リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスクの一部を以下に挙げていますが、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現時点では未知であったり、特筆すべき又は重要と認識していない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
なお、以下に挙げた事項は、当連結会計年度末現在入手し得る情報に基づいて当社が判断したものであります。
(1)輸出比率が高いことによるリスク
当社グループの売上高に占める輸出比率は、前連結会計年度81.7%、当連結会計年度84.1%と、高い比率となっております。為替レートの変動による影響を抑えるため円建て取引を基本としておりますが、海外子会社向け取引が増加傾向にあり、また一部の販売先とは現地通貨建て取引としているため、当社グループの経営成績につきましては為替レートの変動による影響を受けることがあります。
また、円建て取引を行っていることから、海外の販売先では為替レートの変動によって仕入値が変動してしまうため、当社グループが意図しない値上げにつながってしまうことがあります。そのため、為替レートの変動は、販売先の営業活動にも影響を与えるものであり、それにより当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
(2)法的規制
当社グループの主力製品である医療用回転機器は、日本国内では医薬品医療機器等法、米国ではFDA(米国食品医薬品局)規制といったように、各国にて医療面および環境面などにおける法的規制を受けております。従いまして、今後これらの規制が変更された場合に、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)品質問題
当社グループは、製品の特性に応じて最適な品質を確保できるよう、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001に基づいた品質保証体制を確立し、更に医療用回転機器につきましては、ISO13485(医療機器に関する品質マネジメントシステム)やGMP(製造管理及び品質管理規則)などの規格にも対応し、厳格な品質管理のもと生産活動を行っております。しかしながら、将来的に予期せぬ不具合が発生する可能性は皆無ではなく、この場合において、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)販売網の再編に伴うリスク
販売力強化とブランド力向上を目的に販売ルートの再編を進めていますが、一時的に販売量が落ちるリスクがあります。また現地にて在庫オペレーションを行う地域については在庫量増大のリスクがあるなど、財政状態、経営状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定産業への依存と競争の激化に伴うリスク
当社グループの製品は主に回転機器で構成されており、ハンドピースは歯科における歯牙の切削、工業用スピンドル製品はデジタル家電の金型の微細加工などで主に使用されております。当社グループの売上の大部分は回転機器及びその周辺機器の売上に依存しております。当社グループは製品の多様化を図り、外科分野などの新市場に参入しておりますが、当面は売上の大部分を歯科向けの回転機器製品から得るであろうと予測しております。この歯科向けの回転機器においては、中長期的には以下のリスクを通じて財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があると考えられています。
・非回転系の製品の増加による需要減
・発展途上国のコピー製品の台頭による需要減、それに対抗するためのサービス体制拡充への支出増加
・競合による技術革新、治療方法の革新に対応する新製品開発のための設備投資・研究開発の多大な支出
・医療機器として各国法令に基づく製造の許認可を得る過程で、有効性や安全性に関して予測されなかった問題の判明、あるいは承認の遅れや承認が得られないなどの理由による、新製品開発期間の長期化
・上記の要因による製造原価の上昇、仕入部品の増加、製品在庫の増加、間接経費の増加
(6)当社グループ外の部品供給元にかかるリスク
当社グループは、ハンドピースおよびスピンドルの金属材料のほか、モーター制御用の電気ユニットなどを外部の供給元に依存しております。その供給元が他の産業の景気悪化により経営に困難をきたした場合や材料の高騰などの要因により、いくつかが入手不能になったり、入手可能量が減少したり、また替わりの供給元を見つけられない場合、当社グループの生産能力は制限されてしまいます。もし材料や部品がかなりの期間、調達不可能ということになれば、当社グループの業績に悪影響をもたらす可能性があります。
(7)訴訟にかかるリスク
当社グループにかかわる訴訟リスクとして大きく分けて知的財産にかかわるリスクと医療事故・製造者責任にかかわるリスクがあり、それらを通じて財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
知的財産に関しましては、自社の知的財産を権利化することにより第三者から防護するとともに、情報セキュリティを推進し、秘匿すべきノウハウ等の社外への流出防止を図る一方、第三者の知的財産権については、継続的に調査を行うことにより侵害の予防に努めておりますが、以下に掲げるようなリスクがあります。
・特定の国、地域においては、知的財産権に対する意識の欠如などの固有の理由により、第三者の侵害行為を効果的に取締まることができず、これによる売上低下、価格競争など、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの製品について、予期しない第三者から知的財産権の侵害を理由に訴訟を提起され、当社グループの主張が認められなかった場合、当社グループは多額の損害賠償金、製造差止めなどの不利益を受ける可能性があります。
・当社グループの保有する知的財産権が、第三者から異議申立てなどの法的手段により無効にされ、第三者が同一事業分野へ参入してきた場合、当社グループの売上低下、価格競争など、業績及び財務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループは、第三者が、当社グループの保有する知的財産権を侵害した場合、訴訟等に多額の費用を費やす可能性があるとともに、当社グループの主張が認められなかった場合、以後の事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの製品の中には、第三者から許諾された特許の使用を前提にした製品がありますが、今後も、当社グループが許容できる条件で、第三者から使用許諾を受けられる保証はなく、不利な条件で和解したり、事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。
医療事故訴訟、製造者責任にかかわる訴訟リスクに関しましては、当社グループは医療機器の設計、開発、製造段階で製品の安全性の確保に全力で努めておりますが、使用時の偶発的な不具合などにより他者に損害を与え賠償責任を請求されるリスクがあります。将来的に法令もしくは規制による訴訟等のリスクにさらされることも考えられ、その際も当社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(8)大規模な自然災害・感染症等のリスク
当社グループでは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害及び新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行し、当該地域の工場及び事務所の稼働が長期にわたって困難になった場合及び顧客の属する業界に影響を及ぼした場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題のひとつと位置付けており、事業基盤の強化や成長領域への投資を適正かつ積極的に推進しつつ、株主の皆様への利益還元をバランスよく行ってまいります。将来の成長投資に必要となる内部留保を考慮した上で、中期的な利益還元の基準を総還元性向(*)50%として、機動的な自己株式の取得と安定的かつ継続的な増配を行うよう努めてまいります。
*総還元性向 =(配当総額+自己株式取得総額)÷ 親会社株主に帰属する当期純利益
当社の剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回の配当実施を基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の期末配当につきましては、当期の業績等を踏まえて、1株につき26円といたしました。これにより、中間配当24円と合わせた年間配当は1株当たり50円となりました。
内部留保金につきましては、主に設備投資に充当し、今後の新製品開発、生産合理化に活用することにより事業の拡大に努めてまいります。
当社は、「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度の剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
|
2023年8月7日 |
取締役会 |
2,039,450 |
24 |
2024年3月28日 |
定時株主総会 |
2,217,664 |
26 |