リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、すべてを網羅するものではありません。
1.売上高及び売上総利益の変動について
(1)タクシー事業
タクシー業界においては、2009年10月1日付で施行された「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」による各地域の協議会において、適正台数に向けた需給調整のための減車・休車数の自主目標等が諮られており、当社グループの特定地域では、2011年4月から2013年3月末までに10%~20%程度の自主減車・休車を実施し、更に2017年8月から、特別措置法改正後指定された特定地域において、一部車両を減車しております(ナンバープレート返納による営業方法制限による車両を含む)。新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)のまん延以降は、感染予防による外出自粛、テレワークの浸透、夜間の会食の減少などにより、法人顧客・個人顧客共に乗り控えにより売上高の減少が続いたことに加え、タクシー事業売上原価のうち燃料のLPG等の石油関連商品の価格は、投機マネーの動向や為替動向、ウクライナ情勢にも大きく左右され収益を大きく圧迫する要因であり、注視していく必要があります。
当社グループといたしましては、お客様に満足頂くサービスの向上に努め増収を図るとともに、スケールメリットを生かして原材料等の調達費抑制等の経費削減により利益の確保に努めてまいりますが、上記の要因及び感染症の再拡大及び感染予防による外出自粛などにより、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(2)バス事業
貸切バス部門は、2016年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故(乗客13人、乗員2名死亡)を踏まえ、再発防止に向けた法令改正などにより道路交通法が厳格化されております。当社グループでは、改正内容に対し的確に対応できるよう、機動的な人員配置と設備投資を行ってまいります。また、(公社)日本バス協会が行っている「貸切バス安全評価認定制度」について、既に三ツ星認定を受けている那覇バス㈱及び㈱琉球バス交通以外の他の事業所でも取得に向けた取り組みを行い、その活動を通じて更なる「安全・安心なバスの見える化」に取り組み、お客様に提供してまいります。当社グループでは、お客様の利便性やニーズにお応えするため、今後も路線バスを中心に車両代替を行うことにしており、乗務員教育による接客・サービスの向上、IC乗車券の活用、効率的なバス路線の見直し、省燃費運転の徹底及び観光バス顧客の獲得に積極的な営業活動を推進してまいりますが、感染症再拡大及び感染予防による外出自粛、景気の低迷、当該バス車両の代替に伴う減価償却費及びリース料の増加並びにウクライナ情勢による軽油等石油関連商品の価格変動によっては、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(3)不動産分譲事業
当社グループの不動産分譲事業につきましては、分譲物件の選別、差別化により顧客志向の商品供給を行っておりますが、以下のような業績変動要因があります。
①経済情勢
不動産分譲事業は数年にわたる事業であり、景気や経済情勢に大きく左右されるため、マンション市況の変動により、販売価格の改定を実施した場合や「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用した場合、販売用不動産において評価損を計上する場合があります。当社グループとしては、常に景気、金利、需要動向に目を配り、各プロジェクトの企画・工事費管理・販売計画を行うことに努めておりますが、資材及び働き方改革に伴う労務費の高騰などによる建築費の上昇や、上記の要因等により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
②分譲マンションの引渡しの時期
不動産分譲事業においては、売上は売買契約成立時ではなく、物件の顧客への引渡しをもって計上され、かつ利益率は、個別プロジェクト毎、立地、地域等により乖離があります。このため、当社グループとしては、プロジェクトの利益率については社内規程を設け、立案時に個別に判断することにしております。また引渡し時期については、年間を通じ竣工時期を平準化することに努めておりますが、お客様のニーズに合わせた竣工時期を選定するなかで、各プロジェクトの完成・引渡しは下半期に偏って行われていることから、各連結会計年度及び上半期の売上高・売上総利益において不動産分譲事業の業績判断の際には留意する必要があります。
なお、住宅設備等の製造、納期遅延、その他天災等により建設工事の中断、予想し得ない事態による工事期間の遅延といった不測の事態により、引渡し時期が遅延する場合、売上高及び売上総利益は著しく変動する可能性があります。
(参考)不動産分譲事業(マンション)の上半期・下半期別売上高 (単位:百万円)
|
上 半 期 |
下 半 期 |
通 期 |
前連結会計年度 |
8,421 |
17,421 |
25,842 |
当連結会計年度 |
8,134 |
17,446 |
25,581 |
(注) 不動産分譲事業(マンション)の契約及び販売実績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。
(4)不動産賃貸事業
不動産賃貸事業においては、主として都市部における飲食ビルを所有し賃貸業務を行っておりますが、原材料価格・人件費の高騰、人手不足の影響など、賃料の支払いが困難なテナントの増加や退店の増加が予想され、不動産賃貸事業の売上高及び売上総利益に少なからず影響を及ぼす可能性があります。また、「固定資産の減損に係る会計基準」等を適用した場合、固定資産において減損損失を計上する場合があります。
(5)不動産再生事業
不動産再生事業においては、不動産の付加価値を高めマーケットにマッチした再生物件として販売しておりますが、不動産市場における流動性が著しく低下した場合、保有する不動産の売却が長期化したり、計画していた価格で売却できなくなる可能性があります。また、不動産市場において環境が悪化した場合、テナントの退去等、家賃収入の減少や不動産価格の下落により、不動産再生事業の売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。なお、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用した場合、販売用不動産において評価損を計上する場合があります。
(6)金融事業
金融事業においては、不動産担保融資に特化しており不動産金融市場や不動産市場の影響を受けやすい状況にあります。不動産市場において環境が悪化した場合、担保不動産の価格下落による貸倒リスクの高まりや、資金需要の低迷、コロナ禍における金利減免要請や貸出先の破綻により、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
また、営業貸付金等の必要資金は主に金融機関からの借入金で賄っており、今後金融環境に大幅な変化が生じた場合に、急激な金利上昇による調達コストの増加や、資金調達が困難になる恐れがあり、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
2.法的規制について
(1)タクシー事業
①規制緩和から再規制へ
タクシー事業は、「道路運送法」による一般乗用旅客自動車運送事業の免許を得て、その業務を行うためには国土交通大臣の許可が必要であり、「道路運送法」のほか「道路運送法施行規則」、「旅客自動車運送事業等運輸規則」の規制を受けております。
2002年2月の道路運送法の改正及びその後の一部改正により、タクシー事業への新規参入及び車両の増減車の簡易化及び運賃料金の設定緩和といった規制緩和がなされ、タクシー業界においては増車及び運賃の割引による過当競争により、違法駐車の増加、事故率の上昇、マナーの低下、乗務員の賃金の低下等を招くことになりました。以上により、2009年10月から3年間の時限立法として「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」が施行(2012年10月に更に3年間延長)され、供給過剰として特定地域に指定された地域では、新規参入や増車などが抑制されると同時に、運賃の多様化が是正されることとなり、業界では自主減車を行いました。2014年1月から「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律」が施行され、新規参入や増車の抑制及び運賃の多様化の是正が継続されております。当社グループにおいては、安全な輸送と快適なサービスにより、お客様に選ばれるタクシー会社としてあり続けることを基本として、顧客ニーズの喚起により増収を図ってまいります。しかし、業界自体の更なる過当競争により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
②運輸局による指導・行政処分について
タクシー事業の所轄官庁は国土交通省・運輸局ですが、同局ではタクシー事業者が公共輸送機関として適正に運営を行うよう、同局の監査を通じてタクシー事業者全てに対して指導が行われております。2002年の規制緩和策と連動して、同局の監査によって指摘された不備事項については、その程度に応じて行政処分の対象となり、新規事業展開の禁止・営業停止等厳格化の傾向にあり、処分基準が見直し実施されております。道路交通法、国土交通省令等で、駐停車違反に伴う運転者の反則金の未払いは車両の使用者(会社)へも処分が及び、事業経営者に対する輸送の安全確保義務の明確化に運輸安全マネジメントが導入され、安全情報の公表、指導監督及び300両以上のタクシー事業者にあっては安全管理規程の作成届出・安全統括管理者の選任届出が義務付けられております。
飲酒運転や交通事故を撲滅する目的で、運行管理者による乗務員の管理状況(点呼の実施)、整備管理者による車両管理の徹底(日常、定期点検)、後部座席シートベルトの着用義務化、点呼時の運転者の酒気帯び確認にアルコール検知器使用、さらに2018年6月から点呼時に睡眠不足の有無の確認を義務付けられております。
また、2013年9月17日付「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」の改正により、運行管理者が全く不在の場合、勤務時間及び乗務時間に係る基準が著しく遵守されていない場合、全運転者に対して全く点呼を行っていない場合などには、即時事業停止になるという厳しい内容になっております。
当社グループにおきましては、引続き管理体制の強化により、運輸局等の指導・是正措置に迅速に対応し、円滑に事業を運営することに努めてまいりますが、今後不測の事態等による行政処分により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(2)バス事業
バス事業は、「道路運送法」による一般貸切旅客自動車運送事業、一般乗合旅客自動車運送事業の免許を得てバス事業の営業を行っており、その業務を行うためには国土交通大臣の許可が必要であり、「道路運送法」のほか「道路運送法施行規則」、「旅客自動車運送事業等運輸規則」の規制を受けております。
タクシー事業と同様に運輸局等の監査によって指摘された不備事項については、その程度に応じて行政処分の対象となり、新規事業展開の禁止・営業停止等厳格化の傾向にあります。事業経営者に対する輸送の安全確保義務の明確化に伴う運輸安全マネジメント制度では、安全情報の公表、指導監督及び全ての貸切バス事業者、貸切委託運行の許可を得ている全ての乗合バス事業者並びに200両以上所有している乗合バス事業者にあっては安全管理規程の作成届出・安全統括管理者の選任届出が義務付けられております。
また、国土交通省は、貸切バスの安全性向上を図る取り組みの一環として、安全と労働環境改善コストを反映した合理的な運賃制度を2014年4月より実施し、下限額以下の運賃での運行は、運行違反として行政処分の対象となります。2023年10月には貸切バスの安全性向上対策の為、制度改正の公布があり、輸送の安全に係る書面及び記録の保存期間の延長、録音・録画による点呼記録の保存義務付け、アルコール検知器使用時の写真撮影の義務付け、デジタル式運行記録計使用の義務付け、安全取組の公表内容の拡充等の改正が2024年4月1日で施行されています。
当社グループにおきましては、当連結会計年度末までにおいて業績に重要な影響を及ぼす行政処分はなく、引続き管理体制の強化により、運輸局等の指導・是正措置に迅速に対応し、円滑に事業を運営することに努めてまいりますが、今後不測の事態等による行政処分により、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(3)不動産分譲事業
不動産分譲事業は、「国土利用計画法」、「宅地建物取引業法」、「建築基準法」、「改正省エネ法」、「改正建築士法」及び「住宅品質確保促進法」等により規制を受けております。また、「住宅瑕疵担保履行法」に対応して、当社グループは住宅保証機構株式会社を窓口として保険加入しております。当社グループにおきましては、当連結会計年度末までにおいて業績に重要な影響を受けた行政処分はなく、引続き管理体制の強化並びに新たな法的規制の動向に注力し、迅速な対応に努めてまいりますが、今後これらの規制の強化又は新たな法的規制に伴い、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(4)不動産再生事業
不動産再生事業は、「宅地建物取引業法」等により規制を受けております。当社グループにおきましては、当連結会計年度末までにおいて業績に重要な影響を受けた行政処分はなく、引続き管理体制の強化並びに新たな法的規制の動向に注力し、迅速な対応に努めてまいりますが、今後これらの規制の強化又は新たな法的規制に伴い、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(5)金融事業
①貸金業登録について
金融事業においては「貸金業法」第3条に基づき、福岡財務支局の貸金業登録を受け、3年ごとに更新登録を行っております(登録番号 福岡財務支局長 [10]第00128号)。この貸金業者登録により各種の業務規制と、規制に違反した場合の行政処分(業務停止、貸金業登録の取り消し等)並びに罰則等の措置が設けられております。また、監督官庁である金融庁が定める「貸金業者向けの総合的な監督指針」の適用も受けており、貸金業法による行動指針が定められております。
当社グループにおいては、「貸金業法」及び「貸金業者向けの総合的な監督指針」の遵守を徹底しており、当連結会計年度末までにおいて、法令に抵触する事実はなく、引続き管理体制の強化に努めてまいりますが、今後何らかの要因により法令に抵触した場合、業務の全部又は一部の停止が命ぜられ、又は登録が取消され、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
②貸出金利について
貸付上限金利は2010年6月18日より改正「貸金業法」が完全施行となり、「利息制限法」に規定する金利(貸付元本により年15%~20%)を上限とすることとなりました。当社グループの場合、貸出元本が1百万円を超えるため年15%の金利が上限となります。当社グループでは15%以下での貸付を行っておりますが、今後更なる上限金利の引き下げが行われた場合、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報管理について
当社グループでは、タクシーチケットやポイントカード等の発行を中心として、各事業部門において大量の顧客情報を取り扱っております。
「個人情報の保護に関する法律」の施行に伴い、個人情報保護方針及び個人情報保護規程を制定し、顧客情報の保護に努めております。当連結会計年度末までにおいて情報流出問題は発生しておりませんが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではなく、顧客情報の流出等の事故発生が、法的責任及び社会的責任を課せられ、信用力の低下により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
3.有利子負債への依存について
当社グループは、主に不動産事業における分譲用地や賃貸物件の取得等、金融事業における営業貸付金等、タクシー事業におけるM&Aや営業所用地の取得等の資金調達において、主として金融機関からの借入金で賄っているため、有利子負債への依存が高い傾向にあります。
従って、販売用不動産の回転期間の短縮化、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)による資金効率の向上等により有利子負債の縮減に努めておりますが、業容の拡大や経済市況の変化によって分譲用地・賃貸物件の取得が重なり、有利子負債が増加する可能性があります。
なお、その調達形態につきましては、個別事業採算や金融情勢及び金利動向を考慮しながら資金調達を図っており、特に短期借入金の機動的活用や、金利上昇リスクを想定して長期固定金利による調達に傾注しております。その結果、金融事業を除く当社グループにおいては、借入金に占める短期借入金の比率が2024年3月期は5.3%と低シェアに留まるとともに、長期借入金に占める固定金利の比率が2024年3月期は18.5%となっております。調達コスト面において金融費用の縮減に努めるとともに、金利上昇局面での費用抑制に備えておりますが、有利子負債の増加や急激な金利上昇によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.タクシー・バス事業の人材確保と稼働率について
タクシー・バス業界においては、乗務員の平均勤続年数は短く、退職率も高い傾向にありますが、これは主として、業界内の慢性的な2種免許・大型2種免許保有者の不足に伴う転職しやすさ、感染症まん延期の高年齢乗務員の離職等に起因しており、乗務員の確保状況が稼働率に多大な影響を及ぼしております。
当社グループにおきましても、従来からの乗務員不足の解消と稼働率を維持するための募集活動、養成費、寮・借上げ社宅・託児所の確保といった経費の増加が予想されます。また、乗務員紹介サポーター制度を設け、若い人材の獲得やイメージアップCMの放映、「働きやすい職場認証制度」の認証取得、「女性ドライバー応援企業」の認定、女性会議(女子会)開催による女性乗務員の採用に注力するとともに、マスターズの会開催による中堅乗務員の採用、運転体験会の開催にも注力し、各種キャンペーンや法人営業等により需要の喚起に努めてまいりますが、乗務員を安定的に確保できない状態が継続した場合、稼働率の低下によって売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
5.タクシー・バス事業での時間外労働の上限規制適用について
労働基準法の改正による時間外労働の上限規制が、一部の業種については、適用が猶予されていましたが、この猶予期間が終了し、2024年4月1日からタクシー・バス事業にも時間外労働の上限規制の適用が開始されました。
タクシー・バスの乗務員は、公共交通機関として生活交通を支える大切な存在でありますが、一方で、著しく長時間の待機などの事情もあるなか、事業者の努力や感染症の影響等もあり、労働時間が短くなってきているものの、他の産業と比べると労働時間は長い状況にあります。
さらに、タクシー・バスの乗務員には、2024年4月から改善基準告示として労働時間と休憩時間とを合わせた拘束時間、勤務間のインターバルである休息期間、運転時間(バスのみ)などの規制も適用されております。
当社グループといたしましては、各種システム導入による乗務員の勤務時間の管理に努め、勤務シフトを工夫するなど、お客様に満足頂くサービスの維持に努めてまいりますが、規制対応に伴う勤務シフトの変更を起因とした稼働率低下により、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
6.いわゆる日本版ライドシェアについて
2024年3月29日、国土交通省から「自家用車活用事業」(いわゆる日本版ライドシェア。以下「本制度」)の制度を創設し、ライドシェアを限定的に解禁するための新たな通達が発出されました。
本制度は、道路運送法78条3号に基づき、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供することを可能とする制度です。
本制度の概要と留意点は以下のとおりです。
・事業の実施主体である法人タクシー事業者が運輸支局宛てに申請が必要
・大前提として、本制度は、タクシーの不足を補おうとするものであるため、実施可能な地域・時間帯は、タクシーが不足する地域・時間帯に限られ、国土交通省が指定する
・事業者はタクシー事業(一般乗用旅客自動車運送事業)認可を受けていること
・使用する自家用車数については、各営業所のタクシー車両数の範囲内である
・アプリ配車及び事前確定運賃並びにアプリ内で電子決済すること など
本制度は、2023年12月にデジタル行財政改革会議において決定された「デジタル行財政改革会議の中間とりまとめ」を踏まえて創設されており、現在も規制改革推進会議・地域産業活性化ワーキング・グループにて、タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、継続して議論を進めており、今後の動向を注視する必要があります。
当社グループといたしましては、営業エリア内の当該地域においては参画するとともに、乗務員採用活動及び2種免許保有乗務員の養成を継続することで、タクシー不足の緩和に努めてまいりますが、全面解禁となり海外ライドシェア事業者やアプリ事業者等にも単独で営業認可が与えられた場合、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益配分を最重要課題の一つと認識するとともに、業績、経営環境の状況、財務体質の強化や将来の事業展開に備えるための内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを勘案して利益配分を決定いたします。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
当事業年度の配当につきましては、基本方針及び最近の業績動向、財務体質の状況等を総合的に勘案した結果、1株当たり25円の配当(うち中間配当10円)を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は118.1%となりました。
内部留保資金につきましては、事業所の新設及び設備投資、情報システムの構築並びに人材育成のための教育投資へ積極的に活用することで、業容拡大と事業基盤の強化に役立ててまいります。
また、当社は「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず、取締役会の決議により定める。」旨及び「中間配当の基準日は、毎年9月30日とする。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月9日 |
340 |
10 |
取締役会決議 |
||
2024年5月22日 |
510 |
15 |
取締役会決議 |