2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する記載のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項目中の記載内容については、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものとなります。

 

1.リスク管理の方針

当社グループは、経営の健全性・安全性を確保し、収益力の向上を図るため、事業におけるリスクを適切に管理することが事業遂行における重要な課題の一つであると考え、リスク管理体制の構築・整備に取り組んでおります。また、新商品の開発時等におけるリスク評価及びリリース後の定期的なモニタリングを実施し、リスクに関するPDCAサイクルを機能すべく努めております。

当社グループは、リスク管理に関する組織体系や役割の明確化を目的として「リスク管理基本方針」を定め、グループ全体がリスクについて共通認識を持ち、各種リスクの管理に努めております。また、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク(事務リスク、システムリスク、人的リスク等)及びその他の管理すべきリスクを「リスク管理規程」に定めるとともに、当該リスクの管理・報告体制を定め、より実効性の高いリスク管理体制の構築に取り組んでおります。

 

2.リスクの管理体制

当社グループは、各種リスクを所管する部門を定め、以下の管理体制のもと、リスクの評価や定期的なモニタリングに加え、当社事業におけるKRI(Key Risk Indicator)のモニタリング結果を、ERM(Enterprise Risk Management 統合型リスク管理)に関する重要事項を審議する諮問機関として設置した「ERM委員会」にて、CEOをはじめとする経営陣に向け定期的に報告を行っております。

 

 

 

 

 

3.個別リスク

 

(1)市場環境リスク

当社グループの主要な取扱商品である住宅ローンをはじめとした住宅金融商品の需要は、国際情勢、景気動向、消費動向、金利動向等の経済情勢、人口動態、世帯動態等の社会構造、不動産市況、住宅着工戸数の動向、住宅に関連する税制の変更、政府の方針の変化等により影響を受けます。住宅ローンあるいは不動産担保ローン等の新規需要が減少した場合は、融資実行業務、ファイナンス業務に関する営業収益の減少等の当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2)競争環境リスク

当社グループの主要な取扱商品である住宅ローン市場は、依然として非常に多くの金融機関が参加し、特に三大都市圏における競争が激化しております。このため、こうした競合他社の状況が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。我が国の住宅ローン市場は年間約20兆円(注)の巨大な市場であることから、0.1%の市場シェアの変動は、約200億円の融資実行の変動に繋がり、当社がFC店舗を経由する場合の典型的な取引では約4億円の融資実行業務における営業収益の変動等の影響がもたらされます。

当社グループは、外部環境の変化に対応するために、住宅ローンにとっての重要パートナーである不動産事業者に対して、SBIエステートファイナンスが提供する仕入資金ローンの紹介、アルヒ住み替えコンシェルジュが住み替えコンサルティングを行ったお客さまの紹介等を通じて、不動産事業者からのファーストチョイスとなることを目指しています。また、当社にとっての最重要パートナーであるFCにおいても、SBIグループとの共同商品開発・銀行代理商品、SBIエステートファイナンスの商品の取扱いを進める等、当社の強みである店舗ネットワークを強化するための取組みも進めております。また、SBIグループ及び外部企業との連携による新チャネル開拓等の営業基盤を強化し、同業他社との差別化を図ることにより、市場シェアの維持・拡大に努めております。

(注)出典:住宅金融支援機構(2022年度)

 

 

(3)単一事業構造に関するリスク

当社グループの営業収益の大半は、住宅ローンの実行に伴い発生するフローの収益に関するものであったため住宅ローン市場に影響する環境変化が発生した場合には、他事業によるカバーが困難であり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がありました。

しかしながら、2023年12月に、不動産担保ローン、リースバック、家賃保証業等のストックビジネスを中心とするSBIエステートファイナンス株式会社を完全子会社化することにより、フローの収益の割合を低下させ、業績の安定化を図ることで、当該リスクの軽減に努めてまいりました。同社の更なる成長を目指すことに加え、当社の親会社であるSBIホールディングス株式会社及びグループ子会社と連携することで、当該リスクの更なる軽減にも努めてまいります。

 

 

(4)独立行政法人住宅金融支援機構への依存構造に関するリスク

2024年3月期に当社グループが実行した住宅ローンのうち、融資実行後、住宅金融支援機構に譲渡することを前提とする商品である「ARUHIフラット35」及び住宅金融支援機構による住宅融資保険(保証型用)を前提として融資実行後証券化する「ARUHIスーパーフラット」の占める割合は約7割であり、当社グループの事業は住宅金融支援機構に大きく依存しております。そのため、住宅金融支援機構との提携関係に何らかの変化が生じた場合、住宅金融支援機構の信用力の低下その他の理由により住宅金融支援機構が発行する貸付債権担保住宅金融支援機構債券の利回りが上昇した場合、政府の住宅金融支援機構に関する方針の変化若しくは住宅金融支援機構が提供するプログラムの変更等が生じた場合、又は商品競争力が低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、住宅金融支援機構と良好な関係を維持し、自らも「フラット35」の競争力の維持に努めると同時に、銀行代理商品(変動金利商品・固定金利商品)や、「ARUHI 住宅ローン(MG保証)」等のオリジナル変動金利商品の販売拡大に努めております。また、今後もSBIグループとの共同商品開発・銀行代理商品の取扱いを進めるのに加え、グループ外の金融機関との連携による商品ラインアップの拡充を続けながら、住宅金融支援機構への依存度の軽減に努めてまいります。

 

 

(5)チャネルリスク

当社グループは住宅金融事業を行うに当たり、全国に107の拠点を展開しておりますが、このうち80がFC店舗であり、それらの店舗を経由した住宅ローンの実行件数は全体の約6割を占めております。

当社ビジネスモデルにおいては、FC運営法人側の諸事情等を理由にFC運営法人との契約が維持できなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し当社グループは、FC運営法人の事業継続及び業績拡大へのサポートとして、研修制度・OJT教育の拡充、店舗運営指導、各種業務サポートツールの構築、分析データの還元、功績に対する表彰制度等により、ビジネスパートナーとしての信頼関係の維持に努めております。

また、SBIグループとの共同商品開発によりFC店舗が販売可能な変動金利商品の拡充によりFC運営法人の業績に寄与すべく努めております

加えて、アルヒ住み替えコンシェルジュを通じた住み替えニーズへの対応やARUHIビデオチャット相談によるオンライン接客等、多様なお客さまの要望に応えるチャネル展開を進めてまいります。

 

 

(6)商品・サービスに関するリスク

当社グループの主力商品である住宅ローンについては、国内の住宅ローンシェアの約9割を占める変動金利住宅ローンの割合拡大、住宅金融支援機構への依存度の軽減等の観点からも、「フラット35」以外の住宅ローンの実行拡大及びその他サービス展開は当社のリスク軽減のため重要な施策であります。

当社グループは、「フラット35」以外の住宅ローンの実行拡大のため、ネット銀行を所属銀行とする銀行代理業、SBIグループ各社と連携した新商品開発により、変動金利商品の拡充を進めております。また、リフォーム、諸費用等の資金使途に対応した商品の拡充等を行うことで、幅広い住宅金融需要に応えられるよう商品・サービスを拡大しております。

なお、契約を締結しているインターネット専業銀行との協業による事業の拡大が計画どおり進行しない場合、当社グループの業績、財務状況及び事業のリスク状況に影響を与える及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し当社グループは、FC店舗で販売可能な変動金利商品の増強を進めることで実行件数の積み上げに努めてまいります。さらに、SBIエステートファイナンスが取扱う不動産担保ローンや仕入資金ローン、SBIスマイルが取扱うリースバックについて、当社店舗からSBIエステートファイナンスやSBIスマイルへ連携(媒介契約による紹介等)、SBIエステートファイナンス店舗を当社代理店とし当社金融商品を取り扱う等、各社それぞれの既存取引先に対し、当社グループのさまざまな金融商品を提供するグループ企業間連携を通じて更なる成長を目指します。

 

 

(7)子会社に関するリスク

当社グループは、従来の住み替えカンパニー化の精神は継続しつつ、 ライフステージに応じた住まいの実現を金融面からサポートする住宅金融のリーディングカンパニーを目指し、SBIエステートファイナンスとともに、BtoBtoCビジネスへ再フォーカスいたします。SBIエステートファイナンスやSBIスマイルの商品を当社の店舗チャネルを通じて不動産事業者あるいはお客さまに提供する等、各子会社とのシナジーを最大限に活用し、グループ全体の企業価値向上を目指してまいります。しかしながら、子会社の事業展開が計画どおりに進まない場合、経営状況が悪化又は予測不能な事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

また、子会社の事業拡大に当たり、当社グループの収益に占める子会社の割合が増加していくことが想定されるため、子会社の業績及び財務状況の悪化等は、現在想定している影響度より大きなものになる可能性があります。当社は原則、子会社の取締役又は監査役として当社の役職員を派遣し、子会社を適切に管理することでリスクの軽減に努めております。

 

 

(8)信用リスク

当社グループの住宅金融事業の主力商品である「ARUHIフラット35」は、貸付後遅滞なく住宅金融支援機構に債権譲渡するため、当社は原則として信用リスクを負いません。「ARUHIフラット35」以外の商品については、住宅金融支援機構の融資保険もしくは民間保証会社の保証の付保を前提とした貸付の実行、あるいは提携金融機関の住宅ローン商品の販売代理を行っており、極力信用リスクを負わないビジネスモデルとなっております。

なお、当社子会社の主力商品である不動産担保ローンについては、不動産市況悪化による担保不動産価格の下落や、融資先の業況悪化等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの信用リスクに対し、貸付時に担保不動産の評価を保守的に見積る等、厳格な審査及び途上与信管理に注力し、適切な信用リスク・コントロールの確保等リスクの軽減に努めております。

 

 

(9)流動性リスク

当社グループでは、銀行等の金融機関からの借入に加え、資本市場でのコマーシャルペーパーの発行、住宅ローン債権の証券化及び債権譲渡等により資金調達を行っています。資金調達に際しては、調達先の分散や長期比率を高めること等により、資金繰りの安定化を図っております。

しかしながら、金融環境の急激な悪化や当社グループの信用力の低下により、資金調達の安定性が損なわれる可能性があります。そのような事態が生じた際には、調達コストの上昇や必要資金の持続的な確保が困難になるおそれがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10)金利変動リスク

当社グループが実行する住宅ローンの一部は、証券化及び債権譲渡により資金調達を行っており、当該住宅ローンの実行から証券化まで2ヶ月程度の時間差が発生します。当該期間の市場金利の変動次第では、当該住宅ローンの融資実行時のお客さま向け適用金利と証券化及び債権譲渡の際の投資家向け適用金利の金利差が拡大又は縮小することで、結果として貸付債権流動化関連収益が変動し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが保有する金融資産については決算期ごとに時価評価を行っており、評価時点の市場金利の変動次第では、割引率が変動することでFVTPLに分類した金融資産の評価額が変動し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これら金利変動によるリスクを極力排除する方針としており、デリバティブ取引により当該リスクの極小化に努めております。

 

 

(11)見積将来キャッシュ・フローの変動及び貸付債権流動化・証券化取引に関するリスク

当社グループは、貸付債権や貸付債権を裏付資産とした信託受益権を債権譲渡・売却した結果、当社に残存することとなる回収サービス権又は配当受領権について、当該権利から発生する将来キャッシュ・フローを見積り、当該見積将来キャッシュ・フローの現在価値を、貸付債権流動化関連収益及び資産として認識しており、当該貸付債権流動化関連収益のうち、キャッシュによる回収が行われていない部分については金融資産として計上しております。これらの評価は、繰上償還率(CPR)、デフォルト率(CDR)、割引率等について一定の前提条件を設定して行っておりますが、当該前提条件が市場動向の変化等により修正された場合、当該収益及び資産の評価が変動し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、見積将来キャッシュ・フローの上記計算前提をきめ細かくフォローする体制を整えており、当該見積前提条件を設定するに当たり、外部第三者機関の公表データを反映させ、又はこれに加えて外部第三者機関の公表データに過去実績等を勘案して合理的に見積った調整を反映させ、慎重に設定することにより、将来の金融資産の評価価値の下落リスクを抑えております。

 

 

 

(12)のれん等の減損リスク

当社は、旧アルヒ株式会社の株式を公開買付けにより取得しており、本書提出日現在、のれんを24,464百万円(連結総資産の約12%)計上しております。当社グループはIFRS会計基準に基づき連結財務諸表を作成しているため、当該のれんの償却は行っておらず、また当該のれんについては、のれんの減損判定において、当社は独立した外部の評価機関を利用しておりますが、のれんの対象となる事業の将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

(13)消費税処理に関するリスク

当社は、課税売上げに係る消費税額から控除する課税仕入れ等に係る消費税額の算出に当たり、個別対応方式による計算を行っております。また当社は、消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認を受け、従業員割合により、共通対応分の課税売上げに係る消費税額から控除する課税仕入れ等にかかる消費税額(仕入控除税額)を計算しております。

しかしながら、課税期間における個々の課税仕入れ等を課税売上対応分、非課税売上対応分及び共通対応分に区分する際の区分方法や、従業員割合の計算等について、税務当局が当社と異なる見解を採用することになった場合には、仕入控除税額が減少する結果、消費税費用が増加し、加算税・延滞税の支払いを命じられる可能性があり、その場合当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(14)事務リスク

当社グループは、事務処理を行ううえで、業務の正確性、効率性を高めるためのさまざまな取組みを実施しておりますが、役職員、FC運営法人、外部委託先が正確な事務を怠ることで、不正や事故、事務ミスが発生する可能性があります。こうした事務リスクが発生した場合は、当社グループ及びサービスに対する信頼の低下や損失の発生につながるおそれがあり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対し、社内研修の拡充による業務遂行に必要な知識の共有、社内規範や事務手続きの標準化及び文書化等による業務プロセスの可視化に取り組むと同時に、再鑑体制、本社集中業務の拡大、また、システム化等IT技術を利用することにより、事務リスクの軽減に努めております。

 

 

(15)人材リスク

当社グループは、今後の更なる業容の拡大及び業務内容の多様化に対応して、優秀な人材の採用・確保、従業員の育成体制の強化が必要とされておりますが、優秀な人材の採用及び育成が困難となる場合や、在籍する人材の社外流出が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

キャリア採用においては、人材紹介会社経由や媒体経由の採用に加え、リファラル採用の強化等による雇用経路の拡大等、「優秀かつ当社にマッチする人材」の採用をしています。人材育成においては、「人材開発室」を設置し、定期的な階層別研修、専門分野別研修、将来のキャリアップを後押しする公開研修、eラーニング研修を実施し、従業員研修制度の充実化を図っております。

当社グループは、従来から継続的に社員の意識調査を実施し、その情報等に基づき、適切な人事管理や運用の見直しをすることで社員満足度向上に努めております。また年次有給休暇の取得促進、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制度、育児短時間勤務制度や在宅勤務、テレワークの導入により、働き方の多様化を推進し、働きやすい職場環境の整備等、適切な人事処遇や労務管理に努めております。今後も継続的に優秀な新規人材の採用及び社員満足度の向上を図る施策を実行することにより、人材に関するリスクの低減を図ってまいります。

 

 

(16)労務リスク

当社グループは、人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)・差別的行為(セクシャルハラスメント等)、労働災害から生じる人的資産の損失・損害を未然に防止するため、コンプライアンスの研修等、適切な管理に努めております。また、健全な業務運営のため、労務関連法令諸規則を踏まえた人事関連諸制度を制定し、適正な運用を行うとともに、定期的な従業員意識調査に基づく人事管理・運用の見直しや在宅勤務・テレワークの活用を含めた働きやすい職場環境の整備等、適切な人事処遇や労務管理に努めております。また、年次有給休暇の取得推進、「EAP相談室(心身の健康の相談窓口)」の設置、在宅勤務やテレワークによるメンタルヘルス不調への対応や職場や家庭等で発生する問題への対応を行う等、従業員の心身の健康維持に努めております。

しかしながら、当社従業員の不適切な行動や人事労務上の問題に関連する重大な訴訟が発生した場合には、当社グループの企業価値の毀損、信用の低下に繋がり、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(17)情報システムリスク

当社グループは、住宅金融事業において、FC店舗及び直営店舗といった販売チャネルに加え、インターネット及び情報システムの仕組みに基づき非対面で住宅金融商品を提供しており、インターネット接続環境やシステムネットワークインフラが良好に稼動することが事業を円滑に運営する上で求められております。

しかしながら、災害等に起因する電力供給の停止、通信障害、通信事業者、システム事業者に起因するサービスの中断や停止等の外的要因又は、システム開発における不備、人為的ミス、機器故障、外部委託先の瑕疵等の現段階では予測不可能かつ当社グループのコントロールを超えた事由により、システムに重大な支障が生じた場合、当社グループの顧客(潜在的な顧客を含みます。)に対してサービスを提供することができず、当社グループの顧客の個人情報及び取引情報その他の情報の保護に問題が生じ、又は当社グループの財務・会計・データ処理その他のシステム及び設備が適切に稼働しない可能性があります。これらの事象が生じた場合、データの喪失や当社グループの処理能力に影響が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、コンピューターシステムについて、安定稼動のためのシステム運用やバックアップシステムの構築、24時間常時監視、役職員への教育等の対策を講じており、当該リスクの顕在化の抑制に努めております。

 

 

 

(18)サイバーセキュリティリスク

当社グループでは、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、破壊行為、コンピューターウイルス等のサイバーセキュリティ脅威により、情報の盗難、漏洩、毀損等、顧客の個人情報及び取引情報その他の情報処理に問題が生じ、重要な情報が漏洩した場合は当社グループに対する信用の低下及び損害賠償等の法的責任が問われる可能性があります。これらのリスクに対して、システムアクセスルールの厳格化、不要なインターネットアクセスの禁止、アクセスログの監視、ファイヤーウォールの設定による情報の機密性を維持する等のサイバーセキュリティ対策活動を推進しております。

また、近年サイバー攻撃が高度化・巧妙化していることを踏まえ、CSIRTを設置し、平常時の対策のみならず、インシデント発生時の体制整備も行っております。サイバーセキュリティインシデントの発生時には当社経営陣の指揮の下、総務部門担当役員を責任者とした関連部門及びCSIRTからなる対策本部を組成し、適切な対応を実施します。

 

 

(19)法的規制及び法改正に関するリスク

当社グループは事業活動を行うに当たり、関係監督官庁から許認可を受けており、取扱う住宅ローンの一部は、貸金業法第3条に定める登録に基づく貸金業及び銀行法第52条の36に定める許可に基づく銀行代理業であります。このため、当社が各業法に定められる処分事由に抵触する場合、各業法に基づき行政処分又は登録・許可の取り消しを受ける可能性があります。

当社グループは、各業法に基づく当局及び所属銀行の検査を定期的に受検しており、また、グループ全体でのコンプライアンス体制強化に努めております。

なお、本書提出日現在において、登録・免許取消事由又は許可失効事由に該当する事実はありませんが、将来何らかの理由により登録・免許の拒否又は取消、許可の失効があった場合には、当社グループの事業活動に重大な支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、今後、当該各種法規制の改正があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社は、法令等遵守を徹底するとともに、内部管理・内部統制体制を整備することにより、登録・免許の取消事由を惹起することのない業務運営に努めております。

 

 

(20)重要な訴訟事件等の発生に関するリスク

当社グループにおいて、業績等に重大な影響を及ぼす可能性のある係争中の訴訟事案はありません。しかしながら、当社グループの営む事業の性質上、契約違反、不法行為、労働問題、消費者トラブル、知的財産権の侵害等に関する訴訟事件等が発生する可能性があり、将来業績に大きな影響を及ぼす訴訟事件や社会的影響の大きな訴訟事件等が発生し、かかる訴訟事件において当社グループに不利な判断がなされた場合又は当社グループに不利な帰結となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、こうした訴訟が発生することを想定し、リーガルチェック運用ルールの厳格化、社内規程の整備・管理、弁護士相談に関する手続き・記録の整備、訴訟・ADR等の紛争対応のルールを設けることで、適切かつ迅速な対応ができる体制を整備しております。

 

 

(21)個人情報の管理に関するリスク

当社グループの主たる事業である住宅金融事業は、個人の顧客を対象に住宅ローンを提供しており、住宅ローンの相談、申込に当たり各種個人情報を収集しております。このため、当社は、個人情報保護法に定める個人情報取扱事業者に該当し、個人情報の取扱いについて規制の対象となっており、当該法律に即して業務の運営を行っております。しかしながら、外部からの侵入者及び当社関係者並びに業務委託先等により、個人情報が外部に流出し、不正に使用された場合又は何らかの事由により個人情報の漏洩や毀損等が起こった場合、民事上又は行政上の法的責任を問われるとともに、当社グループ全体に対する信用及び当社グループに対する信用が低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、個人情報保護方針等の個人情報保護に関する各種規程を定めて運用し、顧客情報の流出や不正アクセス行為等により、顧客の利益が侵害されないようセキュリティ対策を講じ、顧客情報の保護に細心の注意を払っております。また、個人情報管理体制の適正な運用に努めており、当該リスクの抑制に努めております。

万一、当該事象が発生した場合、できる限り速やかにマスコミ等に公表することにより、お客さま等関係者への影響を最小限に抑えるとともに関係者からの信頼を確保するために全力を尽くす所存であります。

 

 

 

(22)不適正行為・法令違反等に関するリスク

当社グループの事業を遂行するに当たり、当社グループ及びFC店舗の従業員による不正、当社金融商品における手続き違反、顧客及び不動産業者による融資の不適正利用が発生した場合、当社が直接的な損失を被り、かつ当社グループ全体のイメージが悪化するとともに社会的信用が低下する可能性があります。さらに、当社グループの住宅ローンの実行に関しては、流動化・証券化スキームの契約において、債権譲渡先である住宅金融支援機構や信託銀行に対する当社の事実表明や譲渡した住宅ローン債権に関する事実表明の重要な点における瑕疵等があった場合、譲渡された貸付債権を債権譲渡先から買い戻すことが義務付けられていることから、買戻しのための資金が必要になることに加え、回収リスクを負う場合もあるため、買戻しが発生した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、このような買戻しの義務の発生を避けるため、住宅ローンの融資実行のプロセスにおいて、住宅金融支援機構や信託銀行との契約に定められた事項につき、厳格に対応するルールを徹底するとともに、不適正行為、手続き違反防止については、コンプライアンスに関する委員会組織を設置し、基本方針・行動計画の決定及びモニタリング等を当該委員会で実施しております。さらに、定期的な研修、コンプライアンスを統括する部署に検査・指導グループを設置し、全店舗へ検査・指導を臨店にて行うことで、コンプライアンス体制の強化に努めております。顧客及び不動産業者による不適正利用防止については、不適正事業者の排除するために、データベースの拡充、モニタリングによる管理の徹底をし、不適正案件の排除に取り組んでおります。

また、当社グループ及びFC店舗の従業員による各種法規制への違反が発生した場合、当社が直接的な損失を被る可能性や行政処分の対象となる可能性があり、かつ、当該違反の発生により、当社グループ全体のイメージが悪化するとともに社会的信用が低下し、風評による影響が発生する可能性があります。当社グループは、「コンプライアンスファースト」をスローガンに、役員及び当社グループの従業員、FC店舗の従業員まで、コンプライアンス意識を高めることに努めております。具体的には、コンプライアンスに関する研修による行動規範の徹底、業務研修の定期的実施、規程・マニュアル等の拡充、モニタリング項目の拡充をすることで、各種法規制への違反の防止に努めております。

 

 

(23)反社会的勢力との取引及びマネー・ローンダリング等に関するリスク

当社グループは、反社会的勢力との関係が疑われる者との取引を排除すべく、新規の取引に先立ち、外部情報等も活用した反社会的勢力との関係に関する情報の有無の確認や、反社会的勢力ではないことの表明及び確約書の徴求等により、反社会的勢力とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っております。また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融防止の重要性が高まっておりますが、当社グループでは、金融庁の定める「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策ガイドライン」に留意し、当社グループの業務における取引時確認手続等に係る内容について定め、当社グループの商品及びサービスがこれらの不正な取引に利用されないための対策を講じています。しかしながら、当社グループの厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力との取引やマネー・ローンダリング等を排除できない可能性があります。このような問題が認められた場合、その内容によっては、監督官庁等より業務の制限又は停止や課徴金納付命令等の処分・命令を受ける可能性があり、当社グループの企業価値の毀損、信用の低下に繋がり、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

万一、反社会的勢力から不当な要求を受けあるいは何らかの問題が生じた場合は、関係行政機関や法律専門家とも協力し、速やかに対処します。

 

 

(24)風評リスク

当社グループの主たる事業である住宅金融事業は、個人の顧客に対して資金の貸出を行うという特性上、当社グループに対する社会的信用度合いが重要となります。そのため、事実の有無にかかわらず、当社グループの業務、技術、コーポレート・ガバナンス及び規制当局の行為等から生じ得る否定的な世論、又はマスコミ報道やインターネット上の誹謗中傷等により、当社の風評が著しく悪化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(25)災害等リスク

当社グループは、フランチャイズ方式により全国に店舗展開をしており、緊急時を想定した事業継続計画(Business Continuity Plan)に関する事項の規定、安否確認システムの導入等を行っておりますが、大規模な地震・台風等の自然災害、火災、停電等が発生した場合には、店舗の閉鎖や業務の停止等を余儀なくされ、当社グループの事業運営及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

特に大規模な自然災害又は有事等により、当社グループの情報システムに障害が生じた場合やデータサーバーが機能不全に陥ることで、当社グループの業務が中断されることになり、事業運営に障害又は遅延をきたす可能性があります。

また、感染症の蔓延により、従業員、外部委託先等、当社グループの業務やオペレーションに携わる多数の人員が罹患することで、業務やオペレーションに支障が生じ、店舗の閉鎖又は業務の停止等を余儀なくされ、当社グループの事業運営や業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、お客さまと従業員の安全確保を最優先に、お客さまに対する住宅ローンWeb申込の受入体制強化、動画を使用した非対面での契約手続きの実施及び従業員に対する在宅勤務・時差出勤等の新しい働き方の提案を行うことで、従来と変わらぬサービスを提供し、感染症の影響が拡大する環境下でも事業を継続するためにさまざまな取組みを行っております。

 

 

(26)SBIグループとの関係性変化及び利益相反取引に関するリスク

当社グループは、SBIグループとの協働により商品・チャネル・顧客基盤等のビジネス基盤を強化し、お客さま及び不動産業者とってファーストチョイスとなる住宅金融のリーディングカンパニーを目指していきます。しかしながら、当社グループとSBIグループとの関係性に何らかの変化が生じた場合、又は、協働によるビジネス基盤強化が当初想定と異なる状況となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、当社では当社と支配株主又はその子会社との間の利益相反取引を防止するために、社内規程を制定し、取締役会の決議によって選出された独立社外取締役を含む親会社からの独立性を有する者3名以上にて構成される特別委員会を設置し、少数株主の利益を保護するために、当該取引について審議、検討を行うことで、適切な利益相反管理体制を構築しております。

 

 

 

(27)ESGへの取組みに関するリスク

気候変動抑止のために政策・法規制が強化されるなどの移行リスク、気候変動によってもたらされる直接又は間接的な影響により風水害等の災害が発生し、損失を被る物理的リスクがあります。

さらに、気候変動等の環境課題のほか、人権や少子・高齢化社会への対応といった社会課題の顕在化を背景に、ESG(環境:Environment、社会:Social、企業統治:Governance)を意識した経営に対する社会の注目や関心が高まっています。

当社グループは、このような環境・社会課題解決に向けた施策に取り組んでいく方針でありますが、ステークホルダーからの期待はより一層高まっており、当社グループの経営体制や事業活動において、ESGへの取組みが不十分であるとステークホルダーに判断された場合、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社では、ESG視点の経営優先テーマ「マテリアリティ」を策定し、環境・社会・ガバナンスに分類し対応しております。

第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス (2)戦略を併せてご参照ください。

 

 

4.重要リスクについて

上記の「3.個別リスク」27項目について、当社が考える当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「重要リスク」は以下のとおりであります。

 

重要リスク

市場環境リスク

競争環境リスク

チャネルリスク

信用リスク

金利変動リスク

のれん等の減損リスク

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆さまに対する利益還元と継続的な企業発展の双方を経営の最重要課題と認識しており、期末配当のほか、年1回の中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これに基づき当社は、ROE水準と財務レバレッジ状況を総合的に勘案し、一定水準の内部留保で更なる企業価値向上のため成長投資に備える一方、余剰資金については継続して安定的に配当することを基本方針としております。具体的には、現中計年度にわたり目標配当性向水準は35~40%、目標株主資本配当率(DOE)は4%程度をそれぞれ最低水準として、安定的に配当を実施してまいります。なお、剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。

 

当事業年度に係る剰余金の配当は次のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当金

2023年11月7日

712

20円

取締役会

2024年6月21日

885

20円

定時株主総会