2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断しております。

 

(1) 市場の競合及び変動による影響

オフィスMFPでは本体については、オフィスの統廃合や入替サイクルの長期化による出荷台数の減少の可能性があります。保守サービスについては、ペーパーレス化によるプリントボリュームの減少が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。レーザープリンターのトナーカートリッジについては、第三者により代替品が販売されており、その販売量が拡大した場合、キヤノン純正品の収益の圧迫要因となります。

レンズ交換式デジタルカメラについては、一眼レフカメラからミラーレスカメラへ市場が移行する一方で、レンズ交換式デジタルカメラ全体の市場縮小が続く可能性があります。また、インクジェットプリンターについては、カラープリントの減少等によるプリントボリュームの低下に伴い、インクジェットプリンター本体及びインクカートリッジの売上減少が加速する可能性があります。

産業機器については、半導体製造装置や検査計測装置が半導体やデバイスメーカーの設備投資の状況に受注面で大きな影響を受けます。これらのメーカーの設備投資が低下した場合、業績が低迷する可能性があります。

ヘルスケアについては、医薬品医療機器等法(薬機法)や医療情報保護に関する各種ガイドラインにより、法令順守体制の整備と品質管理の徹底、及び情報セキュリティ対策等が要求されております。当社グループは法規制等に対し万全の体制を整えておりますが、想定外のリスクが発生し、要求事項を正常に運用できなかった場合、医療機関や医療機関向け販売業者との取引が減少する可能性があります。

また、親会社のキヤノン株式会社をはじめ、多数の取引先からの商品及びサービスの提供を受けているため、自然災害や重大事故の影響等、取引先の何らかの事情により十分な供給を受けられない等のリスクが発生する可能性があります。その場合には、販売活動の円滑な推進ができず、業績に影響を与える懸念もあります。

 

(2) システム開発

当社グループでは、さまざまなソリューションをお客さまに提供するため、幅広い分野でのシステム受託開発を行っております。案件を進めるにあたっては、社内での審議体制の構築、プロジェクト管理、綿密な作業工数管理を行い、不採算案件が発生しないように、リスクの低減に努めております。

しかしながら、顧客との仕様・進捗に関する認識の不一致等により、多大な追加工数が発生した場合にコストが増大する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) データセンター事業

当社グループでは、西東京データセンターを設立し、データセンターサービスやクラウドサービス、システム運用サービス等のストック型ITサービス事業を行っております。データセンターについては、建物や設備、セキュリティ、運営品質等の各要素において、高度な水準が求められるため、安定した地盤に建設し、高性能なファシリティと厳重なセキュリティを備えております。また、長年のデータセンター運営で蓄積した知見・ノウハウをもとに、2017年に「M&O認証※」を取得しており、第三者機関が証明するグローバル基準の運営品質を備えております。

しかしながら、地震、大規模な水害、火災等の災害や感染症、運用ミス、サイバー攻撃等が発生した場合、施設・システムの運用の停止や重要な顧客情報の漏洩により、取引先等の関係者に損害等を発生させる場合があり、また、その信用の低下等から当社グループの事業運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

※米国の民間団体「Uptime Institute」が定めているデータセンターの運営品質に関するグローバル基準

 

(4) 情報管理

当社グループでは、さまざまなグループ経営に関する重要情報を有しているほか、お客さまに対するソリューションの提供等を通して、法人・個人に関する機密情報を多数保有しております。これらの情報管理については、「情報セキュリティ基本方針」・「情報セキュリティ基本規程」を策定しており、社員に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策の実施と対策状況の確認を行う等、情報セキュリティに関するマネジメント体制を整え、運用しております。業務委託先についても選定基準や安全管理措置の確認方法等を定めたルールや管理体制を整備し、適切な管理・監督を行っております。

また、サイバーセキュリティ専門組織Canon MJ-CSIRT※によるサイバー攻撃の予防・検知・発生時対策の実施体制を整備しております。

しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃等により重要な情報が外部に漏洩した場合には、取引先等の関係者に損害等を発生させる場合があり、また、その信用の低下等から当社グループの事業運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

※CSIRT:Computer Security Incident Response Team

 

(5) 自然災害等

当社グループが事業活動を展開する地域において、地震や台風等の自然災害及び重大な感染症の流行等が発生した場合には、人的・物的被害が生じ、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。当社グループでは、設備や情報システムに対するバックアップ体制の整備、グループ全体での災害対応訓練や事業所単位での防災訓練等を通じて災害が生じた場合の被害の未然防止・最小化に向けた取り組みを進めておりますが、これによって災害等による被害を十分に回避できる保証はなく、発生時には当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、これらの自然災害等によって経済活動の停滞やサプライチェーンの混乱、取引先の事業活動・投資意欲の減退等が発生する場合、当社グループのビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 貸倒れリスク

当社グループでは、商品及びサービスの提供後に代金を回収する取引が多いことから、予測できない貸倒損失が発生する可能性があります。このため、外部信用調査機関の信用情報等を活用して徹底した与信管理を行うとともに、ファクタリング等の活用によりリスクヘッジを行っております。また、債権の回収状況等により個別に貸倒引当金を設定し将来の貸倒れリスクに備えております。しかしながら、予期せぬ事態により多額の回収不能額が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(7) 親会社との関係

当社は、キヤノン株式会社の子会社(2023年12月31日現在の同社の議決権保有比率58.5%)であり、キヤノン株式会社がキヤノンブランドを付して製造するすべての製品(半導体露光装置・液晶基板露光装置・医療機器を除く)を日本国内において独占的に販売する権利を有しております。当連結会計年度における同社からの仕入高は当社全体の仕入高において依然として高い水準となっております。

これらの事情から、キヤノン株式会社の経営方針、事業展開等に大幅な転換があった場合には、当社グループの事業活動や業績、財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。また、関連業界におけるキヤノン製品の優位性が、何らかの理由により維持できなくなった場合には、当社グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、利益配分に関して、連結配当性向40%以上を目途に、中期的な利益見通し・投資計画に加え、そこから生み出されるキャッシュ・フロー等を総合的に勘案し、配当を実施することを基本方針としております。

当期の配当につきましては、期末配当を1株当たり70円とし、年間配当金は中間配当(1株当たり50円)と合わせ、1株当たり120円(連結配当性向42.6%)を実施いたしました。

配当の回数につきましては、従来と同様に中間配当及び期末配当の2回の配当を行っていくことを基本的な方針として考えております。また、配当の決定機関につきましては、取締役会の決議によっても配当することができる旨を定款で定めております。

なお、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当の株主総会又は取締役会の決議年月日、配当金の総額及び1株当たりの配当額は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たりの配当額(円)

2023年7月26日

取締役会決議

6,483

50

2024年3月27日

定時株主総会決議

9,077

70