リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。
なお、下記記載のリスク項目は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また本項における将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2024年3月27日)現在において、当社グループが判断したものであります。
<当社グループのリスクマネジメント体制>
当社グループは、事業活動全般にわたって生じ得るさまざまなリスクを想定した対策を立て、リスクの発生可能性や影響の低減を図るなど、適切な管理を行うとともに、万一リスクが顕在化した場合の被害・損害の極小化と再発防止のためのリスクマネジメントに取り組んでいます。さまざまな要因を想定して洗い出したリスクに対して、その発生可能性、影響度をそれぞれ4段階で分類し、これらを掛け合わせた点数(1点~16点)により評価を行います。
当社グループでは、「イトーキグループリスク管理基本規程」に基づき、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスクマネジメントの実効性を確保しております。リスク管理委員会は、リスク管理方針の策定とリスク評価、対策レベルの決定を行い、下位に位置するコンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会や主管部門に具体的な対策を指示します。
当連結会計年度においては、リスク評価に基づき、特に点数が高いリスク項目(12点以上)から次の7つをリスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定して、それぞれのリスクに対する対策の実効性を高めています。
・重要品質問題の発生に関わるリスク
・人権問題の発生に関わるリスク(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、差別的行為等)
・情報漏洩、サイバー攻撃の発生に関わるリスク
・重大労働災害の発生に関わるリスク
・災害や事故による業務停止の発生に関わるリスク
・サプライチェーンに関わるリスク(商品供給の遅れ)
・情報システムの計画外停止の発生に関わるリスク
また、来期においては、上記の7つに加えてグループ会社管理の不備に関わるリスクも追加して、当社グループのリスクマネジメントのさらなる強化を図ります。
<事業等のリスク>
当社グループが展開する事業に関わるリスクのうち、当連結会計年度において、リスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定したリスクの詳細は以下の通りです。
(1) 重要品質問題の発生に関わるリスク
当社グループは、社内で確立した厳しい品質基準をもとに製品を製造しておりますが、予期せぬ事情によりリコールが発生する可能性や、当社グループが提供する、製品・サービスにおいて不測の事象やクレームが発生する可能性があります。当社グループは、重要品質問題が発生した場合への対応として、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、損失額をすべて賄える保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。またこのことにより、当社グループの製品に対する信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、品質問題の発生を重大なリスクと捉え、品質保証領域に対して必要な経営資源を配し、検査やパトロールの強化による品質管理体制の維持や品質教育の徹底等により品質問題の予防に努めております。また、万一問題が発生した場合には迅速に対応しその影響を最小限にとどめられるような管理体制を維持してまいります。
(2) 人権問題の発生に関わるリスク(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、差別的行為等)
当社グループは、「イトーキグループ行動規範」を制定し、従業員の人権を尊重するとともに、人格・個性と多様性を重視し、一人ひとりが活き活き働き、能力を最大限に発揮できる制度と環境づくりを行い、社会に誇れる企業倫理を確立するとともに、コンプライアンス重視の経営を推進するために充実した内部管理体制の確立に努めております。しかしながら、これらの活動が適切に推進できなかった場合は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 情報漏洩、サイバー攻撃の発生に関わるリスク
当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の個人情報並びに当社グループ内の個人情報を有しております。情報セキュリティの一環として厳重な管理を行い、規程類の整備や各種対策の実施、従業員への教育などを実施し、内部監査を含めたマネジメントサイクルを運用することで個人情報の保護の徹底を図っておりますが、想定を超えた技術によるサイバー攻撃等の予期せぬ事態により流出する可能性があります。このような事態が生じた場合は、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、多額の費用負担が発生する可能性があります。
(4) 重大労働災害の発生に関わるリスク
当社グループは、労働災害の発生を防止するため、安全診断の実施、改善活動及び安全衛生教育の推進など安全管理に関わる取り組みを実施しておりますが、重大な労働災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 災害や事故による業務停止の発生に関わるリスク
当社グループは、災害等によって事業活動が停止しないよう安全衛生面を含めた災害防止活動、設備点検等の対策を行っておりますが、予想を超える大規模な災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、当社グループとしては安全衛生、事業継続の両面からサプライチェーンを含めた対策の実施及び災害対策体制の構築により、災害等のリスク低減を図っております。
(6) サプライチェーンに関わるリスク(商品供給の遅れ)
当社グループは、事故、災害及び倒産などによる突然の供給停止のリスクに備え、調達先の評価や突然の供給停止に備えた代替取引先の整備などを行っておりますが、取引先が事故、災害、倒産などにより当社製品に用いる原材料の供給が停止した場合に、商品供給が適切なタイミングで行うことができなくなり、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報システムの計画外停止の発生に関わるリスク
当社グループは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害等偶然な事由によりネットワークの機能が停止した場合、商品の受発注や生産、物流をはじめとした事業活動に影響が生じる可能性があります。また、外部からの不正な手段によりコンピュータ内へ侵入され、ホームページ上のコンテンツの改ざん・重要データの不正入手、コンピュータウィルスの感染により重要なデータが消去される可能性もあります。
当社グループでは、ITシステムに特化した事業継続計画(IT-BCP)をはじめとした情報セキュリティの取り組みにより、自然災害や外部からのサイバー攻撃に対しても影響が最小限となるよう努めておりますが、このような状況が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
上記のほか、当社グループが、リスク軽減策を継続的に実施している主なリスクは以下の通りです。
(1) 市場環境の変化、市場競争の激化
当社グループの売上高は、国内市場に大きく依存しており、国内の設備投資動向に大きな影響を受けます。このことにより、国内景気の後退による民間設備投資及び公共投資の減少に伴い需要が減少した場合は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、先進のデザイン・機能性を備えた商品とトータルソリューション提案力でお客様の快適な環境づくりをサポートすることで高い評価をいただいております。しかしながら、市場では激しい競争に直面しており、特に価格面においては必ずしも競争優位に展開できる保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、当社グループとしては、景気動向や競合他社の動向にかかわらずお客様に選択いただける高付加価値の商品・サービスの開発を目指すとともに、環境変化に沿った適切な事業ポートフォリオ維持のための経営資源の最適化を図ってまいります。
(2) 原材料の価格変動、商品仕入価格の上昇
当社グループで生産している製品の主要原材料である鋼板等については市況価格の変動リスクを有しております。また、グループ外から仕入れる商品の価格につきましても、今後鋼材や原油価格等の原材料の価格が上昇し、仕入先からの仕入価格上昇圧力が強まった場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、製造原価の低減活動や、諸経費の圧縮で対応していく考えでありますが、自社内の取り組みだけでは吸収できない場合には、販売価格の見直しを行うなど、コストと価格の適正化に努めてまいります。
(3) 海外事業
当社グループは、海外における事業展開は、地政学リスクを含め展開先地域のリスクを把握したうえで進めております。しかし、予期しない法律・規制の変更や経済環境の変化等のリスクが存在するほか、戦争、テロリズム、紛争又はその他の要因による社会的又は政治的混乱等の発生の可能性や、為替相場の変動により当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、当該リスクを踏まえた地域ごとの管理体制を構築し現地と密接なコミュニケーションが取れる体制を敷くことにより、リスク低減を図ってまいります。
(4) 企業買収
当社グループは、企業買収に当たっては、対象企業のリスクを把握したうえで決定しております。しかしながら、事業環境等の変化等により、当初想定した買収による効果が得られない場合には、のれんの減損などが発生し、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、買収・提携前のデューデリジェンスを通じてリスクの洗い出しを徹底しております。また、事業環境の変化にいち早く対応できる体制を構築し、業務効率の向上に資する活動を推進しています。
(5) 繰延税金資産
当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかし、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には繰延税金資産の取崩が発生し、その結果当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。
(6) 法令遵守・公的規制に関するリスク
当社グループは、事業の許認可、輸出入に関する制限や規制等の適用を受けております。また、公正取引、消費者保護、知的財産、環境関連、租税等の法規制の適用も受けております。当社グループは、法令遵守、企業倫理を確立するために「イトーキグループ行動規範」を制定し、コンプライアンス重視の経営を推進するために委員会を設置し、充実した内部管理体制の確立に努めております。しかしながら、これらの規制を遵守できなかった場合は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの規制の改廃や新たな公的規制の新設等がなされ、当社グループが対応困難となった場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 有価証券の時価変動リスク
当社グループは、売買を目的とした有価証券は保有しておりませんが、様々な理由で、主要取引先、取引金融機関の株式等の売却可能な有価証券を保有しております。これらの有価証券のうち、時価を有するものについては、全て時価にて評価されており、定期的に保有の合理性判断を行い時価変動リスクが小さくなるよう努めておりますが、市場における時価の変動が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
利益配分につきましては、経営の重点政策の一つとして認識し、会社の収益状況、内部留保の充実、今後の事業展開等を総合的かつ長期的に勘案した上で、株主の皆様に継続的かつ安定的に配当することとし、期末配当として年1回を行うことを基本方針としております。
当事業年度の年間配当金につきましては、1株につき42円とさせていただきました。
今後の配分につきましては、更なる株主重視の経営を志向し、従来の安定配当に加えて連結業績を考慮するとともに、配当性向40%を目指し、配当政策を実施してまいります。
また、内部留保につきましては、企業価値の増加を図るために、将来の成長に不可欠な研究開発や成長分野への戦略的な投資を中心に効率的に活用してまいります。
なお、剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。