2023年11月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のものがあります。また、当社として必ずしも事業上のリスクとして考えていない事項についても、投資者の投資判断、或いは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載をしております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅したものではありません。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 競合

M&Aアドバイザリー事業には、サービスを提供するために必要な許認可等の規制がなく、相対的に参入障壁は高くない事業であると判断しております。そのため、中小企業を中心としたM&Aにおいてアドバイザリー事業を行う事業者は、大規模事業者だけでなく、小規模事業者、個人事業者(会計事務所、コンサルタント事務所等)等の競合が多数存在しており、今後も新規参入及び競合事業者間での競争が激化することが予想されます。

当社は競合事業者と差別化できる高い品質のサービスを実現するために、過去の経験から得られたノウハウの共有やコンサルタントの教育研修の実施、M&A実務経験者の積極的な採用を行っております。しかしながら、有力な競合事業者の参入等により競争環境が激化した場合に当社事業の収益性が低下することで、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) M&Aに関する許認可制度

当社が営むM&Aアドバイザリー事業は、許認可制度や資格等による制限を受けておりません。しかしながら、今後、M&Aアドバイザリー事業を行うことに対して、何らかの制限が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) M&Aに関する法的規制

M&Aに係る法的規制(金融商品取引法、会社法、税法等)の改正が行われた場合には、M&A市場に影響を与えることが考えられます。結果として、当社が営むM&Aアドバイザリー事業を取り巻く環境が変化し、顧客のニーズも変化する場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) M&Aアドバイザリー事業への依存

当社は、M&Aアドバイザリー事業の単一事業を営んでおります。国内のM&A市場は中小企業経営者の高齢化にともなう事業承継や、ベンチャー企業のイグジット等の手段としてM&Aの活用が認知されてきたことを背景として、非常に堅調に推移していると考えております。しかしながら、経済情勢や事業環境の変化が生じ、M&A需要の急激な縮小等が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 自然災害等

当社は事業運営上の重要な情報の多くを、サーバーやクラウドシステム上にデータとして保管しております。大地震や台風等の自然災害に起因して、サーバーやクラウドシステムの利用が制限された場合や、当社の主要な事業拠点である首都圏や近畿圏に甚大な被害が発生した場合には、当社の事業活動に支障が生じて、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 訴訟

当社はコンプライアンス体制の整備に努めており、将来問題となる懸念のある事案については、都度、顧問弁護士と連携し、訴訟リスクに対しては細心の注意を払って業務を遂行しておりますが、何らかの要因により訴訟を提起される可能性があります。訴訟等の内容及び結果によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 小規模組織

当社は、2023年11月30日において従業員59名であり、組織規模に適合した内部管理体制を構築しております。当社は今後も事業の拡大や従業員の増加にあわせて、内部管理体制の強化を図る予定でありますが、急激な事業拡大に対して十分な人的・組織的対応が取れない場合には、事業運営に支障が生じて、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材の獲得および流出

当社が営むM&Aアドバイザリー事業の成長を図るためには、高度な専門知識と豊富な経験を持ったM&Aコンサルタントの確保・育成が重要であると考えており、優秀な人材の獲得と従業員の育成に重点的に取り組んでいます。しかしながら、今後計画通りに優秀な人材が獲得できない場合や社外への流出を防止できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 情報管理体制

当社が営むM&Aアドバイザリー事業は、顧客の機密情報及び秘匿性の高い情報を取り扱っております。そのため、顧客から入手した情報や、顧客におけるM&A検討の事実が漏洩することがないように、情報セキュリティに関する社内規程を整備・運用・モニタリングするとともに、役職員への継続的な研修等を通じ、情報管理の徹底を図っておりますが、不測の事態等によって、企業情報や個人情報等が社外に流出した場合に、損害賠償の支払いや当社への信頼の失墜等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の顧客は、中小企業のみならず、上場企業やその子会社・関連会社等である場合があります。これらの情報を悪用し、インサイダー取引や、情報漏洩が行われた場合には、当社の事業運営への制限や信頼の失墜等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 案件不成立や進捗遅延による業績の変動

M&Aアドバイザリー事業は、譲渡希望者と買収希望者の意向に従い、受託から成約までの業務が進められます。当社は常に専門家集団として高品質なM&Aアドバイザリーサービスを提供するように努めることで、M&Aの成就のためのサポートを行っておりますが、成約に至らないケースも存在します。そして、個別の案件の手数料単価が高い場合には、当該案件の成否が業績に与える影響が大きくなります。当社は規模の拡大を図ること、即ち受託案件を増加させ、母数を大きくすることで、個別案件の業績全体への影響度の低減に取り組んでおりますが、手数料単価が高い複数の案件が成約・クロージングに至らなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、最終的に案件が成約に至る場合でも、譲渡希望者と買収希望者による条件交渉の難航や、各種デューデリジェンス等のプロセスが遅延する等により、当初スケジュール通りに進捗しないケースが存在します。その結果、当社が見込んでいた売上計上時期にずれが生じ、四半期決算や事業年度別の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11) 大株主および当社の代表取締役への依存

当社大株主であり代表取締役である久保良介および舩戸雅夫は当社の共同創業者であり、M&Aアドバイザリー事業に関する豊富な経験と知識を有し、経営方針や事業戦略の立案・実行等の企業活動全般において重要な役割を果たしております。当社は事業運営を行ううえで優秀な人材の育成を図るとともに、権限の委譲を進めることで特定の個人に過度に依存しない事業体制の構築を進めておりますが、両名またはいずれか一方に何らかの理由により不測の事態が生じた場合、又は退任するような事態が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、両名が保有する議決権の合計は59.6%であり、当社の大株主ですが、中長期的に一定の議決権比率を維持するとともに、議決権行使にあたっては少数株主の利益にも配慮しつつ株主共通の利益を追求する方針です。しかしながら、何らかの事情で当該株式を売却する等の理由により、両名の保有する株式数が減少し、議決権比率が低下した場合には、当社株式の市場価格や議決権の行使状況等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、特定の相手先へ当社株式の譲渡を行った場合には、当該譲渡先の方針によっては、当社の事業戦略等に影響を与える可能性があります。

 

(12) 配当政策

当社は財務体質の強化と事業の成長のための投資が重要であると考え、配当を実施しておりませんが、株主への利益還元は重要な経営課題と認識しております。

今後、将来の財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社を取り巻く事業環境を勘案して、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。こうした考えのもと、創業以来、配当は実施しておりません。

将来的には、各事業年度における経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。内部留保資金については、財務体質を考慮しつつ今後の事業拡大のための資金として有効に活用していく所存であります。

なお、当社の剰余金の配当につきましては、期末配当は株主総会が、中間配当は取締役会が決定機関となっております。また、中間配当につきましては、取締役会の決議によって、毎年5月31日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。