リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの財政状況および業績に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項については、以下のようなものがあります。当社グループは、これらの事業等のリスクを認識したうえで、事態発生の回避および発生時の対応に努めます。
当該リスクの顕在化する可能性の程度や時期については、現時点において、明確に想定できませんが、事業の遂行にあたっては、取締役会において、想定されるリスクとその対応を含めて、意思決定を行っております。
また、グループ重要リスク調査を実施し、想定しうるリスクの洗い出し、リスクを最小化するための取組計画の策定および取組状況を集約し、取締役会でリスクの確認と対応の方向性について報告した後、グループ会社社長が出席するグループ社長会で共有しております。さらに、リスク管理委員会では当社グループのリスク情報を集約し、一元的に管理することでリスク管理体制の強化に努めております。
また、本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。
(1)社会的・経済的な影響
イ.少子高齢化の進行による影響
少子高齢化の進行などの要因により地域人口が減少した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.リスクが沿線全域に与える影響
当社グループの事業は、都心から品川、羽田空港、川崎、横浜を経て三浦半島に至る当社線沿線を中心とした地域に集中して展開しているため、沿線地域の発展と当社グループの業績は密接な関係にあります。このため、社会的・自然的要因等により沿線地域の発展が阻害された場合、あるいは沿線地域が壊滅的な被害を受けた場合、当社グループは大きな経済的影響を受ける可能性があります。
ハ.生活様式の変化による影響
在宅勤務の増加による移動減をはじめとした生活様式の変化によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ニ.品川駅周辺開発による影響
国土交通省による品川駅西口基盤整備事業の推進に伴い、当社所有地の段階的な譲渡や施設の一部閉鎖など、一時的に当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新しい生活様式や社会的価値観の変化などにより、不動産の賃貸需要が著しく減少した場合、開発計画が変更となる可能性があります。
ホ.羽田空港への新たなアクセス路線による影響
羽田空港への新たなアクセス路線が検討されているため、この推移によっては、将来的に競争の激化により、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ヘ.訪日外国人の減少による影響
世界的な恐慌とりわけアジア諸国における景気の急速な減退、東ヨーロッパおよびロシア地域における政治的・軍事的緊張の高まりによる安全保障情勢の変化、感染症等による国際的な渡航制限等により訪日外国人が大幅に減少した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制・規制緩和等による影響
イ.法的規制による影響
当社グループの基幹事業である交通事業は、鉄道、バスなど公共輸送機関としての性格上、厳格な法規制の下に事業を行っているため、鉄道事業法、道路運送法および労働諸法制の定めにより、事業の拡大・縮小、通常の業務運営、運賃および料金の設定・変更や乗務員の労働条件などにおいて規制を受けており、規制の強化や社会情勢等の変化によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.規制緩和による影響
バス事業等においては、規制緩和による他業種などからの新規参入が容易であることから、引き続き厳しい競争にさらされる可能性があり、これらの推移によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.環境規制による影響
交通事業は、公共交通機関として環境負荷が小さいという長所があるものの、今後、環境に対する規制が強化された場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)財政的な影響
イ.金利変動・格付引下げによる影響
当社グループは、鉄道事業をはじめ各事業において多額の設備投資を行っており、金融機関からの借入金や社債等の有利子負債残高が高水準で推移しております。このため、今後、市場金利の大幅な変動や格付機関による当社発行債券の格付の引下げがあった場合、利息負担の増加や調達金利の変動などにより、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.金融市場の混乱等による影響
金融市場の混乱等により、資金調達に制約を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.地価・株価の変動や税制の改正による影響
当社グループは、事業の性格上必要な土地(事業用および販売用)や株式などの投資有価証券等を多く保有しておりますが、市況の動向等による地価や株価の大幅な下落や保有に対する課税強化などの税制の改正等があった場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ニ.人件費負担増による影響
当社グループは、主として労働集約型の事業を展開しているため、退職者の増加、採用難による人手不足の影響により、賃金水準が急激に高騰した場合、人件費負担増などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
ホ.物価・燃料費の高騰による影響
当社グループは、修繕工事等の継続的な実施や事業に必要な電力、軽油等を多大に消費しているため、物価や燃料価格が高騰した場合、あるいはその供給不足が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)事故等による影響
イ.安全を阻害する事態による影響
当社グループは、鉄道、バス、ホテル、百貨店、ストアなどの営業施設を多くのお客さまにご利用いただいており、安全の確保、無事故の継続を最も重要な課題として取り組んでおります。このうえで、不慮の火災や事故・障害の発生など、安全に対する信頼を損なうような事態が発生した場合、当社グループ全体の根幹を揺るがすような重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、食品等を取り扱う各事業において、衛生管理には十分注意しておりますが、当社グループ固有の管理および社会全般にわたる一般的な品質問題等が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.個人情報流出等の問題による影響
当社グループは、鉄道やカード事業をはじめ、各事業において個人情報を保有しており、適正な管理に努めておりますが、万一、個人情報が流出するなどの問題が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)災害・テロ、疾病等による影響
イ.自然災害または不法行為による影響
地震、台風等の自然災害あるいはテロ等の不法行為等により、当社グループの営業施設やコンピューターシステム等の設備の損壊を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ロ.疾病の発生・流行による影響
新型ウイルスなどによる疾病の発生・流行等による恐慌等により、お客さまや従業員等が罹患し被害を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)不正・不法行為、不祥事等による影響
当社グループは、「コンプライアンス規程」、「京急グループ・コンプライアンス指針」および「京急グループ・役員および従業員行動基準」に基づいてコンプライアンス順守に関する教育を定期的に実施するなどの啓発活動に努めておりますが、役職員等による重大な不正・不法行為、不祥事等が発生した場合、当社グループへの信頼の低下などにより、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記の記載事項は、当社グループの事業その他について予測される主なリスクを可能な限り具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものとは限りません。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、格付を意識した財務の健全性の確保に努めるとともに、成長のための投資と株主還元を両立させることを資本政策の基本方針とし、その適切な配分については、取締役会で議論し、持続的な株主価値向上に努めてまいります。
株主還元については、この方針に鑑み、業績を踏まえ、安定的な配当を継続しつつ、利益水準に応じた配当額の向上を図ってまいります。また、株主価値の向上に資するため、自己株式の取得等も、財務状況を勘案し柔軟に実施してまいります。
当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当期の期末配当については、1株当たり8円(中間配当金7円を加えた年間配当金につきましては1株当たり15円)としております。
また、次期の年間配当金については、1株当たり16円(中間配当金8円、期末配当金8円)を予定しております。
内部留保資金については、安全対策工事や品川・羽田空港をはじめとする重要な戦略拠点や新規事業等への投資のほか、有利子負債の返済などに充当し、引き続き経営基盤の充実と財務体質の強化および改善を図ってまいります。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、次のとおりであります。