2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    164名(単体) 2,451名(連結)
  • 平均年齢
    45.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    22.7年(単体)
  • 平均年収
    9,117,000円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2024年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業

リース業

その他

合計

従業員数(人)

1,927

108

416

2,451

[554]

[28]

[32]

[614]

 

(注) 1 2023年4月に当社の連結子会社である株式会社十六銀行(以下「十六銀行」という。)の従業員全員が当社へ転籍し、当社及び当社と十六銀行を兼務する者を除き十六銀行のほか連結子会社へ出向しております。

2 従業員数は、海外の現地採用者4人を含み、臨時従業員(嘱託を含む)591人及び出向者58人を含んでおりません。

3 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

 

(2) 当社の従業員数

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

164

45.6

22.7

9,117

[7]

 

(注) 1 従業員数は、当社と十六銀行を兼務する者及び受入出向者を含んでおります。

2 平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には執行役員及び受入出向者を含んでおりません。

3 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

4 平均勤続年数は、転籍前の十六銀行での勤続年数を通算しております。

5 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社及び連結子会社には十六フィナンシャルグループ社員組合(組合員数 1,848人)が組織されております。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)

労働者の男女の賃金の差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)(%)

雇用形態別

職位別

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち

パート・

有期労働者

管理職

代理職

一般

9.1

92.3

46.0

67.2

60.1

94.1

92.1

93.4

 

(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)の規定に基づき算出したものであります。

2 男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は当事業年度を対象期間として、それぞれ算出しております。

3 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

4 賃金体系は性別を問わず同水準となっております。男女間において、現状職位の人員分布に差があることから、賃金差異が生じております。

 

② 連結子会社

女性活躍推進法及び育児・介護休業法の規定による公表をしないことから記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) サステナビリティ

当社グループでは、サステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針として「サステナビリティ方針」を策定しています。

 

「サステナビリティ方針」

十六フィナンシャルグループは、サステナビリティへの取組みを重要な経営課題と認識しています。気候変動をはじめとするさまざまな社会課題の解決に本業である「地域総合金融サービス業」を通じて取り組み、グループ経営理念である「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」に貢献するとともに、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

(※)サステナビリティの定義:お客さま・地域の成長と豊かさを実現できる社会を創り、将来の世代に引き継ぐこと

 

 

 

① ガバナンス

当社グループでは、「サステナビリティ方針」で公表しているとおり、サステナビリティへの取組みを重要な経営課題と認識しています。また、「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では、「地域経済の活性化」「地域社会の持続的発展」「環境保全と気候変動対策」「多様な人材の活躍推進」「ガバナンスの高度化」を重点課題(マテリアリティ)としています。

この課題に適切に対応するため、取締役社長を議長とし、グループ経営会議の構成員、統括部長、サステナビリティ統括室長等により構成される「サステナビリティ会議」を設置しています。同会議は、原則として3か月に1回以上開催し、気候変動を含むサステナビリティに関する取組方針の策定、目標の設定及び取組状況の確認といった重要事項について審議しており、その結果を経営戦略やリスク管理に反映しています。また、同会議における審議事項については、取締役会へ3か月に1回以上定期的に報告し、適切に監督される体制を整備しています。

さらに、サステナビリティ会議の下部組織として、「サステナブルビジネス」「環境活動」「D&I」「気候変動・TCFD」を所管する4つのワーキンググループを設置しています。各ワーキンググループは、担当常務役員を含む、グループ各社の組織横断的なメンバーで構成されており、原則として毎月1回以上開催し、それぞれが所管する事項について審議した結果を、サステナビリティ統括室に報告しています。

〔サステナビリティ経営体制〕

 


 

② 戦略

多様化・複雑化する環境・社会課題を解決し、「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」に貢献することが、金融機関としての大きな役割であり、当社グループにとっての重要な戦略となります。

「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では、当社グループの経営理念、事業内容、地域特性等を考慮し、5つの重点課題(マテリアリティ)を設定しています。また、これらの重点課題に取り組むため、ビジネス、マネジメントの両面から特に注力すべき取組施策を定め、当社グループ全体で取り組んでいます。

 


 

 

 

③ リスク管理

当社グループは、サステナビリティ関連の機会とリスクを、ビジネス、環境、D&Iなどの観点から認識し、サステナビリティ会議にて審議しています。サステナビリティ関連のリスクを低減しつつ、ビジネス機会を創出することで、当社グループの企業価値向上に努めています。

また、当社グループでは、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクをトップリスクと位置付けています。トップリスクについては、蓋然性及び影響度の観点から、今後約1年以内に事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスク事象を、取締役会にて選定しています。2024年3月の取締役会にて10のトップリスクを選定しており、その1つを「気候変動に関するリスク」としています。気候変動リスクの管理については、「(2) 気候変動対応(TCFD提言に基づく開示) ③リスク管理」において後述します。

 

④ 指標と目標

当社グループは、サステナビリティへの取組みを一層強化していくために、5つの重点課題(マテリアリティ)に対して、10項目の「サステナビリティKPI」を設定しています。「サステナビリティKPI」の進捗状況については、サステナビリティ会議にてモニタリングし、その結果を取組みに反映しています。

 


 

 

(2) 気候変動対応(TCFD提言に基づく開示)

気候変動に伴う自然災害や異常気象は経済活動に様々な影響を及ぼし、取引先が実施する気候変動対策は取引先の企業価値を左右する重要な要素となるとともに、その対応次第では当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたなか、当社グループはTCFD提言に賛同を表明し、同提言が開示を推奨する枠組みに基づく情報開示に積極的に取り組んでいます。

※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース

 

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1) サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

(気候変動に伴う機会とリスク)

当社グループでは「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動に伴うリスクと機会を分析しています。シナリオ分析結果等を活用し、脱炭素社会に向かうお客さまをサポートする能動的な対話(エンゲージメント)の実施や、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援の強化により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。

 

評価項目

主な機会やリスク

時間軸

 

製品・サービス

お客さまの脱炭素社会への移行を支援する投融資やコンサルティング提供等、ビジネス機会の増加

・災害対策のための公共事業やお客さまの設備資金需要の増加

短期~長期

 

中期~長期

資源の効率性

・省資源、省エネルギー化、新技術の活用による事業コストの低下

短期~長期

エネルギー源

レジリエンス

・地域のレジリエンス強化に向けた、防災・減災に関する地公体等との協力体制構築の増加

・気候変動に対する適切な取組みと開示による企業価値の向上

短期~長期

 

短期~長期

 

 

物理的

リスク

急性

リスク

・異常気象の増加・深刻化に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下

・当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断

短期~長期

 

短期~長期

慢性

リスク

・降水や気象パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇等に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下

中期~長期

移行

リスク

政策・法律

・気候変動に関する政策、規制強化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

中期~長期

技術

・低炭素技術への投資の失敗、移行コストなどに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

中期~長期

市場

・消費者行動の変化、原材料コストの上昇などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

中期~長期

評判

・気候変動に対する適切な取組みや開示が他社比劣後することによる企業価値の低下

短期~長期

 

※ 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度

 

 

(気候変動に伴うビジネス機会への対応)

脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。

 

◇環境課題解決へのファイナンス

お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、ファイナンス商品のラインナップを充実させて、提供しています。

 

 <グリーンローン・グリーン私募債>

再生可能エネルギー発電設備の導入や省エネ性能の高い機器への切替えなど、資金使途を環境課題の解決に資する資金に限定した融資商品です。外部機関からセカンドオピニオンを取得するスキームにより、社会や利害関係者に向けて、自社の環境への取組姿勢を発信することができます。

 <サステナビリティ・リンク・ローン>

SDGs・ESGに関する事業挑戦目標であるサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、その達成度合いに応じて金利などの貸出条件を優遇する融資商品です。パリ協定が求める水準と整合する温室効果ガス排出量削減目標の設定などにより、お客さまの脱炭素経営への取組みを支援します。

 <ポジティブインパクトファイナンス>

企業活動が、環境・社会・経済のいずれかの側面に与える影響を包括的に分析・評価し、ポジティブなインパクトの創出とネガティブなインパクトの低減に資するKPIを設定する融資商品です。KPI達成状況のモニタリングを通じて、お客さまの取組みを継続的に支援します。

 

 

◇地域企業の脱炭素化支援

お客さまの温室効果ガス排出量の可視化・削減目標の設定についてコンサルティングを実施し、カーボンマネジメントを支援しています。

2021年8月のサービス開始以降、217社に脱炭素コンサルティングを提供しています。また、お客さまのSBT認定(中小企業版)支援にも取り組んでおり、当社グループのサポートにより、これまでに154社が認定を受けています。

 

取扱実績

2021年度

2022年度

2023年度

合計

脱炭素コンサルティング

47件

91件

79件

217件

SBT認定支援

2件

43件

109件

154件

 

 


さらに、脱炭素経営移行計画の作成支援や排出量算定のためのシステム環境の提供など、お客さまの脱炭素経営実現に向けた継続的なサポート体制を構築しています。

 

 

(気候変動に伴うリスクの事例)

当社グループは、気候変動リスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動から生じる物理的リスク及び移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。

リスクカテゴリー

定義

物理的リスクの

事例

 

移行リスクの

事例

 

時間軸

時間軸

信用リスク

お客さまの財務状況の悪化等により、オフ・バランス資産を含めた資産の価値が減少ないし消失し損失を被るリスク

異常気象の増加・深刻化に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下

短期~長期

気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

中期~長期

市場リスク

金利、為替及び株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産及び負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し損失を被るリスク並びに資産及び負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク

異常気象の増加・深刻化に伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落

短期~長期

気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落

短期~長期

流動性リスク

運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク

異常気象で被災したお客さまの資金需要発生による預金流出

短期~長期

気候変動リスクへの対応の遅れに伴う当社グループの信用悪化による資金調達環境悪化及び預金流出

短期~長期

オペレーショナル
・リスク

業務の過程、役職員等の活動もしくはシステムが不適切であること、または外生的な事象により損失を被るリスク

当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断

短期~長期

気候変動への不適切な対応等に伴う罰金、訴訟による損失

短期~長期

 

 

 

(シナリオ分析)

気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。

◇物理的リスク

雨が多い日本では、毎年大雨による河川の氾濫などにより、水害が発生しています。また、近年は、局地的に短時間で激しい雨が降るゲリラ豪雨が増加傾向にあり、当社グループの営業エリアにおいても大きな被害が発生しています。

物理的リスクでは、気候変動による大規模洪水の発生頻度の上昇を想定し、「RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)」を前提に、岐阜県・愛知県内において、気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の与信関係費用への影響を試算したところ、約65億円の増加が見込まれるという結果となりました。

◇移行リスク

与信エクスポージャーが大きいセクターやTCFD提言が定義する炭素関連セクター等を対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして「電力セクター」「自動車セクター」を選定しました。

移行リスクでは、「RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)」、「NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)」を前提に、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、与信関係費用への影響を試算したところ、約30億円の増加が見込まれるという結果となりました。

 

物理的リスク

移行リスク

シナリオ

IPCC/RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)

IPCC/RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)

IEA/NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)

リスク事象

大規模水害

脱炭素社会への移行

分析対象

岐阜県・愛知県内の貸出先

岐阜県・愛知県内の不動産(建物)担保

(保証付住宅ローンは除く)

電力セクター

自動車セクター

分析内容

お客さまの事業停止・停滞に伴う業績悪化

当社グループの不動産(建物)担保の毀損

お客さまの費用増加や売上高減少に伴う業績悪化

分析期間

2050年まで

2050年まで

分析結果

与信関係費用増加額 最大約65億円

与信関係費用増加額 累計約30億円

 

※ IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル

※ IEA (International Energy Agency) : 国際エネルギー機関

 

分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、当社グループの財務への影響は限定的なものとなりましたが、引き続きシナリオ分析の高度化に努めていきます。

 

(炭素関連資産)

2024年3月末の十六銀行の貸出残高に占める炭素関連資産の割合は23.0%です。

※貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計

 

③ リスク管理

(気候変動リスクの特定・評価プロセス)

当社グループでは、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクをトップリスクと位置付けています。トップリスクについては、蓋然性及び影響度の観点から、今後約1年以内に事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスクを、取締役会にて選定しています。2024年3月の取締役会にて10のトップリスクを選定しており、その1つを「気候変動に関するリスク」としています。異常気象・自然災害の増加や、気候変動対策における国際的機運の高まりをふまえて選定したものであり、気候変動・脱炭素対応への遅れ等による貸出先の業績悪化やビジネスモデルの陳腐化をリスクシナリオとした予兆管理やリスクコントロール策を講じています。

 

(気候変動リスクの管理プロセス)

当社グループでは、統合的リスク管理の枠組みを整備しており、グループ全体の金融リスクを「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナル・リスク」に分類のうえ、管理しています。気候変動リスクについては、金融リスクのリスクドライバーであるとの考えのもと、信用リスクやオペレーショナル・リスクなどのリスク管理の枠組みで管理しています。

また、収益、リスク、資本を有機的に結合し、一体管理を通じて企業価値の向上を目指す観点から、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しています。気候変動リスクについては、リスクアペタイト方針に取組みの深化やエンゲージメントを促進する旨を定め、適切な管理に努めています。

 

(投融資方針の策定)

当社グループでは、「持続可能な社会の形成に向けた投融資方針」を定めています。

◇基本方針

十六フィナンシャルグループ(当社及び連結子会社により構成される企業グループをいう。)は、環境・社会的課題解決に向けた取組みを、投融資業務を通じて積極的に支援することにより、お客さまの中長期的な企業価値向上や持続的成長に寄与するよう努めます。

一方、環境・社会に対する重大なリスクまたは負の影響を与える可能性のある投融資については、慎重に判断することで、その影響を低減・回避するよう努めます。

 

 

◇セクター横断的に禁止する投融資

児童労働や強制労働、人身売買等の人権侵害への直接的または間接的な関与が認められる企業に対する投融資等は行いません。

 

 

◇特定セクターに対する方針

石炭火力

発電

石炭火力発電は、他の発電方式と比べ温室効果ガスの排出量や有害物質の排出量が多いといわれており、気候変動や大気汚染等、環境に重大な負の影響を及ぼす可能性があります。

石炭火力発電所の新設及び既存発電設備の拡張を資金使途とする投融資等は行いません。ただし、災害時対応や日本政府のエネルギー政策に沿った案件等を例外的に検討する場合は、慎重に対応します。

非人道的兵器製造

クラスター弾、対人地雷、生物・化学兵器の非人道性を踏まえ、資金使途にかかわらず、こうした兵器を製造する企業に対する投融資等は行いません。

パーム油農園開発

パーム油が、日常生活に欠かせない製品に使用されている原料である一方で、パーム油農園の開発において、気候変動や地域住民・社会、生態系へ負の影響や、違法伐採や児童労働などの人権侵害が行われている可能性があります。

パーム油農園開発に対する投融資等については、お客さまが行う環境・社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

森林伐採

大規模な森林破壊は気候変動や地域住民・社会、生態系へ重大な負の影響を及ぼす可能性があります。

大規模な森林伐採や違法な森林伐採、焼却が行われている事業に対して投融資等を行いません。また、森林伐採を伴う資金使途に対する投融資等については、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

 

 

④ 指標と目標

(CO2排出量実績)

当社グループでは、自社のCO2排出量(Scope1,2)に加え、サプライチェーンにおける排出量(Scope3)についても算定しています。

 

2023年度 CO2排出量実績(速報値)

算定項目

CO2排出量(t-CO2)

Scope1

直接排出

1,351

Scope2

間接排出

6,153

Scope1,2の合計

 

7,504

Scope3

カテゴリ1

購入した製品・サービス

14,761

カテゴリ2

資本財

7,199

カテゴリ3

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

1,468

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

1,857

カテゴリ5

事業活動から出る廃棄物

50

カテゴリ6

出張

236

カテゴリ7

雇用者の通勤

2,940

カテゴリ13

リース資産(下流)

428

カテゴリ15

投資(上場株式・社債)

353,201

投資(事業性融資)

3,153,964

Scope3の合計

 

3,536,104

 

 

 

(当社グループのCO2排出量の削減目標と実績推移)

当社グループのエネルギー使用に伴って発生するCO2排出量(Scope1,2)について、以下の削減目標を設定し、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいきます。

目標

2030年度までにカーボンニュートラルを達成します。

 

 

CO2排出量(Scope1,2)

 


2023年度のCO2排出量は、2013年度比42.7%の削減となりました。店舗照明のLED化や高性能な空調設備への更新などを進めたことにより、電気使用量を前期比3.5%削減しました。また、十六銀行本店ビルに加え、新たに十六銀行電算センター・事務センタービルにもCO2フリー電気を導入しており、再エネ比率の向上にも努めています。一方で、電気の排出係数(電力会社が公表する使用電力量1KWhあたりのCO2排出量を示す数値)が増加した影響により、CO2排出量は前期比微減にとどまりました。引き続き、CO2フリー電気の導入拡大や環境配慮型店舗の導入、営業車両のHV・EV化等を検討のうえ、CO2排出量削減に向けて取り組んでまいります。

なお、2021年度及び2022年度の実績については、数値の信頼性を確保するため、独立した第三者の保証を取得しています。

 

(投融資先のCO2排出量(Scope3 カテゴリ15)の算定)

金融機関のCO2排出量においては、投融資を通じた間接的な排出(Scope3 カテゴリ15)が大きな割合を占めるため、この算定、モニタリング、削減への取組みを進めることが重要となります。当社グループでは、PCAFスタンダードの算定手法を活用し、保有有価証券(国内上場株式・社債)及び事業性融資(国内法人向け融資)を対象としてCO2排出量を算定しています。

投融資先のCO2排出量(Scope3 カテゴリ15)

セクター

 CO2排出量(t-CO2)

上場株式・社債

事業性融資

石油・ガス

2,661

463,246

電力・ユーティリティ

231,236

115,910

空運

96

33,287

海運

1,682

20,507

陸運

19,335

190,947

自動車

8,729

25,626

金属・鉱業

8,511

258,512

化学

5,967

99,844

建築資材・資本財

36,448

456,872

不動産管理・開発

330

4,629

飲料・食品

6,277

856,882

農業

0

22,893

製紙・林業

459

76,386

その他

31,470

528,423

対象アセット合計

353,201

3,153,964

合計

3,507,165

 

対象アセット

上場株式・社債

事業性融資(国内法人向け融資)

*財務データ不足先は除く

CO2排出量の

算定方法

CO2排出量=Σ(各投融資先の排出量×当社グループの投融資の寄与度)

各投融資先の排出量は企業開示データ等のScope1,2を使用。データが取得できない場合は、PCAFデータベースから引用した売上高あたりの先進国・セクター別の排出係数を用いて推計。

寄与度=当社グループの投融資残高/投融資先の資金調達総額

基準日

投融資残高

2024年3月末時点

投融資先の財務データ・排出量データ

2024年3月末時点で当社グループが保有する最新の決算期データ

データ

クオリティ

スコア

1.5

3.6

カバー率

90.1%

(算定先の上場株式・社債/上場株式・社債の合計)

98.0%

(算定先の融資残高/融資残高の合計)

 

 

今後、CO2排出量算定範囲の拡大やデータクオリティスコアの向上に向けて、取り組んでまいります。

また、今回の算定結果については、国際的な基準の明確化や推計の高度化等により、今後大きく変化する可能性があります。

 

(サステナブルファイナンス実行額目標)

当社グループでは、お客さまの環境課題の解決に向けた取組みを本業を通じて支援し、脱炭素社会の実現に貢献するため、サステナブルファイナンスの実行額について以下の目標を設定しています。

 

 2030年度目標額(9年間累積)

2023年度までの実行額

進捗率

サステナブルファイナンス実行額

2兆円

4,594億円

22.9%

 

うち環境分野

8,000億円

1,704億円

21.3%

 

※サステナブルファイナンス:持続可能な社会の実現に資するSDGs・ESGへの取組みに向けた投融資等

※環境分野:環境への負荷を軽減する取組みに向けた投融資等

 

(3) 人的資本

① 戦略

(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)

当社グループは、グループ経営理念において、私たちの価値観(value)のひとつとして「多様性と受容(Diversity&Inclusion)」を掲げております。これを受け、2023年度から2027年度を計画期間とする第2次中期経営計画では「ヒューマンイノベーション戦略」を掲げ、以下の方針のもと、人材の価値を最大限に引き出すとともに、役職員一人ひとりが自律的に活躍できる組織環境を整備しております。

◇人材育成方針

当社グループでは、以下の考え方のもと、お客さまや地域の成長と豊かさ、サステナビリティの実現のため、能力を最大限に発揮し、お客さまとの信頼関係を構築でき、グループの各種戦略を積極的にチャレンジできる人材の育成に努めてまいります。

 


 

 

◇社内環境整備方針

当社グループでは、グループ経営で最も重要な人材の育成を中心に、役職員のモチベーションアップやスキル向上に資する以下の取組みを実行し、役職員一人ひとりが自立的に活躍できる組織環境を整備してまいります。

 


 

〔経営戦略と人事戦略の融合〕

金利のある世界が到来するなど取り巻く環境が変化するなか、ミドルマネジメント層のリーダーシップとマネジメントを強化するために、2024年2月より「リーダーシップ研究会」を開催しております(2024年2月から5月にかけて全6回開催。2023年度中は4回開催。)。対象者を、支店長、本部マネージャーなどのミドルマネージャー約210名とし、経営陣による講話やグループワーク、チームごとのプレゼンテーションを通じて、リーダーとして与えられた環境のなかでパーパスや長期ビジョンにかなった「自身のリーダーシップ」を発揮できる自律型人材の育成と、成長マインドセットに基づく「ミドルアップダウン経営」の機能強化を目指しております。

また、第2次中期経営計画において「トランスフォーメーション戦略」を掲げるなか、IT・DX人材の育成をはかるため「自己啓発資格取得奨励金制度」の対象資格に各種IT・デジタル関連資格を加えるなど、社員の学びを支援しており、2023年度末時点のIT・DX人材は175名となりました。

さらに、2023年度よりエキスパート制度を導入し、44名の応募がありました。エキスパートに任命した社員は、本人の同意なく他部署への異動を行わず、専門性を重視した評価を行うことで、経営戦略の実現を担う重要ポスト人材の育成をはかっております。

〔チャレンジングな組織風土の醸成〕

2023年4月に十六銀行に籍を置く全社員が、持株会社である当社に転籍し、当社を起点として連結子会社への人的リソースの最適配分や、社員の個性を活かした配置を進めております。

加えて、2023年4月からは、新たな人事制度をスタートしております。社員がマイビジョン(私のめざす姿)を表明し、グループ経営理念と重ね合わせるなかで、実現したいこと、チャレンジしたいことをコミットする「マイビジョン・コミット」や、社員の趣味、特技、資格、地域貢献活動、仕事から離れた特性などを評価する「ダイバーシティレビュー」など、新たな評価制度を通じて、社員の自立性、独自性、独立性に基づくサステナブルな成長を促すとともに、多様性を引き出し、社員一人ひとりが地域の生活者として豊かな人生を実現することを目指しております。

また、各種業務への社内公募を行うキャリアチャレンジ制度には、2023年度は延べ128名からの応募が寄せられました。今後も意欲的でチャレンジングな社員の成長を後押ししてまいります。

 

〔適切な人的資本投資〕

当社グループでは、役職員一人ひとりが10年後にめざす姿(マイビジョン)を定め、その一人ひとりの想いを実現するための人材育成として、階層別・業務別に各種研修を実施しております。階層別研修では、新入社員に対する入社後3か月間の研修のほか、「新任役席者研修」や「新任管理職研修」、新任支店長や新任マネージャーを対象とした「マネジメント研修」などを実施しております。また、業務別研修では、「融資業務研修」や「預り資産営業研修」に加え、「対話力やソリューション営業力の強化に向けた研修」などを実施しております。これらの研修を実施した結果、2023年度の研修費用は70,545千円、研修時間(延べ)は78,820時間となりました。

また、社員の積極的な自己啓発を支援するために「自己啓発資格取得奨励金制度」を設け、指定する資格・検定試験に合格した場合に奨励金を支給しております。2023年度の「自己啓発資格取得奨励金制度」の利用件数は481件、合計奨励金額は6,586千円となりました。なお、2024年4月には、高難易度の資格・検定試験について奨励金額を増額するとともに、新たに3つの資格を制度の対象に加えるなど、多様なチャレンジを後押ししております。

2023年4月にスタートした新人事制度では、年齢ではなく、能力と職務に応じた処遇を実現する給与体系を構築しました。また、2024年7月には、2年連続のベースアップを実施し、定期昇給と合わせ、平均5.2%の賃上げを実施いたします。特に若年層については、初任給を月額26万円に引き上げるなど、重点的に引き上げ、優秀な人材の確保に努めております。

〔人材・働き方の多様性確保〕

2023年4月より、育児短時間勤務と育児時間外勤務免除の期間を子が小学校3年生を修了するまでに拡充しました。また、育児短時間勤務の勤務時間を6時間または7時間とし、始業時刻から終業時刻の範囲内で柔軟に働くことを可能とした結果、2023年度の育児短時間勤務利用者は104名となりました。

2017年4月に導入した配偶者出産休暇(3日間の特別休暇)は、取得が社内で定着しており、2023年度の取得率は92.3%となりました。現在は男性も長期で育児に関する休暇や休業が取得できるよう推進しており、2023年度の男性の育児休業取得率(7日以上)は71.0%となりました。

また、仕事と生活の両立・有給休暇取得促進のため導入されている半日年次有給休暇の活用や、休暇が取得しやすい職場づくりを通して有給休暇取得率の向上に努めており、2023年度の取得率は54.7%となりました。

設備面では、職員全員に業務用スマートフォンを貸与し、場所を問わずコミュニケーションが取れる環境を整備しております。加えて、2023年9月からは、Google Workspaceを導入し、ファイルの共同編集、グループチャット、オンライン会議、カレンダー共有などをスムーズに行うことができる環境を整えるなど、効率的なデジタルコミュニケーションにより生産性を高めております。

当社グループでは、職員一人ひとりが女性・男性の区別なく多様な活躍ができるよう、リスキリングの機会充実に努めております。また、女性管理職の育成を目指す「次世代リーダー研修」のほか、「女性管理職向け融資業務研修」など、女性の活躍推進に向けた研修も継続的に実施しており、2023年度末時点の女性管理職比率は9.1%となりました。

 

 

② 指標と目標

(当該方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績)

 

 

指標の内容

目標

2023年度実績

内容

時期

経営戦略と人事戦略の融合

IT・DX人材の育成(注)1

300名

2030年度末

175名

エキスパート制度応募者数

44名

チャレンジングな組織風土の醸成

キャリアチャレンジ制度応募者数(延べ)

128名

適切な人的資本投資

研修費用

70,545千円

研修時間(延べ)

78,820時間

自己啓発資格取得奨励金制度の利用件数及び合計奨励金額

481件

6,586千円

人材・働き方の多様性確保

育児短時間勤務者数

104名

配偶者出産休暇取得率

92.3%

男性の育児休業取得率(7日以上)(注)2

100%

2030年度末

71.0%

有給休暇取得率

80%

2030年度末

54.7%

女性管理職比率

20%

2030年度末

9.1%

 

(注) 1 IT・DX人材とは、情報処理安全確保支援士や応用情報技術者試験、基本情報技術者試験などの上位デジタル資格・試験に合格した者及びIT・デジタル関連業務の経験が6か月以上ある者としております。

2 社内の育児目的休暇を含む育児休業等を7日以上取得した者の人数により算出しております。「第1 企業の概況」中、「5 従業員の状況」に記載の育児・介護休業法の規定に基づく「男性労働者の育児休業取得率」とは算出方法が異なるものであります。

3 各種施策の継続または現状以上の数値を目指すが目標を定量的に算定することが難しい項目については、目標を設定しておりません。