2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,573名(単体) 1,715名(連結)
  • 平均年齢
    39.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.9年(単体)
  • 平均年収
    6,563,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2024年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業

リース業

その他

合計

従業員数(人)

1,578

34

103

1,715

[643]

[3]

[37]

[683]

 

(注) 1  従業員数は、当行グループから当行グループ外への出向者24人、嘱託及び臨時従業員812人を除き、当行グループ外から当行グループへの出向者65人及び執行役員8人を含んでおります。

2  臨時従業員数は、[  ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2) 当行の従業員数

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,573

39.0

15.9

6,563

[643]

 

(注) 1  従業員数は、当行から他社への出向者61人、嘱託及び臨時従業員753人を除き、他社から当行への出向者81人及び執行役員8人を含んでおります。

2 当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

3  臨時従業員数は、[  ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

4 平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、当行から他社への出向者及び他社から当行への出向者を除いて算出しております。

5  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

6  当行の組合は、大分銀行労働組合と称し、組合員数は1,235人であります。労使間において特記すべき事項はありません。

 

(3) 女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金差異

2024年3月31日現在

管理・監督職に占める

女性労働者の割合(注)2

男性の育児

休業等取得率(注)3

男女の賃金の差異(注)1

任意の追加的

な記載欄

 

うち管理職に占める

女性労働者の割合(注)1

全労働者

うち

正規雇用

うち

非正規雇用

15.7%

3.5%

71.7%

43.8%

62.2%

59.2%

(注)4~8

 

 

○対象期間 :2023事業年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)

○賃金   :基本給、超過労働に対する報酬、賞与、通勤手当等を含み、退職手当等を除く。

○正規雇用 :行員、技術行員、保健師、社員(※)。出向者については、当行から他社への出向者を含み、他社から当行への出向者を除く。

○非正規雇用:嘱託行員、嘱託社員(※)、嘱託員、パートタイマー。

※社員、嘱託社員については、2022年4月1日付で大銀ビジネスサービス株式会社を吸収合併しており、2022年3月31

 日時点で同社に社員、嘱託社員として雇用され就業していた者で2022年4月1日以降当行ビジネスサービス部で引き

 続き就業している者。

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したもので、労働組合における非組合員としております。

2 管理・監督職は(注)1の管理職に、管理職の手前の職位者及び同等の権限を有する者で管理職の候補者層である次長・支店長代理職を監督職として加えております。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71号の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

4 「管理職に占める女性労働者の割合」につきましては、2023年度実績は3.5%(前年度対比+0.3%)。行内における女性活躍の進展の観点からも女性管理職は必要であると考えており、「管理職」に占める女性の割合については、2026年度は5%以上、2030年度は10%以上を目標として取り組んでまいります。また、長期継続的に取り組む観点から、「管理職」の候補者層である「監督職」(※次長・支店長代理職)についても積極的な登用が必要と考えております。「管理・監督職」に占める女性割合については、2026年度:20%以上を目標として取り組んでおり、2023年度実績は15.7%(前年度対比△0.1%)となっております。

 

2022年度

実績

2023年度

実績

2026年度

目標

2030年度

目標

女性管理職比率

3.2%

3.5%

5%以上

10%以上

女性管理・監督職比率

15.8%

15.7%

20%以上

 

 

5 「男性の育児休業等取得率」につきましては、2023年度実績は71.7%(前年度対比+10.9%)。なお、行内規定において、育児休業等取得については子が2才に達する日を限度としているため、単年度実績として反映していない場合があります。育児や家事等の役割分担に対する固定概念を払拭し、一層の女性活躍を後押しするため、「育児休業制度」の分割取得、「出生時育児休業(産後パパ育休)」の創設を行うなど、取得しやすい環境整備や従業員の意識改革に取り組んでおります。引き続き、男性行員の育児参画を促すための施策などを通じ、2026年度は100%以上を目標として取り組んでまいります。

 

2022年度

実績

2023年度

実績

2026年度

目標

男性の育児休業等取得率

60.8%

71.7%

100%以上

 

 

6 「男女の賃金の差異」につきましては、2023年度実績は43.8%(前年度対比+0.2%)。「男女の賃金の差異」に与える影響は、「管理職に占める女性労働者の割合」が大きく、正規雇用(社員除く)のうち管理職(総合職7級)を除いた差異は73.3%(前年度対比+0.5%)となっております。また、正規雇用(社員除く)のうち、総合職においては転居を伴う異動の有無によりコースが異なり(賃金差異あり)、男性行員の96.3%が転居を伴う異動のあるコースを選択、女性行員の83.4%が転居を伴う異動のないコースを選択していることも差異が生じる要因となっております。

7 正規雇用(社員除く)における資格別(総合職・専任職<55歳以上60歳未満>)での男女の賃金差異については、以下のとおりです。

資格

1級

2級

3級

4級

5級

6級

7級

(管理職)

総合職

―(女性のみ)

98.2%

89.0%

87.5%

88.0%

93.9%

88.9%

(うち転居あり)

―(女性のみ)

101.9%

96.5%

93.6%

93.3%

90.4%

96.9%

(うち転居なし)

―(女性のみ)

92.3%

93.7%

95.9%

98.9%

104.2%

99.8%

専任職

―(該当なし)

―(該当なし)

115.0%

88.7%

100.0%

104.7%

93.7%

 

 

8 女性人財に対しては、以下の取組みを実施することにより、「管理職に占める女性労働者の割合」・

 「男女の賃金の差異」の改善に繋げて参ります。

(1)2024年4月「ダイバーシティ推進室」を新設。人事管理・人財育成体系の見直し、従業員の意識改革等を

   通じた女性が活躍できる組織の実現。

(2)「セルフキャリアドック」により行員一人ひとりのキャリア開発を支援し、積極的に新たな職位や業務に

   取り組む意識の醸成。

(3)「キャリア開発プログラム(CDP)」により、自身の能力や各業務に必要なスキルを見える化すること

   による効率的な能力開発の支援。

   [2023年8月に「女性活躍推進に関するアンケート」実施し、女性行員が管理職への昇進を望まない最も

   多い理由が「自身の能力に自信がない」であったことから、「キャリア開発プログラム(CDP)」の中

   で、「女性向けキャリア開発支援プログラム(研修)」の充実に取り組むなど、育成体制を強化して

   おります。]

女性向けキャリア開発支援プログラム(研修)

2023年度

受講者数

累計受講者数

 

次世代女性リーダー養成研修

16名

144名

(2016年度新設、毎年開催)

女性役職者マネジメントスキルUP研修

12名

56名

(2017年度新設、隔年開催)

WomanRaiseプログラム(事業性融資に携わる女性人材)

19名

60名

(2013年度新設、毎年開催)

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。

 

これまで当行は経営理念「地域社会の繁栄に貢献するため銀行業務を通じ最善をつくす」のもと、CSRへの取組みやSDGs達成に向けた地域課題解決への取組みを実践してきました。また2024年4月にステークホルダーに「未来世代」を追加した、大分銀行グループのVision2031「地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー~ステークホルダーとともに~」を長期ビジョンとして掲げ、地域と当行のサステナビリティを高める取組みを実践しています。

そのようななか、気候変動や人権問題をはじめとする環境・社会課題への対応の重要性はさらに高まっており、これらサステナビリティを巡る課題への取組みは重要な経営課題であるとの認識のもと、以下のとおりサステナビリティに関する基本方針を定め推進態勢を整備することで、より高いレベルでのサステナビリティ経営の実践をめざします。

 

<サステナビリティ基本方針>

大分銀行グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題として認識し、解決に向けて積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上をめざしてまいります。またサステナビリティに関する取組みについて情報開示や対話を行い、各ステークホルダーとの信頼関係の構築に努めます。

 

(1) サステナビリティ共通

①ガバナンス

イ.当行は、気候変動を含むサステナビリティに関する課題への取組みを推進するため、取締役会においてサステナビリティ委員会及びサステナビリティ基本方針を制定しております。

ロ.取締役会議長を委員長とするサステナビリティ委員会における提言をもとに、サステナビリティワーキンググループをはじめとする各執行部門において全行横断的な協議を行い、取締役会へ報告・付議を行う態勢としています。なお2023年度については、サステナビリティ委員会を2回開催し、「女性活躍の推進への対応(多様性の尊重)」、及び「マテリアリティへの取組み」に関する提言・議論を行っています。

ハ.特に「気候変動」「人的資本・多様性」に関しては、当行の長期ビジョン「地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー」実現のために優先すべき重要な課題である「マテリアリティ」の項目として、「気候変動への対応」「従業員エンゲージメントの向上」「多様性の尊重」を特定のうえ、取組みを行っています。

 

 

<サステナビリティに関するガバナンス体制>


 

(2) 気候変動

①戦略

イ.リスク・機会

(イ) 当行は、気候変動に関連して、以下の「リスク」と「機会」を認識しています。なお「リスク」については、顕在化の時期及び事業への影響度を考慮のうえ、「特に重要なリスク」として認識したものです。

リスク・機会の種類

リスク

移行リスク

信用リスク

脱炭素に関する諸規制の変化(税制の変更・法規制や取引先からの要請強化・業界における技術開発の変化等)による融資先の事業活動や財務への影響

評判リスク

環境に悪影響を及ぼす事業者やプロジェクトに対する投融資等による当行の評判の悪化

物理的リスク

信用リスク

自然災害が及ぼす融資先の資産への直接的な損害による、融資先の事業活動や財務への影響、及び当行担保不動産への影響

オペレーショナルリスク

自然災害や海面上昇が及ぼす当行資産への直接的な損害による復旧コストの発生

機会

資源の効率化

省資源化(ペーパーレス等)の推進や再生可能エネルギー活用による生産性向上及びコスト削減

製品・サービス

当行取引先の脱炭素関連の事業や設備投資に関する資金需要の増加

気候変動や自然災害に対する顧客の意識・行動変化に伴う、環境関連商品・サービスや保険商品の需要増加

評判

気候関連問題への適切な対応や積極的な開示による各ステークホルダーからの評価の向上

 

 

ロ.シナリオ分析

(イ) 当行においては気候変動がもたらす将来の与信関係費用の増加額を試算するため、「移行リスク」「物理的リスク」に関するシナリオ分析を以下のとおり実施しております。

(ロ) 分析の結果、「移行リスク」「物理的リスク」による財務影響は限定的と評価しています。

(ハ) 今後もシナリオ分析手法の高度化や対象範囲拡大により、気候変動関連リスクが当行の財務に与える影響の把握に努めてまいります。

移行リスク

シナリオ

IEAのWorld Energy Outlook 2023におけるNZE(1.5℃シナリオ)

分析対象

電力・ガスセクター

分析手法

・規制強化や税制の変更等に伴うお客さまの事業・財務状況への影響を移行シナリオに

基づき予測。

・その結果から、与信関係費用の増加額を試算

分析結果

2050年までに追加で発生する与信関係費用 最大8億円

 

 

 

物理的リスク

シナリオ

IPCCの第5次報告書におけるRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)

分析対象

大分県内の事業性取引先

分析手法

①財務悪化の影響

・河川洪水による取引先の事業停滞が財務に与える影響をハザードマップ分析をもとに

推計し、その結果から与信関係費用の増加額を試算

②担保毀損の影響

・当行不動産担保物件(建物)の河川洪水被害による担保毀損額をハザードマップ分析を

もとに推計し、その結果から与信関係費用の増加額を試算

分析結果

2050年までに追加で発生する与信関係費用 最大42億円

(うち財務悪化:38億円、担保毀損:4億円)

 

 

ハ.炭素関連資産
炭素関連資産は一般的にCO2排出量が比較的多い資産とされており、当行貸出金における炭素関連セクターの占める割合は以下のとおりとなっています。

項目/セクター

炭素関連セクター(2023年3月末基準)

エネルギー

運輸

素材・建築物

農業・食料
・林産品

金額
(百万円)

83,875

112,560

197,910

48,313

割合

4.0%

5.4%

9.4%

2.3%

 

 

②リスク管理

イ. 当行は、気候変動に関するリスクが当行の事業運営や財務内容等に影響を及ぼすことを認識しており、統合的リスク管理態勢の枠組み(※)において、シナリオ分析等の実施により識別・評価をしています。今後もシナリオ分析の対象範囲の拡大及び高度化に取り組んでまいります。

※当行では「統合的リスク管理」の定義を、当行の直面するリスクに関して、それぞれのリスクカテゴリー毎(信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスク等)に評価したリスクを総体的に捉え、当行の経営体力(自己資本)と比較・対照することによって、自己管理型のリスク管理を行うこととしています。

ロ. 気候変動に影響を与えるセクターへの投融資に関しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」に則り適切に判断を行っています。

<環境・社会に配慮した投融資方針>

大分銀行グループは、国連の定めた持続可能な開発目標の趣旨等を踏まえ、地域経済を支える金融機関として環境・社会課題の解決に向けて積極的に取り組みます。投融資においては以下のとおり分野ごとの方針を明確にし、適切に対応いたします。

1. 積極的に取り組む分野

(1) 再生可能エネルギー、脱炭素社会の実現、生物多様性保全等、環境問題の解決に資する事業

(2) 持続可能な社会づくりに資する事業

2. 取組みを原則行わない分野

(1) 核兵器やクラスター弾など非人道的な兵器の開発・製造を行う事業

(2) 人権侵害や違法伐採が認識されるパーム油農園開発事業

(3) 新設の石炭火力発電事業

ただし、例外的に取組みを検討していく場合は、国のエネルギー政策等を参考に個別案件ごとの背景や特性を勘案し、慎重に対応します。

 

 

③指標と目標

イ.指標

(イ) CO2排出量(SCOPE1~3)の実績推移については、以下のとおりです。
脱炭素社会の実現に向け重要な指標であると認識しており、今後についても分析の強化・高度化を図っていきます。

 

<CO2排出量推移>

 

 

SCOPE1・2(銀行+グループ会社)                                     (単位:t-CO2)

 

2013年度

2020年度

2021年度

2022年度

SCOPE1(ガソリン、LPG、都市ガス)

1,218

874

877

931

SCOPE2(電気)

9,029

3,793

3,738

3,139

合計

10,247

4,667

4,615

4,070

削減率(2013年度比)

54.5%

55.0%

60.3%

 

SCOPE3(銀行単体)

 

2013年度

2020年度

2021年度

2022年度

SCOPE3(カテゴリ1~7)

11,427

 

㋑SCOPE1・2(2013年度・2020~2022年度:排出量推移)の対象範囲をグループ会社まで拡大して算定しています。

※CO2排出量の算定プロセスについて

ガソリンにかかる排出量:車両燃料費及び大分県ガソリン単価により算出

その他SCOPE1・2にかかる排出量:「省エネ法定期報告書」における排出量を採用

㋺SCOPE3は対象範囲を銀行単体とし、対象区分はカテゴリー1~7にて算出。
カテゴリー15(投融資)については、今後の開示に向けた算定・試行を進めています。

 

ロ.目標

(CO2排出量削減)

当行は「気候変動への対応」をマテリアリティとして特定し、自社の事業活動におけるCO2排出量削減目標に向けた取組みを行っています。この取組みをさらに加速するため、2024年3月「カーボンニュートラル宣言」を行い、以下のとおり、現行のCO2削減目標を見直しました。当行グループは、これからも気候変動を含む地域課題の解決に向けた取組みなど、サステナビリティ経営を推進してまいります。

 


 

 

宣言及び削減目標の見直し内容

 

2026年度
(中期経営計画2024目標)

2030年度

2050年度

旧目標 ※

△60%
(2013年度対比)

新目標 ※

△65%
(2013年度対比)

△70%
(2013年度対比)

カーボンニュートラル

 

※CO2排出量の対象範囲:SCOPE1・2

・2050年までのカーボンニュートラルの達成

・2030年度CO2削減目標を「2013年度比△60%」から「同△70%」へ引き上げ

・2026年度CO2削減目標として「2013年度比△65%」を新たに設定

・CO2削減の対象範囲を大分銀行グループに拡大

 

 

(SDGs投融資)

当行では、SDGsの趣旨等を踏まえた「環境・社会に配慮した投融資方針」に基づき、地域経済を支える金融機関として行う環境・社会課題の解決に資する投融資を「SDGs投融資」としています。2023年度末時点のSGDs投融資実行額は863億円となりました。そのうち以下に該当するものを「環境関連」投融資として集計を行っています。

※環境関連:再生可能エネルギー、脱炭素社会の実現、生物多様性等、環境問題の解決に資する事業への投融資

 

 

2023年度~2030年度
目標額

2023年度末
実績

SDGs投融資実行額
(うち環境関連)

5,000億円
(2,000億円)

863億円
(193億円)

 

 

(3) 人的資本

①戦略

当行においては、2008年3月に「従業員は銀行の重要な財産である」との経営姿勢を明確にし、人を育てる企業風土及び自ら学び自己実現を促す組織風土の構築を目指し、「人財育成基本計画」を策定しております。また、2011年10月には従業員は「財(たから)」であるという企業風土のもと、人事部を人財開発部へ変更しております。

中長期的な企業価値の向上に向けた人財育成方針及び社内環境整備方針として、「自律的な人財を育てる基盤の構築」及び「スキルが多様な人財が活躍する体制の強化」を実現するために、2019年9月に3つの柱(「自律的な人財を育てる基盤の構築」・「経営戦略・営業戦略との連携」・「ワークライフインテグレーションの実現」)から構成される「人財戦略グランドデザイン」を定めております。具体的には、「セルフキャリアドック」の導入と「キャリア開発プログラム(CDP)」の取組みによって得られる従業員情報を「タレントマネジメントシステム」の導入により集積・分析し、経営戦略や営業戦略で目指す姿を支える人財を計画的に育成するとともに人財の量的質的把握を高度化し、「最適な人財ポートフォリオ」・「適所適材の人財配置」・「計画的な人財育成」の実現に取り組んでおります。これらの取組みにより、「生産性向上」・「働き方改革」・「ダイバーシティ」を連動させた社内環境整備にも取り組んでおります。

また、2024年4月にダイバーシティ&インクルージョンの実現に向け人財開発部内に「ダイバーシティ推進室」を新設するなど、今後も人財育成及び社内環境の充実を図り、従業員一人ひとりが働きがい・やりがいを実感することで、従業員エンゲージメントの向上を目指します。

 

イ.「自律的な人財を育てる基盤の構築」・「経営戦略・営業戦略との連携」について

(イ)「セルフキャリアドック」の導入

㋑行員全員を対象とした「キャリア研修」・「キャリア面談」・「1on1ミーティング」等の施策を通じて、体系的かつ継続的に行員のキャリア形成、促進を支援し「キャリア自律の実現」に取り組んでおります。

㋺キャリアビジョンを考える上で、「求められること(Must)」と「自身がありたい姿(Will)」の適合する部分を見出し、その上で「自身ができること(Can)」を計画的に能力開発していくプロセスを組織として支援する仕組みとして「セルフキャリアドック」を導入しております。

(ロ)「キャリア開発プログラム(CDP)」の取組み

㋑組織が経営戦略を実現するうえで必要な専門性や能力等を定義し、行員が目指すべきキャリアビジョンやキャリアパスを結び付け、行員一人ひとりに合った能力開発の支援に取り組んでおります。

㋺新入行員から管理職までの一貫した育成体系として3つの領域(ファンダメンタル・プロフェッショナル・マネジメント)にセグメントし、各行員が目指したい専門領域の職務へのチャレンジのため、自律的に能力開発を行うことを目指しております。また、CDPに応じた育成プログラムと連動する仕組みとして企業内大学を設立し、多くの研修、セミナーメニューを準備することで「キャリア形成支援」と「専門能力の開発支援」を行っております。

㋩特に女性人財に関しては、特定の業務に偏ることによるキャリア形成への心理的な障壁の解消が課題の一つであると考えており、この課題に対してもCDPの取組みは有効であると考えております。すなわち、キャリア開発に必要な基礎的能力(知識・スキル・経験)を営業店ジョブローテーションにより一通り習得する領域(ファンダメンタル)、その後目指す分野における専門的能力を高める領域(プロフェッショナル)、管理職・役職者層を中心としたマネジメント能力の向上を図る領域(マネジメント)の各CDP領域において、必要な能力開発に取り組む仕組みとしており、行員が自律的に多様なキャリア形成を目指すことを支援するものです。これらの取組みにより、女性人財の能力向上、女性管理職の増加に取り組んでおります。

 

(ハ)「タレントマネジメントシステム」の導入

㋑「人財戦略グランドデザイン」における「経営戦略に応じた人員計画」や「計画的な人財育成」等を実現するため、人財データを一元管理・分析し、戦略的な人財育成や配置をサポートするシステムである「タレントマネジメントシステム」を導入しております。

㋺同システムは当行CDPにも対応した「キャリア形成支援機能」を搭載しており、ベンダーとの共同開発・機能強化に取り組んでおります。

 

ロ.「ワークライフインテグレーション(「仕事」と「生活」を別のものではなく統合的にとらえ、双方を充実させる考え方)の実現」について

(イ)「生産性向上」・「働き方改革」・「ダイバーシティ」を連動させる仕組みづくり

㋑営業店事務の本部集中やペーパーレス推進等の各種業務効率化策による「生産性向上」への取組みや、モバイルツール(タブレット端末・業務用スマートフォン)活用やテレワーク浸透等による「働き方改革」に係る諸施策にて、労働時間の削減やモチベーション向上につなげる仕組みづくりを進めております。

㋺また、転居を伴う異動のないコースでの昇進範囲の拡大や夫婦帯同制度の新設、育児休業制度の充実等、多様な人財が能力を発揮できるような取組みも継続的に強化しております。

㋩従業員を最大の経営資源と位置づけ、持続的な成長の実現には従業員の心身の健康とウェルビーイングが不可欠であるとの考えのもと、「健幸経営」の実現に向けて取り組み、経済産業省の顕彰制度である「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)ホワイト500」に6年連続で認定されております。引き続き、従業員が「仕事」と「生活」の双方を充実させることができるようウェルビーイングの向上に取り組んでまいります。


 

ハ. 「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現

(イ)「ダイバーシティ推進室」の新設(「多様な人財の活躍」・「女性活躍の推進」に向けた取組み強化)

㋑多様な人財一人ひとりを尊重することで新たな価値や発想を生み出し、個性と能力を最大限発揮できる組織の実現に取り組んでおります。

㋺女性活躍の推進に向け、人事管理・人財育成体系の見直し、従業員の意識改革に取り組むことにより、女性が活躍できる組織の実現に取り組んでおります。

 

 

 ②指標と目標

指標

2022年度

実績

2023年度

2024年度
目標

目標

実績

従業員エンゲージメント

84.2%

継続して

85%以上を維持

87.5%

継続して
85%以上を維持

キャリア開発支援に関する従業員満足度

77.4%

80%

83.6%

継続して
85%以上を維持

プロフェッショナルカテゴリー
(法人「融資・事業性評価」)の
レベル2以上の総合1級~5級の行員数

226名

269名

233名

263名

1on1ミーティング実施回数

12,782回

12,290回

13,416回

11,800回

3年目以内の離職率

10.8%

10%以内

12.9%

10%以内

男女間の平均継続勤務年数の差異

84.1%

90%以上

82.1%

90%以上

月平均時間外労働時間

11時間43分

11時間以内

9時間50分

10時間以内

 

 

イ.『従業員エンゲージメント』

(イ) 従業員は「財(たから)」であるという企業風土のもと、人財戦略グランドデザインをはじめとする各種施策を通じ従業員エンゲージメント向上を図っており、「従業員エンゲージメント」を指標として、2023年度は85%以上維持を目標として取り組んでまいりました。

(ロ) 「従業員エンゲージメント」につきましては、年1回従業員意識調査の中で実施しており(設問内容:当行の従業員であることを誇りに思う⇒回答:①そう思う、②まあそう思う、③あまりそう思わない、④そう思わない、のうち①②の肯定的な回答割合)、2023年度実績については87.5%(目標対比+2.5%・前年度対比+3.3%)でありました。

(ハ) 引き続き各種施策を実施することにより、「従業員エンゲージメント」の向上を目指し、2024年度についても85%以上維持を目標として取り組んでまいります。

 

ロ.『キャリア開発支援に関する従業員満足度』

(イ) 「キャリア研修」・「キャリア面談」・「1on1ミーティング」により、キャリア形成・促進を支援し「キャリア自律の実現」に取り組んでおります。これらを通じて、行員が明確な夢や目標を持てるよう支援を行うことから、「キャリア開発支援に関する従業員満足度」を指標として、2023年度は80%を目標として取り組んでまいりました。

(ロ) 「キャリア開発支援に関する従業員満足度」につきましては、年1回従業員意識調査の中で実施しており(設問内容:当行のキャリア開発支援について満足していますか⇒回答:①満足している、②まあ満足している、③あまり満足していない、④満足していない、のうち①②の肯定的な回答割合)、2023年度実績については83.6%(目標対比+3.6%・前年度対比+6.2%)でありました。

(ハ) 引き続き従業員のキャリア開発支援により、「キャリア開発支援に関する従業員満足度」の向上を目指し、2024年度については85%以上維持を目標として取り組んでまいります。

 

ハ.『プロフェッショナルカテゴリー(法人「融資・事業性評価」)のレベル2以上の総合1級~5級の行員数』

(イ) 新入行員から管理職までの一貫した育成体系を構築し、経営戦略・営業戦略等を実現する上で必要な専門性や能力等を定義することで行員一人ひとりの保有能力の見える化(レベル判定)に取り組んでおります。行員が目指したい営業店リレーションシップマネジャー(以下営業店RM)(法人・個人営業)や専門領域の職務に対して、企業内大学や実践的な育成プログラムを構築し自律的な能力開発を促すことにより、法人・個人・専門の各領域で一定レベル以上の人員数確保を目指しております。

(ロ) 「キャリア開発プログラム(CDP)」において、専門性を高めるためプロフェッショナルカテゴリー(営業店RMと本部プロフェッショナルカテゴリー)を設定しており、営業店RMは法人・個人領域、本部プロフェッショナルカテゴリーは本部専門領域を対象としております。

 

(ハ) 営業店RMのうち、特に法人営業(融資・事業性評価)分野については、多様な資金ニーズへの対応、地域・産業・企業への貢献、コンサルティング機能等の発揮の観点より、優先して対応する必要があると判断していることから、「プロフェッショナルカテゴリー(法人<融資・事業性評価>)のレベル2以上の総合1級~5級の行員数」を指標として、2023年度は269名(当行の営業店得意先係の基準人員数)を目標とし、実績は233名(目標対比△36名・前年度対比+7名)でありました。

(ニ) レベル判定につきましては、知識・スキル・経験を問う設問によりレベル0~4の5段階で評価しております。レベル0~1は育成ステージ、レベル2以上は推進ステージとし「一通りの専門性を備えた人財」と定義しております。また、総合1級~5級の行員につきましては、実務を担う行員層(管理職等除く)であることから、毎年昇進等により行員層におけるレベル2以上の行員は減少しますが自律的な能力開発を通じた育成により、2023年度は前年度対比+7名と増加しております。

(ホ) 今後も継続した能力開発により、2024年度は263名(当行の営業店得意先係の基準人員数)を目標として取り組んでまいります。

 

ニ.『1on1ミーティング実施回数』

(イ) 「セルフキャリアドック」の取組みとして、対象者(行員<管理職等除く>)に対して毎月1回以上の1on1ミーティングを実施することにより、「キャリアビジョン(ありたい姿)」実現に向けて行員一人ひとりが自律的な自己成長に取り組む風土を醸成しております。

(ロ) 2023年度は実施回数12,290回を目標とし、実績は13,416回(目標対比+1,126回・前年度対比+634回)でありました。

(ハ) 引き続き行員一人ひとりが自律的な自己成長に取り組む風土を醸成するため、2024年度の目標につきましては、実施回数11,800回として取り組んでまいります。なお、対象者につきましては、期中の退職・昇進・育児休業等により変動することから、目標については2024年4月1日現在の対象者数1,093名×12回×90%=11,800回としております。

 

ホ.『3年目以内の離職率』

(イ) 「セルフキャリアドック」「キャリア開発プログラム(CDP)」等を通じ、従業員エンゲージメント向上を図り、若手行員の離職防止に取り組んでおります。新入行員から3年目までを対象とした「ファンダメンタルCDP」により、基礎知識・基礎スキルを習得するとともにジョブローテーションを行いながら必要な業務経験を一通り積むことで、基礎となる能力(知識・スキル・経験)を習得させております。

(ロ) 「セルフキャリアドック」を充実させ、行員の「Will(ありたい姿・やりたいこと)」を育むと同時に、「キャリア開発プログラム(CDP)」の取組みを通じて行員の「Can(できること)」を増やしております。「できること」が増えれば自信となり、周囲の信頼を得ることができるようになります。仕事の中に「やりたいこと」が見つけられたり、「やりたいこと」を仕事にできれば、もっとやりたいと感じることになり、「Must(求められること)」が「できて」、「やりたいこと」であれば「やりがい」や「働きがい」を感じることから、これらを通じて離職防止を図ってまいります。

(ハ) 2022年度の3年目以内の離職率が10.8%であったことから、2023年度は10%以内を目標としておりましたが、実績は12.9%(目標対比+2.9%・前年度対比+2.1%)でありました。「ファンダメンタルCDP」の履行状況やジョブローテーションが不十分であったこと等に起因し、結果として「やりがい」「働きがい」を醸成させることが不足していたことなどが原因であると考えております。

(ニ) 引き続き「セルフキャリアドック」等の取組みを通じて、3年目以内の離職率改善を図りたく、2024年度につきましても10%以内を目標として取り組んでまいります。

 

ヘ.『男女間の平均継続勤務年数の差異』

(イ) 転居を伴う異動のないコースでの昇進範囲の拡大(人事制度において転居を伴う異動の有無によりコース設定を行っている)や夫婦帯同制度(行員夫婦が帯同して異動可能な制度)を新設する等主体的なコース選択を促すことにより、平均継続勤務年数の伸長を図っております。

(ロ) 女性人財に関しては、特定の業務に偏ることによるキャリア形成への心理的な障壁解消のため、「セルフキャリアドック」「キャリア開発プログラム(CDP)」等を実施することにより、平均継続勤務年数の伸長に取り組んでおります。

 

(ハ) 2023年度は90%以上を目標とし、実績は82.1%(目標対比△7.9%・前年度対比△2.0%)でありました。男性・女性ともに平均継続勤務年数は伸長しておりますが、在籍出向制度開始(2022年6月より、55歳以降人財が他社へ異動する場合、転籍扱いから在籍扱いへ変更)により勤続年数の長い男性が増加したこともあり、男性に比べ女性の伸長率が低かったことが原因であると考えております。

(ニ) 引き続き男女間の平均継続勤務年数の差異を改善したく、2024年度につきましても90%以上を目標として取り組んでまいります。

 

ト.『月平均時間外労働時間』

(イ) ワークライフインテグレーション(「仕事」と「生活」を別のものではなく統合的にとらえ、双方を充実させる考え方)の実現により、仕事においても活力を生み出し、収益拡大等の生産性向上に取り組んでおります。

(ロ) ワークライフインテグレーションの実現のためには、長時間労働の見直しや業務効率の改善が必要となります。行員の時間外労働時間を削減することができればプライベートを充実させやすくなり、結果としてモチベーション向上や仕事と家庭の両立が期待できることから、2023年度の行員一人当たりの月平均時間外労働時間を2022年度実績11時間43分より43分削減し、11時間以内を目標として取り組み、実績は9時間50分(目標対比△1時間10分・前年度対比△1時間53分)でありました。

(ハ) 引き続き生産性向上や働き方改革により、2024年度の行員一人当たりの月平均時間外労働時間の削減を目指し、2024年度は10時間以内を目標として取り組んでまいります。