2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループは、日本国内および海外において、生活用品を中心に多岐に亘る商品を提供するOEM事業と、自社ブランドあるいは本質にこだわった海外の秀逸なブランドの卸売および小売を行うブランド事業を展開しております。

こうした事業活動の性質上、先行き予測が困難で不確実性の高い様々なリスクが内在しており、当該リスクが顕在化した場合には、将来の当社グループの事業活動や経営成績、財政状態などに大きく影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを完全に排除することは困難ですが、当社グループではリスクマネジメント規程に基づき設立された組織横断的な各種の特定リスク委員会を定期的に開催、リスクの適切な認識、迅速な対応を図ることで、リスクの極小化を図っています。

①様々な環境変化に伴うリスク

当社グループは、わが国のみならず世界各地で事業活動を営んでいるため、当社グループの事業活動は、世界の政治経済社会情勢の変化や国家間紛争、あるいは、大規模な自然災害の発生や感染症の世界的な蔓延など、様々な環境変化に伴うリスクに晒されており、当社グループの事業や業績に重大な影響を及ぼす可能性もあります。

こうしたリスクの回避や低減を図るため、当社では、リスクマネジメント委員会傘下のカントリーリスク委員会が世界情勢の変化に伴う様々なリスクの評価や対応策を検討する体制のほか、危機管理基本マニュアルに基づいて、常設の危機対策本部事務局が平時の準備活動を担うとともに、危機発生時には遅滞なく事業継続計画(BCP)を発動することで、円滑な事業の回復・継続に即応する体制を構築しています。

②海外ブランド品の取扱いに関するリスクについて

当社グループでは、正規の販売代理店契約に基づいて、本質にこだわった海外の秀逸なブランドの卸売および小売を行うブランド事業を展開しております。海外ブランドの取扱いにあたっては、正規の販売代理店契約の条件内容の変化や、同契約を継続することに懸念が生じた場合、あるいは、新規に取り扱うこととなったブランドが様々な理由から計画通り進まなかった場合は、当該ブランドの事業活動は元より、当社グループの経営成績に多大な影響を与える可能性があります。このリスクを回避するため、日本におけるブランド力の強化はもとより、精緻な販売計画の策定及びその計画の達成、ブランドホルダーとの良好な関係の維持に努めています。

また、海外ブランド品は、受注や販売の見込みに基づき一定時期にまとめて海外メーカーに発注し、一定量を在庫として保有する必要がありますが、実際の受注や販売が見込みどおりとならないことがあるため、在庫として保有する棚卸資産が過剰在庫となる可能性があります。こうしたリスクの抑制策として、当社および当社グループ各社は、各ブランド商品に見合った棚卸資産の評価基準を「経理規則」において定め、本リスクに粛々と対処してきています。

③サステナビリティに関するリスクについて

地球温暖化が環境に及ぼす影響への懸念が強まる状況下、企業としては、競争に生き残るだけではなく、中長期的な持続的成長を目指す上でも、サステナブルな社会の実現に貢献するSDGs経営に積極的に取り組むことが求められています。当社としては、リスクマネジメント規程に基づき、気候変動リスクを始め、サステナビリティに関するリスクを当社の事業運営全般に関わる特定のリスクと指定して、サステナビリティ委員会を設置し、全社横断的な監視体制を運用しています。

なお、サステナビリティに関するリスクについては、新たなビジネスチャンスと表裏一体と捉えており、サステナビリティ委員会としては、取締役会における方針決定等の大局的な審議に資する情報収集やたたき台を検討することも重要な任務となります。

④サプライチェーンに関するリスクについて

当社グループは、世界各地で製造した生活用品を様々な国や地域で販売しているため、原料・資材の調達から輸出入通関手続を含めたロジスティックまで複雑かつ長大なサプライチェーンを構築しています。これは、当社グループが創業以来、最も得意とするところではありますが、大規模自然災害や感染症の世界的な蔓延、国家間紛争など事前に想定しにくい事態が発生した場合にサプライチェーンが滞り、また、原材料の高騰や世界的なコンテナ不足による輸送の遅延と運賃高騰など様々な要因で売上高に相応な影響を与える可能性があります。

このリスクを回避・低減するため、平時から製品の調達側、販売側双方の分散化を進めるとともに、万が一、リスク事象が顕在化したときには、リスクマネジメント委員会と営業本部が共同して、世界各地の拠点と連携してリスク事象の対応を行う体制を運用しています。

⑤商品の品質問題に関するリスクについて

当社グループは、提供している生活用品を中心とした商品の品質管理を徹底しております。しかしながら、万が一、重大な製造物賠償責任が発生した場合は、信用、ブランド・イメージが大幅に低下する可能性があり、さらに、賠償金支払義務が発生した場合には、当社グループの事業活動や経営成績、財政状態などに大きく影響を及ぼす可能性があります。

このリスクを回避するため、製造販売部門に専門の知識経験を有する品質管理担当(QA)を配置して品質管理を徹底することはもちろんのこと、万が一に備えて製造物賠償責任保険(PL保険)を付保してリスク移転措置を講じております。また、リスクマネジメント規程に基づく商品リスク委員会において、発覚した当社の取扱商品に関する様々なトラブルの発生原因や対応策に関する情報の管理・共有を図るとともに、蓄積した知見を活用できる仕組みを構築しています。

⑥市場リスクについて

(為替変動リスク)

当社グループは、輸出入取引に付随し様々な為替相場の変動リスクに晒されており、円相場の大幅な変動により輸入商品の価格競争力が大幅に失われた場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

こうしたリスクを回避・低減するため、定期的に開催される市場リスク委員会が為替相場の変動状況をチェックしています。なお、輸入には必要に応じて為替予約によるリスクヘッジを行っています。

(金利変動リスク)

当社グループは、おもに運転資金に充当するため、円建ておよび米ドル建ての借入が発生します。いずれも金利変動リスクに晒されており、特に短期市場金利が急騰した場合は、金利負担の急増により、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を与える可能性があります。

このリスクを回避・低減するため、円建て借入については、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を利用したグループベースでの借入金残高の圧縮や、長期固定金利借入や実需の範囲内で金利スワップなどのリスクヘッジ手段を適宜導入することにより、金利変動リスクの抑制を図っております。

(流動性リスク)

当社グループは、仕掛品や製品在庫、設備投資などの運転資金ニーズに加え、危機管理下における事業継続のための資金繰りを支える流動性の確保も必要と考えています。事業継続等の観点から急激な増加資金需要にも耐えうる安定的なキャッシュ・フローを確保するため、取引金融機関との関係強化や資金調達手法の多様化に取り組んでいます。外貨流動性については、主取引銀行との間で多通貨コミットメントラインを設定することにより、日本国内における米ドル資金調達時の流動性リスクをヘッジしています。

⑦信用リスクについて

当社グループでは、国内外の取引先に対し、必要に応じて、売掛金、前渡金、保証等の信用供与を行っております。こうした信用リスクに対しては、売掛債権を補償する取引先信用保険の付保や、過去の実績を基にした引当金の設定を行っておりますが、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行が発生した場合には、結果として、想定以上の金銭的損失が発生する可能性があります。

このリスクを回避・低減するため、グローバルベースで、与信管理規程に基づいた適切な与信限度額の設定、定期的な与信限度額見直しの体制を運用するとともに、与信リスク委員会において与信状況を定期的に監督しています。また、リスク低減には、販売市場の分散にも取り組む必要があると考えています。なお、万が一に備えて取引信用保険や輸出保険の付保により、リスク移転措置も講じております。

⑧コンプライアンス(法令遵守)に関するリスクについて

当社グループは、生活用品を中心に多岐に亘る商品を国内外で提供しており、わが国を含む世界各国で制定、施行されている各種法令および規制などを遵守することに努めております。しかしながら、複数の当事者を介して行う取引も多く、予防的措置を講じているにも関わらず、結果として法令や規制などに違反する事態に至るなど、場合によっては、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、これからの法令や規制などが大きく変更された場合には、取引の継続が困難となる可能性や必要な対策に多額の費用を要する可能性があります。また、近年、当社グループはEコマースを積極的に推進している関係上、顧客情報の漏えいにより損害賠償責任を求められる可能性があります。

こうしたリスクを回避するため、法務リスク委員会において法改正情報の入手や法令遵守の状況を監督しています。個人情報については、情報管理委員会を定期開催し、個人情報の管理体制を監督する体制を整備し、個人情報については万が一に備えてサイバーセキュリティ保険の付保により、リスク移転措置も講じております。当社グループの事業に密接に関係がある法律ごとにコンプライアンス・プログラム(CP)を策定・運用し、定期的に法令の趣旨や規制内容を社員にリマインドさせることにより、関係する法令の理解と法令遵守意識の定着化を図る仕組みを整備しています。

 

なお、本項には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

配当政策

3【配当政策】

 

・利益配分に関する基本方針

当社グループは、縁に随って出会った人々がお互いに助け合うことを大切にする『随縁の思想』を企業理念としております。当社は、この企業理念の下、当社との縁を紡がれた株主の皆様への適切な利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けております。

利益配分に関しては、将来の事業展開や不測の事態に備える内部留保による経営基盤の維持強化だけでなく、持続的成長と中長期的な企業価値の向上の実現に資するよう、人的資本への投資を含めた適切な投資の実施などを踏まえ、当社グループの財政状態、今後の業績動向や資金需要などを総合的に判断し決定します。


・配当決定に関する基本方針

株主の皆様に対する配当については、中間配当および期末配当の年2回を基本方針としており、年間配当金は、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向30%~50%を目処に実施します。なお、定款の定めにより株主総会から授権された取締役会において審議の上、決定します。

 

2024年3月期の期末配当につきましては、2024年5月22日に発表しましたとおり、1株当たり普通配当70円とし、この結果、2024年3月期の年間配当は、中間配当1株当たり10円と併せて、1株当たり80円となります。

 

次期、2025年3月期の配当につきましては、中間配当は1株当たり40円、期末配当は同40円とし、年間配当は1株当たり80円を予定しております。

 

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月31日

24

10

取締役会

2024年5月22日

163

70

取締役会