2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

銀行関連事業 リユース事業 債権管理回収関連事業 その他事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
銀行関連事業 20,455 41.2 5,883 120.4 28.8
リユース事業 29,133 58.7 -261 -5.3 -0.9
その他事業 13 0.0 -736 -15.1 -5,661.5

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社及び当社の関係会社(連結子会社3社、持分法適用関連会社2社)の主たる事業は、銀行業務を中心に、信用保証業務、リース業務、クレジットカード業務などの各種金融サービスに係る事業を行っております。また、リユース事業、M&A仲介・コンサルティング事業等、様々な事業を展開しております。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

事業の系統図は次のとおりであります。


 

セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC) ※

キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

リユース事業      株式会社STAYGOLD

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited

 

また、持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

※ なお、第1四半期連結会計期間において、ハーン銀行は新株発行による新規株式公開を行い、その結果、当社の持分比率が50%を下回ることとなり、同行は第1四半期連結会計期間末より持分法適用関連会社に異動することとなりました。

 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、社会経済活動が正常化され景気は緩やかな回復傾向が見られますが、一方、円安による急激な為替変動や資源・エネルギー価格の高騰などによるインフレ率の上昇、実質所得の低下による消費低迷、増税などによる国民負担の増加が検討されるなど景気の先行きは極めて不透明な状況が続いております。世界経済においても、資源・エネルギー価格の高騰やインフレ率の高止まり、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中国における不動産不況や消費低迷、世界的な金融引締めによる景気悪化懸念など世界経済は緩やかな減速が続くとみられています。

このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は495億97百万円(前期比281億0百万円減)、経常利益は157億75百万円(前期比99億18百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は94億63百万円(前期比19億9百万円減)となりました。

 

当社グループは、当社、連結子会社3社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC) ※1

            キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

リユース事業      株式会社STAYGOLD

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited

 

※1 第1四半期連結会計期間において、ハーン銀行は新株発行による新規株式公開を行い、その結果、当社の持分比率が50%を下回ることとなり、同行は第1四半期連結会計期間末より持分法適用関連会社に異動することとなりました。このため、第2四半期連結会計期間より同行の業績は持分法による投資損益に反映されることとなります。

 

報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は204億55百万円(前期比524億25百万円減)、営業利益は58億83百万円(前期比190億68百万円減)となりました。ハーン銀行が第2四半期連結会計期間より持分法適用関連会社に異動することとなったため、銀行関連事業の業績は前年同期比で大きく減少しております。なお、ハーン銀行の業績は、第1四半期連結会計期間では全部連結され、第2四半期連結会計期間より持分法による投資損益に反映されます。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)

モンゴル経済につきましては、新型コロナウイルス収束後における消費の増加、石炭や金の輸出増加が寄与し、実質GDP(1-12月)は前期比で7.0%増加と高成長が続いております。インフレ率は食品価格を中心に依然として上昇しておりますが、前期末比7.9%と年度末にかけて落ち着いてきており、モンゴル中央銀行が目標とするレンジ(6%±2%)に入ってきました。また、貿易収支(1-12月)は、前期が中国におけるロックダウンの影響で大幅に減少していたことから前期比で54.7%と大きく増加しており、外貨準備高も好調な輸出に支えられ49億ドル台(前期末比44.8%増)となっております。為替市場では、政策金利の引き上げを受けて現地通貨トゥグルグ(以下、MNTという。)の通貨高となっており、前期末比で米ドルに対して1.0%上昇(ドル安)、日本円に対して7.1%上昇(円安)しました。一方で、モンゴル経済は中国経済の影響を強く受けるため、不動産不況等の中国経済の失速の影響を受ける可能性があります。

モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル経済が高成長を続けていることや、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策の影響が継続していることから、金融セクターの融資残高は前期末比で26.1%増加しました。また、延滞債権残高は12.8%増加、不良債権残高は0.6%増加となりました。

このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、法人向け融資や個人向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。特に、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策により個人向け融資が大きく増加したことや金利上昇の影響から資金運用収益が増加しました。一方で、預金残高の増加や預金金利の上昇により資金調達費用も増加しておりますが、デジタルバンキングサービスの推進による手数料収入が増加したことも影響し、増収増益となりました。

結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期末比で11.7%増加、融資残高は19.7%増加、資金運用収益は47.0%増加、当期純利益は24.5%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前期末比で15.3%増加、個人向け融資は45.7%増加、農牧業向け融資は6.2%減少いたしました。

 

キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)

キルギス経済につきましては、長期化するロシア・ウクライナ情勢による悪影響が懸念されておりますが、2023年の実質GDP(1-12月)は、製造業や小売業、建設業の成長に支えられ前期比で6.2%増加しました。インフレ率は、エネルギーや食品価格の上昇により前期末比10.8%となり前年(2022年度)の上昇率からは鈍化しておりますが、依然として高水準にあり、キルギス中央銀行は金融引締めのスタンスを維持しております(2024年3月末現在、主要政策金利13%)。

キルギスコメルツ銀行は、高金利環境を背景に、法人融資を抑え、利回りの高い個人融資の拡大に注力しました。預金業務では、預金残高の維持のために預金金利を計画的に引き上げました。また、ロシアの銀行が制裁を受けていることから、キルギスコメルツ銀行では、外貨取引、コルレス口座ネットワーク、海外送金などの決済業務の見直しを行い、非金利収入を増加させることができました。しかし、高止まりのインフレや不透明な国際情勢などを背景に、金利費用や人件費、システム費用などの経費が増加しました。結果として、現地通貨ベースでは増収減益となり、僅かな最終黒字を維持するにとどまっております。また、融資残高は前期末比15.5%と増加しましたが、預金残高は4.5%の減少となりました。

今後につきましては、ロシア・ウクライナ情勢を背景にキルギス経済の先行きは依然として不透明な状況となっております。このような環境の中、キルギスコメルツ銀行は、リスク管理とコンプライアンス体制を強化し、安定した預金基盤の構築と顧客ニーズに応える融資商品の提供に努めます。また、バックオフィス業務の効率向上を目指して、その業務プロセス・IT基盤の見直しを行います。

 

ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)

ロシア経済につきましては、依然としてウクライナ侵攻による幅広い経済制裁を受けているものの、2023年の実質GDP(1-12月)はロシア国内消費の増加により前期比で3.6%増加となりました。インフレ率は、前期末比7.4%の上昇と比較的落ち着いた状況となっておりますが、ロシア中央銀行はインフレ抑制のため数回にわたって政策金利を引き上げました(2024年3月現在、主要政策金利15%)

このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、新規顧客への融資を慎重に行い、銀行保証や外為取引などの非金利収入の拡大に注力するとともに、ロシア大手銀行や企業に対する制裁による環境変化を背景に店舗ネットワークと国際業務の見直しを行いました。結果として、現地通貨ベースでは増収増益となり、最終利益は前期比18.2%の増加となりました。また、融資残高は前期末比4.5%の増加、預金残高は23.4%の増加となりました。

今後につきましては、新規顧客の増加を受けソリッド銀行の業績は改善しているものの、ロシア・ウクライナ情勢の影響からロシア経済の先行きについては不透明な状況が続くと予想されます。このため、現地通貨ルーブルの為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の様々な要因により、ソリッド銀行の業績に影響を与える可能性がありますが、今後もソリッド銀行は不良債権の増加を抑制しつつ優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力するとともに、新たなビジネスに取り組み収益拡大を図ってまいります。

 

b) リユース事業

リユース市場は、SDGsなど環境意識の高まりやフリマアプリなどによるネット販売の急拡大により、市場規模は10年以上も拡大しており、今後も成長を続けていくとみられています。

リユース事業を営んでいる株式会社STAYGOLDは、主に時計やバッグ、ジュエリーの販売が好調であり前期比で増収ではありますが、事業拡大に伴い人件費や広告宣伝費などの経費が増加し、また連結上では無形固定資産やのれんの償却費が計上されている影響もあり営業損失となりました。新型コロナウイルス感染症の収束に伴いインバウンド消費が急回復していることに加え、国内消費においてもリユース品に対する需要は強く、今後も積極的な買取・販売の拡大を目指してまいります。また、当連結会計年度においては新たに11店舗の新規出店を行い買取の強化に努めました。販売についても、楽天モール内での「リマルク」の開始、STAYGOLD社主催の法人向けオンラインオークションによる法人販売の強化などの取り組みを行いました。

結果として、リユース事業の当連結会計年度の営業収益は291億33百万円、営業損失は2億61百万円となりました。なお、STAYGOLDは前第3四半期期末からの連結となりますので、前期比較は記載しておりません。

 

c) その他事業

当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社は、その他事業に分類しております。

当社(単体)の営業収益は主に関係会社からの配当金で構成され、当連結会計年度においては、関係会社からの配当金がなかったため減収減益となりました。なお、関係会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績に影響を与えません。

結果として、その他事業の当連結会計年度の営業収益は13百万円(前期比85億92百万円減)、営業損失は7億36百万円(前期は営業利益73億34百万円)となりました。

 

d) 持分法による投資損益

持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。なお、ハーン銀行の業績は第2四半期連結会計期間より持分法による投資損益に反映されております。

ハーン銀行は融資残高の増加による金利収入の増加、手数料収入の増加により増収増益となっております。ソリッド銀行においても、法人貸出の金利収入や外貨取引による非金利収入の増加により増収増益となっております。持分法による投資利益は、ハーン銀行が持分法適用関連会社へ異動となった影響から、前期比で大幅に増加しております。

結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は99億18百万円(前期比91億60百万円増)となりました。

 

② 財政状態の状況
第1四半期連結会計期間末において、当社グループの主要な連結子会社であったハーン銀行が持分法適用関連会社に異動することとなったため、連結貸借対照表の各科目は対前期末比で大きく減少しております。そのため、主な増減要因の記載は省略いたします。各科目の減少額については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ①連結貸借対照表」をご参照ください。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産合計につきましては、987億74百万円となり、前期比5,229億52百万円減少しました。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計につきましては、263億58百万円となり、前期比5,139億56百万円減少しました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計につきましては、724億16百万円となり、前期比89億95百万円減少しました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、181億99百万円(前期比1,678億58百万円減)となりました。第1四半期連結会計期間末において、当社グループの主要な連結子会社であったハーン銀行が持分法適用関連会社に異動することとなったため、資金残高は対前期末比で大きく減少しております。

また、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、前連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況はハーン銀行によるものが大きな割合を占めており、当連結会計年度のハーン銀行におけるキャッシュ・フローの状況は第1四半期連結会計期間のみ連結され比較対象期間が異なっており、キャッシュフローの状況が大きく変動し比較困難のため、主な増減要因の記載は省略いたします。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、255億86百万円の資金減少(前期は185億5百万円の資金増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、81億4百万円の資金減少(前期は179億38百万の資金減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、121億29百万円の資金増加(前期は25億78百万円の資金増加)となりました。

 

④ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

当連結会計年度におけるリユース事業の仕入実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門名

金額(百万円)

前期比(%)

BRING

4,127

BRAND REVALUE

19,073

合計

23,200

 

(注)リユース事業を営む株式会社STAYGOLDは、前第4四半期連結会計期間より連結子会社となりましたので、前期比については記載しておりません。

 

b.販売実績

当連結会計年度におけるリユース事業の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門名

金額(百万円)

前期比(%)

BRING

6,203

BRAND REVALUE

22,929

合計

29,133

 

(注)リユース事業を営む株式会社STAYGOLDは、前第4四半期連結会計期間より連結子会社となりましたので、前期比については記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は495億97百万円(前期比281億0百万円減)、経常利益は157億75百万円(前期比99億18百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は94億63百万円(前期比19億9百万円減)となりました。

第1四半期連結会計期間末より、ハーン銀行が持分法適用関連会社へ異動となったため、当社グループの連結業績は減収減益となりました。今後においても、モンゴル国の銀行法等の規制により、当社のハーン銀行株式保有比率を20%以下に引き下げる必要があり、これにより持分法による投資利益も減少していく見込みとなっております。

また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、国内の景気動向や同業他社との競争激化などに影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては14.4%となりました。前年比5.9%減少となりましたが、これはハーン銀行の持分減少や前連結会計年度に関係会社株式売却益が約57億円計上されていたことが影響しております。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は204億55百万円(前期比524億25百万円減)、営業利益は58億83百万円(前期比190億68百万円減)となりました。なお、ハーン銀行の業績は、第2四半期連結会計期間より持分法による投資損益に反映されております。

 

ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの資金運用収益や当期純利益は引き続き前期比で増収増益となり、融資残高や預金残高も前期比で増加しました。

ハーン銀行の業績は、モンゴルの好調な経済成長(前期比7.0%増加)に支えられ、また、10兆トゥグルグ規模の景気対策が引き続き影響し大幅な増収増益となっております。ハーン銀行の業績に影響を与えている景気対策の主な内容としては低金利融資があり、これにより住宅ローンなどの個人向け融資、ひいては資金運用収益が増加しました。一方で、預金金利の免除がなくなったこと、預金金利の上昇や預金残高が増加したことにより資金調達費用も増加しておりますが、資金運用収益増加の影響が大きく、増収増益を達成しております。

モンゴル国内においては、中国向けを主とする輸出が好調に推移しており、モンゴル経済は今後も成長を維持していくと思われます。一方で、中国経済の減速、財政の悪化やインフレ率の高止まりによる金利の上昇など不安要素も存在します。また、ハーン銀行は国の景気対策に協力する形で、低金利の融資や融資の返済猶予等を実施しました。このため、来期以降、この信用リスクが顕在化し、貸倒引当金繰入額が増加する可能性もあります。

今後も、ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めてまいります。顧客の利便性を図るため、パソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。今後、ハーン銀行は個人向け・法人向け融資に注力しつつ、カード事業やデジタルバンキングサービス等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。

 

キルギスコメルツ銀行においては、利回りが高い個人向け融資残高の増加により金利収入が増加しました。キルギス国の金融引き締め政策の影響から預金コストも増加しましたが、純金利収入は増加しております。また、コルレス口座ネットワークや海外送金などの決済業務の見直しを行い手数料収入が増加し、非金利収入が増加しました。以上の結果、金利収入や非金利収入は増加しておりますが、貸倒引当金の増加や販管費の増加が影響し、今期は減益となりました。ロシアウクライナ問題を受け、リスク回避のため融資の実行には慎重な姿勢を続けており、そのため金利収入が伸び悩んでいるため、どのように融資を増加させていくかが今後の課題となっております。

キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。新決済システムの導入によるデジタルバンキングの推進、キルギス国内唯一のクレジットカードのプロセシングセンターを設立するなど、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。

 

ソリッド銀行においては、前期に引き続き、法人向けを中心とした融資残高の増加、外為取引による非金利収入の増加により増収増益となっております。一方で、今期は融資への引当金が増加しており、特に個人向け融資の引当金の増加抑制が今後の課題となっております。ソリッド銀行は、現在のところ、ロシアウクライナ問題による業績への影響はなく、預金残高・融資残高も増加しており増収増益を続けておりますが、ロシアは依然としてウクライナ問題に起因する幅広い経済制裁を受けており、今後のロシア経済の悪化がソリッド銀行の業績にも影響を与える可能性があります。ロシア経済はインドや中国などの新興大国との繋がりを強めており、そのような環境の変化がソリッド銀行にどのような影響を与えるか注視している状況であります。

そのような環境のなかで、ソリッド銀行は貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築や継続的なコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。

 

b) リユース事業

近年、リユース市場は、循環型社会への促進を受けて成長を続けており、スマホの普及によるフリマアプリの拡大・浸透は市場を活性化させ、現代のサステナビリティの風潮も追い風となり、人口減少時代に突入した我が国においても引き続き成長が見込める市場となっております。STAYGOLDは、中古品をメインとした宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、シルバーアクセサリー、スニーカー等の買取・仕入・販売・仲介及びオークション運営を行っております。

今期のリユース事業の業績は、販売や買取を順調に増加させており、事業拡大に伴い人件費を中心に販管費が増加しておりますが、STAYGOLD単体では増収増益となっております。連結セグメントとしては、のれんや無形固定資産の償却費が多額に計上されていることなどから営業損失となっておりますが、足元の業績は好調であり、今後も、積極的な新規出店等を行うとともに買取チャネルの拡大を継続することにより個人のお客様からの買取りを強化するほか、様々な営業施策を実施してまいります。一方でリユース事業は、市場の成長性の高さから競争が激化しているため、ブランド力の強化や他社との差別化などが課題となっております。

リユース事業の当連結会計年度における営業収益は291億33百万円、営業損失は2億61百万円となりました。

 

c) その他事業

その他事業の当連結会計年度における営業収益は13百万円(前期比85億92百万円減)、営業損失は7億36百万円(前期は営業利益73億34百万円)となりました。

当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金で構成されており、当連結会計年度においては、関係会社からの配当金がなかったことにより減収減益となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、国外における将来性のある国や地域での事業に対しても積極的な投資を展開し、今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。

 

d) 持分法による投資損益

当連結会計年度における持分法による投資利益は99億18百万円(前期比91億60百万円増)となりました。

第2四半期連結会計期間よりハーン銀行が持分法適用関連会社へ異動となったため、大幅な増加となっております。持分法適用関連会社であるハーン銀行およびソリッド銀行の状況は前述のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要のうち主なものは、顧客への貸出金、中古リユース品の買取、新規店舗への設備投資、人件費や不動産賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。設備投資を目的とした資金需要は、STAYGOLDにおける新規店舗開設によるものであります。

また、当社グループにおける必要な運転資金、投資資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金により調達しております。当連結会計年度末における主な有利子負債残高は、長期借入金(1年内含む)11億40百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は181億99百万円となっております。

主な借入先として、キルギスコメルツ銀行において、Russian-KyrgyzDevelopmentFundから2億90百万円、Ministry of Finance of the Kyrgyz Republicから2億33百万円、STAYGOLDにおいて、株式会社高知銀行から1億56百万円、株式会社日本政策金融公庫から1億21百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

当社は、当社及び子会社の構成単位に分離された財務諸表に基づき、業種別に構成した事業単位について、国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。当社は従来、「銀行関連事業」、「リユース事業」、「債権管理回収関連事業」、「その他事業」を報告セグメントとしておりましたが、当連結会計年度より「銀行関連事業」、「リユース事業」、「その他事業」に変更しております。この変更は、前連結会計年度においてエイチ・エス債権回収株式会社の全株式を売却したことにより、同社を連結の範囲から除外したことによるものであります。

「銀行関連事業」は、預金業務、貸付業務等を行っております。「リユース事業」は、リユース品の買取卸売・小売事業を行っております。「債権管理回収関連事業」は、債権管理回収業に関する特別措置法に規定されている金融機関等が有する特定金銭債権の買取及び当該買取債権の管理回収等の債権管理回収業務を行っております。「その他事業」は、投資業務、M&A業務等を行っております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計処理の方法と概ね同一であります。

セグメント利益又は損失(△)は、営業利益ベースの数値であります。

セグメント間の内部営業収益又は振替高は市場実勢価格のあるものについては当該価格に基づき、それ以外については、双方協議のうえ合理的に決定された価格に基づいております。

 

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表計上額

(注)2

 

銀行

関連事業

リユース事業

債権管理回収
関連事業

その他

事業

営業収益

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対する
営業収益

72,881

3,202

1,611

3

77,698

77,698

セグメント間の内部
営業収益又は振替高

8,603

8,603

△8,603

72,881

3,202

1,611

8,606

86,301

△8,603

77,698

セグメント利益又は損失(△)

24,952

△276

337

7,334

32,347

△8,204

24,142

セグメント資産(注)3

579,939

18,618

45,543

644,100

△22,373

621,727

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費(注)4

3,462

113

4

1

3,581

△0

3,581

のれん償却額

39

39

39

持分法投資損益

263

△50

544

758

758

持分法適用会社への
投資額

1,470

1,470

1,470

有形固定資産及び
無形固定資産の増加

3,575

19

4

204

3,804

3,804

 

(注) 1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△8,204百万円は、セグメント間取引消去であります。

2.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

3.セグメント資産の調整額(△22,373百万円)は、セグメント間取引消去であります。

4.その他の項目の減価償却費の調整額は、セグメント間取引消去であります。

 

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表計上額

(注)2

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

営業収益

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対する
営業収益

20,455

29,133

9

49,597

49,597

セグメント間の内部
営業収益又は振替高

4

4

△4

20,455

29,133

13

49,602

△4

49,597

セグメント利益又は損失(△)

5,883

△261

△736

4,886

122

5,008

セグメント資産(注)3

58,858

18,592

40,853

118,304

△19,529

98,774

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

836

672

1

1,509

1,509

のれん償却額

237

237

237

持分法投資損益

9,918

9,918

9,918

持分法適用会社への
投資額

43,248

43,248

43,248

有形固定資産及び
無形固定資産の増加

752

443

1,196

1,196

 

(注) 1.セグメント利益又は損失(△)の調整額122百万円は、セグメント間取引消去であります。

2.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

3.セグメント資産の調整額(△19,529百万円)は、セグメント間取引消去であります。

 

4.報告セグメントの変更等に関する事項

前連結会計年度において、エイチ・エス債権回収株式会社の全株式を売却し、同社は子会社でなくなったため連結の範囲から除外しております。また、前連結会計年度より、株式会社STAYGOLDの株式を新たに取得し、子会社としたため、連結の範囲に含めております。

これにより、当連結会計年度より、報告セグメントは「銀行関連事業」「リユース事業」「その他事業」の3つとなっております。

 

 

【関連情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

報告セグメントと同一区分のため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

 

 

 

(単位:百万円)

日本

モンゴル国

キルギス共和国

合計

4,817

70,765

2,115

77,698

 

(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

 

 

 

(単位:百万円)

日本

モンゴル国

キルギス共和国

合計

589

14,592

366

15,548

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、特定の顧客への売上高であって、連結損益計算書の売上高の10%以上を占めるものがないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

報告セグメントと同一区分のため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

 

 

 

(単位:百万円)

日本

モンゴル国

キルギス共和国

合計

29,142

18,187

2,267

49,597

 

(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

 

 

(単位:百万円)

日本

キルギス共和国

合計

870

620

1,490

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、特定の顧客への売上高であって、連結損益計算書の売上高の10%以上を占めるものがないため、記載を省略しております。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

債権管理回

収関連事業

その他

事業

全社・消去

合計

減損損失

-

25

-

-

-

25

 

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

全社・消去

合計

減損損失

-

17

-

-

17

 

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

債権管理回

収関連事業

その他

事業

全社・消去

合計

当期償却額

-

39

-

-

-

39

当期末残高

-

2,272

-

-

-

2,272

 

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

全社・消去

合計

当期償却額

-

237

-

-

237

当期末残高

-

2,035

-

-

2,035

 

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

該当事項はありません。