2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.当社グループを取り巻く事業環境及び当社事業の特性等について

(1) 事業環境

当社グループは、東京都心部を中心に「不動産再生と活用」に取り組み、企業としての市場競争力を高めるべく影響力のある都心部のオフィスビル及び商業ビルを中心に、仲介・管理・保証・工事・賃貸・売買等の一貫した不動産サービスをワンストップで展開しております。しかしながら、経済情勢が悪化し、空室率の上昇や賃料の下落といったように不動産市況が低迷した場合には、当社グループの経営成績、財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(2) 競合の状況

 当社グループの事業は、リプランニング事業、賃貸ビル事業、事業用不動産の売買仲介・賃貸仲介、プロパティマネジメント事業、ビルメンテナンス事業、滞納賃料保証事業、貸会議室事業、ホテル開発事業、ホテル運営事業、海外開発事業及び建設事業等から構成されており、これら各事業が有機的に結合し、事業用不動産に係る一貫したサービスを提供するところにその特徴があります。そして、各事業部門の機能を連鎖させることにより発揮する総合力、及び顧客の広範なネットワークから潜在的な優良物件を購入する等、各部門が連動した事業運営を行なうことにより競争力の維持・強化、競合他社との差別化を図っております。しかしながら、この優位性が保たれない場合は、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) リプランニング事業の特性

①リプランニング事業は、主に事業用不動産を対象とした再生事業であり、不稼働又は空室率が高く低収益の事業用不動産を再生することにより収益の改善を実現させる事業であります。売却先は主に不動産賃貸収入を目的とした投資を行う個人・法人等であります。

 経済情勢の悪化や信用収縮等により金融市場に混乱が発生した場合、不動産の流通市場が低迷するおそれがあり、リプランニング事業で扱う物件の棚卸資産としての評価額が下がり、また、販売活動が計画通り進まず、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

②リプランニング事業は、主に金融機関からの借入により資金調達し物件を購入するため、有利子負債残高は物件購入及び売却の状況によって変動します。資金調達にあたりましては、特定の金融機関からの借入に依存することなく、常に複数の金融機関との均衡を図りつつ、安定的、かつ適正な条件での資金調達に努めております。しかしながら、信用収縮等による金融市場の混乱が発生した場合には、事業の展開に必要な資金調達が進まず、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

③リプランニング事業は、物件を購入し、リプランニング完了後に売却を行いますが、当該事業の売上原価及び売上高は物件の売却時に計上されます。また、一取引当たりの金額は、他の不動産サービス事業等の収入等に比較して高額となっております。したがって、その売却の時期や金額の変動等により、当社グループの経営成績、財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(4) ホテルの開発について

 ホテルの企画、開発、再生から運営に至るまでを当社グループが担いますが、所有物件に関して、一部は安定稼働後に投資家へ販売する場合もございます。ただし、物件販売後も当該物件を賃借し継続して運営することを基本的なビジネスモデルとしております。リプランニング事業とは異なり、ホテル開発事業では、自社にて土地を仕入れ、一から開発を行う場合があります。そのような場合には、竣工までに相当の期間を必要とするため、ホテルの宿泊収入等の収益を計上できない期間が長くなることや、事業期間が相対的に長くなることによって景気変動の影響を受けやすくなることで、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) ホテルの運営について

 ホテル運営事業は、一般的に景気動向や個人消費の動向等の影響を受けやすい傾向にあり、景気の低迷による企業の出張需要の減少や個人のレジャー需要の減少、新規ホテルの開業による客室の供給過剰、あるいは感染症の流行等により、客室料金や客室稼働率の低下が起こる場合等、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、為替の変動、近隣国との領土問題や反日感情の増大等の情勢変化が生じた場合、外国人観光客の減少、海外渡航の自粛または消費マインドの減退に繋がることが予想され、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) カントリーリスクについて

 当社グループは、海外事業の拡大を戦略の一つとしていますが、海外では為替動向、宗教や文化及び商習慣の相違、経済情勢の不確実性、紛争・内乱・テロ・暴動等政情不安、現地における労使関係のトラブル等のリスクに直面する可能性があります。また、投資規制、送金に関する規制、税率変更を含む税制改正等、政治的、経済的、法的あるいはその他の障害に伴うリスクがあります。海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間を要することがあり、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 災害等について

地震・暴風雨・洪水等の自然災害、戦争、テロ、火災等の人災が発生した場合には、当社グループが保有・管理・投資を行っている不動産の価値が大きく毀損する可能性があり、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 訴訟等のリスク

当社グループが売買・賃貸・売買又は賃貸の仲介・管理等を行う物件に関連して、取引先又は顧客等による訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容・結果によっては当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)気候変動・環境に関するリスク

地球環境問題への対応は、企業市民として避けることのできない重要事項と認識しております。環境負荷の低い商品の取り扱い、脱炭素社会への取り組みが遅延した場合、当社グループの社会的評価の低下につながる可能性があり、ひいては業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)サプライチェーンに関するリスク

当社グループは資材や什器類を外部のサプライヤーに依存しています。当社グループの製品で横断的に使用されている資材や什器類に供給不足あるいは納期遅延や価格高騰が発生する場合等には、当社グループの事業期間の長期化や事業原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)市場金利に関するリスク

当社グループは、事業の運営・発展のため、金融機関等から短期および長期の有利子負債を調達しています。新規の資金調達が必要となる場合、市場金利の上昇局面においては資金調達コストが増加する可能性があります。また、市場金利の上昇は、不動産購入者の購買意欲の減退や、投資家の要求する不動産の期待利回りの上昇をもたらすことで、当社グループの不動産売却収益の減少や所有資産の価値の下落につながるおそれがあり、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。

 

(12)為替変動に関するリスク

当社グループは、国外においても事業を展開しており、為替の変動は、海外事業における資金調達時のコストや、当社連結決算上の海外事業損益の取り込み額、資産・負債の計上額の変動要因となります。また、為替の大幅な変動は、輸入価格の変動を通じ、建築コストやエネルギーコスト等に影響を与え、当社グループの個別事業におけるコストの変動要因となる可能性があります。加えて、為替の変動が、テナント企業の業績へ影響を与えることを通じて、当社グループの賃貸収入等に影響を及ぼすおそれがあります。これらにより、当社グループの事業、財政状態および経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

2.資産評価について

(1) 販売用不動産(仕掛販売用不動産を含む)の評価に関するリスク

 当社グループは、販売用不動産及び仕掛販売用不動産(オフィスビル、ホテル資産等)の棚卸資産を多く保有しております。これらの棚卸資産の評価については、正味売却価額により評価が行われており、正味売却価額は販売見込額から工事原価の今後発生見込額及び販売経費等見込額を控除した額であり、販売見込額は主として、当社が策定した事業計画に基づき見積もった収益還元価額であります。また、これらの棚卸資産については、商品化の遅延等による所有期間の長期化やテナントリーシングの状況、ホテル稼働率等運営状況による収益性、不動産の投資利回りの変動、市場金利の上昇等のリスクに晒されており、正味売却価額が下落し、評価損の認識等を行う可能性があります。この結果、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) ホテル事業に係る固定資産の減損損失に関するリスク

 当社グループは、ホテル・観光事業セグメントのホテル開発事業、及びホテル運営事業において、固定資産(建物、建物附属設備、土地、ソフトウェア等)を保有しております。これらの固定資産については、将来における不動産市況の変化、ホテル客室の稼働率の低下等のリスクに晒されております。今後、上記のリスクの拡大に伴い、ホテルの事業計画を基礎として算定した、ホテルに係る主要な資産の経済的残存使用年数にわたって得られる割引前将来キャッシュ・フローの見積総額が減少した場合には、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

 

3.法的規制について

当社グループの事業は、宅地建物取引業法、建設業法、不動産の鑑定評価に関する法律、不動産投資顧問業登録規程、金融商品取引法、建築士法、警備業法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、賃貸住宅管理業者登録規程、建築物における衛生的環境の確保に関する法律等による法的規制を受けており、関連許認可を得ております。

当社グループの主要な業務に係る免許や許認可等の有効期限等は下記のとおりであり、現在、当該免許及び許認可等が取消となる事由は発生しておりませんが、万一、将来このような事由が発生した場合、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、今後、これらの関係法規が改廃された場合や新たな法的規制が設けられた場合にも、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。

 

 

(1) 有効期間その他の期限が法令、契約等により定められている主なものは以下のとおりであります。

 

免許、許可、登録等
の別

会社名

有効期間、登録日

種類

関連する法律

登録等の交付者

宅地建物取引業者免許

サンフロンティア不動産㈱

2019年12月29日から

2024年12月28日

宅地建物取引業法

国土交通大臣

サンフロンティアホテルマネジメント㈱

2022年1月8日から

2027年1月7日

東京都知事

SFビルメンテナンス㈱

2022年2月25日から

2027年2月24日

東京都知事

サンフロンティア沖縄㈱

2024年1月9日から

2029年1月8日

沖縄県知事

特定建設業許可

サンフロンティア不動産㈱

2022年7月20日から

2027年7月19日

建築工事業、屋根工事業、鋼構造物工事業、大工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、内装仕上工事業

建設業法

東京都知事

一般建設業許可

SFエンジニアリング㈱

2023年1月17日から

2028年1月16日

建築工事業、内装仕上工事業

東京都知事

SFビルメンテナンス㈱

2023年12月25日から

2028年12月24日

防水工事業、内装仕上工事業、建築工事業、大工工事業、左官工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、熱絶縁工事業、建具工事業、消防施設工事業

東京都知事

SFコミュニケーション㈱

2022年3月10日から

2027年3月9日

電気工事業、電気通信工事業

不動産鑑定業登録

サンフロンティア不動産㈱

2023年2月7日から

2028年2月6日

不動産の鑑定評価に関する法律

東京都知事

一般不動産投資顧問業登録

サンフロンティア不動産㈱

2019年11月3日から

2024年11月2日

不動産投資顧問業登録規程

国土交通大臣

第二種金融商品取引業者登録

サンフロンティア不動産㈱

2007年9月30日登録

金融商品取引法

関東財務局長

不動産特定共同事業許可

サンフロンティア不動産㈱

2018年10月29日許可

不動産特定共同事業法

国土交通大臣

金融庁長官

一級建築士事務所登録

サンフロンティア不動産㈱

2020年2月1日から

2025年1月31日

建築士法

東京都知事

警備業認定

サンフロンティア不動産㈱

2021年12月26日から

2026年12月25日

警備業法

東京都公安委員会

SFビルメンテナンス㈱

2024年4月5日から

2029年4月4日

古物商

サンフロンティア不動産㈱

2019年10月2日登録

古物営業法

東京都公安委員会

SFコミュニケーション㈱

2010年6月23日登録

 

 

 

免許、許可、登録等

の別

会社名

有効期間、登録日

種類

関連する法律

登録等の交付者

マンション管理業登録

SFビルメンテナンス㈱

2022年1月8日から

2027年1月7日

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

国土交通大臣

賃貸住宅管理業者登録

サンフロンティア不動産㈱

2021年10月20日から

2026年10月19日

 

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

関東地方整備局長

SFビルメンテナンス㈱

2022年2月1日から

2027年1月31日

建築物環境衛生総合管理業登録

SFビルメンテナンス㈱

2021年9月18日から

2027年9月17日

建築物における衛生的環境の確保に関する法律

東京都知事

建築物飲料水貯水槽清掃業登録

SFビルメンテナンス㈱

2018年6月29日から

2024年6月28日

建築物における衛生的環境の確保に関する法律

東京都知事

消防設備業登録

SFビルメンテナンス㈱

2018年7月3日登録

消防法

本所消防署長

屋外広告業許可

SFビルメンテナンス㈱

2023年12月6日から

2028年12月5日

屋外広告物法

東京都知事

貸金業登録

SFビルサポート㈱

2023年7月1日から

2026年6月30日

貸金業法

東京都知事

一般貸切旅客自動車運送事業

おけさ観光タクシー㈱

1999年1月19日登録

道路運送法

北陸信越運輸局長

一般乗用旅客自動車運送事業

おけさ観光タクシー㈱

1955年5月6日登録

道路運送法

北陸信越運輸局長

登録電気工事事業者許可

SFコミュニケーション㈱

2020年10月3日から

2025年10月2日

電気工事業法

東京都知事

 

 

(2) 不動産証券化事業を行うに当たりましては、資産流動化法に基づく特定目的会社、会社法に基づく株式会社・合同会社のいずれかにより設立されたSPC(特別目的会社)を利用することになります。この内、資産流動化法に基づく特定目的会社により、証券化事業を行う場合には資産流動化法の規制を受けることになります。

 

4.会計基準・不動産税制の変更について

   会計基準、不動産税制に関する変更があった場合、物件の取得、売却のコスト増加等により当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.個人情報保護

当社グループは業務上、ビルオーナー様、テナント様、ホテル宿泊者等の個人情報を保有する「個人情報取扱事業者」に該当し、今後の事業拡大につれ関連情報が増加することが予想されます。これに対しては、情報管理体制を強化し、内部情報管理の徹底を図っておりますが、不測の事態により、顧客情報等個人情報が外部に流失した場合は当社グループの信用を毀損し、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社グループは、株主への長期的かつ安定的な利益還元に努めるとともに、将来の成長に向けて事業に積極果敢に挑戦する投資資金を確保すると同時に、財務の安定強化も勘案し、総合的に株主の利益に資することを基本方針としております。

当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、毎年3月31日及び9月30日を基準日とする、年2回の配当を継続する方針であります。これらの決定機関は、株主総会または取締役会であります。

  なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月9日

取締役会決議

1,265

26.00

 

2024年5月21日

取締役会決議

1,553

32.00

 

(注)1 配当金の総額は、株式給付信託(J-ESOP)の信託口が保有する当社株式に対する配当金を含めて記載しております。

2 2024年5月21日の取締役会において決議した配当には、創立25周年記念配当2円を含んでおります。