欠な拠点の設置への投資として有効に活用していく所存であります。
当社の剰余金の配当は、期末配当の基準日を10月31日とする年1回を基本としており、配当の決定機関は株主総会であります。また、当社は取締役会の決議により、毎年4月30日を基準日として中間配当を実施することができる旨を定款に定めております。