人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数588名(単体) 14,600名(連結)
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平均年齢40.8歳(単体)
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平均勤続年数14.3年(単体)
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平均年収12,998,026円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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(2024年3月31日現在) |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
リテール部門 |
5,624 |
ホールセール部門 |
3,378 |
アセット・マネジメント部門 |
872 |
投資部門 |
262 |
その他 |
4,464 |
合計 |
14,600 |
(注) 従業員数は就業人員数です。なお、当社グループ内において複数の会社で兼務する者については、そのうちのいずれか1社に帰属する人員として計算しております。当社と大和証券株式会社との兼務者については、「その他」に含めております。
(2)提出会社の状況
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(2024年3月31日現在) |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
469 |
40.8 |
14.3 |
12,998,026 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
その他 |
469 |
(注)1 従業員数は、大和証券株式会社との兼務者を含めた総合職における従業員について表示しております。なお、従業員数のうち、当連結会計年度における大和証券株式会社との兼務者は469名であります。
2 平均勤続年数は大和証券株式会社等での勤続年数を通算しております。
3 平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含めております。
(3)労働組合の状況
特記事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
管理職に占める女性労働者の割合
当社グループの社員に占める女性の割合は40.3%(2023年度末/提出会社及びすべての国内連結子会社、以下同じ)となっており、ダイバーシティ推進における最重要課題は女性活躍推進であると考えています。
「女性管理職比率」は、18.4%となっています。女性活躍推進への取組みを始めた2005年度末時点では2.7%でしたが、2010年度より基幹職と事務職を分けたコース別採用を原則廃止するとともに、基幹職への職制転向※の促進、併せて各種人事制度の整備を行うことにより、女性の管理職、管理職候補者ともに増加しています。なお、大和証券では、2009年度以降の基幹職への転向者が累計1,183名となっています(「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」もご参照ください。)。
※ 事務職等である業務職、一般職、CS職から、より担当業務の幅が広い基幹職(エリア限定を含む)へ職制を変更する制度
管理職に占める女性労働者の割合(2023年度末) ※ |
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提出 |
大和証券グループ本社 |
16.2% |
連結 |
大和証券 |
21.1% |
連結 |
大和アセットマネジメント |
15.1% |
連結 |
大和総研 |
12.5% |
連結 |
大和総研インフォメーションシステムズ |
4.9% |
連結 |
大和証券ビジネスセンター |
24.4% |
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連結(提出会社及びすべての国内連結子会社) |
18.4% |
※ 出向者の取扱いについては、社外への出向者を除き、社外からの出向者を含めるものとしています。また、提出会社と大和証券株式会社との兼務者は、上表の「大和証券グループ本社」及び「大和証券」についてはいずれにも含め、「連結(提出会社及びすべての国内連結子会社)」については提出会社のみに含めるものとしています。
(ご参考)女性管理職者数及び女性管理職比率の推移(連結)
男性労働者の育児休業等取得率
男性労働者の育児休業等取得率は98.8%となりました。性別役割分担意識の解消に向け、男性の積極的な育児参画を推進しており、平均取得日数においても長期化を図っています。また、2022年10月に育児休職制度の拡充を図り、給与を4週間分まで保障するとともに、2023年1月からは、男性は子が生まれてから一年以内に連続2週間以上の育児休職等を取得することを必須としています(事業年度を跨いだ取得等により、取得率が100%を下回る場合もあります)。これらの取組みを通じて、固定的な性別役割分担意識を解消し、性別を問わず仕事と育児を両立できる社会の実現を目指しています。
男性労働者の育児休業に関する指標 ※1 |
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男性労働者の育児休業等取得率 ※2 |
平均取得日数 ※3 |
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前事業年度 |
当事業年度 |
前事業年度 |
当事業年度 |
提出 |
大和証券グループ本社 |
122.2% |
66.7% |
14.0日 |
18.6日 |
連結 |
大和証券 |
88.7% |
97.5% |
15.9日 |
18.4日 |
連結 |
大和アセットマネジメント |
120.0% |
142.9% |
16.1日 |
27.1日 |
連結 |
大和総研 |
109.5% |
100.0% |
25.9日 |
34.0日 |
連結 |
大和総研インフォメーションシステムズ |
114.3% |
100.0% |
53.0日 |
73.1日 |
連結 |
大和証券ビジネスセンター |
100.0% |
100.0% |
14.0日 |
16.0日 |
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連結(提出会社及びすべての国内連結子会社) |
94.2% |
98.8% |
18.6日 |
23.7日 |
※1 出向者の取扱いについては、社外への出向者を含め、社外からの出向者を除くものとしています。また、提出会社と大和証券株式会社との兼務者は、上表の「大和証券グループ本社」及び「大和証券」についてはいずれにも含め、「連結(提出会社及びすべての国内連結子会社)」については提出会社のみに含めるものとしています。
※2 男性労働者の育児休業等取得率
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号に定める方法により算出しています。
※3 平均取得日数
男性労働者の育児休業等の平均取得日数は、休職満了日が2023年度に属する男性労働者の育児休職等について、総取得日数(2022年度に取得された日数を含む。)を総取得者数で除した数を記載しています。
(ご参考)男性の育児休業等の平均取得日数及び取得率(大和証券)
男女の賃金差異
男女の賃金の差異は、提出会社及びすべての国内連結子会社における全労働者で66.0%となっています。職務・役割や評価が同じであれば賃金に男女の差はありませんが、2009年度まで基幹職と事務職を分けたコース別採用を行っており、相対的に賃金の低い事務職の女性比率が高かったことが、現在の男女間の賃金差異の主な要因です(2010年度以降は原則基幹職としての採用に一本化)。なお、提出会社において非正規労働者に係る賃金差異が特に大きくなっておりますが、かかる差異については、定年後再雇用の場合、定年以前の処遇に応じて再雇用後の処遇が異なり、これまでに定年後再雇用となった労働者では女性より男性の方が定年以前の処遇が高かった者が多かったことが主な要因です。
また、上記「管理職に占める女性労働者の割合」のとおり、管理職に占める女性労働者の割合が低い水準にあることも、差異の主な要因となっています。なお、連結(提出会社及びすべての国内連結子会社)の基幹職かつ管理職における男女の賃金差異は、92.4%となっています。現時点では、女性は管理職となって年数が浅い者の比率が男性と比較して高いため、基幹職かつ管理職においても男女の賃金は完全に同等ではありませんが、今後も継続的に女性の管理職登用を進め、実績に応じた報酬を支給することで、かかる差異及び全労働者における男女の賃金差異は縮小するものと考えています。
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男女の賃金の差異 ※1 |
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全労働者 |
正規 労働者 |
非正規 労働者 |
追加情報 |
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基幹職※2かつ 管理職における 男女の賃金の差異 |
事務職比率 ※3 |
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提出 |
大和証券グループ本社 |
74.7% |
72.3% |
43.5% |
89.9% |
男性 0.3% 女性 14.7% |
連結 |
大和証券 |
63.6% |
63.1% |
62.3% |
91.1% |
男性 0.9% 女性 17.3% |
連結 |
大和アセットマネジメント |
66.3% |
63.1% |
67.2% |
85.8% |
男性 0.0% 女性 40.2% |
連結 |
大和総研 |
75.5% |
74.4% |
78.9% |
96.5% |
男性 0.0% 女性 22.8% |
連結 |
大和総研インフォメーションシステムズ |
80.0% |
77.0% |
82.8% |
100.7% |
男性 0.0% 女性 0.0% |
連結 |
大和証券ビジネスセンター |
62.8% |
58.8% |
52.8% |
92.3% |
男性 1.3% 女性 73.7% |
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連結(提出会社及びすべての国内連結子会社) |
66.0% |
65.3% |
62.9% |
92.4% |
男性 0.6% 女性 23.4% |
※1 男女の賃金の差異
対象期間:2023年度(2023年4月~2024年3月)
賃金:基本給、超過勤務に対する報酬、賞与等を含めており、退職手当、通勤手当等を除いております。
人員数:各月末に提出会社又は連結子会社に在籍しており、かつ賃金が支給された労働者数の12ヶ月平均
出向者の取扱い:社外への出向者並びに提出会社及びすべての国内連結子会社以外の会社からの出向者を除き、提出会社及びすべての国内連結子会社からの出向者を含めています。また、提出会社と大和証券株式会社との兼務者は、上表の「大和証券グループ本社」及び「大和証券」については、賃金の全額をいずれの会社からも支給されていると仮定した上でいずれにも含め、「連結(提出会社及びすべての国内連結子会社)」については、賃金の全額を提出会社のみから支給されていると仮定した上で提出会社のみに含めています。
※2 基幹職の定義
正規労働者のうち、大和証券ビジネスセンターでは専任職、それ以外の会社は総合職を指しております。
※3 事務職比率
正規労働者における事務職(業務職・一般職・CS職)の比率。なお、大和総研インフォメーションシステムズにおいては事務職の採用を行っておりません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
ガバナンス体制
1-1.監督体制
サステナビリティ課題への対応については、取締役会が監督しています。取締役会は、サステナビリティ推進委員会で議論又は執行役会等で審議したサステナビリティ関連の課題と対応について、取締役会規則に則り必要に応じて報告を受けるとともに、同規則において決議事項として定められた、経営の中核となる事項や取締役会が重要と認めた事項について決定しています。
これまでに、例えば「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」や「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」、「人権方針」の策定又は改定について決定した他、リスクアペタイト・ステートメントのトップリスクに、気候変動を追加する決定を行いました。そのほか、気候関連開示等についての報告を受けた議論、また、決算や中期経営計画のレビューの際にサステナビリティKPIの進捗状況の確認等を行っています。2023年度の取締役会では、新中期経営計画~“Passion for the Best”2026~(「2030Vision」の改定を含む)が決定されました。そのなかで、気候変動や人的資本を含むサステナビリティもトピックとして取り上げられました。
取締役会には、サステナビリティに深い知見を有する社内外取締役が在籍しており、サステナビリティ課題への取組みに対し実効性の高い監督を行うことができる体制となっています。
また、サステナビリティ課題への取組みに関する役員のインセンティブを強化するため、サステナビリティKPIを業績連動型報酬の評価体系に組込んでいます。サステナビリティKPIとしては、SDGs関連債リーグテーブル、エンゲージメントサーベイスコア及び温室効果ガス(GHG)排出量等が含まれています。
1-2.執行体制
① サステナビリティ推進委員会
サステナビリティに関する戦略及び方針について、代表執行役社長CEOを委員長とするサステナビリティ推進委員会にて定期的に議論を行っています。これまでに、例えば「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」や「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」の策定・改定等について議論を行っています。同委員会には、取締役会で承認された執行役規程に基づきサステナビリティ推進を統括するサステナビリティ担当や、複数の社内取締役を含む役員、さらにサステナビリティの主要テーマに専門的知見を有する社外委員3名が参加しています。同委員会での議論内容については、適宜、執行役会に報告され審議・決定を行います。
② グループリスクマネジメント会議
気候変動を含むリスク管理に係る方針や施策については、執行役会の分科会であり、リスク管理の責任者である最高リスク管理責任者(CRO:Chief Risk Officer)が出席するグループリスクマネジメント会議において議論しています。気候関連シナリオに基づく定量分析結果等については、毎年、同会議への報告が行われた後、サステナビリティ推進委員会での議論を経て、執行役会に報告されています。
③ ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会
「2030Vision」において、ダイバーシティ&インクルージョンをマテリアリティの一つとして位置づけ、競争力の強化に向けた多様性・専門性の確保を目指し取り組んでいます。2022年度よりダイバーシティ&インクルージョン推進委員会を設置し、代表執行役社長CEOが委員長となり、半期に一度、全国の部室店から社員をアドバイザーとして選任し、議論を行っています。
④ グループ横断的ワーキンググループ
グループ横断的にサステナビリティを推進する体制として、大和証券各本部・主要なグループ会社においてサステナビリティ責任者を設け、かかる責任者のもとで、サステナビリティKPIのモニタリングやサステナビリティ関連ビジネスの推進を行うワーキンググループ(WG)を設置しています。同WGで議論された内容については、適宜、サステナビリティ推進委員会に報告する体制となっています。
(2)戦略
(気候変動)
2-1-1.気候関連のリスクと機会についての認識
当社グループでは、気候変動問題を解決すべき喫緊の課題であると同時にビジネスチャンスと捉え、事業に影響を与えると見込まれる気候関連のリスク(移行リスク/物理的リスク)を整理するとともに、脱炭素社会の実現に向けて、本業である金融商品・サービスの開発・提供を通じたビジネス機会を整理しています。このようなリスクと機会の認識に基づく対応方針を検討の上、気候変動へのレジリエンスを高めるための戦略的な取組みを推進していきます。
2-1-2.気候関連リスク
当社グループでは、気候変動シナリオに基づく定性分析を行い、事業に負の影響を与えると見込まれるリスクを整理しています。
主な移行リスクの例として、カーボンプライシング等に伴う取引先の業績悪化及びこれに伴う収益悪化(政策/法規制)、エネルギー関連技術への対応遅れに伴う当社グループの運用資産の価値下落(技術)、ファンド保有資産の価値低下、残高減少(市場)、気候変動対策の取組み不足や環境負荷の高い事業に係る投資・引受に伴う当社グループの評判悪化(評判)などが挙げられます。
主な物理的リスクの例として、当社グループの各事業拠点、データセンター等の被災、復旧、修繕費用の増加(急性/慢性)、豪雨・巨大台風の増加による太陽光/風力発電設備の被害・棄損(急性/慢性)などが挙げられます。
これらの気候関連リスクの認識とともに、リスクが事業に及ぼす影響や発生頻度等を踏まえた対応策を検討の上、戦略的な取組みを進めています。
気候関連リスクの例
気候関連の時間軸については、経営計画との整合性に鑑みて定義しています。具体的には、短期については中期経営計画期間が3年であること、中期については2030年が「2030Vision」の目標年であり、自社のGHG排出量ネットゼロを目標としていること、長期については2050年に投融資ポートフォリオ等のGHG排出量ネットゼロを目標としていることを勘案し、それぞれ3~5年、5~10年、10~30年を想定しています。
2-1-3.気候関連リスクを踏まえた戦略のレジリエンス評価
当社グループは、気候関連リスクが事業に及ぼす影響を認識するとともに、将来の気候関連の変化や進展及び不確実性に対するレジリエンス評価として、シナリオ分析を行っています。シナリオの詳細と分析にあたっての前提は以下の通りです。
シナリオ分析の前提
想定シナリオ
① 分析結果
経済及び産業の停滞・収縮、金融市場の変化(株価下落、クレジットリスク増大等)、豪雨・水害等の被害、並びに異常高温による健康被害などが、相対的に懸念される要素として挙げられました。シナリオに当てはめると、移行リスクはCO2排出削減に伴い経済・社会が混乱する「(2)無秩序な移行」「(3)遅延・不十分」において、物理的リスクはCO2排出削減が遅れる「(4)ホット・ハウス・ワールド」において、相対的に顕在化すると見込まれます。
一方で、エネルギー転換等が事業に及ぼす影響については、化石資源の削減に伴う既存事業への負の影響と、再エネ等の新エネルギーの増加に伴う新たな事業機会という正の影響が混在しており、全体では中立に近い要因と位置付けられます。なお、転換に伴う費用や税などの負担に応じて影響が変化すると見込まれます。また、CO2排出削減などの気候対策への取組みは企業の評判を左右する可能性があり、ビジネス全般に間接的に影響を及ぼすと見込まれます。
このように、当社グループは、エネルギー転換など気候事象と関連の強い社会・経済的な要素について、事業全体への正の影響と負の影響を総合的に考慮した結果、一定の適応力を有していると考えられます。さらに、負の影響を軽減するために、豪雨・水害等を直接被るリスクに対して減災対策や事業継続計画(BCP)の策定で備えるとともに、気候対策を着実に実行してレピュテーションを維持することにより、マクロ経済等が停滞する場合でもその負の影響を抑えることが可能と考えられます。
② 今後の対応
今回のシナリオ分析は、現時点で得られる情報やデータを基に仮定を設定し、分析対象を限定して検討したものです。気候関連リスクの考慮対象は幅広く、リスクの発生時期と規模は多様なパターンが想定されます。今後は、より多くの情報と関連データを入手し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの中・長期的な影響を把握するとともに、気候変動へのレジリエンスを高めるためにも、分析手法の改良を図ります。
2-1-4.気候関連機会
当社グループでは、グループ会社や各本部にヒアリングの上、シナリオ分析を通じて把握した影響も加味しながら、気候関連リスクと併せて気候関連機会を特定し、その重要性を評価しています。
主な機会の例として、新たな金融商品の提供機会の増加や市場の変化による収益機会の拡大(ウェルスマネジメント部門)、脱炭素社会への移行に貢献する新産業・企業への投資機会の増大(アセットマネジメント部門)、グリーンプロジェクト及び脱炭素社会への移行に要する資金調達などの引受増加(グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門)、サステナビリティ関連のルールメイキングへの参画を通じた市場全体の活性化(グループ全体)などが挙げられます。
気候関連機会の例
2-1-5.気候変動に関連して推進する戦略的な取組み
当社グループでは、各事業部門で特定した気候関連のリスクと機会を踏まえ、戦略的な取組みを推進しています。移行リスク及び機会への対応策として、以下①から⑧の取組みを推進していきます。物理的リスクへの対応策としては、異常気象、風水害などによる社会的インフラの停止によって本店(本社機能)、支店、データセンターが被災して機能できなくなった場合を想定し、BCPを策定しています。
また、役職員の気候変動を含むサステナビリティに関する専門性向上を目的とした研修を実施するなど、人材育成も進めています。具体的には、2022年より、社員一人ひとりがサステナビリティに関する知識や意識を向上させ、一層「ジブンゴト」化することを目指し、全役職員を対象に「Vision研修」を毎年実施しています。
① 脱炭素社会実現に資する商品・サービスの開発・提供
当社グループは、脱炭素社会の実現に資する商品・サービスの開発・提供を強化しています。大和アセットマネジメントでは、サステナブルな社会への移行に向けESGやSDGs目標達成などに取り組む企業を投資先とする投資信託を提供しています。
② サステナビリティを意識したソーシング・投資推進
当社グループでは、再エネ分野を中心とするサステナビリティを意識したソーシング・投資を推進しています。2018年7月に大和エナジー・インフラを設立し、大和PIパートナーズにおいて取り組んでいたエネルギー投資機能を移管しました。従来は太陽光発電を中心に国内再エネ分野への投資を行っていましたが、現在では海外の再エネ及びインフラストラクチャーの分野へ投資領域を広げています。
さらに、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは、ESGに配慮した不動産など、オルタナティブ資産及び同資産の運用機会を提供しています。同社が運用業務を受託している大和証券オフィス投資法人及び大和証券リビング投資法人では、サステナブルファイナンスによる資金調達を活用し投資を行うことで、環境性能の高いオフィスビルや優良で質の高いヘルスケア施設の供給促進に努めています。
③ サステナブルファイナンスの推進
当社グループは、グローバルな脱炭素化に向けた取組みを支援するため、本業として積極的にサステナブルファイナンスに取り組んでいます。従前より資金調達の支援はコアビジネスでしたが、SDGsの要素が加わることにより、お客様に提供できる付加価値が増え、新たなビジネスの機会とも捉えています。
また、当社グループは、2024年1月31日に策定・公表したグリーンファイナンス・フレームワークに基づき、自社としても国内公募形式によるグリーンボンドを発行しており、その調達資金は、連結子会社を通じて行った再エネ発電プロジェクトへの投融資資金に係る社債償還資金に充当しました。
④ サステナビリティ分野のM&Aアドバイザリー強化
当社グループでは、先行する欧州の有力企業と連携することで、再エネ分野のM&Aアドバイザリーも強化しています。具体的には、同分野に特化したフィナンシャル・アドバイザリー事業を行うGreen Giraffeへの50%の出資、また、同分野を投資対象とした運用会社であるAquila Groupとの資本・業務提携を行い、事業展開を加速しています。
⑤ サステナビリティ関連のソリューション提供
大和総研によるリサーチ、コンサルティング業務において、サステナビリティ関連のソリューション提供を強化していきます。気候変動による経済・社会への影響に関する情報発信や政策提言、気候変動対応をはじめ気候関連リスクに対する経営戦略の立案やプロジェクト支援などのコンサルティングを強化し、お客様の企業価値の向上に繋げていきます。
⑥ 自社のカーボンニュートラルの実現
当社グループは「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」を策定し、カーボンニュートラル実現に向けた取組みを進めています。詳細は、「2-1-6.カーボンニュートラル実現に向けた移行計画」をご参照ください。
⑦ ステークホルダーとのエンゲージメント強化
当社グループでは、お客様の脱炭素への移行を金融面で支援するため、発行体や投資家をはじめとするステークホルダーの皆様とのエンゲージメントを強化しています。例えば、「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」を基に、環境や社会に対して多大な負の影響を与える可能性がある事業に関するリスクを認識した上で、投融資先とのエンゲージメント等を通じた適切な対応に取り組んでいます。
また、大和アセットマネジメントでは、気候変動をマテリアリティの一つと位置付け、投資先企業とのエンゲージメント活動を行っています。
⑧ ルールメイキングへの関与
当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献すべく、国内外におけるさまざまな議論形成の場や各種イニシアティブへの参画を積極的に行っています。近年、サステナビリティ開示基準の策定に向けた取組みが進展するなか、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)などを傘下に持つ国際会計基準(IFRS)財団の評議員や、国内のサステナビリティ開示基準の策定を行うサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の委員に当社グループの役職員が就任し、積極的な活動を行っています。
また、投融資などを通じたGHG排出量を計測・開示する手法を開発するPartnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)やGXリーグへの参画を通じて、各種ルールメイキングに貢献しています。
2-1-6.カーボンニュートラル実現に向けた移行計画
① 2030年度までの自社のGHG排出量(Scope1・2)ネットゼロ
2030年度までのカーボンニュートラルに向けて、自社のGHG排出量(Scope1・2)のネットゼロを推進します。Scope1・2の推移は以下の通りです。具体的な取組みとしては、省エネ活動の継続及び使用電力の再エネ化等を進めていきます。
Scope1・2の推移
Scope1・2ネットゼロ推進に向けた取組み例
② 2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等(Scope3)ネットゼロ
脱炭素社会の実現に向け、自社の排出量だけでなくサプライチェーン全体での排出量の管理・削減が求められています。特に金融機関には、投融資ポートフォリオのGHG排出量(Financed Emissions)の管理が求められています。
Financed Emissionsの削減に向けた具体的なプロセスとして、優先アセットクラス・優先セクターの選定、セクター特性の分析・分析データの収集、排出量の計測・グループ内管理手法の検討、SBT(Science Based Targets)等を活用した中間目標の設定・開示などから着手し、目標の達成に向けた戦略策定・エンゲージメントの推進・強化を進めていきます。
当社グループは、2021年12月にPCAF及び「PCAF Japan coalition」に加盟し、PCAFの知見やデータベースを活用しながらGHG排出量の計測をしています。また、実績値の計測に加えて、セクター毎に2030年度の中間目標の設定を行います。2023年度は、当社グループの投融資ポートフォリオの排出量において現時点で最も大きな割合を占める電力セクターのうち、プロジェクトファイナンスに関する目標を設定しました。詳細は、「(4)指標及び目標」をご参照ください。
③ 金融ビジネスを通じた脱炭素社会へのスムーズな移行の支援
総合証券グループとして、金融ビジネスを通じたお客様の脱炭素化に向けた取組みへの支援にも引き続き取り組んでいます。
(人的資本)
2-2-1.人的資本経営に対する考え方
当社グループは、企業理念の一つに「人材の重視」を掲げ、競争力の源泉が人材にあることを明文化しています。この企業理念の下、「金融・資本市場を通じ、豊かな未来を創造する」ことを経営のコアコンセプトとする「2030Vision」において、人材戦略を経営戦略の一環と位置づけ、競争力の強化に向けて、社員一人ひとりが多様性・専門性を発揮し、成長や働きがいを感じられる組織を目指しています。
中期経営計画における人的資本・人事戦略では、「人材採用・育成の強化」「適財適所の人財ポートフォリオの実現」「公正な評価・処遇体系の構築」等によって、エンゲージメント向上の循環を生み出すサイクルを回していきます。社員のエンゲージメントを高め、人的資本が創出する付加価値を最大限に引き出していくことで、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に繋げていきます。
2-2-2.ポテンシャル人材の「採用」
高いポテンシャルを有する人材の発掘・採用をすべく、グループ各社の特性に応じた採用活動を実施しています。大和証券では、新卒採用においては、応募者が作成した2,000文字の「自分史」を読み込み、本人の価値観・行動に影響を与えた経験等を共有・把握した上で、現場の部室店長等、複数の目で採用対象者を選出しています。
応募者に対しては、様々な部門・部署の社員について、自ら話を聞きたい社員を選択して面談することができるジョブサポーターを導入しています。各部門の社員がどのような思いでその職務にあたっているか、理解を深められることでミスマッチの減少に繋がっています。
また、インターンシップの高度化や高い専門性を職務で活かしている人材を評価するための人事制度「エキスパート・コース」を導入することによって、部門別採用の応募者増加とより高いポテンシャルを有する人材の採用強化に繋げています。
さらに、多様な知識・経験をもつ人材の確保が企業の持続的な成長に繋がるという確信から、2022年度からキャリア採用※の積極化を進めています。2023年度はグループ全体でキャリア採用積極化以前の2021年度と比べて倍増となる160名を採用しています(新卒を含む年間採用人数626名のうち25.6%)。採用者の多様性を包摂しながら、当社グループに定着し活躍できる環境を整備するためのオンボーディング施策として、入社式や入社後プログラム、メンター制度、経営トップを含む懇親会等を実施しています。
※ 正社員としての就業経験があり、当社グループが事業を行っている業界への知見や特定の職種での勤務経験のある方を募集する採用形態。
2-2-3.人材育成方針
「『育成』により高付加価値の人財へ」
「人材」に投資をすることにより、その価値を高め、「人財」へと磨き上げることで、企業の成長へと繋げていくこと、これが当社グループの目指している姿です。変化し続けるビジネス環境においては、必要とされる「人財」の定義も様々です。人材育成においては、社員一人ひとりがパフォーマンス向上やキャリア実現のために何が必要かを考え、自律して学び続けられる環境の整備が不可欠です。大和証券では、これまでの知見やノウハウを活用してカスタマイズされた教育研修プログラムに加えて、2023年度には全社員を対象に個別最適化された学びを提供することが可能なオンライン学習サービス「Udemy Business※」を導入しました。13,000を超える最新かつ評価の高いビジネス講座の中から、社員自らが目指す姿になるために必要な知識・スキルを選択、習得できるようにすることで、主体的なキャリア形成をサポートしています。
また、お客様ニーズの多様化を受け、質の高いソリューション提案の実現に繋がるよう、社員の資格取得のサポートとして、試験対策講座受講料・受験料の補助や社内コミュニティによる交流支援等も行っており、2024年6月時点において、CFP資格取得者数は金融業界最多の水準となっています。
さらに、デジタル・イノベーションの追求に向けて、高度なデジタル技術を活用してビジネス変革を担う人材を育成する「デジタルITマスター認定制度」や全社員を対象にデジタルスキルの向上を図る「Daiwa Digital College」の導入等、デジタル人材の育成にも注力しています。
※ 「Udemy Business」は、Udemyで公開されている世界22万以上の講座から、日本向けに厳選した約13,000講座を、サブスクリプション(定額制)で利用することができるオンライン学習サービス。
「適財適所の人財ポートフォリオの実現」
社員がそれぞれの個性を活かしてパフォーマンスを発揮するためには、自らキャリアを考え自己実現に向けて行動していくことが重要です。自律的なキャリア選択の機会として、1on1ミーティングを通じた上司とのキャリアビジョンや強み・課題の共有、自身の希望するキャリアや職場環境に対する考えを記載する「自己申告書制度」や当社グループ内の様々な業務に自ら手を挙げて異動を実現する「グループ内公募制度」を設けています。
2023年度には社員一人ひとりの考え・想いやスキルレベル等をリアルタイムで可視化できる「タレントマネジメントシステム」を導入しました。社員本人と上司が1on1ミーティングの際に入力・更新した情報を、社員毎に管理し引き継ぐことができ、新たな直属上司もこの情報を基にしたキャリアビジョンの共有・育成が可能になりました。競争力の源泉である人財のキャリア可視化と経営資本としての情報蓄積による、最適な人財ポートフォリオの実現を目指しています。
「公正な評価・処遇体系の構築」
すべての社員がモチベーション高く働き続けるためには、より公正で納得性の高い評価が行われることが重要です。当社グループでは、入社年次を問わず、若手・中堅・ベテランのすべての層がより高いステージや責任の大きいポジションで頑張りたいと思えるような評価体系を目指しています。処遇については、Pay for Performanceの考えに基づき、あるべき処遇水準と配分を常に模索しながら、競争力のある処遇制度を整備することで、パフォーマンスに応じた社員登用を進めています。
また、定量面だけでなく定性面も加味した総合的な評価を行うとともに、複数の目線で評価の妥当性について精査しています。加えて、定期的に社内アンケートを実施し、社員の声をもとに評価や処遇の水準が適切であったか検討する等、双方向のコミュニケーションを通じて納得性の向上に取り組んでいます。
2-2-4.社内環境整備方針
「エンゲージメントと生産性の向上」
当社グループでは、社員の働きがいを追求するため各種人事制度の整備や働き方改革を継続しており、結果として、当社グループの従業員満足度は、2024年1月の調査において94.1%となっています。この高い従業員満足度をより生産性や業績の上昇に繋げるべく、2021年度より企業業績と相関関係にあるエンゲージメントを包括的に計測することをコンセプトに、匿名の「エンゲージメントサーベイ」を導入しています。当該サーベイでは、当社グループにおける「企業理念」「中期経営計画」「2030Vision」等の要素を組み入れながら、エンゲージメントに影響を及ぼす要素を網羅的に把握するため、カスタマイズした設問を設計しています。当該サーベイにより、グループ各社がそれぞれの強みや課題を把握し、改善アクションを行うとともに、社員一人ひとりの成長と生産性の向上に向けた活動を継続しています。なお、業績と相関性の高いサーベイスコア※1であるとされる「持続可能なエンゲージメント※2」をグループKPIに設定しており、2023年度の調査においてグループ全体でのスコアは80%となっています。これはWTW日本基準値※3を上回り、グローバル高業績企業基準値※4も射程距離に捉えた水準であると認識しています。グローバル高業績企業基準値の水準を意識し、現行の水準を向上すべく改善活動に取り組んでいます。
「生産性の向上」においては、人への直接的な投資のみならず、人が使うシステムの整備も含め「人的資本投資」と考えています。基本的なシステムインフラの整備を行うことで従業員の可処分時間を創出し、「デジタルIT人材」の積極的な育成や、デジタルツールを駆使した、蓄積したデータの分析・研究・活用を行うことで、効率的なビジネスの仕組みづくりに取り組むと同時に、社員一人ひとりがより一層イノベーティブな業務に取り組めるよう環境を整備しています。
※1 スコア、基準値及び分析資料はサーベイパートナーであるWTW(ウイリス・タワーズワトソン)より提供。スコアは、全従業員のうち各カテゴリーの設問に対して肯定的な回答をした従業員の割合を設問ごとに集計の上、当該カテゴリーの全設問に係る当該割合の平均値を算出したもの。
※2 持続可能なエンゲージメントとは、生産的な職場環境、心身の健康等によって維持される、目標達成に向けた高い貢献意欲や組織に対する強い帰属意識を指す。タワーズワトソン社は、同スコアが高い企業は、将来的に当該企業が属する業界の平均的な成長率を上回る業績成長を見せる傾向にあるとしており、当社グループでは、「持続可能なエンゲージメント」とその構成要素を体系的に把握しながら、分析結果を全社的な施策や各組織における改善活動に活用している。
※3 WTWにて当該サーベイを実施している企業の中で、日本で働いている回答者のスコアの加重平均値。
※4 WTWにて当該サーベイを実施している企業のうち、(i)純利益やROIC等、財務及び業績に関する所定の指標が過去3年間継続して当該企業が属する業界の全世界平均値を上回っており、かつ、(ⅱ)当該サーベイの中で、人事、人材及び組織に関連する質問への肯定的回答の割合が当該企業が属する業界の全世界平均値と比べて特に高い水準にある、という2つの条件を満たす企業の調査結果の加重平均値。
「ウェルビーイング・健康経営の促進」
当社グループでは、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001や、厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」を参考に、適正な労働条件や職場環境の整備をはじめ、社員が心身ともに健康で働き続けられるよう、労働安全衛生の確立に積極的に取り組んでいます。
また、社員のウェルビーイング向上により生産性を高め、組織として高いパフォーマンスを発揮し続けることを目指し、CHO(最高健康責任者)に人事担当役員を選任している他、毎年、グループ全役職員の健康状態を分析した「健康白書」を作成し、CHO主催の「健康経営推進会議」を四半期ごとにグループ横断で開催し、健康経営のための取組の評価・改善を行っています。
さらに、人事部・総合健康開発センター(医務室)・健康保険組合の3者が協働して健康施策に関する企画・発信を行う他、日常的に意見交換を実施することで実効性を高めており、健康経営によって解決を目指す経営課題への取組として、メンタル不全の未然防止のためのマインドフルネス研修の他、睡眠に関する施策、歯科の健康施策を導入し、社員のパフォーマンス向上に向けた取組を強化しました。近年では、全国に勤務する社員がオンラインで医務室を利用できるオンライン診療を導入し、婦人科を含む様々な科目の診察や薬の処方に加え、こころの健康に関する相談も行っています。また、女性特有の健康課題への対処として、月経・更年期による体調不良や不妊治療の際に取得できる「エル休暇」の導入や治療時間の確保等、女性の健康についても包括的にサポートしています。
これらの結果をモニタリングするため、プレゼンティーイズム損失割合※1やアブセンティーイズム平均値※2に関する目標値を設定し、定期的に進捗状況の評価を行っております。
こうした取組が評価され、経済産業省が東京証券取引所と共同で、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組む上場企業を選定する「健康経営銘柄」に当社グループは2024年3月に選定されました。2015年の制度開始以来、9回目の選定となります。
※1 プレゼンティーイズムは、何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態。プレゼンティーイズム損失割合は、病気やケガがないときに発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事の出来をパーセンテージで評価するアンケートを実施し、全従業員の平均値と100%との乖離を算出したもの。数値が小さいほど生産性が高い。
※2 アブセンティーイズムは、病欠、病気休業の状態。アブセンティーイズム平均値は、過去1年間に自分自身の病気を理由として何日欠勤したかを問うアンケートを実施し、全従業員の平均値を算出したもの。平均日数が少ないほど生産性が高い。
2-2-5.人権
グローバル化により世界経済が拡大する中、世界では、格差や貧困の拡大、気候変動等の環境問題の深刻化、感染症の拡大、紛争の勃発等の難題が数多く発生しています。人権侵害をめぐる問題はこれらと密接に関連しており、当社グループでは、企業活動が人権に及ぼす負の影響の拡大を防ぎ、企業活動による人権侵害に関する企業の責任を果たすため、2022年に「人権方針」を制定しました。「人権方針」は、2011年に国連にて承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」や、2017年に日本政府が策定した「ビジネスと人権に関する国家アクションプラン」に準拠しており、具体的な取り組みについては、人事担当役員を委員長とする「人権啓発推進委員会」にて検討を行い推進しています。
2-2-6.ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループでは、特に注力すべき重点分野の一つとして「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げており、社員一人ひとりが強み・個性を活かして最大限にパフォーマンスを発揮できるよう、ジェンダー・年齢・障がい・採用ルート等、様々な観点からダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
2023年度は各自治体における「パートナーシップ制度」において、自治体より公式に認定されたパートナーを社内制度においても配偶者と同等と認める運用や社内外の相談窓口の設置、LGBTQ+を理解・支援するALLYネットワークの構築等、LGBTQ+に関する人事制度の拡充を進めました。すべての社員が安心して業務に取り組むことができる職場環境を整備するとともに、インクルーシブな文化の醸成を目指しています。
各種制度等の浸透度等をモニタリングし状況に応じて改善を目指すべく、マネージャーに対する多面評価に「外面性に加え、内面的な多様性を尊重し、部下の個性や能力を最大限に発揮できるよう促している」「育児・介護等の各種両立支援制度やワーク・ライフ・バランスに関する諸制度を利用しやすい環境を整えている」等のダイバーシティ推進に関する項目を導入しています。
また、大和証券では、全国の部室店にダイバーシティ&インクルージョン企画担当者を任命し、意見集約や提言活動を実施することにより、トップダウンとボトムアップの双方向による企業風土の変革に取り組んでいます。
2-2-7.女性活躍推進、ジェンダーギャップ解消に向けた取組
当社グループの社員に占める女性の割合は40.3%(2023年度末/提出会社及びすべての国内連結子会社)となっており、ダイバーシティ推進における最重要課題は女性活躍推進にあると考えています。各社の事業特性や人員構成は異なりますが、グループ一体での推進を図るため、2014年度より四半期ごとに各社の人事担当役員が集う「女性活躍ミーティング」を実施し、各社の状況に応じた目標に関し、進捗状況や好事例等を共有することで連携を深めています。
こうした取組が評価され、経済産業省が東京証券取引所と共同で、女性活躍の推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」に当社グループは2024年3月に選定されました。2012年の制度開始以来、9回目の選定となります。
2-2-8.ファイナンシャル ・ウェルネス
社員の金銭状態(家計)が悪化すると、ストレスや心理的な負担が増加し、生産性やモチベーションの低下に繋がるだけでなく、社員による不祥事等も発生しやすくなり、当社グループの信頼性にも悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、社員に対し適切な金銭管理を促すことで個人の経済的な健康度の維持・向上にも努めており、奨学金支払いの負担軽減に向けた「奨学金返済サポート貸付」や、「持株会」「職場つみたてNISA」に奨励金を付与する等、社員の経済的自立を支援しています。また、財形貯蓄制度、ストック・オプション制度、住宅取得のための融資制度を設けている他、退職後の資産形成に向けた確定拠出型年金(401K)制度等を導入することで、社員の幸福度・満足度の向上を図り、生産性を引き上げることを目指しています。
(3)リスク管理
3-1.サステナビリティに関するリスク管理
① リスク管理の概要
当社グループの経営ビジョン「2030Vision」のコアコンセプトである「金融・資本市場を通じ、豊かな未来を創造する」を実現するためには、事業特性やリスク・プロファイルを踏まえてサステナビリティ関連のリスクを認識し、かつ適切な評価のもとに管理していくことが重要です。
サステナビリティ関連の課題の一つである気候関連リスクについては、気候現象のみならず、政治・社会の対応や経済構造など多くの要素が関係し、相互に影響を及ぼし合います。例えば、脱炭素社会への移行過程で経済全体の変化を受けた株式や金利などへの影響(市場リスク)、脱炭素への移行などの気候変動対応に伴う企業の事業や財務状況への影響(信用リスク)など、気候関連リスクは既存の各リスクを発生又は増幅させる要因となります。このため、既存のリスク管理の枠組みの中で気候関連リスクの影響を考慮しています。各リスクの定義や管理プロセスについては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
人的資本関連のリスクについては、サステナビリティ推進委員会やダイバーシティ&インクルージョン推進委員会、健康経営推進会議等の会議体において、広く協議を行っているほか、人権に関するリスクについては、人権啓発推進委員会での議論や内部通報制度の運用等を通じて、管理を行っています。
② リスクアペタイト・フレームワークにおける気候関連リスク
当社グループは、グローバル金融機関として事業戦略と整合的なリスクテイクの方針を定め、リスクガバナンスを強化するため、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しています。RAFとは、収益目標や事業戦略の達成のために進んで受け入れるべきリスクの種類と総量をリスクアペタイトとして定め、リスクテイク方針全般に関する社内の共通言語として用いる経営管理の枠組みです。RAFは、「リスクアペタイト・ステートメント」として文書化の上、取締役会において審議・決定し、年2回見直しを行います。
本ステートメントでは、2021年度より気候関連リスクを取り上げています。これにより、気候関連リスクについて、そのリスク・プロファイルに応じて適切に特定・評価し効果的に管理していきます。
③ トップリスク(気候変動)
リスク事象のうち、当社グループの事業の性質に鑑みて特に注意すべきものをトップリスクとして選定し管理しています。トップリスクの選定にあたって、経営陣が広範なリスクを認識・議論できるように、社内外より収集したリスク事象をもとに、関連部署が整理・抽出したリスク事象をトップリスクの候補として「見える化」します。その上で当社グループの取締役・執行役が、当社グループの業績に与える影響度と当該リスク事象の発生可能性からフォワードルッキングに評価し、当該候補からトップリスクを抽出し選定します。
当社グループは、気候変動が金融機関経営や金融システムの安定に及ぼす影響への重要性が高まっていることを踏まえて、気候変動をトップリスクの一つとして位置付けています。なお、トップリスク一覧については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
3-2.環境・社会関連ポリシーフレームワーク
当社グループは、地球環境/生物多様性の保全や人権の保護など、環境・社会リスクの管理体制を強化するため、「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」を策定しています。本フレームワークでは、新規の投融資と債券/株式発行にかかる引受を対象とし、投融資等を禁止する事業及び留意する事業を定めています。これらの事業への投融資等に際しては、対象となる案件に対して初期的なESGデュー・デリジェンスを実施します。当該評価の結果、追加的な確認が必要と判断した場合には、強化ESGデュー・デリジェンスを実施し、投融資等の可否を判断します。当該案件の実施が当社グループの企業価値を大きく毀損する可能性がある場合には、さらに経営陣による追加協議を行い、最終的な投融資等の可否を判断します。なお、本フレームワークは、国内外の動向を踏まえながら定期的に見直しを行っています。
(4)指標及び目標
(気候変動)
当社グループは「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」において2030年度までの自社のGHG排出量(Scope1・2)ネットゼロを目指しています。これらの目標達成に向け、GHG排出量を毎年モニタリングしています。さらに、2023年度は、本宣言にて掲げる「2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等(Scope3)ネットゼロ」に向けた具体的な道筋を明確化するため、当社グループの投融資ポートフォリオの排出量において現時点で最も大きな割合を占める電力セクターのうち、プロジェクトファイナンスに関する2030年度の中間目標の設定を行いました。
指標 |
目標 |
中間目標 |
実績(2022年度) |
自社のGHG排出量(Scope1・2) |
ネットゼロ (2030年度) |
― |
Scope1: 840 t-CO2 Scope2:16,265 t-CO2 |
投融資ポートフォリオの GHG排出量等(Scope3) |
ネットゼロ (2050年) |
電力セクターのプロジェクトファイナンス: 186~255 g-CO2/kWh (2030年度) |
電力セクターのプロジェクトファイナンス: 379 g-CO2/kWh |
<GHG排出量の集計対象及び算定方法>
Scope1・2
[国内の集計対象]法令でエネルギー使用量、CO2排出量の報告義務のある、大和証券、大和総研の2社。なお、大和証券グループの本拠地であるグラントウキョウノースタワーおよび大和八重洲ビルのデータについては、上記以外のグループ会社のデータも含め対象としています。
[海外の集計対象]ロンドン、ニューヨーク、香港、台北、シンガポール、ソウル、ワシントンD.C.、ムンバイ、マニラにおける拠点。
[算定方法]エネルギーの使用の合理化等に関する法律及び地球温暖化対策の推進に関する法律に定める算定方法に従い、電力・都市ガス・重油・軽油・灯油・蒸気・温水・冷水の使用により生じるCO2を対象として算定。小数点以下は四捨五入。
Scope3
[集計対象]大和証券グループ本社の出資先、アセット・マネジメント部門および投資部門(ともに2024年度以降はアセットマネジメント部門)の運用先(自己保有分。ファンド経由の非上場株式除く)、大和ネクスト銀行の運用先におけるScope1・2。
[算定方法]PCAF基準に基づいて計測を実施。投融資先のデータが入手できない場合は、PCAFのデータベース等を参照した推計値を使用。
(人的資本)
<人的資本経営>
ダイバーシティに関する指標 |
||||
|
2022年度末 |
2023年度末 |
目標 |
|
女性取締役比率 ※1 |
グループ本社 |
28.6% |
35.7% |
30%以上 |
女性管理職比率 |
大和証券 |
19.9% |
21.1% |
2026年度末25%以上 |
連結 ※2 |
16.9% |
18.4% |
2026年度末20%以上 |
|
男性社員の育児休業等取得率 ※3 |
大和証券 |
88.7% |
97.5% |
100%以上 |
連結 ※2 |
94.2% |
98.8% |
100%以上 |
|
キャリア採用比率 ※4 |
連結 ※2 |
27.8% |
25.6% |
- |
※1 有価証券報告書提出日現在において、女性取締役比率は50.0%。
※2 連結は提出会社及びすべての国内連結子会社を指す。
※3 男性社員の育児休業等取得率。
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号に定める方法により算出しています。
※4 キャリア採用比率は年度内の総採用者数に対するキャリア採用者の比率。
<人材育成方針>
|
2022年度末 |
2023年度末 |
||
CFP・証券アナリスト 資格取得者 |
CFP |
連結 ※ |
1,469名 |
1,570名 |
証券アナリスト |
1,550名 |
1,553名 |
||
合計 |
3,019名 |
3,123名 |
※ 連結は提出会社及びすべての国内連結子会社を指す。
教育投資にかかわる費用 ※1 |
||
|
2022年度 |
2023年度 |
教育投資にかかわる費用(連結 ※2) |
21.8億円 |
21.6億円 |
従業員一人当たり※3の教育投資にかかわる費用 |
0.17百万円 |
0.17百万円 |
※1 教育投資にかかわる費用とは、従業員の研修の運営に必要な講師等の研修費や施設運営費を指す。
※2 連結は提出会社及びすべての国内連結子会社を指す。
※3 事業年度末時点での国内連結従業員数をもとに算出。
<社内環境整備方針>
従業員満足度 ※1 |
|||
|
2022年度下期 |
2023年度上期 |
2023年度下期 |
大和証券 |
98.0% |
97.8% |
95.9% |
連結 ※2 |
94.8% |
94.9% |
94.1% |
※1 当社グループの全社員が提出する「自己申告書」において、勤務先としての大和証券グループに対する満足度を4段階評価で回答させ、上位2項目を満足として捉えて集計。
※2 連結は提出会社及びすべての国内連結子会社を指す。
「エンゲージメントサーベイ」スコア ※1 |
||||||
|
|
2022年度 上期 |
2022年度 下期 |
2023年度 |
目標 |
|
持続可能なエンゲージメント ※2 |
大和証券 |
82% |
81% |
83% |
- |
|
連結 ※3 |
79% |
79% |
80% |
80%以上 |
||
強みを 持つ 3領域 |
タレントマネジメント |
連結 ※3 |
84% |
82% |
83% |
- |
ウェルビーイング ・フレキシビリティ |
連結 ※3 |
83% |
82% |
82% |
- |
|
ダイバーシティと個の尊重 |
連結 ※3 |
79% |
79% |
81% |
- |
|
課題の ある 3領域 |
業務運営体制 |
連結 ※3 |
46% |
47% |
47% |
- |
デジタル化の取組 |
連結 ※3 |
64% |
67% |
69% |
- |
|
パフォーマンスマネジメント |
連結 ※3 |
67% |
65% |
67% |
- |
※1 数値及び分析資料はサーベイパートナーであるWTW(ウイリス・タワーズワトソン)より提供。数値は、全従業員のうち各カテゴリーの設問に対して肯定的な回答をした従業員の割合を設問ごとに集計の上、当該カテゴリーの全設問における当該割合の平均値を算出したもの。
※2 持続可能なエンゲージメントとは、生産的な職場環境、心身の健康等によって維持される、目標達成に向けた高い貢献意欲や組織に対する強い帰属意識を指す。タワーズワトソン社は、同スコアが高い企業は当該企業が属する業界の平均的な成長率を上回る業績成長を見せる傾向にあるとしており、当社グループでは、「持続可能なエンゲージメント」とその構成要素を体系的に把握しながら、分析結果を全社的な施策や各組織における改善活動に活用している。
※3 連結は提出会社及びすべての国内連結子会社を指す。2023年度は海外拠点の一部を追加して実施した数値。
労働安全衛生・健康経営に関する指標 |
||||
|
|
2022年度 |
2023年度 |
目標 (2030年まで) |
プレゼンティーイズム損失割合 ※1 |
連結 ※3 |
12.6% |
13.9% |
10.0%未満 |
アブセンティーイズム平均値 ※2 |
連結 ※3 |
3.1日 |
3.9日 |
3.0日以下 |
※1 病気やケガがないときに発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事の出来をパーセンテージで評価するアンケートを実施し、全従業員の平均値と100%との乖離を算出したもの。数値が小さいほど生産性が高い。
※2 過去1年間に自分自身の病気を理由として何日欠勤したかを問うアンケートを実施し、全従業員の平均値を算出したもの。平均日数が少ないほど生産性が高い。
※3 連結は提出会社及びすべての国内連結子会社を指す。