2023年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,686 100.0 349 100.0 20.7

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、戦略コンサルティングの“データを用いて考える”という思考法と“データを考える材料に昇華する”高度なアナリティクス能力を組み合わせた、新しいタイプのプロフェッショナルサービス集団です。クライアント企業の経営課題解決、競争力強化のために、データを用いて物事を理解・判断する「データインフォームド」を推進しています。

 データインフォームド、すなわち、DI/Data-Informedは、データを用いて考える思考態度です。Data-Driven(データドリブン)という言葉が広く知られていますが、この用語には「データによって(自動的に)答えが導かれる」という期待が込められています。当社は、データ“だけ”で物事を判断するのではなく、人間の思考にデータ“も”加えることによって、その判断がより一層高度なものになることが理想であると考えています。当社は「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパス(企業の目的)として掲げ、クライアント企業の判断業務の変革を支援しています。

 昨今、DXという単語も非常に注目を集めていますが、その定義は曖昧です。Digital Transformationという言葉を字義通りに捉えれば、デジタル技術による変革、ということになります。ここで変革すべき対象はUX(User experience)です。ユーザーの体験、経験を、デジタル技術を用いることで変化させていくことが、DXの本質であると当社は考えます。しかしながら、UXに影響を与えない単なるデジタル化も、DXと呼ばれてしまっているのが実情です。当社の提唱するDIは、人間が判断を行うというシーンにおけるUXを大きく変化させます。デジタルは強力なツールです。しかし、あくまでも手段にすぎません。当社は、デジタルという手段・手法に目を向けるのではなく、AIやクラウド技術などの最新のデジタル技術を活用しながら人間の思考能力を拡張し、より高度で精度の高い判断を可能とする環境を築き上げたいと考えています。

 当社は、クライアント企業の事業課題を理解し、競争力強化の道筋を検討する「Strategy」、膨大なデータを用いて網羅的体系分析や高度な予測、数理最適化を行う「Analytics」、仕組みに実装していく「Technology」、の3つのケイパビリティ(能力)を保有しています。これらを有機的に連携させ、各業界の東証一部上場企業をはじめとする大手企業のDI変革を支援しています。また、その中で得られた課題への深い理解、解決のためのノウハウや独自開発されたツール群を活用することで、幅広いお客様に活用いただけるプロダクトを開発し、DIの思想の浸透を加速させていると考えております。

 当社事業はData-Informed事業の単一セグメントであるため、事業セグメントを開示しておりませんが、提供するサービスの特徴から大きく「個別課題解決」と「共通課題解決」に分類しております。また、「個別課題解決」は、個別の企業・事業の状況に応じた、データを活用した判断の在り方を検討する「DIコンサルティング」と、その判断を継続的に行うために必要な、データ活用の仕組み(基盤)を構築・運用する「DIプラットフォーム」の2つのサービスで構成されます。「共通課題解決」は、先述したDIコンサルティング、DIプラットフォームの中で得られたノウハウや独自のツール群を活用し、ソフトウェア・サービスである「DIプロダクト」を提供しています。

 

 

当社の提供する「DIコンサルティング」「DIプラットフォーム」「DIプロダクト」の詳細は、以下の通りです。

 

「個別課題解決」

(DIコンサルティング)

データインフォームドな判断を行う、と一口に言っても、各社各人の置かれた状況は千差万別で、取り組むべき課題も様々です。単一の方法論や、単一のソリューションによって、簡単に解決することはできません。クライアント企業の成長戦略や経営課題、経営方針を深く理解し、クライアント企業が抱える解決したい経営課題をヒアリングし、この最初の課題に対し関連する全件・全量・全粒度のデータをお預かりするところから我々のサービスは始まります。受領した全件・全量・全粒度のデータを分析ができる状態にクレンジングを行い、データを様々な角度から分析していきます。網羅的な事象の可視化をするというこの分析をプロジェクト開始後間もない段階で行い、その可視化結果をもってクライアント企業と対話し、クライアント企業の課題を再定義していきます。

企業の抱える課題は、定性的で、概念的であるケースが多いため、データを用いて論理的・合理的に判断を行うためには、事前の検討が重要です。そこで最も大切なのは「課題を、計算可能な問いとして再定義する」ことです。データという客観的事実を通じて課題を俯瞰し、構造的に課題をとらえなおすことが「計算可能な問い」を導き出すための最良の方策です。当社の豊富なプロジェクト実績を元にしたデータ活用の適用範囲・方法の知見により、複数種類のデータを整形・結合し分析可能な構造にし、また、各クライアント企業の様々な状況に合わせた「人と機械の役割分担」を定めることができます。DIの根幹である「人間が判断する」という思想に基づき、機械(AI/アルゴリズム)が、どういう情報加工を行い、どういうアウトプットを提供するべきか、を定義すると共に、機械の担うべき役割の実現性を実際のデータを用いて検証していきます。

検証に際しては、機械学習、数理最適化等の分析の方法論を適用します。起きている現象の裏に潜むメカニズムを機械学習の結果を通じて把握したり、機械によって提示された最適解に業務的な解釈を加えたりすることで、課題に対する「解法」を導き出し、その事業への適応余地(課題の解決策)を見極めます。当然ながら、このステップも一度で済むものではありません。実データを用いて分析結果を確認可能なツールを作成したうえで、クライアント企業との議論を重ね、可視化、分析、解釈のサイクルを繰り返すアジャイル型のアプローチで実施しております。

また、当社が独自に開発した体系的な分析手法やアルゴリズム、プログラム群などが、再利用可能な形で当社内に蓄積されています。これらの分析ノウハウ、ツール群を様々なプロジェクトに転用可能な状態に準備することで、高品質かつ高速なプロジェクトの推進を目指しています。また、プロジェクト終了時にこれらのノウハウ・ツール群はアップデートされ、次なるプロジェクトに活かすために追加・更新されていきます。

 

(DIプラットフォーム)

上述した通り、DIコンサルティングサービスでは、クライアント企業及びその企業の営む事業それぞれの状況に応じたData-Informedな業務の在り方が定義され、また、その業務を実現するための一連のアルゴリズムや簡易ツールが生成されます。いわゆる「プロトタイプ」と呼ばれるものが利用可能な状態になります。その上で、当該業務をクライアント企業が自ら実行できるように環境を整備するステップに移ります。DIプラットフォームは、DIコンサルティングによって生成されたプロトタイプ(アルゴリズムや分析手法、分析結果レポート等)を、クライアント企業が日常の判断に用いることができる仕組みとして構築していくサービスです。

DIコンサルティングにおいてはインプットデータとして人間の手を介した非定型な作業で抽出・加工されたデータを用いるケースも多いのですが、DIプラットフォームでは、クライアント企業の保有する各種システムに接続し、直接的に、また自動的にデータ取得を行う仕組みを設計・構築します。自動的に連携されたデータを分析アルゴリズムに流し込むことで、「人間の判断材料」となる情報をタイムリーに提供できるようになります。

機械学習アルゴリズムをはじめとした、経営課題の“解法”の実装は、一度の開発で完成するものではありません。その“解法”を織り込んだ業務が果たしてどうあるべきかは、実際に業務変革を推進していく中で初めて見えてくることも多く、かつ最適な“解法”そのものが進化していくことも多くあります。そのため、プロジェクト開始時にすべての要件を定義し、それを作り上げることを目指すウォーターフォール型開発では、期待された成果を得ることは困難です。その状況を踏まえ、当社は、DIコンサルティングと同様、DIプラットフォームにおいても、アジャイル型アプローチを採用しております。クライアント企業の業務変革を推し進めるにあたっては、「業務」の変化に合わせて、「システム・機能」も柔軟に変化していくことが求められます。そうした柔軟性を担保するためには、中長期目線で考えられたアーキテクチャ(基本的なシステムの設計構造)が重要となります。当社では、将来的な業務ニーズ変化を見据え、先端的な最新のクラウド技術も含めた、最適な技術選定を行い、メンテナンス性と拡張性を両立させたデータ基盤を設計します。

 

上記方針で基盤構築を行うにあたり、当社では、以下のように「本当に業務で使えるかどうか」を確認しながら開発を進めていくことで、役立つ仕組み・使える仕組みを実現しています。

‐DIコンサルティングで作成したプロトタイプを基に、日々の業務への適用方針を検討する

‐業務上の判断に対して、インプット情報の更新タイミングなどの制約の有無を確認する

‐システムとの接続方針を検討し、データの重要度や開発難易度の観点で、開発順序を定める

‐接続されたデータを用いてアウトプットを生成し、業務に組み込む

‐実際の業務の中で、どのように判断が高度化・効率化されたかを確認し、次の開発方針を定める

こうして作り上げられたデータ基盤は、クライアント企業の判断の礎として日々の業務の中に組み込まれ、データを用いて考えるというビヘイビアを、クライアント企業内部に浸透させます。

 

 

上記2つのサービスは、事業上の課題を理解し、最適な分析手法を見定め、それを実装するための最適な技術を選定することによって初めて成立します。そのため、先に述べた当社のコアケイパビリティである「Strategy」「Analytics」そして「Technology」のいずれが欠けても実現できません。この3つの能力が有機的に連携していることが、「データに基づく判断(=Data-Informedな判断)」をクライアント企業に提供するための鍵であり、競合企業との差別性の源泉であると考えております。

 

「共通課題解決」

(DIプロダクト)

 個別課題解決を提供する中で、新たに創造された解法やアルゴリズム、ツール、ノウハウを活用し、特定業界、あるいは、より広く社会一般に共通する課題に対する解決策として提供可能な「プロダクト(製品)」を複数開発しています。これらのプロダクトは、対応する課題の性質に応じて、クライアント企業のサービス内にエンジンとして組み込まれるケースもあれば、独立したサービスとして広く提供されるケースもあります。

 

 

プロダクト名称

プロダクトの概要

成果獲得の実現例

加盟店マスタ

クレジットカード会社向けに、カード利用明細書に記載された企業名の業種やブランド等の情報を付加するサービスです。顧客が購入した店舗では、店舗とカード会社との契約により、店舗情報の不均一性(表記ゆれ等)が存在します。そのため、顧客購買行動分析に必要な均一表記のマスタを当社が独自の手法で作成し、そのマスタにさらに分析に必要な情報を独自データベースにより補うことで、カード会社が正しく分析し、自社の顧客に商品やサービスをより正確にレコメンドできるようになります。

 

自社顧客理解、利用拡大課題の正確な把握、正しい顧客への商品・サービスの提案等

 

 

プロダクト名称

プロダクトの概要

成果獲得の実現例

マイグル

多くのテナント店舗を擁する商業施設での施設内回遊や、観光エリアの観光名所・飲食店などのエリア内回遊を促進するスタンプラリーの提供サービスです。商業施設の運用事業者、観光エリアを抱える地方自治体、鉄道やバスなどの公共交通事業者が主要顧客です。一般的なスタンプラリーでは全員が同じ内容で周遊しますが、当サービスでは利用者自身が利用施設やサービスを選択して独自のスタンプシートを作ることが可能なため、参加者の達成率を引き上げる効果が見込まれます。加えて、参加状況をデータで捕捉可能であることから結果分析の高度化も実現されます。また、購買履歴データやアンケート結果などを用いて、嗜好・利用意向を類推し、個々人に合わせたスタンプシートを自動生成する機能も実装しています。

 

 

商業施設内スタンプラリー、コングロマリット企業における業態横断スタンプラリー、地域活性化スタンプラリー等

 

用語の解説

・全件・全量・全粒度のデータ

 分析対象のデータを一部サンプルとして抜粋したものではなく、課題解決に関連した全ての期間、単位、種類のデータのことです。

・クレンジング

 機器から取得されたデータやカードの決済ログデータはそのままでは分析可能な状態にないため、ノイズの除去やエラー値の排除、空白データの調整等を行い分析用のデータに加工修正することです。

・アジャイル型のアプローチ

 従来の最初に全体の機能設計・計画を決定し、この計画に従って開発・実装していくウォーターフォール型と呼ばれるソフトウェア開発手法とは異なり、計画段階で厳密な仕様を決めずに、おおよその仕様と要求だけを決め、小さな単位に分けられた開発を「計画」→「設計」→「実装」→「テスト」と行いながら、機能のリリースを繰り返す手法のことです。

・ビヘイビア

 行動規範、行動原理。思想に基づいた習慣的な行動のことです。

 

[事業系統図]

 事業の系統図は次のとおりであります。

 

用語の解説

・販売パートナー

 当社プロダクトの代理販売を行う企業です。

・協業パートナー

 当社とプロジェクトを共同で行う企業です。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響の下にありつつも、行動制限等は徐々に緩和され、多くの業界において経済活動の再開による景気回復の兆しが見えつつある一方で、世界的な原材料価格高騰や為替の変動といった様々なリスクが重なり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。そのような中、新型コロナウイルス感染拡大防止によるリモートワークの推進や各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、データ活用による業務効率化やAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。また、政府が人工知能(AI)等の最先端技術を社会課題解決に生かす「Society5.0」の一環として、DX推進を目的としたデジタル庁の創設等もあり、ビッグデータの活用やAIアルゴリズム技術等の社会実装を目指す機運がますます高まっております。そうした流れの中で、当社のデータインフォームド事業が内包されるビッグデータアナリティクス(BDA)・テクノロジー市場、及びそれを含むAI市場は拡大し続けております。この中でも特に関連の深い国内ビジネス・アナリティクス市場は、マーケティング・リサーチ会社であるデロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社によると、データ駆動型の経営・マーケティングや需要予測に取り組むユーザーの増加を背景として、2028年度まで年平均成長率12.0%増で拡大し、同年度の市場規模は9,341億円に達すると予測されております。(出典:2022年2月4日デロイト トーマツ ミック経済研究所「ビジネス・アナリティクス市場展望 2022年版」)

このような環境の下、当社は「あらゆる判断を、Data-Informed(データインフォームド)に。」をパーパスとして掲げ、業績拡大を目指しております。当社の掲げる「データインフォームド」は、データを用いて論理的に考え合理的に判断することで、人間による意思決定の精度を高め、事業運営における再現性を高めることを狙いとしております。当社は、このような“人間が判断の主体となる”ことを前提にしたデータ活用を推進する「データインフォームド市場(DI市場)」をターゲット市場と定義し、クライアント企業のニーズに合わせてDIコンサルティング・DIプラットフォーム・DIプロダクトの3つのサービス(総称:DIサービス)を柔軟に組み合わせて提供しております。昨今の不安定な社会情勢や経済環境においては、データインフォームドに対するニーズは日々高まっております。データインフォームドな判断をクライアント企業の各種業務に組み込むことで、業務における判断の精度が向上し、経営課題解決及び競争力強化が実現されます。

当事業年度も「データインフォームド」の思想に共感する多くのクライアント企業から価値提供の機会を頂戴しました。特に、従前より取引のある大手クライアント企業において、既取引部門・取り組み中の領域におけるDIサービスの利用継続・拡大(縦展開)及び、同社内の未取引部門・新規領域へのDIサービスの提供(横展開)が順調に進展いたしました。それにより、各社におけるデータインフォームドの思想の浸透が進み、多くの案件を受注するに至りました。また、並行して推進しております導入事例の他社への展開(新規顧客開拓)も相まって、前年を上回る売上成長を達成いたしました。売上成長の実現にあたっては、①縦横展開を加速するための、人材育成及びアセット活用の継続的な強化活動、②協業を核としたデータインフォームド思想の啓発活動及び営業体制・デリバリー体制の強化、③DIプロダクトサービス「マイグル」の拡販及び機能強化、の3つの領域に注力しました。①に関しては、前期に引き続き、プロジェクト推進で培った当社独自のノウハウをマニュアル、ツール、プログラム等の形式でアセット化し、再利用性を高めております。また、当該ノウハウを基にした人材育成に関しても、日々ブラッシュアップを重ね、効率性を高めております。加えて、2023年3月にBeyondge株式会社との業務提携を開始し、データサイエンティスト及びエンジニアの採用活動の円滑化及び強化に向けた取り組みも推進しています。②に関しては、前期に発表したBIPROGY株式会社、株式会社電通コンサルティング、株式会社ベーシックとの協業を中心に、人材の育成や交流、顧客紹介、プロジェクト推進体制の共同構築等を引き続き推進しております。③のDIプロダクトサービス「マイグル」は順調に拡大しておりますが、多くの引き合いをいただく中で見えてきた様々なニーズに対応するべく、スマートフォンアプリ「LINE」から参加できる「LINEミニアプリ版」や、各ユーザーに合ったコースを提案しスケジュールを作成する「AIプランナー」をリリースする等、機能強化のための継続投資を実施してきました。また、複数のキャンペーンを高頻度に実施したいというクライアント企業のニーズに応えた「サブスクリプションプラン」の提供も開始しました。

以上の結果、当事業年度の売上高は1,686,061千円(前事業年度比59.5%増)、営業利益は349,392千円(同252.5%増)、経常利益は349,030千円(同271.2%増)、当期純利益は245,160千円(同237.0%増)となりました。

なお、当社はData-Informed事業のみの単一セグメントであることから、セグメントごとの記載を省略しております。

 

(資産)

当事業年度末における流動資産は2,225,041千円となり、前事業年度末に比べ341,381千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が275,946千円増加したこと等によるものであります。固定資産は122,202千円となり、前事業年度末に比べ10,004千円増加いたしました。これは主に投資その他の資産が16,422千円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、2,347,244千円となり、前事業年度末に比べ351,385千円増加いたしました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は363,734千円となり、前事業年度末に比べ144,165千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が69,199千円、未払金が47,377千円増加したこと等によるものであります。固定負債は80,822千円となり、前事業年度末に比べ49,771千円減少いたしました。これは主に長期借入金が50,004千円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、444,556千円となり、前事業年度末に比べ94,393千円増加いたしました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は1,902,687千円となり、前事業年度末に比べ256,991千円増加いたしました。これは主に当期純利益245,160千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は80.5%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ275,946千円増加し、当事業年度末には1,899,346千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において、営業活動の結果得られた資金は329,479千円となりました。これは主に、税引前当期純利益が351,878千円であったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は3,349千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,141千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において、財務活動の結果使用した資金は50,184千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出50,004千円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社はData-Informed事業を営んでおり、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当事業年度の受注実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社はData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

当事業年度

(自 2022年7月1日  至 2023年6月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

1,867,103

162.3

480,822

160.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社はData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

当事業年度

(自2022年7月1日  至2023年6月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

1,686,061

159.5

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自2021年7月1日

至2022年6月30日)

当事業年度

(自2022年7月1日

至2023年6月30日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

西日本旅客鉄道㈱

353,619

33.4

780,407

46.3

アサヒグループジャパン㈱

353,570

33.4

617,375

36.6

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社は、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状況を目指し、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めております。運転資金需要のうち主なものは、当社サービス提供のための人件費や外注費等の営業費用によるものの他、納税資金等であります。運転資金は、手持資金、銀行借入及び新株発行により資金調達を行っております。今後も事業活動を支える資金調達については、低コストかつ安定的・機動的な資金の確保を主眼にして多様な資金調達方法に取り組んでまいります。なお、事業拡大に伴う研究開発投資の増大や人件費投資の増大といった多額の先行投資が見込まれる場合、これら資金需要に対応するため、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達することを予定しております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成しております。この財務諸表作成における見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。なお、この財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

⑥経営者の問題意識と今後の方針について

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、売上高成長率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と捉えております。また、当社は少数精鋭の優秀なコンサルタントにより、クライアント企業へ高い付加価値を提供することを目標としていることから、「従業員一人当たり売上高」の増加を挙げております。これらの指標の推移は以下の通りです。

決算情報等

前事業年度

(自2021年7月1日

至2022年6月30日)

当事業年度

(自2022年7月1日

至2023年6月30日)

売上高(千円)

1,057,232

1,686,061

営業利益(千円)

99,105

349,392

従業員数(人)

33

42

各種指標

前事業年度

(自2021年7月1日

至2022年6月30日)

当事業年度

(自2022年7月1日

至2023年6月30日)

前期比売上高成長率(%)

146.4

159.5

売上高営業利益率(%)

9.4

20.7

従業員一人当たり売上高(千円)

32,037

40,144

当社は創業から現在に至るまで売上高は順調に拡大し、安定的ではないものの一定の成長率を実現しております。一方、中期的に見ても、当社の成長過程において必要な人件費投資、研究開発投資が生じた期において、その原価や諸経費が利益を下げる要因となります。「従業員一人当たり売上高」は前事業年度においては高い数値となりました。中期的な目線においても、一時的な水準低下はあったとしても今後の事業拡大に伴い、増加していくものと想定しております。なお、当指標の目標数値は設けておらず、また、各指標が前期比を上回ることに関して当社として約束する趣旨のものではございません。なお、当該指標に関する有限責任監査法人トーマツの監査及びレビューを受けておりません。

前期比売上高成長率(%)・・・売上高÷前年同期売上高×100

売上高営業利益率(%)・・・営業利益÷売上高×100

従業員一人当たり売上高(千円)・・・売上高÷期末時点従業員数