2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 7,505 100.0 1,037 100.0 13.8

事業内容

 

3 【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社6社の計7社により構成されており、「ヒューマネスの力でビジネスをより“らしく”、より”いきいきと”」というパーパスのもと、企業固有の経営課題に「人と組織」の側面からアプローチすることにより、創造性溢れる豊かな社会の実現に向け、企業活動を推進しております。

 近年ますますグローバル化が進む中で、各企業においては、競争優位性を確立して持続的に成長するために不可欠な、「人材・組織基盤の強化」と「優れたリーダーの輩出」のニーズがますます高まっていると認識しております。

 高まるニーズに対し当社グループでは、企業経営やコンサルティングファームでの経験を有するプロフェッショナルタレントと連携し、その様々な領域の知見を活用して、顧客企業と共に本質的な課題を特定し、事業進化、イノベーション、経営高度化のための人材開発・組織開発を支援しております。

 当社グループは、顧客企業における人と組織に関わるコンサルティングや人材の育成と開発を支援する「人材開発・組織開発事業」と「その他事業」の2事業を以下のビジネスモデルを用いて運営しております。

 

 

(1)ビジネスモデルと事業の特長

 当社グループは、企業経営において重要度の高い人材開発並びに組織開発の課題解決を、顧客企業との長期間に亘る強固なパートナーシップに基づいて提供しております。

 

①当社のビジネスモデル

当社のビジネスモデルの特長は以下の3点であります。

i.  企業経営並びにコンサルティングファームでの経験を有する独立したプロフェッショナルタレントを中心とした1,600名超(2024年3月末現在の契約人数、うち2024年3月期の稼働人数570名)のコンサルタントのネットワーク

(注)プロフェッショナルタレントである人材開発サービスを提供している企業については、1法人を1名とカウント。

ⅱ. 経営課題に対して自社固有の解を探求し続ける大手企業との長期に亘るパートナーシップ

ⅲ. 定型の人材開発・組織開発プログラムを持たず、プロフェッショナルタレントとの共創によるテーラーメイド型のプログラム提供

 

この特長を活かして、当社グループは、経営的な視点・視座で顧客企業と共にディスカッションを通じて課題を特定し、解決策を顧客企業と共に練り上げ、企画の提案や実行支援を行っております。また、成果を検証し改善策や代替案を提供し続けることで、顧客企業の企業価値向上に貢献していると認識しております。

 


 

 

 

②事業の特長

i.大企業に特化した顧客基盤

   当社グループの取引先は、売上高2,000億円から5,000億円未満の規模を中心とした準大手企業や、複数の事業法人と多くの従業員を国内外拠点に展開し準大手企業以上の売上規模を有する大手企業であり、主要な顧客基盤として日本を代表する大企業との取引関係を有していることが特長であります。

ⅱ.顧客企業との長期に亘る継続取引

 3年以上の継続取引顧客(※)(旧セルムとの取引開始時含む)からの売上が過半です(当社管理システムから2024年3月期実績を集計)。その理由は、顧客企業の経営課題を理解し、解決に向け伴走する存在であると当社グループを捉えていただいているためと認識しております。

(※)継続取引顧客:当年度に当社単体において売上があった顧客のうち、前年度にも売上を計上していた顧客

ⅲ.顧客企業の複数の部門からの取引

 人事部門からの信頼をベースに様々な部門、グループ法人に取引が広がっており、経営企画部門、R&D部門、事業部、グループ関連会社等の人事部門以外とも取引しております。

ⅳ.経営における重要テーマ案件への関与

 主に経営人材育成、ミドルマネジメント革新、理念・ビジョン浸透等、企業経営における重要テーマに関与しております。

ⅴ.顧客と親密な関係を築くための営業体制

 経営戦略や事業戦略に紐づく組織課題に対し、企画・実行・フォローまで、あらゆる場面のプロジェクトマネジメントにセルムのフロントが最初から最後までコミットできるよう、経営陣から複数部署をカバーできる営業体制を組んでおります。

ⅵ.プロフェッショナルタレントのネットワーク

 プロフェッショナルタレントのネットワークは、1,600名を超えています。そのうち、コンサルティングファーム出身者、大手企業の人事部門幹部経験者、企業経営経験者が主であります。(当社管理システムから2024年3月期実績を集計)

 

 

(2)主なサービス

 当社グループは、人材開発・組織開発事業とその他事業の2事業を運営しておりますが、当社グループの提供するサービスの内容及び特長は以下のとおりであります。
 

 

[人材開発・組織開発事業]

 主なサービスとしては、①次期経営幹部人材の発掘・育成支援、②現役員陣等への経営メンタリング(現役員、並びに次期役員候補者を対象とした外部のプロフェッショナルタレントによるマンツーマンOJT)、③ミドルマネジメント革新、④人材開発体系の構築コンサルティング、⑤経営理念・ビジョン浸透/企業風土改革支援、⑥ASEAN・中国における人材開発・組織開発支援、⑦ファーストキャリア事業(内定期間から入社5年目までの体系的な人材開発と人材育成マインドの高い職場風土醸成)、⑧ヒューマンストラテジーズ事業(適性検査・コンピテンシー評価に基づくコンサルティング)、⑨障がい者の雇用・活躍支援等があります。

 

      次期経営幹部人材の発掘育成支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  次期経営幹部人材(顧客企業の各部門、グループ企業、グローバル拠点等からの選出)

ⅱ.背景・目的

  経営リーダーとしての「軸」の開発を通じた経営幹部育成

ⅲ.特長

 個々人の経営人材としての資質の見極め、強み弱みの把握、その後の困難な課題・役割の付与(修羅場ポジション登用 例:事業部門や関連会社等において経営の実経験をさせること)をトータルで支援する、約1年間に亘るトレーニングプログラムであります。現経営陣、社外取締役、当社が選任するプロフェッショナルタレント陣との真剣な対話や議論を通じて、実施しております。また、トレーニング終了後はプログラム受講生による社内ネットワークが形成され、組織横断プロジェクト等への選任や変革チーム組成の際に大きな役割を果たすと考えております。

 また当社は、各社固有の課題から、経営環境の変化や経営トップの意向をダイレクトに確認しながら毎年経営塾のプログラムを進化させてまいります。同時に、トレーニング対象者一人ひとりのアセスメント(能力や適性の評価)や選定への助言まで踏み込んでいくことも顧客に期待されていると考えております。

②   現役員陣等への経営メンタリング(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  現役員や次期役員候補者

ⅱ.背景・目的

  経営者に求められる視野・視点の獲得と意識変革の促進

ⅲ.特長

 プロフェッショナルタレントとの対話を繰り返す中で、経営リーダーとしての意識、言葉、行動について、プロフェッショナルタレントが対象者へ実践的な指導と助言を行うものであります。役員レベルへの登用前後に導入することで、当人のパフォーマンス向上のみならず、事業・組織変革の動きを加速させることができると考えております。

③   ミドルマネジメント革新(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  経営トップ層と現場をつなぐミドルマネジメント層

ⅱ.背景・目的

 事業変革やイノベーションの要請、ダイバーシティの推進、働き方改革等、組織が断続的な変化にさらされる中で成長期待が益々高まっているミドルマネジメント層の育成

ⅲ.特長

 現在では管理職昇格前後の一定期間をマネジメント育成期間と位置付け、集合トレーニングとオンラインのグループで行うコーチング、アセスメント等を組み合わせた、計画的なトレーニングが当社顧客から求められており、この動きは今後大きく広がるものと思われます。経営の一員として高い視座をもって職務にあたる意識の改革、組織能力向上のためのリーダーシップ強化、働く価値観やキャリア観の多様化に対応するピープルマネジメント力(*)等、ミドルマネジメント層の育成目標を各社固有の課題に合わせて定め、テーラーメイドで育成体系とプログラムを立案、実行支援しております。トレーニングを一過性のものに終わらせないために、トレーニングプログラム前後やトレーニング期間中に、職場での実践と上司や同僚からのフィードバックを促すプログラムを組み込む工夫もしております。これにより学びと気づきを実践し続ける行動習慣を身につけることがよりできるようになると考えております。また、当社は、経営塾を提供するプロセスの中で、顧客企業の経営トップ層と対話をするため、経営トップ層の持つ問題意識や価値観を理解しやすいと考えております。上述の理解により、最適なプロフェッショナルタレントの選任と効果的なプログラムの設計が可能となり、人材育成の投資対効果を向上できると考えております。

④   人材開発体系の構築コンサルティング(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  主に人事部門、経営戦略部門

ⅱ.背景・目的

 顧客企業の経営理念と戦略に同期した、戦略実行を担う人材を継続的に開発していくための人材開発体系の構築

ⅲ.特長

 顧客企業の中長期的な経営シナリオや事業環境の変化を鑑みて、人材の要件を定義し、開発目標を定め、各種育成施策と投資計画に反映させていくコンサルティングを、当社の組織人材開発コンサルタントが提供いたします。当社の組織人材開発コンサルタントが顧客企業のプロジェクトチームを支援・進行する形で行います。本サービスは、中長期ビジョンの見直し、基本戦略の変更、人事制度の改変等、企業経営の節目にニーズが発生する上に、その提供プロセスにおいて、経営トップとのインタビュー、役員陣のワークショップ、現場へのヒアリング等、多岐に渡る活動を行うため、顧客企業との信頼関係が一気に深まる契機となると当社は考えております。また、本サービスは体系構築から個別の育成施策(トレーニングプログラム、アセスメント、メンタリング等)の支援へとつながっていくため、顧客企業との長期的なパートナーシップを更に深め、当社内に知見を蓄え続けていくことができると考えております。

⑤   経営理念・ビジョン浸透/企業風土改革支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象

主に人事部門、経営戦略部門

ⅱ.背景・目的

 組織の一体感、求心力、健全性を高め、顧客企業の経営理念、ビジョン、行動指針(Value)の浸透

ⅲ.特長

 これまで蓄積してきた人材開発・組織開発のノウハウを活かし、経営トップ、事業トップと社員との対話や、現在の組織の状態や職場風土と真摯に向き合う場を設定しております。

 企業のM&A施策に伴う組織再編や経営トップの交代のような大きな経営改革時、及び不祥事発生後のタイミングでのニーズが多く、パートナーシップによる企業理解と信頼をベースに、各社固有の課題に合わせたプログラムの設計を実施しております。

⑥   ASEAN・中国における人材開発・組織開発支援(主要な会社:升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.)

ⅰ.対象

 日本企業のASEAN・中国における現地スタッフ(主に経営幹部クラス)

ⅱ.背景・目的

 人材流動化・人材争奪戦が激しく人材マネジメント課題が多い地域と当社が考えるASEAN・中国における、顧客企業の現地での事業成長と組織発展のためのサポート

ⅲ.特長

 上記の目的のため、現地スタッフを対象として人材開発や、組織風土改革等の組織開発を支援しております。人材開発においては、幹部候補になり得る人材を発掘、戦略策定力やリーダーシップ力を開発するプログラムを提供しております。さらには、「タレントマネジメント(国・地域ごとのリーダー人材の把握、アサインメント、評価、育成の一貫した仕組み)」を支援しております。

 組織開発においては、自社の経営理念や行動指針の浸透と、チームワークによる問題解決の組織風土づくりを支援しております。

 特長としては、以下の3点であると認識しております。

・各国のビジネス環境を理解したプロフェッショナルタレントのネットワークを構築していること

・現地の経営トップとの人脈形成や実践事例共有のための異業種交流ネットワークを構築していること

・現地の実情やリーダーの想いと、日本本社関係者の意図や課題認識の両方を深く理解した日本本社とASEAN及び中国拠点のブリッジパーソン(架け橋となる役割)としての役割を担えていること

⑦   ファーストキャリア事業(主要な会社:㈱ファーストキャリア)

ⅰ.対象 

 入社前の内定者から入社後5年目までの若手社員(育つ側)に対するトレーニングプログラムの提供、社員育成を管理する顧客企業人事部(育てる側)への育成体系の構築・コンサルティング支援

ⅱ.背景・目的

 入社後5年目までの社員の早期戦力化・早期離職の防止は、顧客企業の人材育成方針において、年々課題意識が高まっているため

ⅲ.特長

入社5年目までの時期(ファーストキャリア期)における一貫した人材開発体系の構築支援、各種トレーニングプログラムの企画・開発・実行を支援しております。

⑧   ヒューマンストラテジーズ事業(主要な会社:ヒューマンストラテジーズ㈱)

ⅰ.対象 

データ分析を通じて適切な人材と職務のマッチングを確認し、「次世代経営人材の抜擢」、「社員のキャリア開発」などのテーマで戦略的に組織力を向上させたい経営者、事業責任者、人事責任者

ⅱ.背景・目的

 個人のモチベーションや潜在的な能力と仕事で求められる成果行動(コンピテンシー)をマッチングさせることで、高い成果を生む人員の抜擢、異動等が実現できる蓋然性が高まるため

ⅲ.特長

人が持つ「コンピテンシー(内的動機)に着目した独自の適性検査・コンピテンシー評価に基づくコンサルティングを通じ、顧客企業の人材組織開発の構築支援をしております。

⑨   障がい者の雇用・活躍支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象

 人事部門及び障がい者受入部門

ⅱ.背景・目的

 障がい者が活躍できる職域開発、採用、定着支援

ⅲ.特長

 企業における障がい者の雇用・定着・活躍支援を、人材開発と組織開発双方の視点からトータルにアプローチしております。障がい者の個々人の持ち味や能力特性を積極的に活かしていくべく、主に2つのサービスを提供しております。

 [障がい者の人材紹介サービス]

  複数の企業と障がい者が参加する合同面接会を通じて、企業側の職場風土・受け入れ体制と障がい者のパーソナリティ・経験の双方を確認しあう機会を提供し、双方にとって納得感ある人材紹介サービスを提供しております。さらに、就職後の定着支援も行っております。

[障がい者の定着・活躍支援の組織開発サービス]

障がい者の定着に関するアドバイスや、受け入れ側の職場の社員の意識醸成のためのプログラム提供、障がい者が働きやすい業務設計コンサルティング等、採用後の長期的な定着のためのサービスを提供しております。
 

[その他事業]

⑩  コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業(主要な会社:アリストテレスパートナーズ㈱、HRテック投資事業有限責任組合)

 テクノロジーの進化による生産性向上が進む中、企業の人事部門におけるテクノロジーの導入はまだ始まったばかりと認識しており、成功事例が出てくるのは数年先だと当社グループは考えております。その中でも人材開発・組織開発の分野はまだ実験段階にあると判断しております。そこで当社グループの顧客企業の人材開発・組織開発の投資対効果をより向上させるため、国内外のHRテックベンチャー企業(HRテック:人事領域でのテクノロジー活用)への投資と成長支援を行います。当社グループが持つ豊富な顧客基盤を活かして、従来の当社グループのサービスにHRテックベンチャー企業の技術を加えた新たなソリューションを顧客企業に提供することで新たな収益機会の創出を図っております。

 

  [事業系統図]


(注) 当社グループでは、顧客企業のニーズに対し、プロフェッショナルタレントと連携して人材開発・組織開発を支援しております。上記のプロフェッショナルタレントには、当社の関連当事者であるウィルコムズ有限会社を含んでおり、関連当事者取引について関連当事者情報に記載してあります。

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループは「ヒューマネスの力でビジネスをより“らしく”、より“いきいきと”」というパーパスのもと、顧客企業の中長期的な課題に対して「人と組織」の側面からアプローチし、持続的な企業価値向上のために必要なサポートをしております。当連結会計年度における人材開発・組織開発事業における事業環境としましては、人的資本経営に対する国内企業の関心が高まる中、経営戦略と人材・組織戦略を適合させる重要度が増しております。顧客企業を取り巻く経営環境が複雑化し、人材・組織開発領域におけるソリューションもその環境変化に合わせ、常に進化を要求されています。当社グループでは、企業経営やコンサルティングファームでの経験を有するプロフェッショナルタレントと連携し、様々な領域における知見を活用したテーラーメード型の人材開発・組織開発を支援しております。顧客課題やその背景にある事業課題を解決する際に自社だけのリソース、ノウハウだけで実現しようとせず、常にその実現に近い外部のプロフェッショナルタレントを複数組み合わせることで、昨今複雑化しサービス品質に対する期待が高度化する顧客側の課題に確り応え、信頼を勝ち得ることができております。昨今の日本企業を取り巻く複雑な経営環境は、顧客ごとにカスタマイズ出来る個社固有のテーラーメード型ソリューションを提供できる当社の差別化戦略が活きやすい事業環境であり、当社グループの成長可能性は高まっていると認識しております。

当連結会計年度における当社の人材開発・組織開発事業の業績としては、次世代経営幹部・ミドル向け領域( ㈱セルム、升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.)において、顧客側の業績不調や顧客経営陣のアクシデント対応への優先等により、当連結会計年度の後半である10月以降に計上を予定していたプロジェクトが全社レベルで凍結、実行時期が結果として翌年度以降に繰り越された顧客が数社発生しました。なお、当該案件は翌年度以降徐々に再開を見込んでおります。一方で当連結会計年度に関しては、特に当社のファーストキャリア領域((株)ファーストキャリア、内定者から入社5年目までの若手ビジネスパーソン向け)が連結業績を牽引しました。若手人材の早期離職に対する課題意識を中心に、若手人材の育成環境に対する投資が、多くの顧客企業において重要課題となっていることが堅調な業績推移の背景にあります。同領域では若手社員向けのトレーニングプログラム実施の需要(育つ側)のみならず、社員育成を管理する顧客企業(育てる側)に対する育成体系の構築・コンサルティング需要が顕著となっており、当社のサービス提供体制の質の高さにより、競争優位性を発揮できております。また、2024年1月に買収したヒューマンストラテジーズジャパン㈱が手掛けるヒューマンストラテジーズ領域(適性検査・コンピテンシー評価に基づくコンサルティング支援)の損益については、当第4四半期連結累計期間より連結を開始しており、主に採用・人材配置において同社サービスに対する需要が高まっており、堅調に業績が進捗いたしました。

 当連結会計年度における期末連結従業員数は187名と、前年度に比して13名純増しており、当社グループの組織づくりに対する投資も継続しております。当社は連結従業員1人当たりの利益創出力(1人当たりEBITDA)改善に着手しており、当連結会計年度における1人当たりEBITDAは7.0百万円と、前連結会計年度末の実績である6.6百万円を上回って生産性を向上することが出来ました。1人当たりEBITDA改善の要因としては、セルムグループ全体における顧客1社当たりの単価向上、前連結会計年度末で英語幼児教育事業を撤退する等の事業ポートフォリオの再編、コーポレート部門を中心とした業務オペレーションの抜本的見直し、販管費を用いた成長投資に対する投資対効果向上施策の加速、セルムグループとして初のM&Aの実行等、経営上の重要テーマとして取り込んできていることが功を奏しました。連結従業員数を増やしつつ、1人当たりの利益創出力を高める組織づくりは、当社グループの利益成長を持続的なものとする上で、今後も重要な取り組みであると認識しております。

 

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は7,504,627千円(前連結会計年度比3.3%増)となりました。

売上総利益は3,854,467千円(前連結会計年度比2.6%増)となりました。売上原価の大部分は外部のプロフェッショナルタレントへの支払金額となっています。

販売費及び一般管理費は2,817,113千円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。主な内訳は、給料手当等の人件費であります。この結果、営業利益は1,037,353千円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。

営業外収益は、12,300千円(前連結会計年度比23.1%増)となりました。主な内訳は、顧客都合により案件がキャンセルとなった場合等に発生する受取補償金であります。営業外費用は、42,774千円(前連結会計年度比61.4%増)となりました。主な内訳は、投資有価証券評価損及び自己株式取得費用であります。この結果、経常利益は1,006,879千円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は631,528千円(前連結会計年度比16.3%増)となりました。

 

①財政状態の状況

  (ⅰ) 資産の部

当連結会計年度末の総資産は4,869,817千円(前連結会計年度末比131,209千円減)となりました。流動資産は2,692,033千円(同187,990千円減)となりました。これは、主に現金及び預金242,619千円増加した一方で、自己株式取得に伴う預け金が457,608千円減少したためであります。固定資産は2,177,784千円(同56,780千円増)となりました。これは、主にのれんの償却によりのれんが196,734千円減少した一方で、ヒューマンストラテジーズジャパン株式会社の株式取得に伴いのれんが170,132千円、基幹システムの投資によるソフトウエア仮勘定が99,739千円増加したためであります。

 

(ⅱ)負債の部

当連結会計年度末の負債合計は1,749,475千円(同56,024千円増)となりました。流動負債は1,725,227千円(同117,328千円増)となりました。これは、主に1年内返済予定の長期借入金が180,664千円、未払費用が124,375千円減少した一方で、短期借入金が500,000千円増加したためであります。また、固定負債は24,247千円(同61,303千円減)となりました。これは、主に長期借入金の流動負債への振替により61,112千円減少したためであります。

 

  (ⅲ)純資産の部

当連結会計年度末の純資産は3,120,342千円(同187,234千円減)となりました。これは、主に新株予約権が51,078千円増加した一方で、資本剰余金が265,977千円減少したためであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ141,608千円増加し、1,840,538千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により獲得した資金は710,516千円(前連結会計年度は699,735千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,003,004千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により使用した資金は372,217千円(前連結会計年度は41,891千円の使用)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出158,548千円、定期預金の預入による支出100,000千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動により使用した資金は206,631千円(前連結会計年度は1,905,635千円の使用)となりました。これは主に、短期借入による収入1,000,000千円、短期借入の返済による支出500,000千円及び自己株式の取得による支出747,292千円によるものであります。

 

 (2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。

②受注実績

当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比

(%)

人材開発・組織開発事業

7,504,627

104.2

㈱セルム、升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.

6,102,056

99.1

㈱ファーストキャリア

1,353,146

128.9

ヒューマンストラテジーズジャパン㈱

49,424

その他事業

合計

7,504,627

103.3

 

  (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析は、次のとおりであります。

(売上高)

 売上高は、7,504,627千円と前連結会計年度に比べて238,969千円の増加となりました。これは、当社を中心とした人材開発・組織開発事業においては、コーポレートガバナンスコードの変革を起点とした次世代の経営幹部候補・ミドルマネジメント育成に対する顧客企業側の根強い関心を背景に、個社固有の経営課題に合わせたテーラーメード型の当社ソリューションが顧客企業経営層から高く評価され、業績が堅調に推移したことによるものであります。

(売上原価及び売上総利益)

 売上原価は、3,650,160千円と前連結会計年度に比べて141,643千円の増加となりました。売上原価の大部分は外部のプロフェッショナルタレントへの支払金額となっており、売上高の増加に伴い売上原価も増加しました。この結果、売上総利益は3,854,467千円となり、前連結会計年度に比べて97,326千円増加しました。

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

 販売費及び一般管理費は、2,817,113千円と前連結会計年度に比べて3,710千円の減少となりました。これは人件費等が減少したことによるものであります。この結果、営業利益は1,037,353千円となり、前連結会計年度と比べて101,036千円の増加となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 営業外収益は、12,300千円と前連結会計年度に比べて2,310千円増加となりました。主な内訳は、顧客都合により案件がキャンセルとなった場合等に発生する受取補償金であります。営業外費用は、42,774千円と前連結会計年度に比べて16,277千円増加となりました。主な内訳は、投資有価証券評価損及び自己株式取得費用であります。この結果、経常利益は1,006,879千円となり、前連結会計年度と比べて87,069千円の増加となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は631,528千円となり、前連結会計年度と比べて88,734千円の増加となりました。

 なお、当社グループは持続的な成長を図るためには、健全な収益水準を意識すべきと考えております。当該指標としている連結EBITDAは1,317,182千円(前連結会計年度比13.9%増)となりました。適切な収益性を投資家と共有することで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、借入金の返済、法人税の支払等であります。その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等であります。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④経営成績等に重要な影響を与える要因

 経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご覧ください。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

 当社グループの報告セグメントは、研修事業を中心とした人材開発・組織開発事業とその他事業がありますが、人材開発・組織開発事業の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 

【関連情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

 単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2) 有形固定資産

 

 

 

(単位:千円)

日本

中国

シンガポール

合計

56,236

5,801

533

62,572

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

 単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2) 有形固定資産

 

 

 

(単位:千円)

日本

中国

シンガポール

合計

59,561

973

233

60,768

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

全社・消去

合計

人材開発・組織開発事業

その他事業

減損損失

86,781

86,781

86,781

 

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

全社・消去

合計

人材開発・組織開発事業

その他事業

減損損失

 

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

全社・消去

合計

人材開発・組織開発事業

その他事業

当期償却額

188,227

188,227

188,227

当期末残高

1,599,937

1,599,937

1,599,937

 

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

全社・消去

合計

人材開発・組織開発事業

その他事業

当期償却額

196,734

196,734

196,734

当期末残高

1,573,335

1,573,335

1,573,335

 

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。