リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経済状況の変化によるリスク
当社グループが事業活動を行っている国内、欧米及び中国等の市場において、景気後退により急激に個人消費が低迷した場合、当社グループが提供する製品やサービスの需要の減少や価格競争が激化することによって、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化を注意深く見守り、状況に応じた対応が取れるように対策を行っております。
2.為替変動リスク
当社グループの主力事業である楽器事業における販売先は海外が多く、また主要な原材料である木材や多くの楽器部品を輸入しています。したがって為替変動は販売価格や原材料価格に影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、金融機関等と主要通貨の為替予約等のヘッジ取引を行っております。
3.国際化によるリスク
楽器の主要市場である欧米市場や中国市場における事業環境の変化、ピアノ及び電子ピアノ工場があるインドネシアや中国の政情の大きな変化、並びに税制等各国特有の法令に関する想定外の運用は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、関係部門における情報収集の他、各国の会計監査人や弁護士等の見解を確認しながら対応しております。
4.研究開発に関するリスク
他社との差別化のため技術研究を進めておりますが、開発した製品が市場に受け入れられない可能性、また他社が画期的な新製品を開発し市場が席巻される可能性もあります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、常に市場の情報を収集するとともに市場のニーズに合致した技術研究を進めております。
5.設備投資、提携等に関するリスク
当社グループは事業の拡大のため、設備投資等の事業投資を行っております。また、他社との業務提携、出資、合弁会社設立などを行っております。これらの設備投資、業務提携、出資、合弁会社設立などの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っていますが、状況によっては事業環境の変化により当初期待した効果が得られない可能性や、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、重要案件を審議・決定やモニタリングできるよう、会議体・決定機関を配置しております。
6.市場競争激化のリスク
ピアノ及び電子ピアノの普及価格帯における競争が激しくなっております。それに対抗する製品を継続的に市場に投入してまいりますが、充分な競争力が発揮できなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、競争力の有無については慎重に検討して市場投入し実施することとしております。
7.コスト増加のリスク
当社グループの製品の原材料となる木材、銅等の金属、樹脂等の部品の市況変化等による原材料コストの増加、原油価格の高騰等による物流コストの増加、海外人件費の高騰等による労務コストの増加など各種コストの増加が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、市況変化を確認しコスト増加のバランスを勘案した調達先の選択や分散を進めております。
8.取引先依存によるリスク
金属事業や塗装事業等における受託生産は、受託先企業の業績の影響を受けるとともに、品質や納期等において受託先企業の要求を満たせなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。また、楽器部品など当社専用部品の生産委託先企業や、OEM生産委託先企業の経営状況の悪化などによる生産遅延や操業停止、主要取引先企業の受注変動等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、受託先・委託先の情報を常に収集し、経営状況の変化に対応しております。
9.自然災害等に見舞われるリスク
近年、地震や気候変動により発生頻度・影響度が増大している自然災害、疫病、戦争、テロ等により当社グループの生産活動や営業活動が直接的又はサプライチェーンの寸断等による間接的な影響を受けた場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。特に国内主要施設が静岡県浜松市近辺に集中していることから東南海地震及び津波による本社及び工場への被害や営業活動への影響は大きなものとなる可能性があります。
当社グループでは、非常時の初期対応、報告方法、各対策本部の設置と役割について明記し、災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。
10.人材の確保・育成に関するリスク
当社グループは平均年齢が高く、次世代を担う人材の確保・育成は重要な課題となっております。したがって、事業展開に必要な人材を確保できなかった場合や、生産部門の従業員による技術の継承が円滑に行われず人材育成が計画的に進まなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新卒採用だけではなく、専門性をもつ人材の中途採用を進めております。また、技能継承を目的とした若手技術者の研修を定期的に行っております。
11.技術・技能流出のリスク
当社は楽器事業においてコストダウンやリスク分散のため海外生産を展開しています。これに伴い生産技術の流出や、知的財産の侵害による類似品や模倣品が出現した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、知的財産を管理する部門を設置し、技術の流出・侵害に対応しております。
12.製品及びサービスに係る事故等のリスク
当社製品による製造物責任を伴う事故は、コスト増大や社会的評価の低下をもたらします。また当社店舗や教室における火災や事故・事件、教室生徒及び講師等を巻き込んだ犯罪等により、当社のブランドイメージが損なわれた場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、製品安全対策に関する管理体制を整備し、営業物件にはセキュリティ対策を講じるなど事故・犯罪等の発生の回避に努めております。
13.環境法制に関するリスク
当社グループが製造するピアノは、大半が木材を原材料とする部品で構成されており、その原材料の多くを海外調達しておりますが、海外における環境法制の変化が原材料の調達面に影響した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、環境負荷を考慮し、定期的な調達の検討に努めております。
14.感染症が流行するリスク
新型コロナウイルス・新型インフルエンザ等の感染力の強い感染症が流行した場合、当社グループが事業活動を行っている国内外の市場では、各国政府によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請などにより、生産活動においては、工場の一時的な操業停止や減産の可能性があります。また営業活動においては、店舗の営業自粛や音楽教室・体育教室の休講並びにコンサート等のイベント中止を余儀なくされる恐れがあり、流行の規模や期間によっては、収入の減少等により、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、従業員等の感染の恐れが生じた場合の報告体制等の整備を行い、情報収集と感染予防対策の実施に努めております。
15.少子化進行のリスク
日本における少子化が、予想を超えて急速に進行した場合、当社の音楽教室や体育教室の業績を悪化させる可能性があります。また、少子化による市場の縮小により楽器販売が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、対象世代を広げるとともに、各世代へのニーズに対応できるよう常に検討を行っております。
16.株価変動に関するリスク
当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っております。したがって、株価の動向次第では、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、投資先企業の業績等の情報を収集し、保有についての検討を行っております。
17.情報システムに関するリスク
当社グループが事業活動を行っていく上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であります。コンピュータウイルスへの感染や不正侵入などにより情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、日々変化する情報セキュリティ情勢を常に把握し、適切な情報セキュリティ対策を検討・推進しております。
18.個人情報漏洩に関するリスク
当社グループは業務を円滑に行うため、お客様のお名前、ご住所、お電話番号、Eメールアドレス等の情報を取得・利用しております。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に意図せず違反した場合をはじめ、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合、当社グループの信頼の失墜等につながり、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、個人情報に関する規程及び管理体制を整備し、漏洩防止にあたっております。
19.インターネット等による風評被害に関するリスク
当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上に努めておりますが、インターネット等を利用した当社グループに関する誤った情報の書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、リスクマネジメント委員会及び情報セキュリティ委員会を設置し、情報に関する不測の事態の対応体制を整えております。
20.退職給付債務及び退職給付費用に関するリスク
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される割引率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しています。この前提条件は、市場金利の影響を受けることから実際の結果とは異なる場合があり、退職給付債務が増加する可能性があります。その場合、当社グループの業績と財務状況に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、割引率等が実際と乖離しないよう適正な情報に基づいて計算を行っております。
21.訴訟に関するリスク
当社は音楽教室の著作権使用に係る裁判において一部主張が認められたため、著作権使用料について協議中ですが、協議の結果によっては著作権使用料の増加によるコスト増加の可能性があります。
22.ロシア・ウクライナ情勢に関するリスク
当社グループは、ロシア国内に連結子会社カワイピアノ・ロシアを有しており、ロシア・ウクライナ情勢の趨勢により財政状態等に影響を与える可能性があります。
23.在庫に関するリスク
当社グループは生産効率の最大化及び販売機会の最大化を目的として、在庫を保有しておりますが、市場の動向により在庫の増大、保管費用の増加に影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、常に需要と供給のバランスを把握し在庫状況を管理するなど、リスクの最小化に努めております。
24.取引相手国の法規制に関するリスク
当社グループは、教育・文化に密接にかかわる製品を扱っており、取引相手国の教育・文化に係る法規制の変更などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
25.金利が上昇するリスク
上記1~24の事象の発生等により、当社グループの業績が著しく悪化した場合や金融機関を取り巻く環境が大幅に変化した場合、金融機関からの資金借入れ条件が厳しくなることが考えられます。借入金の金利上昇は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、資金の借入に備え、コミットメントライン・当座借越契約を締結しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、各事業年度の業績とともに今後の経営環境並びに事業展開を考慮し、経営基盤の安定化に向けた内部留保を確保しつつ、連結業績の内容に応じて、株主各位への安定的な配当を目的とした株主還元を行うことを基本方針としております。
剰余金の配当につきましては、中間配当制度を設けていますが、経営基盤の安定化を考慮し、現在は期末配当のみの年1回を基本方針としております。剰余金の配当の決定機関については、株主総会の決議とともに取締役会の決議によっても行う旨を定款で定めておりますが、期末配当金については定時株主総会の決議により決定することを原則としております。
当社は取締役会の決議により毎年9月30日を基準日とする中間配当並びに別途基準日を定めて配当を行うことができる旨を定款で定めております。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月27日 |
820 |
95 |
定時株主総会決議 |
配当金の総額には、取締役に対する株式報酬制度にかかる信託口が保有する当社株式に対する配当金4百万円を含めております。