人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数330名(単体) 19,097名(連結)
-
平均年齢39.8歳(単体)
-
平均勤続年数5.5年(単体)
-
平均年収8,979,260円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
金融サービス事業 |
16,614 |
資産運用事業 |
357 |
投資事業 |
1,149 |
暗号資産事業 |
242 |
次世代事業 |
472 |
報告セグメント計 |
18,834 |
全社(共通) |
263 |
合計 |
19,097 |
(注) 1.従業員数は就業人員数であります。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、提出会社の管理部門等に所属しているものであります。
(2)提出会社の状況
|
|
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2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
330 |
39.8 |
5.5 |
8,979,260 |
|
2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
金融サービス事業 |
43 |
投資事業 |
24 |
報告セグメント計 |
67 |
全社(共通) |
263 |
合計 |
330 |
(注) 1.従業員数は就業人員数であります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門等に所属しているものであります。
(3)労働組合の状況
当社において労働組合は結成されておりません。また、子会社の一部に労働組合が結成されております。労使関係は良好であり、特記すべき事項はありません。
(4)多様性に関する指標
当期の多様性に関する指標は、 以下のとおりであります。
<女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示>
提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||
26.1 |
50.0 |
62.8 |
68.3 |
46.6 |
連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
|||
㈱SBI証券 |
18.9 |
30.8 |
65.6 |
69.6 |
53.5 |
SBIマネープラザ㈱ |
- |
- |
62.1 |
62.5 |
58.9 |
㈱SBI新生銀行 |
21.6 |
100.0 |
72.1 |
72.9 |
59.0 |
新生フィナンシャル㈱ |
18.3 |
160.0 |
65.9 |
70.9 |
62.8 |
㈱アプラス |
21.5 |
80.0 |
51.6 |
62.9 |
36.0 |
昭和リース㈱ |
10.2 |
100.0 |
67.8 |
67.6 |
55.2 |
新生インベストメント&ファイナンス㈱ |
20.8 |
100.0 |
78.1 |
73.3 |
86.5 |
ファイナンシャル・ジャパン㈱ |
18.3 |
0.0 |
61.5 |
39.2 |
90.5 |
SBIアルヒ㈱ |
27.4 |
- |
62.2 |
60.8 |
71.6 |
SBIビジネス・イノベーター㈱ |
31.5 |
8.8 |
61.7 |
70.8 |
92.4 |
SBI損害保険㈱ |
- |
- |
63.8 |
59.0 |
76.8 |
レオス・キャピタルワークス㈱ |
22.7 |
- |
- |
- |
- |
SBI岡三アセットマネジメント㈱ |
22.2 |
- |
- |
- |
- |
東光鉄工㈱ |
11.5 |
- |
- |
- |
- |
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも
のであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児休暇目的の取得割合を算出したものであります。
3.正規雇用労働者は、正規雇用の従業員及び無期化した非正規雇用の従業員を含んでおります。
4.パート・有期労働者には、有期雇用社員である従業員(契約社員、嘱託社員)を含んでおります。
5.全労働者は、正規雇用労働者とパート・有期労働者を含んでおります。
6.労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。
7.SBIホールディングス株式会社における労働者の男女の賃金の差異について、管理職・非管理職別では管理職72.3%、非管理職96.1%であります。役職別では部長以上106.6%、次長91.9%、マネジャー96.6%、アシスタントマネジャー97.0%であります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当企業グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当企業グループは創業以来、「企業は社会の一構成要素であり、社会に帰属しているからこそ存続できる」という変わらぬ考えのもと、社会の維持・発展に貢献することを目指しています。
常に時流を捉え、世のため人のためとなるような革新的な事業を創造することこそが、社会的責任の遂行と持続的な成長の要であると考えています。
また、人に徳があるように企業にも「社徳」があり、企業としての社会的責任を果たすことで「社徳」が高まり、企業を取り巻く幅広いステークホルダーから信頼される「強くて尊敬される企業」となると考えています。
こうした方針や考え方は、当企業グループの経営理念に適うものでもあり、常に社会に必要とされる企業グループであり続けるため、役職員は事業活動の推進においてこの企業哲学を反映させています。
当企業グループは、社会的正義に照らして正しいことを実践するとともに、“Strategic Business Innovator(戦略的事業の革新者)”として、現状維持で良いのか常に自らに問いかけることで、今後も様々な事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現と継続的な社会価値の向上を目指していきます。
①ガバナンス
当社は、業務執行取締役で構成され代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を当社取締役会の下に設置し、2021年12月21日付で「サステナビリティ基本方針」を策定しています。同委員会は、原則年2回以上開催し、当企業グループの経営戦略の一環として、「サステナビリティ基本方針」に基づきサステナビリティに関する戦略的な取り組みを議論し決定するだけでなく、取り組み状況の確認・審議を行っています。同委員会は、その内容を必要に応じて年に2回以上、適時・適切に取締役会に報告し、取締役会では報告を受けた内容について意見交換の上、適宜指示・提言・助言などを行い、サステナビリティへの取り組みを監督しています。また、同委員会での審議を経て決定されたサステナビリティ施策を、同委員会の事務局を担う「サステナビリティ推進室」を通じて、グループ各社に連携し当企業グループ全体に展開・推進しています。
当社はこのように、社会課題解決に向けた取り組みを適切に管理する体制を整え、施策の更なる実効性を確保しています。
なお、サステナビリティ委員会の事務局を担うサステナビリティ推進室では、社内外の情報を収集した上で、当企業グループの課題及び問題の把握に努め、討議しています。
<当社 サステナビリティ推進体制図>
サステナビリティ委員会における主な審議・決定事項(2024年3月期)
2023年3月期におけるGHG排出量(Scope1~3)と2050年ネットゼロと2030年中間目標に向けた削減量の進捗確認
マテリアリティ(重要課題)の追加と達成したKPIの見直しについて
サステナビリティに関わる情報拡充・各種施策について
各種イニシアティブ等への賛同・加盟の検討について
②戦略
当社では、実業(本業)の事業活動を通じて社会に貢献することを第一の目標とするのは当然として、より直接的にも社会に貢献するような戦略を構築し実践することで企業の社会性は持続的に高まると考えています。
本業では、革新的技術に対する徹底的な信奉により、テクノロジーの力で世の中の様々な不条理な部分を、特に金融面で変え、新たな付加価値を創出していくことが当企業グループの大きな事業ミッションです。また、これまでベンチャー企業が成長資金を得られにくい状況下で、当企業グループのベンチャーキャピタルがリスクキャピタルを供給して、ベンチャー企業を育てていくことでも社会貢献をしています。
もう一方で、児童福祉も同じく深刻な問題で、それを微力ながら改善することができれば、それは当企業グループの進めている大きな事業ミッションとも一致するのではないかと考え、公益財団法人SBI子ども希望財団を通じた児童福祉の向上に取り組み続けています。
このように、当企業グループではこれまでも様々な事業活動を通じて社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、持続的な企業価値向上の両立を図ることの重要性がより一層増していることを踏まえ、2021年11月の「サステナビリティ委員会」ならびに「サステナビリティ推進室」の設置以降、当企業グループのサステナビリティの推進をより一層強化しています。そして、「課題解決に向けてどのような貢献が可能か」「課題解決に向けた取り組みが中長期的なグループ戦略とアラインするか」等の観点から優先的に取り組むべき課題を特定し、「SBIグループのマテリアリティ(持続的な企業価値向上のための重要課題)」として策定しています。
SBIグループのマテリアリティ |
具体的な取り組み例 |
新たな社会潮流や顧客ニーズを捉えた付加価値の創出 |
・一人ひとりのライフスタイルに沿った資産形成機会の提供 ・顧客便益性を一層高める金融サービスの提供 ・デジタルアセットを基盤とする企業生態系の構築 |
新産業の育成と技術革新への貢献 |
・21世紀の中核的産業の創造及び育成 ・革新的な金融サービスの提供 ・業界横断的な技術の拡散 |
ステークホルダーと協働した社会課題の解決と経済の活性化 |
・地方創生に寄与する事業の推進 ・パートナー企業とのアライアンスの拡大と深化 ・価値共創によるイノベーションの促進 |
豊かで健康的なサステナブル社会の実現 |
・サステナブルファイナンスの提供 ・グリーン・イノベーションやESGを意識したインパクト投資や、ライフサイエンス、ヘルスケア関連の有望なベンチャー企業への投資 ・超高齢社会への対応として、5-アミノレブリン酸(5-ALA)事業等を通じた健康支援 ・医療情報のデジタル化やビッグデータの活用による医療の高度化に貢献 |
将来を担う世代への支援 |
・公益財団法人SBI子ども希望財団を通じた児童福祉の充実及び向上への寄与 ・学校法人SBI大学を通じて次世代を担う人物の育成 |
多様な価値観を尊重し受け入れる組織風土の醸成 |
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進 ・従業員の能力開発を通じた人材価値の継続的な向上 ・個性や人との違いを尊重できる柔軟な働き方の整備 |
持続的成長を実現する企業体制の強化・充実 |
・透明性、独立性が確保された意思決定プロセスの構築 ・事業機会とリスクを想定した経営戦略の立案やリスクマネジメントの実行 ・内部統制システムの整備と適正な運用 |
③リスク管理
当企業グループは、サステナビリティへの対応の不備等を、経営に多大な影響を及ぼす経営戦略上の重要なリスクであると認識し、サステナビリティに係るリスクと機会の特定を行っています。
当社においては、リスク管理の定常的な枠組みとして企業活動を阻害する可能性のあるリスクを把握し、適切に評価・管理するため、リスク管理に関する責任者としてリスク管理担当役員を定めるとともに、リスク管理部門としてグループリスク管理統括部を設置し、統合的なリスク管理を実施しています。グループリスク管理統括部では、サステナビリティに起因するリスクを認識し、
・信用リスク(投融資先の財務状況の悪化等により、投融資資産の価値が減少又は消失し損失を被るリスク)
・市場リスク(金利・株価・為替・不動産価値等の変動により損失を被るリスク)
・オペレーショナルリスク(内部プロセス・人・システムが不適切であること、もしくは機能しないこと、又は外生的事象が生起することから生じる損失に係るリスクならびにレピュテーションリスク)
・流動性リスク(当企業グループの財務内容悪化等により必要な資金が確保できない場合や、通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク)
等が齎す影響を総合リスク管理の枠組みに統合し、サステナビリティ推進室との連携、リスクの特定と対応の深化を実施しています。また、サステナビリティに係る新規リスクが想定される、もしくは顕在化した場合には、当該リスクの発生部門又は発生会社において対応・管理方法を構築し、リスク管理統括部門が適宜モニタリングを行い、サステナビリティ推進室と連携します。
サステナビリティ推進室では、リスク管理統括部門から連携を受けたリスクの対応課題や対応方針のみならず、中長期的な企業価値向上を目的とし、機会の観点からマテリアリティや関連する取り組みについて討議しています。また報告を受けたサステナビリティ委員会では、具体的な施策について議論を行い、経営に及ぼす影響を総合的に判断し、優先すべき対応事項などを議論しています。サステナビリティに係るリスクと機会は、当企業グループの課題やステークホルダーからの対応要請ニーズ、事業における影響評価などを総合して特定・管理し、マテリアリティやKPI設定に活用するなど、当企業グループ全体で取り組んでいます。
<総合リスク管理体制図>
④指標と目標
「SBIグループのマテリアリティ」における一部の取り組みについては目標を設定しています。上記ガバナンスにおいて各進捗状況をモニタリングし、達成された目標については随時アップデートを行います。
SBIグループのマテリアリティ |
目標 |
新たな社会潮流や顧客ニーズを捉えた付加価値の創出 |
・お客様サービスにおいて顧客満足度評価など第三者による評価で高水準を維持する ・SBI証券でのネオ証券化は、2024年3月期上半期中の具現化を目指す→2023年9月30日発注分から、「ゼロ革命」と題して、インターネットコースのお客様を対象として、オンラインの国内株式売買手数料の無料化を実施。その後、サービス内容を順次拡充 |
新産業の育成と技術革新への貢献 |
・最先端のサービス・テクノロジーへ投資を行う1,000億円規模の新ファンドを2023年度に設立する→最大1,000億円規模の新たな旗艦ファンド「SBIデジタルスペースファンド」を設立し、2023年11月から本格的に運用を開始 ・セキュリティ・トークン(ST)等の次世代金融商品の普及に向けて、ST流通市場を2023年内に創出→2023年12月25日より大阪デジタルエクスチェンジがセキュリティトークン取引に係る私設取引システムである「START(スタート)」において売買取引を開始 ・次世代金融商品であるセキュリティ・トークン(ST)の普及に向けて、大阪デジタルエクスチェンジは2026年3月までに取扱時価総額1,000億円を目指す |
ステークホルダーと協働した社会課題の解決と経済の活性化 |
・日本全国の事業承継支援のため、2025年までに累計で1,000億円規模のファンド設立を目指す ・地域金融機関のシステムコストの削減及び平準化に向けて次世代バンキングシステムを開発し、2030年度までに地域金融機関10行での導入を目指す |
豊かで健康的なサステナブル社会の実現 |
・2030年度末までに累計5兆円のサステナブルファイナンスを組成する ・当企業グループは国家目標である2050年カーボンニュートラル実現に向けて、当企業グループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、2)を2050年度までにネットゼロとすることを目標とし、中間目標として2030年度までに2018年度比で33%削減する |
多様な価値観を尊重し受け入れる組織風土の醸成 |
・SBIホールディングスの女性管理職比率は2025年まで継続して20%以上を維持する ・当企業グループの外国籍社員比率は2025年までに40%以上を目指す |
持続的成長を実現する企業体制の強化・充実 |
・グループ全体でのコンプライアンス体制構築のための会議や役職員向けのコンプライアンス研修を定期的に実施する ・年に1回以上、取締役会の実効性に関する分析・評価を実施し、結果を公表する |
また、公益財団法人SBI子ども希望財団における活動としては、被虐待児童が生活する児童養護施設の小規模化への助成事業、児童福祉施設等への助成や児童養護施設の職員を対象とした研修、施設退所後の子どもたちの自立支援のほか、オレンジリボン運動の推進など児童虐待防止啓発活動も積極的に行っています。本財団による助成実施金額は、2006年3月期から2024年3月期までの累計で約12億1,260万円です。施設職員への研修は19回を終了し、卒業生は約1,900名となっています。また、SBI子ども希望財団は児童虐待防止の社会的啓発運動である「オレンジリボン・キャンペーン」を後援しており、毎年11月の虐待防止強化月間には当企業グループの役職員一同、オレンジリボンの着用や社内外への啓発活動に取り組んでいます。2024年3月期の当企業グループ社員による児童虐待防止啓発活動であるオレンジリボングッズの購入額は約140万円となりました。
<SBI子ども希望財団による助成実績(2006年3月期~2024年3月期)>
施設(児童養護施設や乳児院等)への助成(累計) |
1,020百万円 |
助成を実施した施設数(延べ) |
713施設 |
自立支援のための助成(累計) |
171百万円 |
福祉団体等活動助成事業(累計) |
21百万円 |
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティの推進体制に組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ①ガバナンス」を参照ください。
②戦略
当企業グループは、気候変動がもたらすリスクを特定するとともに、脱炭素社会の実現に向け、グループの各事業会社における多様なソリューション提供を通じて、環境・社会に関する課題解決に貢献することを新たな事業機会と捉えています。リスクと機会の特定とシナリオ分析においては、気候変動を社会が直面する重要な課題の一つとして捉え、地球の平均気温が産業革命以前に比べて4℃、1.5℃上昇することを想定した2つのシナリオを用いて、気候変動に係るリスクと機会の特定を行っています。当企業グループの主要事業である証券事業および投資事業(プライベート・エクイティ)については2030年度における財務インパクトを試算し、気候変動により被る損失は軽微であると認識しています。銀行事業に関してはSBI新生銀行が2050年までの財務インパクト(累積)を試算しています。
また、温暖化の国際枠組み「パリ協定」で掲げられた目標に沿って、産業革命前より世界全体の気温上昇を1.5℃以内に抑えることに貢献することが重要であると認識し、当企業グループにおける温室効果ガス(GHG)排出量の可視化にも取り組んでいます。
<気候変動に伴うリスク>
移行リスク(気候変動対策を目的とする規制強化や顧客行動の変化による影響)と物理的リスク(異常気象の激甚化による資産の毀損や長期的な気候パターンの変化が齎す影響)として、以下に挙げるものを認識しています。
当社および各事業に共通するリスク
リスク:
区分 |
種類 |
想定されるリスク |
時間軸 |
影響度 |
|
4℃ |
1.5℃ |
||||
移行 |
法制 |
炭素税をはじめとするカーボンプライシングの導入、再生可能エネルギーの使用や省エネに係る政策によるコストの増加 |
短期~ |
- |
低 |
技術 |
以下の<主要事業に係るリスク>をご参照ください |
|
|
|
|
評判 |
環境配慮型ビジネスへの転換を行わない場合の当社のレピュテーションリスクの増加(例:資金調達への影響、顧客流出) |
短期~ |
低 |
高 |
|
物理的 |
急性 |
異常気象(台風、洪水、高潮等)による店舗及びオフィスへの物理的な損害およびシステム障害への対応コストの発生 |
中期~ |
高 |
低 |
慢性 |
データセンターやオフィスの空調コストの増加 |
中期~ |
高 |
低 |
※時間軸における短期は0~3年、中期は4~10年、長期は11~20年を想定
移行リスク低減への対応として、当社では温室効果ガス(GHG)排出量を可視化し、省エネ対策の推進や再生可能エネルギーを活用するとともに、当企業グループのGHG排出量の削減目標の達成に向けた進捗を管理することで、炭素税などの負担回避によるコスト低減を図ってまいります。
また、従来型の火力発電等に依拠した電力調達はGHG排出量が大きいだけではなく、国家政策や資源価格の影響を受けてコストが変動するリスクがあるため、電力調達コスト安定化の観点からも、再生可能エネルギーによる電力へ切り替えていくことが望ましいと考えております。そのため、これまでの省エネ対策の推進に加え、再生可能エネルギーの活用を推進しています。
今後も当企業グループは、環境配慮型ビジネスへの転換を進め、レピュテーションリスクへの対応および調達コストの変動リスク低減に向けて取り組んでいきます。
物理的リスク低減への対応としては、当社およびグループ各社において、BCP(事業継続計画)等を策定し、災害時の早期復旧の体制構築に向けた対応を進めています。
<主要事業に係るリスク>
当企業グループの主要事業である証券事業、投資事業(プライベート・エクイティ)、銀行事業(SBI新生銀行)においては、それぞれの事業の特性上、以下に挙げるリスクを認識しています。
証券事業におけるリスク
・ 移行リスク(評判):ブランド価値の低下により顧客流出に繋がる可能性があります。
・ 物理的リスク(急性):オンライン取引システムの停止等のシステム障害が発生する可能性があります。それによって、事業の一時的な操業停止や復旧対応による財務的影響のほか、セキュリティに支障が生じた場合には損害賠償責任等が発生する恐れがあります。
リスク低減への対応
SBI証券では同社の定めるコンティンジェンシープランに則り、危機管理対策室を迅速に立ち上げ、業務への影響を極小化し、重要業務を中心に事業継続を図っていく運営をすべく、平時よりBCP/BCM(事業継続マネジメント)の取組みを行っています。
投資事業(プライベート・エクイティ)におけるリスク
・ 移行リスク(技術・市場):気候変動に関する政策や規制に対する投資先企業の対応が不十分であった場合、当該企業が保有する技術の陳腐化や競争力低下によるバリューダウンが発生し、結果として、保有する営業投資有価証券の価値が毀損する可能性があります。
・ 移行リスク(評判):投資検討や実行段階における、ESGに関する情報開示の拡充やESGの観点からの管理体制の構築・充実化が求められることが予想され、そのための対応コストが発生する可能性があります。
リスク低減への対応
投資事業(プライベート・エクイティ)では、投資先企業においても脱炭素化に向けた取り組みが当該企業の成長に資する可能性が示唆されることから、投資先企業に対しESG対応を促すことを含めたフルハンズオンでのエンゲージメントを行うことを検討していきます。
銀行事業(SBI新生銀行)におけるリスク
・ 移行リスク(法制・法規制/技術・市場):2℃以下達成に向けた規制強化や技術革新等に起因する、温室効果ガス高排出セクターや気候変動対応が不十分な投融資先の業況悪化に伴い、デフォルトリスクの上昇およびクレジットコストが発生する可能性があります。
・ 移行リスク(評判):温室効果ガス高排出セクターや気候変動対応が不十分な企業への投融資によりブランド価値が低下し、顧客流出に繋がる可能性があります。
・ 物理的リスク(急性):担保価値の毀損によるデフォルトリスクの上昇およびクレジットコストが発生する可能性があります。
リスク低減への対応
SBI新生銀行では、気候変動の影響を受けると思われるセクターについて、その気候変動リスクを定性的に評価しています。また、定性評価の結果およびエクスポージャーの大きさに基づき、セクターおよびアセットタイプごとに優先順位を付けたうえで、定量的な分析などによるリスクの深掘りを実施しています。
<気候変動に伴う機会>
脱炭素社会の実現に向けて、グループ会社が多様なソリューションを提供することで、環境・社会に関する課題解決に貢献することを新たな事業機会と捉えています。
当企業グループの主要事業においては、社会全体で、再生可能エネルギーへの転換や循環型経済への移行等によって脱炭素に貢献する事業を展開する企業および異常気象の激甚化により防災・減災に貢献する事業を展開する企業の価値向上が見込まれ、当企業グループにとって新たな事業機会が広がると認識しています。
証券事業における機会
想定される機会 |
時間軸 |
影響度 |
|
4℃ |
1.5℃ |
||
・脱炭素に貢献する事業を展開する企業の価値向上に伴う、当該企業が発行する株式等の金融商品取扱量の増加 ・当該事業分野でのM&Aニーズの増加による関連事業の提供機会の増加 ・ESG投資選好の高まりに関連する事業機会の拡大(例:グリーンボンド等のサステナブルファイナンス商品の開発やプロジェクト創出) |
短期~ |
低 |
高 |
・防災及び減災に貢献する事業を展開する企業の価値向上に伴う、当該企業が発行する株式等の金融商品取扱量の増加 ・当該事業分野でのM&Aニーズの増加による関連事業の提供機会の増加 |
短期~ |
高 |
低 |
投資事業(プライベート・エクイティ)における機会
想定される機会 |
時間軸 |
影響度 |
|
4℃ |
1.5℃ |
||
・脱炭素に貢献する事業を展開する投資先企業の価値向上に伴う収益機会の増加 ・ベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの投資ニーズの増加を通じたファンド出資者の獲得機会の増加 |
短期~ |
低 |
高 |
・防災及び減災に貢献する事業を展開する投資先企業の価値向上に伴う収益機会の増加 ・VCファンドへの投資ニーズの増加を通じたファンド出資者の獲得機会の増加 |
短期~ |
高 |
低 |
銀行事業(SBI新生銀行)における機会
想定される機会 |
時間軸 |
影響度 |
|
4℃ |
1.5℃ |
||
・移行支援ファイナンスのニーズ拡大 ・脱炭素化に向けた投融資ニーズ拡大 |
短期 |
低 |
高 |
・投融資ポートフォリオは比較的体力のある大手が多いことから、修繕や防災設備強化のための資金需要の増加 ・気候変動リスクのヘッジや保険商品へのニーズの高まり |
短期~ |
高 |
低 |
※時間軸における短期は0~3年、中期は4~10年、長期は11~20年を想定
2030年度における財務インパクト予測(2020年度比):
気候変動が当企業グループの証券事業および投資事業を通じて齎す、当企業グループの操業に係る連結業績への財務的影響額は以下の通り軽微なものと認識しています。
4℃シナリオ:66百万円
1.5℃(2℃) シナリオ:169百万円
(参考)当社 2024年3月期 税引前利益 141,569百万円
※ 証券事業および投資事業(プライベート・エクイティ)における、炭素税・排出権取引導入によるコスト増、電力価格のコスト増、ZEB対応コスト増、気温上昇による冷房コスト増、年平均の洪水被害額、年平均の高潮被害額、年平均の営業停止損害額による財務インパクト予測の総額を記載。
2050年度における財務インパクト予測(2050年度まで累計/銀行事業):
SBI新生銀行では財務的影響額を以下の通り試算しています。
物理的リスク:累計で55億円~90億円程度の与信関連費用
移行リスク:累計で65億円~280億円程度の与信関連費用
※ 本試算上の物理的リスクの対象ビジネスは、国内不動産ノンリコースローン、国内プロジェクトファイナンス、住宅ローン、新生フィナンシャルの個人向け無担保ローン。
※ 本試算上の移行リスクの対象ビジネスは、電力ユーティリティ、石油・ガス、海運。
当企業グループでは試算した財務インパクトを踏まえ、気候変動に伴うリスクの最小化と機会の最大化に対応するべく、グループの各事業会社における多様なソリューション提供等を通じて、脱炭素社会の実現等に向けた環境・社会に関する課題解決に努めています。
グループ各社での具体的な取り組みの一例は以下の通りです。
・グリーンボンドをはじめとしたSDGs債の発行支援(SBI証券及びSBI新生銀行)
・サステナブルファイナンス/インパクトファイナンス(SBI新生銀行)
・サステナビリティ預金(SBI新生銀行)
・SDGsを踏まえた投資先の選定(SBIインベストメント)
・営農型太陽光発電の開発事業(SBIスマートエナジー)
今後も気候変動が当企業グループの事業に及ぼすリスクと機会について継続的に分析を行い、事業活動を通じた持続可能な社会の実現と更なる社会価値の向上を目指します。
③リスク管理
気候変動に関する主なリスクは、総合リスク管理体制に組み込んで管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ③リスク管理」を参照ください。
また今後は、グループ横断的にシナリオ分析を深化させるとともに、気候変動リスクの定量化と、気候変動が齎す当企業グループ全体への影響について、統合的に評価・管理する体制の構築を進めていきます。
気候変動が齎す機会とそのリスク管理体制については以下の通りです。
当企業グループでは、気候変動に係る機会として、脱炭素に貢献する事業や防災・減災に関連する事業領域における事業拡大、並びにESG投資選好の高まりに関連する事業機会の拡大等を認識しています。こうした案件の投融資に関連する審査の際には、ウォッシング等に該当することがないよう第一線の部署による審査に加えて、リスク管理部門によるチェックを行っています。
また、投資事業(プライベート・エクイティ)においては、たばこやポルノ、石油・石炭等の化石燃料を事業とする企業や兵器の製造を行う企業等、気候変動を含む環境・社会への影響が懸念される企業への投資は行っていません。これらの除外事項は、国連グローバル・コンパクトや国際労働基準等の地域的・世界的な合意に基づいて決定しています。投資先企業の製品や業務がこれらの事項に該当することがないよう、第一線の担当者および投資審査を行う投資委員会がチェックを行った後に投資判断を行っています。
SBI新生銀行グループにおいては、責任ある投融資を推進する体制の高度化を目的として、2021年7月に「責任ある投融資に向けた取組方針」を制定しました。環境問題および社会課題に適切な配慮をしない企業と取引することを経営リスクと捉えており、一部の特定事業に対する投融資については環境および社会に対する重大なリスクがあるという認識のもと、取引を禁止もしくは制限しています。
気候変動の観点では、予防的アプローチに基づき、新設の石炭火力発電の建設を使途とする新規の投融資をせず、石炭火力発電所向け投融資額の圧縮を進めています。
脱炭素社会の実現に向け、当企業グループの各事業会社において環境・社会に関する課題解決に一層努めていく中で、更なる気候変動に係るリスクと機会の増加が想定されます。今後は再生可能エネルギー等関連事業を含めたセクター別の対応方針を協議しながら、気候変動が齎す機会に関わるリスク管理体制を一層深化させていきます。
④指標と目標
当企業グループは、気候変動が経営に及ぼすリスクと機会等の影響を測定・管理するための指標として温室効果ガス(GHG)排出量を選定しています。
国家目標である2050年カーボンニュートラル実現に向けて、SBIグループのGHG排出量を2050年度までにネットゼロ(Scope1、Scope2)とすることを目標とし、中間目標として2030年度までに2018年度比で33%削減することを掲げています。また、当企業グループのScope3排出量の規模を把握するべく各カテゴリーの算定に着手しています。
GHG排出量の推移 (単位:t-CO2)
|
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
Scope1 |
108 |
107 |
85 |
1,299 |
1,482 |
1,206 |
Scope2 |
3,621 |
4,140 |
4,463 |
18,191 |
12,030 |
10,367 |
合計 |
3,729 |
4,246 |
4,548 |
19,490 |
13,512 |
11,573 |
Scope3 |
- |
- |
- |
- |
1,286 |
5,496 |
※集計範囲:SBIホールディングスおよび主なグループ会社の国内拠点を対象に、GHGプロトコルで定義されるScope1(化石燃料等の使用に伴う直接排出)、Scope2(購入した電気・熱の使用に伴う間接排出)、Scope3(事業者の活動に関連する他者の排出)の各排出量を記載。2021年度からScope1及びScope2にSBI新生銀行グループを含む。
※Scope3は出張(カテゴリー6)、通勤(カテゴリー7)が対象。2023年度からSBI新生銀行グループを含む。
<GHG排出量削減目標達成に向けて>
GHG排出量が2021年度において増加しているのは、2021年12月に子会社化したSBI新生銀行グループを含むためです。なお、2023年度の当企業グループのGHG排出量(Scope1、Scope2合計)のうち、約9割をSBI新生銀行グループが占めていますが、SBI新生銀行グループでは2030年度までにネットゼロを目標としています。
当企業グループが入居する泉ガーデンタワーでは、省エネの推進や非化石証書(※1)等を用いた再生可能エネルギー由来の電力への契約切り替えを推奨しており、2022年4月から当企業グループが入居するオフィスの大部分において、グリーン電力(※2)への切り替えを行いました。
SBI新生銀行グループにおいても、オフィスビルにおける省エネの推進や非化石証書(※1)等を用いた再生可能エネルギー由来の電力への契約切り替え、データセンターの統合やクラウド化等により消費電力の削減を図っています。
なお、SBI新生銀行グループでは、投融資先ポートフォリオからのGHG排出量(※3)を2050年度末までにネットゼロとする目標を設定しています。併せて、当該GHG排出量実績をPCAF(※4)の公開する国際的な基準に準拠して算定しています。また、2022年度には同行の事業法人および住宅ローンの一部に加えて、プロジェクトファイナンス、不動産ノンリコースローン(※5)を対象として、投融資先ポートフォリオGHG排出量を計測しました。今後も段階的な対象アセットの拡大および算定精度の向上に取り組む予定です。
また、石炭火力発電向けプロジェクトファイナンス融資残高を2040年度末までにゼロとすることも脱炭素化社会への貢献目標として掲げています。
当企業グループでは引き続きGHG排出量削減に一層資する取り組みを検討していきます。
※1 非化石燃料により創り出された電力の持つ環境価値を切り出して、証書化したもの。
※2 主に太陽光、風力、水力等の「再生可能エネルギー」から作られる電力。
※3 当該GHG排出量は、各投融資先のGHG排出量のうち、SBI新生銀行グループの寄与分を算出しています。
※4 SBI新生銀行は、2022年10月に、PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に加盟し、PCAFが定める透明性のGHGプロトコル(集計手法)により、投融資先のGHG排出量評価の高度化に取り組んでいます。
※5 PCAF基準における6アセットタイプのうち、事業法人は「上場株式および社債」ならびに「事業融資および非上場株式」、 住宅ローンは「居住用不動産」、プロジェクトファイナンスは「プロジェクトファイナンス」、不動産ノンリコースローンは「商業用不動産」の算定方法に基づき、投融資先ポートフォリオGHG排出量を計測しました。
(3)人的資本
当企業グループは人こそが創造性の源泉であり、競争力の源泉となる差別化をもたらす主因であると考えています。そして、人的資源こそが最も価値ある戦略的資源と捉えており、当社では人事担当執行役員がダイバーシティ&インクルージョンを含めた人材価値向上の戦略策定と実行を担っています。既存の概念にとらわれず、イノベーションを実現する「総合企業グループ」として、開かれた雇用機会の提供、充実した人材育成体制の整備、公正で意欲に応える評価・処遇制度の実現などを通じて、独自の企業文化を育み継承する人材を育成し、健全な労働意欲の醸成を促進しています。
①ガバナンス
当企業グループの人材価値向上に関しては取締役会において方針の議論を行い、具体的な課題や各種施策(重要な組織の新設・改編、主要ポジションの任免や重要な人事施策の新設・改廃等)に関する検討、進捗状況の共有を行っています。グループ各社の人材ニーズ等については当社人事部門がグループ横断的に情報を収集し、必要な役職員の派遣や配属を行い組織力の強化を図っています。次世代の経営陣幹部の育成等に係る取締役会の機能や審議プロセスについては、取締役会の下に独立した諮問機関として設置され、委員の過半数を独立社外取締役で構成する経営諮問委員会が適切に関与しています。また、評価制度・教育体系・報酬制度等はグローバル共通の仕組みを導入し、グループ全体で推進しています。
グループ各社の人事責任者による会議も定期的に開催し、当企業グループ全体の人材開発の方針等について共有・議論しています。
②戦略
人間性を重視した登用、社会の維持・発展に貢献する人材の育成こそがお客さまに役立つ財・サービスを提供するために必要不可欠であり、サステナブルな経営を推進していく上で重要な構成要素の一つであるとの考えのもと、人材育成、ダイバーシティ&インクルージョンならびに働きやすい職場づくりに係る各種施策を通じて「人材価値」向上に取り組んでいます。
<人材育成>
施策1. 開かれた雇用機会の提供
当企業グループでは採用において、プロフェッショナルとしての職歴だけではなく人間性を重要視した基準を設けています。従業員には、仕事ができ人間的にも優れた人物であることを求めますが、人種・国籍・性別や学歴等は一切問いません。2006年度から開始した新卒採用活動においてもこの基準に照らし、多様なバックグラウンドを持つ将来性の高い人材を多数採用してきました。
また、今後は高度な専門性が必要な業務を担当する人材の確保がより一層重要になると考え、中途・新卒に関わらず、優秀な人材を積極的に登用しています。2018年には給与処遇および勤務形態について、既存の枠組みとは異なる対応が可能となる高度専門職制度を設けました。
施策2. 企業理念の浸透
社員の9割超が中途採用であることを踏まえ、当企業グループの理念・企業文化を理解し実践できる人材の育成に取り組んでいます。自身が所属する部署のみを近視眼的に考えるのではなく、グループ全体の相乗効果も視野に入れた取り組みを行えるよう、継続的に研修を実施しています。更に、経営トップが自らの経営論・企業観について執筆した書籍を通じて、従業員の人間学や経営学の教育向上、社内における一体感の醸成、相互の意思疎通を図っています。
施策3. 公正で意欲に応える処遇
従業員の処遇は成果のみならず、結果にいたるプロセスも重視しています。また、公正・公平な評価に努める観点から、上司だけでなく部下や同僚など多方面より評価を行う360度評価を実施しています。このような多面的な評価と半期ごとの目標達成度をもとに、経験、能力、業績への貢献度等に応じた総合的な判断で各従業員の処遇が決定される仕組みとなっており、「功ある者には禄を与え、良識・見識ある者には地位を与える」という方針を貫いています。
施策4.「有為な人材」を育成するための取り組み
当企業グループは、日本の未来を担う「有為な人材」を一人でも多く輩出していきたいと考えています。私たちが育成を目指す「有為な人材」とは、一部門・一企業の利益に貢献するだけではなく、広く経済・社会に貢献しようとする高い志を有し、ビジネスにおける高い専門性を備え、国際的視野を持ち、確たる倫理的価値観と実行力を伴う胆識を備えた人物のことを言います。
そうした観点から、2008年に当企業グループの全面支援によりSBI大学院大学が開校しました。SBI大学院大学では、高い意欲と志を有する受講生を社外から広く集め、知識を詰め込む「知育」ではなく、人間力を磨くことを主眼とした「徳育」を重視し、人間学を学ぶ機会を提供しています。また、教育プログラムに最先端の経営学の知見を取り入れ、実践的な学問=「実学」を学ぶ機会も提供しています。知識を吸収するだけではなく、様々な背景と個性を有する人々―教える者と学ぶ者、あるいは学ぶ者同士―との相互対話と切磋琢磨を行うことによって、「有為な人材」の育成を図ります。
当企業グループにおける人材育成にあたっては、各種専門知識に関するOJTに加え、このSBI大学院大学を活用した研修を行っています。上級管理職を目指す社員に向けては「SBIグループ上級管理職研修」の修了を昇格要件と定めるほか、より広範にマネジメントを学びたい社員に向けてはSBI大学院大学への企業派遣制度を設けています。2024年3月末現在、この制度を通じて171名がMBAを取得しています。また新入社員に対しては、早期から当企業グループの経営幹部としての知見や経営観を習得させるべく、当社独自の課題研修を行っています。2週間に一度、新入社員に小論文の提出を課し、社長を含めた経営陣が評価しています。
その他、従業員の自己啓発の促進のために、2016年10月に導入した資格取得支援制度の対象となる資格の見直しを行い、従来制度で対象としていた33資格から新たに19資格を追加し、受験料補助の対象を52の資格に拡大しています(2023年3月1日施行)。
社員一人当たりの年間研修時間は13時間45分(※)、当社単体での教育研修費は109百万円(一人当たり平均研修費用は330千円)となっています。
(※)国内連結子会社(SBI新生銀行グループは除く)の従業員が対象
<当企業グループの人材育成プロセス>
施策5.優秀な人材の確保に向けて
当企業グループの持続的成長を図る上で優秀な人材の確保、従業員満足度や定着率の向上がより一層重要になると考えています。
2022年4月からは、新卒初任給及び入社3年目までの給与テーブルの大幅な引き上げを行っており、2024年4月には、賢材の定着・確保を目的として、若手から中堅層に重点を置いた給与テーブルの引き上げを実施しました。また、当企業グループのさらなる企業価値の増大を目指し、当社の結束力をさらに高め、連結業績に対する意欲や士気をより高める上で、当企業グループの役職員が当社の株価や企業価値をより意識した事業運営を行うことも重要だと考えており、これらを実現することを目的として当社及び当社子会社の取締役及び従業員向けにインセンティブプログラムを導入しています。これらの取り組みに加えて、役職員全員にグループ連結業績を反映させた報酬制度を導入するなど、従業員の処遇の向上にも取り組んでいます。
<ダイバーシティ&インクルージョン>
イノベーションを生み出す企業であり続けるため、役職員の多様性を尊重すると共に、あらゆる人材が活躍できる職場環境づくりに注力しています。
施策6. 多様な人材の活用
当企業グループでは、持続的成長を実現しイノベーションを生み出す企業であり続けるには、人種、国籍、性別、性的指向、障がいの有無等にかかわらず、多様な人材が互いの価値観や個性を認め合い、それぞれの能力を最大限に発揮し、共に成長できる環境が必要であると考えています。こうした考え方のもと、当社では人事担当役員がダイバーシティ&インクルージョンの責任者を務めています。
26ヵ国・地域へ展開する当企業グループにあって、海外拠点の従業員割合は20.3%となっています。また、2015年3月からは定年後の再雇用の上限年齢を撤廃しており、優秀な人材に対しては、その属性を問わず積極的に登用・昇進させる姿勢を徹底しています。
<働きやすい職場環境づくり>
当企業グループでは、あらゆる人材が常に最大限のパフォーマンスを発揮することができる働きやすい職場環境を整えるべく、様々な施策を行っています。
施策7. 健康経営の推進
2018年には「健康経営宣言」を制定し、従業員が健康保持・増進に取り組みやすい環境を積極的に整えています。産業医による「健康個別相談会」を毎月実施し、対面及び電話、文書等での役職員の希望する方法に応じた面談を実施するなど、従業員の健康に配慮しています。また、 医療分野を通じた直接的な社会貢献に積極的に取り組むべく 2007年に設立したSBIウェルネスバンクでは、同社が提携・支援する医療法人「東京国際クリニック」を通じて、当企業グループの役職員の健康維持を図っています。長時間労働はメンタルヘルス不調を誘引する可能性があることから、当社では2015年から全社的に削減に向けた取り組みを積極的に実施しています。例えば、残業時間や有給の取得状況については、対象者とその上長に対して定期的にアラート機能で通知するなど把握に努めています。
2016年からは、従業員向けに実施が義務付けられたストレスチェックを行っており、今後はストレスチェックから収集した定量データを精緻に分析し、グループ各社の業務特性や職場環境の把握に努めるとともに、より従業員の健康維持に効果的な施策を検討していきます。
施策8. 自己実現の場の提供
社員の自己実現の場を提供するとともに、人材の有効活用や適材適所を実現する意図から、「キャリアオープン制度」を導入しています。この制度は社員自らが希望するグループ内の事業会社等への異動願いを申告するもので、2023年度においては140名がこの制度を活用しキャリアチェンジを実現しています。
施策9. 働きやすい環境の整備
男女問わず、介護・育児といった特定の理由に限定せずに正社員が短時間勤務を選択できる短時間正社員制度を導入しています。更に、時差出勤も制度化し柔軟な働き方を推進しています。また、産休・育休制度を通じた当社単体での女性の育児休暇取得率は100%、男性の育児休暇取得率は50%となっています。
さらに、業務の効率化・生産性の向上に向けては、グループを挙げてRPA・AIの導入を推進し、各種ルーティン業務の自動化を行っています。
2023年からはこれまで以上に従業員と会社の繋がりの強化を図るべく、当社においては定期的にエンゲージメントサーベイを実施しています。本調査の結果については各部門長へのフィードバックを行うとともに、従業員エンゲージメントの向上に活かし、働きやすい職場環境の一層の整備を目指します。本調査の結果から見えてきた社員の声から対応すべき取り組みを検証し、研修の拡充、資格取得支援制度における対象資格の拡大や報酬制度の拡充、就業環境の整備などを進めてきました。今後も、エンゲージメントサーベイでの結果を分析し、課題の把握に努め、新たな各種施策を検討し従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいきます。
③リスク管理
当企業グループ全体を通じた課題として、急速に拡大した事業を支える優秀かつグローバルな人材の確保と社員の能力開発を通じて人的資源の継続的な向上を図ることがますます重要となっています。こうした取り組みが十分になされないことは、当企業グループの持続的な成長と発展において最大のリスクであると考えています。そのため、性別、国籍、人種等に関わらず当企業グループの経営理念に共感し即戦力となる優秀な人材の採用活動のさらなる強化と共に、独自の企業文化を育み継承する人的資源の確保として新卒採用を継続して実施しています。2006年4月から採用を進めてきた新卒採用者は、急速に拡大する当企業グループの未来を担う幹部候補生として、既に各々重要なポジションで活躍しています。今後もより優秀かつグローバルな人材の確保と、社員のキャリア開発を促進し、当企業グループの持続的な成長と発展を図っていきます。また、SBI大学院大学の活用による人材教育の拡充やM&A等を通じた優秀な即戦力人材の獲得も併せて促進しています。
外部からのより優秀かつグローバルな人材の確保と、社員のキャリア開発を促進し、リスク低減に努めています。
④指標と目標
各指標については以下及び「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)多様性に関する指標」を参照ください。
<人材育成>
・従業員一人当たりの年間研修時間
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
時間 |
15.63 |
13.38 |
13.75 |
※国内連結子会社(SBI新生銀行グループは除く)の従業員を対象に実施している新入社員向けの課題研修・上級管理職研修・SBI大学院大学への企業派遣制度(MBA)・各種e-ラーニングを含む
<ダイバーシティ&インクルージョン>
・当企業グループの外国籍社員比率
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
% |
42.3 |
37.7 |
35.5 |
※国内外連結子会社(SBI新生銀行グループは除く)
・管理職に占める女性従業員の割合
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
% |
26.5 |
24.7 |
26.1 |
※当社単体
・女性採用者数
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
人 |
933 |
1,327 |
1,101 |
※国内連結子会社
・中途採用社員の管理職比率
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
% |
81.1 |
83.1 |
86.4 |
※当社単体
一部の指標については当企業グループのマテリアリティに組み入れ、目標を設定しています。「(1)サステナビリティ④指標と目標」を参照ください。
なお、主要な事業会社については関連する指標のデータ収集が行えていますが、新たにグループ入りした企業グループなど、連結対象範囲の全てのグループ会社に対してデータの管理・収集が行えていないため、連結における記載が困難なものがあります。このため、一部の指標に関する目標及び実績については当社単体のもの及び収集可能な範囲での数値を記載しております。