リスク
3【事業等のリスク】
当社グループは、2024年3月31日現在、当社、子会社27社(連結子会社)により構成されており、国内外において、食品、飲料及び日用品等のブランドオーナーを主要顧客として、シュリンクラベル、タックラベル及びソフトパウチを中心としたパッケージングシステムの企画、提案、開発、製造及び販売等の事業展開をしております。また、米州、欧州及びアセアン諸国にも現地生産の関係会社を有し、海外の現地メーカーとも直接取引を行っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに係るすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)海洋プラスチック問題・気候変動問題をはじめとする環境問題について
当社グループは、気候変動問題、海洋プラスチック問題(生物多様性の保全)、資源枯渇を主要な環境課題と捉え、これらの課題解決・循環型社会の実現に向け、環境配慮型製品の開発・供給、製造時の環境負荷低減に取り組んでおりますが、世界的な環境意識の高まりによる、新たな規制への対応コスト増加や、規制当局・顧客・投資家等の執行方針の変更への対応の遅れが招く評判低下により、当社業績及び財政状態に影響が生じる可能性を認識しております。
特に、世界各国ではこれら環境課題への解決策として、炭素税の導入やプラスチック製包装税、資源循環戦略に関連する具体的な法律が検討・制定されており、それらへの当社の対応策として、製造時の資源(原料・エネルギー)の利用削減や廃棄物削減に加え、容器の3R(リデュース・リユース・リサイクル)支援、包材の薄肉化及びそれらに対応した機械の提供、省エネ機械の展開、植物・再生素材使用製品の供給、水性インキの使用、効率的な輸送方式の開発・展開等をかねてより行ってまいりました。さらには、米州市場を基点として欧州やアセアンへ展開中のボトルにリサイクル可能なシュリンクラベルであるRecShrink™をはじめとした再生可能設計包材の展開及び包材のリサイクル取り組みを通じて、限りある資源を有効利用することで海への包材投棄を防ぐとともにGHG排出量(Scope1+2及び3)を削減し、今後高まる環境配慮型製品の需要に応えることで、事業の機会に変えてまいります。
(2)原材料の市況変動及び調達について
当社グループの製品に使用される原材料の市場価格は、世界景気や需給バランス、為替変動等の影響を受け、急激に原材料価格が高騰した場合には原材料コストの上昇に繋がる可能性があり、また急激に需要が増加したり、供給がひっ迫した場合には当社グループからお客様への製品供給に支障をきたす可能性があります。これらの発生によって、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減施策を行うと同時に、売上総利益の最大化に努めております。また、複数のサプライヤー及びビジネスパートナーとの間で構築した強い関係に基づき、安定した原材料調達、製品供給に努めております。
(3)事故や自然災害等について
当社グループは、火災等の事故あるいは大地震や水害等の自然災害又は感染症・伝染病災害等の発生に伴う従業員・地域住民の健康・安全や生産面・営業面等における損害を最小限にするため、予防や発生時の対応に対する体制づくりなど対策を講じておりますが、これらの発生によって、当社グループの生産拠点等の設備又は従業員が被害を被った場合、また、当社取引先が被害を被り、当社グループの操業の一部が中断し、生産及び出荷が遅延することによる売上の低下や、生産拠点等の修復のための費用を要することとなった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他、犯罪、暴動、テロ活動・戦争の発生及び大規模停電等、当社グループの仕入並びに生産活動に影響する何らかの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)情報の流出等について
当社グループは、お客様のパッケージングシステムの企画や開発に取り組み、お客様の新製品等の情報を保有することがあります。当社グループはこれらの情報の秘密保持に細心の注意を払っており、情報の流出が生じないように最大限の対策を講じておりますが、不正アクセスやサイバー攻撃により情報が外部流出したり、当社グループの社員や業務の委託会社等が得意先より受け取った情報を漏洩もしくは誤用した場合には、企業としての信頼やイメージに悪影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品クレームについて
当社グループは、日本、米州、欧州及びアセアン諸国で現地生産体制を有し、品質管理体制のもと最適な品質を確保できるようグループ全体を挙げて取り組んでおりますが、予期せぬ事情によりお客様の製品にまで影響を与えるクレーム等の品質問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産権について
当社は、当社グループ全体のシュリンクラベル等のラベル、ソフトパウチ等のフレキシブルパッケージ及び包装関連機器に関する技術・ノウハウについて特許権、実用新案権等を所有し、また出願・登録を行っております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう調査し、社内のチェック体制の強化にも努めております。
従来より、当社の知的財産をはじめとした社内機密情報が漏洩することのないよう、情報管理を徹底しております。
なお、今後、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)グローバルな事業展開について
グローバルな事業展開にあたっては、現地の政情や経済、文化や慣習など調査・検討を行っておりますが、これらの国及び地域において、事業や投資に係る許認可、税制、通商制限、及び移転価格税制等の国際税務リスク又は政治・経済、その他の要因による社会的混乱並びに予期せぬカントリーリスク等が顕在化した場合には、当社グループの事業活動等に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)法的規制等について
当社グループは、法令の遵守を基本として事業を進めておりますが、国内・海外を問わず競争法・腐敗行為防止法・人権や労働関係法・安全規則関連法・環境規制関連法・税法などさまざまな法的規制等を受けております。これらの法的規制等が改正及び強化された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、パッケージングを通じ、すべての人が笑顔で安心して暮らせる循環型社会・持続的社会の実現に貢献し、企業価値を高めることを目指しております。株主の皆様への各期の連結業績に応じた利益還元を行うことと同時に、利益還元を継続的かつ安定的に実施することが、経営の最重要課題と位置付けております。
このようなことから、利益配分に関する当社の考え方は、次のとおりであります。
① 継続的な成長のための投資(技術開発、人財育成、設備投資、M&A)を行う。
② 連結配当性向の目標を原則として30%とするとともに、DOEの水準、事業環境の変化等を総合的に勘案し、1株当たり配当額の安定的かつ継続的な増加を目指す。
③ 有事に備えた安定的な財務基盤の構築及び機動的な自己株式の取得と処分を行う。
2024年3月期は、国際情勢の不安定化が継続する中で、企業収益や雇用情勢に改善の動きが見られたものの、物価高による個人消費の弱含みや世界経済の減速懸念などの影響を受け、当社グループを取り巻く経営環境は引き続き厳しい状態となりました。そのような状況の中、継続してきた価格改定、構造改革、生産性向上施策、事業ポートフォリオ入替施策等が寄与し、当期純利益は2023年5月11日公表の業績予想を上回る水準で着地いたしました。
2024年3月期における期末配当金につきましては、2024年5月20日開催の取締役会において、利益配分に関する考え方及び当期業績を勘案の上、1株当たり43円とさせていただきました。
これにより中間配当金(1株当たり17円)を加えました年間配当金は1株当たり60円となり、連結配当性向は32.0%となります。
2025年3月期につきましては、上記の基本方針も踏まえ、1株当たり年間配当金は60円とさせていただく予定です。これによる2025年3月期予想連結配当性向は30.7%となります。
詳細につきましては、2024年5月13日に公表いたしました「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」をご覧ください。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり 配当額(円) |
|
2023年11月9日 |
取締役会決議 |
931 |
17 |
2024年5月20日 |
取締役会決議 |
2,356 |
43 |
(注)2024年5月20日取締役会決議における「配当金の総額」には、この配当の基準日である2024年3月31日現在で従業員持株ESOP信託口が所有する当社株式(自己株式)に対する配当金23百万円を含んでおります。
また、当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨を定款に定めており、また「期末配当金の基準日を毎年3月31日、中間配当の基準日を毎年9月30日とし、それ以外に基準日を定めて剰余金の配当をすることができる。」旨を定款に定めております。