2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 当社の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、以下に記載したリスクのうち、(信用リスク)、(市場リスク :(2) 有価証券の価格下落リスク)が挙げられます。

 当社は、信用リスクについては「信用リスク管理規程」及び信用リスクに関する諸規定に則り、貸出金について、個別案件毎の与信審査、与信管理(与信承認条件の履行状況管理、与信実行後の日常的管理、問題債権の管理)、信用格付、与信ポートフォリオ管理(信用リスクの計量化手法による計測・分析及び与信集中を排除するための限度額管理)を通じて信用リスクを適切にコントロールしております。

 また有価証券の価格下落リスクについては、「市場リスク管理規程」に則り、各種の限度額(リスク限度額、損失限度額、取引限度額等)管理等を通じてこれらのリスクを適切にコントロールしております。

 当社は、当該リスクについて、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率(信頼区間99%)のもと一定期間(例えば6ヵ月)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を見積もり、把握しております。

 これらのリスクが顕在化した場合、当社の業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、当社では業務の継続性を確保する観点から、リスク量が経営体力の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割り当て)を用いた業務運営を行い、経営戦略と一体となったリスク管理を実践しております。

 

(信用リスク)

(1) 不良債権の状況

当社は本部専門部署による企業再生支援やオフバランス化の実施等によって、不良債権比率を減少させてまいりました。しかしながら、経済環境の変化によって、貸出先の業績悪化や担保価格の下落等により、不良債権及び与信関連費用が再び増加した場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(2) 貸倒引当金の状況

当社は貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び貸倒の実績に基づいて、合理的に貸倒引当金を算定し、計上しております。しかしながら、実際の貸倒が見積もりを大幅に上回り、貸倒引当金の積み増しを行った場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(3) 貸出先への対応

当社は、貸出先の経営状況が悪化した場合や債務不履行となった場合においても、貸出先の再生計画等から、債権回収の実施や法的権利を行使せずに、状況に応じて債権放棄や金融支援等を行うことがあります。しかしながら、そうした対応、支援にもかかわらず企業再生が奏功しない場合、不良債権や与信関連費用の増加に繋がり、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(4) 権利行使の困難性

当社は、担保として差入れられた物件を、流動性の欠如や価格の下落等の事情により換金、または貸出先の保有するこれらの資産に対して強制執行することが事実上できないおそれがあります。

(5) 特定の貸出先及び業種への依存

当社は、特定の貸出先及び業種に与信が集中しないようにリスク分散に努めておりますが、特定の大口与信先の信用状態が悪化した場合、あるいは特定の業種の業況が悪化した場合は、与信関連費用が増加し、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(6) 地域経済の動向に影響を受けるリスク

当社は、岐阜県、愛知県を主要な営業基盤としております。そのため、これらの主要な営業地域の経済が悪化した場合には、取引先の業況悪化等を通じて信用リスクが増大し、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(市場リスク)

(1) 金利リスク

貸出や有価証券による資金運用と預金等による資金調達には、金利または期間のミスマッチが存在しております。当社は金利・市場予測のもと、こうした運用・調達のミスマッチを分析・管理しておりますが、予期せぬ金利変動等が発生した場合、利鞘の縮小等に繋がり、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(2) 有価証券の価格下落リスク

当社は資金運用として、国債・地方債等の債券、上場株式及び外国証券等の有価証券を保有しております。景気や市場動向あるいはカントリーリスクによって保有している有価証券の価格が下落した場合、減損もしくは評価損が発生し、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(3) 為替リスク

当社は外貨建て資産及び負債を保有しております。為替相場の変動によってこれら外貨建て資産もしくは負債に不利に影響し、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(4) デリバティブ取引に係るリスク

当社は資産及び負債の総合管理(ALM)や相場変動リスク等のヘッジ目的、取引先に対するリスクヘッジ手段の提供、または一定の限度額範囲で収益獲得を目的としたトレーディング等のため、デリバティブ取引を利用しております。当社のリスク管理体制によりコントロール可能なリスク量となるように管理しておりますが、金利や為替に関し想定を超える変動が生じる等の場合には、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(流動性リスク)

当社は安定的な資金繰りを行うために資金の運用・調達を管理しておりますが、内外の経済情勢や市場環境の変化等の影響によって、資金繰りに影響を及ぼし、通常より著しく不利な条件での資金調達を余儀なくされることがあった場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(オペレーショナル・リスク)

(1) 事務リスク

当社は様々な新商品・新サービスを展開しており、そうした展開を実施していく上で事務レベルの向上は欠かせないものと位置づけております。研修や事務指導などの実施によって、事務レベルの向上に努めておりますが、役職員が故意または過失によって事務ミスを起こしたことにより、事故やトラブルが発生し、損失が発生した場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(2) システムリスク

当社は銀行業務の運営において、基幹系システムをはじめ様々なコンピュータシステムやネットワークを利用しております。そうした状況において、コンピュータシステムの誤作動やシステムダウンなどの障害が発生した場合、あるいはコンピュータの不正使用やサイバー攻撃等によるシステムリスクが顕在化した場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(3) 人的リスク

当社は多数の従業員を雇用しており、有能な人財の確保や育成に努めておりますが、十分な人財の確保・育成ができない場合には、当社の競争力や効率性が低下し、業績又は財政状態等に影響を及ぼすおそれがあります。また、人事運営上の不公平・不公正及び差別的行為、職場環境の問題などに関連する重大な訴訟等が発生した場合、業務遂行や業績等に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(その他のリスク)

(1) 事業展開が奏功しないリスク

当社は、地域の課題解決型「総合サービス業」を目指し、様々なビジネス戦略を展開しておりますが、以下のものをはじめとする様々な要因により、これら戦略が奏功しないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。

① 競争激化や市場環境の変化により、貸出金の量的拡大や利鞘の改善が進まないこと

② 有価証券運用についてリスク管理での想定を超える市場等の変動等により、期待収益を得られないこと

③ 預り資産の販売において、販売環境の変化等により期待収益を得られないこと

④ 経営の効率化が期待通りに進まないこと

(2) 自己資本比率に関するリスク

当社は、海外営業拠点を有しておりませんので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められている国内基準(4%)以上に維持する必要があります。

当社の自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部または一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。

当社の自己資本比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。

① 債務者及び債券発行体の信用力悪化に際して生じうるリスクアセットの増加

② 不良債権の処分及び債務者の信用力の悪化に際して生じうる与信関連費用の増加

③ 有価証券ポートフォリオの価値の低下

④ 繰延税金資産計上額の減額

⑤ その他の不利益な展開

(3) 税効果会計に関するリスク

当社は、現時点の会計基準等に基づき、将来実現すると見込まれる税金費用の減少を繰延税金資産として計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得予想や実現可能性の検討を含む様々な仮定に基づき行っております。

今後、繰延税金資産の回収可能性の変化や会計基準等の変更、税制改正等により繰延税金資産が減額された場

合、当社の業績、財務内容並びに自己資本比率へ悪影響を及ぼすおそれがあります。

(4) 年金債務に関するリスク

年金資産の時価が下落した場合や、年金資産の運用利回りが想定を下回った場合、また、予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提及び仮定に変更があった場合に、損失が発生するおそれがあります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生するおそれがあります。金利環境の変動その他の要因も年金債務及び未認識債務に影響を及ぼすおそれがあります。

(5) 情報漏えいに係るリスク

当社は、情報管理についてセキュリティポリシーのもと、徹底した管理に努めております。

しかしながら、当社の役職員の過失、内部または外部からの不正アクセス等により、顧客情報が漏えいした場合、顧客の経済的・精神的被害に対する損害賠償等の直接的な損失に加え、信用力の低下等に繋がり、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(6) 外部委託に伴うリスク

当社は、いくつかの業務について外部への委託を行っております。業務の外部委託にあたっては、委託先の適格性、継続的な管理に努めておりますが、委託先において委託業務の遂行に支障をきたした場合や、顧客情報の漏洩、紛失及び改ざん等があった場合に、当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(7) 規制・制度改正リスク

当社は銀行法をはじめ、各種法令・制度等の規制のもとに業務を運営しております。将来において、そうした各種法令・制度改正が当社にとって不利に影響した場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(8) 法令等遵守(コンプライアンス)に係るリスク

当社では、各種法令規制が遵守されるように、役職員に対して、コンプライアンスの徹底に努めております。しかし、これら法令規制が遵守されなかった場合、損害賠償、信用力の低下等に繋がり、当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(9) 金融犯罪に係るリスク

当社では、金融犯罪防止への各種対策を実施しておりますが、金融犯罪が発生した場合、お客さまへの補償や損害金の発生等によって、当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(10)風説・風評の発生に係るリスク

当社では、ディスクロージャー誌等の発刊物や積極的な広報・IR活動等を通じて、経営情報等について広く提供し、風説・風評の発生防止に努めております。しかしながら、インターネットの普及等により、事実と異なる風説・風評が発生、拡散しやすい環境となっております。そうした風説・風評の流布により、市場等に悪影響を及ぼし、当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(11)災害等に係るリスク

大規模な災害や感染症の流行等が発生した場合に、当社の営業インフラが被害を受ける可能性があります。また地域の取引先にも大規模災害等の影響が及ぶ可能性があります。この場合、当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

当社の主要な営業地域である東海地区においては大規模な地震の発生が予期されており、当社は地震発生等に対するコンティンジェンシー・プラン等の対応は行っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限らず、被害の程度によっては業務遂行に重要な支障をきたすおそれがあり、その結果当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(12)格付低下によるリスク

当社では外部格付機関による格付を取得しております。格付は資金調達手段が多様化する上で重要となっており、格付が引き下げられた場合、資本や資金調達において条件の悪化や費用の増加などに加え、社会的信用が低下することに繋がり、当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(13)減損会計によるリスク

当社は固定資産を保有しており、減損会計を行っております。今後の経済情勢や不動産価格の変動等によって保有している固定資産の価格が大幅に下落した場合などに新たな減損を実施することとなり、当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(14)重要な訴訟事件等の発生に係るリスク

現在特に記載すべき事項はありませんが、今後の事業活動の過程で訴訟を提起される可能性があり、その結果によっては当社の業績や財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(15)マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策に係るリスク

当社は、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策の高度化に取り組んでおります。しかしながら、当社の商品・サービスがマネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融に利用された場合には、当社の業務運営や業績、財務内容に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、経営の健全性の維持・内部留保による財務体質の強化を図りつつ、株主の皆さまへ安定的な配当を実施することを利益配分の基本的な方針としております。また、毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針は中間配当と期末配当の年2回としております。

これらの配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、1株当たり70円(うち中間配当35円)を実施することを決定しました。

内部留保資金につきましては、財務体質の強化につなげるとともに今後の有効投資に利用していきたいものと考えております。

当社は取締役会の決議により毎年9月30日を基準として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月10日

1,456

35.00

取締役会決議

2024年6月19日

1,456

35.00

定時株主総会決議