2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

   当社グループの業績は長期傭船主体の安定した収益を基盤としておりますが、外航海運業における事業リスクとして下記8点が挙げられます。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)海運市況変動リスク

   海運業において運賃・傭船料・売買船の市況は、国内のみならず世界の政治・経済・社会の動向によって、また商品あるいは船舶そのものの需給により大きく変動いたします。当社グループは、長期傭船契約を主体に安定した収益の確保を経営の基本としておりますが、各々の船舶の傭船契約や売船の時期によっては、市況下落によるリスクが業績及び財務状況に悪影響を与える恐れがあります。

 

(2)為替変動リスク

 当社グループの収入及び支出は、外貨建てのものもあり、外貨建て収入と支出の差額については外国為替の変動による影響を受けることになります。当社グループは①外貨建て収入と支出の差額を低減すること、②短期及び長期の為替予約取引を行うことにより、為替変動リスクを低減するように努力しておりますが、完全に回避することはできず為替相場の状況によっては業績及び財務状況に影響を受けることがあります。

 

(3)金利変動リスク

 当社グループは、船舶の建造資金調達のために外部借入を行っておりますが、その多くは金利スワップ取引による金利の固定化により金利変動リスクを回避しております。今後の金利の動向により、固定化していない分は業績及び財務状況に影響を受けることがあり、また、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。

 

(4)資金調達リスク

 当社グループは、金融機関からの借入により資金調達を行っていますが、資金需給や金利等の市場環境の変化、及び当社グループの経営成績の悪化等により、資金調達に影響を受ける可能性があります。

 

(5)固定資産の減損損失リスク

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有する船舶等の固定資産の時価が著しく下落した場合や収益性が悪化した場合には減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(6)海難事故リスク

 当社グループは、大型原油船(VLCC)を主体に運航しており、「船舶の安全輸送と環境保全」を理念に、船舶の安全管理システムの充実に努めておりますが、不慮の事故が発生した場合、人命・貨物・船舶等の損失・損傷のリスクや、燃料油・原油の流出による海洋汚染のリスクがあります。当社グループでは、海難事故防止のため、「船舶安全管理システム」を構築すると共に、「品質および環境管理マニュアル」を策定し、海陸全社員に対し定期的な教育・研修ならびに海難事故を想定した緊急対応訓練を実施するなど、安全運航と環境保全に努めております。万一海難事故が発生した場合は、保険による損失の補填対策を講じておりますが、事故によっては業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(7)公的規制等のリスク

 当社グループの事業である外航海運業においては、船舶の設備の安全性や安全運航のため、国際機関及び各国政府の法令や船級協会の規則等、様々な公的規制を受けております。これらの規制を遵守するに当たりコストの増加や当社グループの事業活動が制限される場合があり、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(8)世界各地の政治・経済情勢・自然災害等によるリスク

当社グループの事業活動は、世界各地に及んでおり、各地域における政治・経済状況等や自然災害の発生により影響を受ける可能性があります。具体的には地域間紛争、戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病等の社会的・政治的混乱や地震、津波、台風等の自然災害があります。これらのリスクに対しては当社グループ内外からの情報収集等を通じてその予防・回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を受ける可能性があります。

なお、ロシアによるウクライナ侵攻については、各国のロシアに対する規制を含めまして、直接的な影響は現在までありません。間接的には、原油をはじめとする資源高により物価が高騰しており、船用品費、潤滑油費、船舶修繕費等の上昇がリスクとなっております。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために適切な内部留保を確保しつつ、株主の皆様への出来る限りの利益還元を図ることを経営上重要な施策の一つとして位置付け、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

当社は、期末配当として年1回の剰余金の配当を行なうことを基本方針としておりますが、株主の皆様への利益配分の機会を充実させるため、2024年6月27日開催の第94回定時株主総会において、中間配当の基準日の新設を決議いたしました。配当の決定機関は中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり20円の普通配当を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は75.9%(連結ベースでは104.3%)となりました。

内部留保資金につきましては、今後規制が強化される環境問題等に積極的に投資し、コスト競争力を高め顧客のニーズに応えて参る所存であります。

当社は、会社法第459条第1項に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月27日

152,955

20

定時株主総会決議