リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制について
当社グループは、水産物卸売会社として中央卸売市場及び地方卸売市場を中心に活動しております。そのため、卸売市場法を中心とした関係法令等への対応は重要な事項として認識しております。
卸売市場法などの法令等に抵触した場合、市場開設者から業務停止等の処分を受ける可能性があります。そのような事態に陥った場合、財政状態及び経営成績に与える影響は多大であると考えております。
当該リスクが顕在化する蓋然性は高くないものの、未然防止策として関係法令等の遵守・周知徹底や開設者等の検査対応及び各種モニタリングを推進しております。また、卸売市場を取り巻く環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築し、新たな需要の開拓や付加価値の向上に取り組んでおります。
(2)市況変動等について
当社グループの主力事業である水産物の販売は、天候の影響により水産物の入荷量や市況が日々変動することがあります。このほか、発生頻度は高くないものの、自然災害や海洋汚染、資源保護による漁獲制限、政策的な輸出入の制限等も市況を変動させる要因となっております。
当社グループは水産物販売を主な収益源としているため、水産物需給の大幅な減退や市況の暴落等の事態に陥った場合は、仕入及び販売に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、営業本部が主体となり適時適切な在庫商品を確保することで価格変動リスクの低減を図っております。また、入荷が不安定にならないよう、全国各地の産地出荷者との関係を強化することで、水産物を安定的に集荷する体制づくりに努めております。
(3)食品の安全性について
食品を取り扱う上で品質管理の不備や衛生管理の不備、食品情報の伝達に関する不備等、様々なリスクが常に内在しております。
当該リスクが顕在化した場合、食品の回収や廃棄、損害賠償責任等に費用が必要となる他、社会的信頼の低下により仕入及び販売の状況に影響を与える可能性が考えられます。
当該リスクへの対応策として、品質管理委員会を設置し、品質管理活動の方針決定や当該活動状況のチェック等を実施しております。また、営業本部内に品質管理専任者を配置し、品質管理の周知・指導を実施しております。
衛生管理面においては、「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準に基づき計画書を作成し、衛生管理にかかる手順書の作成、実施状況の記録・保存を行っております。
(4)新規人材確保と業務ノウハウの継承について
当社グループの継続的な成長には、優秀な人材の確保と育成・活用が必要不可欠となります。
現在当社の社員構成は、中高年者の割合が高くなっております。中長期的な業務ノウハウ継承のためには、若年層の拡充と早期育成が必要です。一方で、人口減少とともに若年層の割合が減少し、新卒採用を中心とした若年者の採用が困難となってきております。今後、若年者の人材確保や育成が停滞した場合には、基幹的な業務ノウハウの空洞化が発生することが懸念されます。そのような事態に陥った場合、仕入販売等の事業活動に影響を与える可能性が考えられます。
当該リスクへの対応策として、管理本部人事法務部に専任の採用担当者を配置し、通年で採用活動を実施しております。採用活動を強化することで、業務ノウハウを継承できる体制を維持してまいります。また、社員各々の資格等級に求める能力要件を明確化し、それに基づき教育研修を段階的に実施しております。人事制度を充実させることで、若年社員の早期離脱防止と人財の早期育成・活用を実現しております。
(5)基幹システムについて
当社グループの基幹システムは、全社各部署で使用され、業務遂行の生命線を担っております。その基幹システムのうち、水産物卸売業務で利用している「全社統合システム」は、安定的な稼働が求められるため、サーバやネットワーク機器を保守委託会社が管理するデータセンター内に設置しております。
当該データセンターでは、地震や水害などの自然災害が発生した場合でも、数日間の稼働が可能な環境及び運用体制を構築しております。さらに、システムの冗長化を構築することで、不測の事態が発生した場合でも業務の復旧ができるように備えております。
また、自然災害以外のリスクとして、サイバー攻撃、不正アクセス及びウィルス感染等を原因とした、システム障害及びネットワーク障害が発生する可能性があります。このようなサイバーセキュリティ対策として、情報セキュリティポリシーに基づいたUTM(統合脅威管理)や情報端末機器のセキュリティ対策管理システムを導入し、日々安全対策を講じております。当該リスクの発生の可能性は高くないものの、基幹システムの停止や障害などが発生した場合、取引先へのサービスに支障をきたし、当社グループの仕入及び販売の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、上記のとおり頑健なデータセンターの利用、システムの冗長化、情報セキュリティ対策等を講じております。
(6)情報漏えいについて
当社グループは全国各地に取引先を持つため、顧客の信用情報を含めた個人情報及び取引条件等の当社事業に関する情報等を扱っております。
個人情報の取扱いは厳格に行っておりますが、当社グループ又は業務委託先等から、個人情報の漏えいや紛失、毀損又は不正利用等が発生する場合があります。情報漏えいが発生した場合、当社グループの信用毀損、損害賠償責任を招き、経営成績に影響を与える恐れがあります。また、個人情報取扱事業者として法令に違反した場合、罰則や勧告、命令等の行政処分を受けた場合、経営状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、コンプライアンス委員会及び情報セキュリティ委員会が中心となり、個人情報並びに特定個人情報の適正な取扱いを策定し、安全管理等の維持・推進に取り組んでおります。
(7)営業債権の貸倒について
販売の増加に伴い貸倒リスクは高まるほか、自然環境をはじめとする様々な要因による価格変動や需給関係の変化でも貸倒リスクは高まります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大期に中小企業支援策として、いわゆる「コロナ融資」が導入されました。「コロナ融資」にて資金不足を回避している取引先については、返済時期に実質的な資金不足の発生が考えられます。そのため、「コロナ融資」の返済時期に貸倒リスクが、顕在する蓋然性は高くなる傾向が強いと認識しております。
その他の貸倒リスクについては、顕在化する時期に偏りはありません。ただし、当社グループの繁忙期である年末を越えた時期は、営業債権が他の時期に比べて多い状況にあります。そのため、この時期に大口債権の貸倒が発生した場合は、貸倒引当金の計上による経営成績等に与える影響額は相対的に大きくなる可能性があります。
当該リスクへの対応策として、影響の最小化を図る与信管理や販売先の定性情報の収集に努めるなどの債権管理を行っております。そのほか、ファクタリングによる実効性の高いリスク回避策を行う等、貸倒リスクの低減に取り組んでおります。
(8)在庫商品について
当社グループは、市況を勘案しながら在庫商品を確保しております。市況の動向によっては、過剰在庫や評価損の計上などが発生する可能性があります。市況の予測は困難なため、当該リスクの発生時期を予見はできませんが、当社グループの経営成績に影響を及ぼすリスクを有しております。
当該リスクへの対応策として、定例会議において、現在及び将来の市況情報の共有を図るとともに滞留在庫の有無を確認し、適正在庫の維持に取り組んでおります。
(9)投資有価証券の時価下落による減損処理について
当社グループは売上・仕入の取引拡大及び安定した営業外収益確保のため、上場有価証券を有しております。
当連結会計年度末の上場有価証券の保有状況は、連結財務諸表の注記事項(有価証券関係)に記載のとおりです。連結貸借対照表計上額が取得原価を超える銘柄が多数を占めており、平時において減損処理を行うリスクは極めて低いと考えております。
ただし、個別の銘柄の発行会社にて信用不安等の特別な事象が発生した場合には、投資有価証券評価損の計上により経営成績等に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、各銘柄の保有効果、時価情報、配当率を確認し、定性情報も注視して管理しております。
(10)不動産等の事業用資産の減損処理について
当社グループが保有する不動産等の事業用資産は、経営成績の低迷、不動産価額の下落の程度やその他の影響等により、減損損失の計上対象となる可能性があります。
ただし、賃貸用不動産の主要な物件については収益を獲得しており、直ちに経営成績等に影響を与えるものではありません。
当該リスクへの対応策として、安定した業績を上げるよう努めるとともに、不動産価額の動向把握に努め、より好条件での活用を検討するなど常に活用方法の見直しに取り組んでおります。
(11)コンプライアンスに関する事項について
当社グループは、コンプライアンスに則した行動をとるため、「大水行動規範」に基づきその仕組みづくりに取り組んでおります。
しかしながら、様々な取り組みを実施しても、営業取引上の不適切な売上計上、過誤による会計不正リスク及び働き方改革等への不十分な対応による労務トラブルリスク等の問題を回避することは困難であります。そのため、コンプライアンス上のリスクが発生する可能性を、潜在的に有しております。
当該リスクが顕在化した場合には、社会的な信用が低下し、顧客との取引停止・縮小による売上高減少や多額の損害賠償請求を受けるなど、当社業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、コンプライアンス委員会を設置し、当社グループに内在するコンプライアンス上のリスクや課題を可視化しております。可視化されたリスクは、個々に具体策を講じており、ガバナンス体制の強化、コンプライアンス意識の徹底に取り組んでおります。また、社外に顧問弁護士を連絡先とする内部通報窓口を設置し、社内に周知することで、内在するコンプライアンス上の問題が、早期に発現する体制としております。
(12)自然災害、疫病等について
当社グループは水産物流通の担い手として、生鮮食料品等の安定供給を使命としております。そのため、事業継続が脅かされるような、地震、津波、台風等の自然災害、火災及び疫病等が発生した場合でも、不測の事態への対応は重要な課題であると認識しております。しかしながら、自然災害、火災及び疫病等の発生時期を予見することは非常に困難であり、事前に準備できる対策も限定的となります。
自然災害及び火災が発生した場合、当社グループの資産が毀損すること等により財務状況が悪化することが考えられます。また、疫病等が蔓延した場合、水産物需要の減少及び流通の停滞並びに従業員の欠勤等により、仕入及び販売等に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、リスクマネジメント会議を設置し、様々なリスクについて協議を行う他、災害時のBCP計画も策定しております。また、上記会議に限らず緊急性を要する事案が発生した場合は、代表取締役の指揮の下、臨時の対策本部を設置し、適宜様々な対応策について協議、実行いたします。
(13)物流について
当社グループは、物流等に係る業務の全部又は一部を外部業者へ委託しております。
物流業界は2024年度から時間外労働の上限規制が適用されることに伴うトラックドライバー不足等により、輸送能力課題が加速すると懸念されております。
当該リスクが顕在化した場合、出荷地からの慢性的な遅延や委託先からのサービスの提供が中断・停止される可能性があります。また、当社グループにおける荷役作業の増加など物流業務にも支障が生じる可能性があります。当社グループが物流費の大幅な増加に適切に対応できない場合は、経営成績等に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、営業本部に専任担当者を配置し、生産者及び運送事業者と連携を取ることで、物流の安定性確保に取り組んでおります。
配当政策
3【配当政策】
配当政策に関する基本方針は、業績が消費動向に大きく影響される特質を踏まえたうえで、将来に向けた安定的な収益基盤づくりのために内部留保の充実を図り、株主の皆様に安定した配当を継続的に行うこととしております。剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としており、上記政策に基づき取締役会で配当を決議しております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針の下、当期の業績や今後の事業展開等を総合的に勘案し、6円(記念配当1円含む)の期末配当を実施することを決定しました。
内部留保につきましては、経営体質の強化と将来の事業展開に備えることといたします。
剰余金の配当の決定機関については、定款に「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる」旨、及び「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる」旨を定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年5月13日 |
80 |
6 |
取締役会決議 |