リスク
3【事業等のリスク】
(1)当社のリスクマネジメント体制
当社では、リスク管理を経営の重要課題の一つとして捉え強化に取り組んでおり、サステナビリティ委員会にてシナリオ分析を行い、リスクを定性・定量の両面で総合的に評価し、優先順位の高いリスクを選定しております。重要リスクについては、取締役会に報告し重要リスクの状況や見直しを審議し、全社的なリスク管理体制の構築、維持、向上を図っております。
(2)事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①経済動向・市場環境
当社グループは、半導体及び液晶製造装置等に使用されるサーボモータ、リニアモータなどのメカトロ製品を販売する電機部門、自動車関連・デジタル家電・パソコン・携帯情報端末等の分野に使用される電子部品を販売する電子部門、半導体関連製造設備・液晶検査装置・クリーンロボット及び産業用ロボットを販売する機械部門から成る独立系技術商社であります。その需要先は主に産業用エレクトロニクス・メカトロニクス業界であるため、当社グループの業績は、この業界の需要動向、並びに設備投資動向に影響を受けます。
当社グループでは、第11次中期経営計画「SNS2024(Sun-Wa New Stage 2024)」の最終年度を迎えております。最終年度である2025年3月期は営業利益70億円の達成を目標としておりますが、顧客の在庫過多による手配調整が継続されていること、また、中国経済の景気減速や地政学的リスクの不透明感から2025年3月期の営業利益は30億80百万円と、営業利益目標である70億円を39億20百万円下回る見込みです。
このような状況を踏まえて、顧客密着型の営業戦略をさらに進化させるために国内外の組織体制を見直すとともに、商品戦略・技術戦略・海外戦略の3つの戦略を実行することによって収益力の向上を図ってまいります。
②主要な取引先との関係
当社グループの仕入先は多岐にわたっておりますが、主要な仕入先である株式会社安川電機からの連結ベースによる仕入高割合は、2022年3月期において9.4%、2023年3月期において8.8%、2024年3月期において6.6%となっております。したがって、株式会社安川電機の経営方針及び販売政策に変更等があった場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、引き続き主要仕入先との取引関係維持・強化を図り、パートナー企業として協業し、顧客へ安全・安心のサービスを提供してまいります。
(単位:百万円)
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仕入品目 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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金額 |
割合 |
金額 |
割合 |
金額 |
割合 |
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㈱安川電機 |
制御機器、各種モータ、 サーボ機器、各種ロボット |
13,119 |
% 9.4 |
14,428 |
% 8.8 |
9,506 |
% 6.6 |
③為替・金利変動
当社グループは、グローバルに事業を展開し、外貨による取引が含まれております。今後も海外シェア拡大を進めており、大幅な為替レートの変動があった場合は、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。また、運転資金につきましても一部を金融機関から調達しており、金融機関からの調達金利が上昇した場合は、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、為替予約や金利スワップ等を利用してリスクを低減するように努めております。
④人材確保・育成
当社グループは、産業用メカトロニクス・エレクトロニクス業界向けに製品を販売しており、多岐にわたる取引先や取扱商品に関しての様々な知識や豊富な経験を持った人材こそが経営資源であり、その採用や教育を継続的に推進していくことが重要であると認識しております。事業発展のための優秀な人材の確保及び雇用の維持ができなくなった場合には、今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新卒採用に限らず、中途採用についても採用活動の強化に努めるとともに、人材育成方針に基づき各現場でのOJT教育をはじめ、階層別研修を軸に、グローバル人材の育成、担当業務に応じた技能研修、ビジネススキルアップなど多様な切り口から「人を創る」教育制度の充実を図っております。また、社内環境整備方針に基づき社員一人ひとりの人権を尊重し快適に働くことができる職場環境を整備することで、優秀な人材の確保・育成に取り組んでおります。
⑤コンプライアンス・法規制
当社グループは、事業を遂行する上で各種法令を遵守し、また全社員がコンプライアンスに対する理解度を深め、実践していくため、コンプライアンス委員会を設け内部管理体制の強化を図るとともに、専門分野に精通した弁護士や監査法人のアドバイスを適時受けることで、一層の充実化を図っております。しかしながら、近年、訴訟に対する意識が変化し、世の中の趨勢として訴訟事件も増加してゆく傾向にあると思われ、事業を遂行する上で訴訟を提起されるリスクが考えられます。当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥情報セキュリティ
当社の事業活動における情報セキュリティリスクとして、システムへの不正アクセス、従業員の操作ミスによる機密情報・個人情報の外部流出、サプライチェーン上の脆弱性をついたサイバー攻撃によるシステムやデータの損傷及び身代金目的による暗号化、マルウェアの侵入、オフィスやデータセンタへの不正侵入や盗難等が生じる可能性があります。
このようなリスクに対し、当社では「情報セキュリティ管理規程」を整備の上、不正アクセス・情報漏洩対策として、ソフトウェアの脆弱性に対する定期的なパッチの適用、信頼性の高いファイアウォールの導入、EDR機能を備えたウイルス対策ソフトの導入と監視体制の整備、適切なアクセス権限の付与・管理、PC内データや通信の暗号化、USBメモリの使用禁止、サーバデータの二重化を行っております。加えて社内教育及び自己点検等を定期的に実施しております。
⑦製造物・品質責任
当社グループでは、仕入先との関係を強化し、品質や信頼性の維持に努めておりますが、当社取り扱い商品の品質不良などにより得意先から求償を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
品質不良については、仕入先を含めた得意先との協議により求償金額の軽減やメーカからの補填を受けるよう努めており、また、海外からの輸入品も含めた商品の欠陥に備えて製造物責任保険(PL保険)に加入し、損失の軽減を図っております。
⑧在庫
当社グループでは、商社の重要な機能として顧客への安定供給を目的とした一定水準の在庫を保有しております。顧客の生産計画の変更、所要見込みの減少により、滞留在庫又は過剰在庫となった場合、キャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。加えて、棚卸資産の廃棄損や評価損を計上する場合には、業績及び財務状況に影響する可能性があります。
このようなリスクに対して当社では「在庫管理担当部門」を業務本部内に設置し、各部署の「在庫管理専任担当者」と定期的に会議を実施の上、各部署の適正在庫目標を定めて進捗を確認しております。リスク軽減の主な活動として、顧客との取り決め内容の確認や生産計画に変更があった場合は、仕入先への発注数や納期調整の実施又は顧客との交渉により滞留在庫及び過剰在庫防止に取り組んでおります。また、在庫運用スキル向上のため、階層別に「在庫運用教育研修」を実施してリスク軽減に努めております。
⑨気候変動・自然災害
当社グループが置かれた事業環境においても、異常気象の激甚化などの気候変動の影響を受ける可能性、あるいは脱炭素化に関するビジネスへの対応の遅れなどにより業績へ悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、気候変動問題をサステナビリティ経営における重要課題と認識し、サステナビリティ委員会主導で重点的に取り組みを進めており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みをもとに気候変動が当社に与える影響をリスクシナリオ別に定性・定量の両面で総合的に評価し、対策及び情報公開に努めております。また、パリ協定目標にも整合する施策として、温室効果ガス排出量(Scope1,2)を2030年度までに20%削減(2020年度比)することに加え、脱炭素化をビジネスの機会と捉え、環境にやさしい商品の販売を通じて2050年度までに温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)の100倍以上(2020年度比)の排出削減効果をもたらす取り組み「Sunwa Decarbonized society Approach」を策定し、リスクの低減とともに機会の最大化に向けた活動を推進しております。
⑩カントリーリスク・地政学リスク
当社グループは、国内のみならず海外14法人(34拠点)に事業展開しており、今後においても海外への事業展開を図る方針であります。そのため、関係する諸外国の予期しない政治・経済・社会の変動や法律・税制の改正、テロ等による治安の悪化が起きた場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グルーブでは、海外子会社を担当する部門において、現地責任者と連携し、定期的に現地の最新情報を収集しており、テロ等の有事の際には、「危機管理規程」の定めに従って対策本部が設置され、迅速な情報収集と適切な対応が実現できる体制を確立しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題の一つと認識しております。持続的な成長と企業価値の向上のための積極的な事業展開や様々なリスクに備えるための財務健全性とのバランスを考慮したうえで、安定配当を維持しながら中長期的な視点で連結業績に応じた利益還元を行うことを基本方針としております。
業績連動利益配分の指標として連結配当性向25~35%を目標として実施してまいります。
自己株式の取得につきましても、株主還元や資本効率向上のため、時期及び財政状況に応じて実施することといたします。内部留保につきましては、中長期的な視点に立ち、事業環境の急激な変動に対応出来る企業体質の確立と、中長期的な成長に向けた重点分野への投資を中心に経営基盤強化のために有効活用し、将来の業績向上を通じて利益還元を行ってまいります。
当期の利益配当金につきましては、株主の皆様の日頃のご支援に報いるべく、期末配当を1株当たり50円とし、中間配当(1株当たり45円)と合わせ、年間配当95円とさせていただきました。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月30日 |
680 |
45 |
取締役会決議 |
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2024年5月10日 |
755 |
50 |
取締役会決議 |