2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループが事業を進めるうえで留意すべきリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要な事項は次のとおりと考えております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日(2024年6月20日)現在において判断したものです。

 

   (1) 経済状況

当社グループでは、日系自動車メーカーを中心に各国自動車メーカーに対する売上比率が高い水準にあります。主要市場である日本、米国、中国のうち日本国内における自動車の販売については長期的に見ると減少傾向にあります。

そのため、グローバル化を進めておりますが、各国の経済状況が不振に陥った場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶことが予想されます。

なお、ベッド及び家具事業に限っては、日本及びアジアでのみ事業展開しておりますのでそれら地域の経済状況に左右されます。

   (2) 価格競争リスク

当社グループの主たる事業である合成樹脂成形品については適正な製品価格設定に努めておりますが、主要取引先である自動車メーカーからのコストダウン要請も強まっております。

このため、他社との受注競争において想定以上の製品価格競争を余儀なくされた場合には、当社グループの業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

   (3) 原材料の価格変動及び調達等によるコストアップにかかるリスク

当社グループが使用する原材料の価格は、原油及びナフサ価格等の変動に伴い改定されるため、これら原材料の価格上昇分を製品価格に十分に転嫁できない場合、あるいは安価な原材料への転換が進まない場合などには、当社グループの業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。また、原材料供給業者における不慮の事故あるいは震災をはじめとする自然災害などの影響により、原材料の調達が予定通りにできない場合、あるいは昨今の人件費の上昇により販売単価の適正化が図れなかった場合にも、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

   (4) 為替変動リスク

海外向け輸出は僅少ですが、グローバル化の進展に伴い海外子会社が生産した製品の現地販売により、当社グループの海外売上比率は年々高まっております。

そのため、連結財務諸表上は、海外子会社の現地通貨建てによる財務諸表の値を本邦通貨に換算するため、為替レートの変動が連結財務諸表に影響を与えます。

   (5) 製品の品質不良に伴うリスク

当社グループは、厳しい品質管理基準に従って生産を行っています。しかし、何らかの原因によって不良品が市場に流通し、製造物責任等を問われた場合には、損害賠償やその対応に多額のコストを要するだけでなく、当社グループに対するユーザーの信頼が低下し、その結果、当社グループの業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

   (6) カントリーリスク

当社グループは日系自動車メーカーを中心とするユーザーのグローバル化に対応し、そのニーズに適切かつ迅速に対応できるように海外拠点を拡充してまいりましたが、海外拠点の所在国・地域において、政策・法律・税制の急激な変更、予測できない政治・経済の不安定化、テロ・戦争・紛争の勃発、伝染病の蔓延などによる社会的混乱により事業の遂行が困難になる可能性があります。

そのため、当社グループでは、できる限り特定の国や地域に拠点が偏在しないよう拠点展開を進めておりますが、上記のような事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

   (7) 地震などの自然災害リスク

当社グループでは、国内においては自動車メーカー向けには当社内の2工場(相模原、名古屋)のほかに山形、栃木及び熊本に生産子会社3社を有し、またベッドは富士小山工場で生産しております。

一方、海外においては、急速に生産拠点の拡大・分散化を進めております。

日本に限らず世界の各地域で自然災害が多発しているなか、仮に災害に遭遇した場合でも、被害を最小限にとどめるべく、各工場では耐震化を進めるとともに、全社員の安否確認のためのシステムを導入し、更に復旧体制構築に向けた事業継続計画に取り組んでおります。

しかしながら、当社グループの生産拠点等において、地震・暴風雨などの自然災害あるいは不慮の事故などにより、生産設備等が何らかの損害を受け、製品の製造・販売が遅延もしくは停止する場合、あるいは本部機能が麻痺した場合には、当社グループの業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

将来新たな自然災害が発生した場合には、樹脂材料の調達に支障をきたし、「(3)原材料の価格変動及び調達等によるコストアップにかかるリスク」が顕在化したり、業界のサプライチェーンに支障が生じた場合、あるいは電力供給力の減少により、「(1)経済状況」が悪化する可能性もあると考えます。

   (8) 固定資産に関する減損のリスク

当社グループが使用する有形固定資産は、資産価値の下落に起因する潜在的な減損リスクにさらされています。

特に、海外子会社の経営環境の悪化により、減損損失が発生した場合には、連結財務諸表に対して影響を生じさせる可能性があります。

   (9) 子会社株式に関する減損のリスク

当社グループが保有する子会社株式の評価基準は原価法によっておりますが、市場価格のない株式については財政状態の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の減損処理を余儀なくされ、単体の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 これらのリスクのほかにも、通常想定できないリスクが事業活動の拡大・変化に伴い突然顕在化する可能性は否定できませんので、リスクマネジメント委員会を中心に、そのような不測のリスク発生の回避・軽減あるいは不測のリスクが発生した場合の適切な対応・損失の極小化に努めてまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、連結当期純利益の概ね3割を目処に配当を行う方針を採用しております。当社グループでは、グローバル化の進展により海外子会社の連結純利益における寄与割合が高まっており、当社単体の当期純利益ではなく連結当期純利益に基づいて配当性向を設定したほうが株主還元に資するからであります。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、2021年6月24日開催の定時株主総会にて、「定款一部変更の件」が承認可決されたことに伴い、「当会社は、剰余金の配当等、会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる。」旨を新たに定款に定めておりますが、引き続き、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会とする予定です。

 2024年3月期の期末配当につきましては、2024年5月13日に発表したとおり、1株当たりの配当金32円といたしました。これにより、既に実施しました中間配当32円を含め、1株当たりの年間配当金は64円となります。

 

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月31日

3,207

32

取締役会決議

2024年6月20日

3,188

32

定時株主総会決議

 

(注)1.2023年10月31日開催の取締役会で決議された配当金の総額には、役員報酬BIP信託口に対する配当金12百万円、2024年6月20日開催の株主総会で決議された配当金の総額には役員報酬BIP信託口に対する配当金12百万円を含めて表示しております。

2.2023年10月31日開催の取締役会で決議された配当金の総額には、株式付与ESOP信託口に対する配当金1百万円、2024年6月20日開催の株主総会で決議された配当金の総額には株式付与ESOP信託口に対する配当金1百万円を含めて表示しております。