人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数18,427名(単体) 19,092名(連結)
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平均年齢
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平均勤続年数
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平均年収
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1.当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別に代えて会社別の記載をしております。
2.従業員数は、就業人員数(当社グループ外から当社グループへの出向者を含み、当社グループから当社グループ外への出向者を除く。)であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均雇用実績(1日8時間換算)を[ ]内に外書きで記載しております。
(2) 提出会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1.当社は、単一セグメント、単一事業部門であるため、内務職員・営業職員別の記載をしております。
2.従業員数は、就業人員数(他社から当社への出向者を含み、当社から他社への出向者を除く。)であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均雇用実績(1日8時間換算)を[ ]内に外書きで記載しております。
また、臨時従業員数について内務職員・営業職員の区分は行っておりません。
3.当期より、実態の反映を目的に、営業関係の管理者を内務職員として集計しております。
4.平均勤続年数は、郵政省、総務省郵政事業庁及び公社から通算した勤続年数であります。
5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社には労働組合として、日本郵政グループ労働組合、郵政産業労働者ユニオンが組織されております。
また、当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社においては、JICDユニオンが組織されております。
なお、労使関係については、概ね良好であり、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注)1.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定により公表している指標等に基づき記載しております。
2.管理職に占める女性労働者の割合は2024年4月1日時点の実績を、その他の指標は当連結会計年度における実績を記載しております。
3.管理職に占める女性労働者の割合は、日本郵政グループ各社との整合性を図るため、提出会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。なお、2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴う他社からの出向者を含める場合の割合は9.1%です。
4.男性労働者の育児休業取得率は、日本郵政グループ各社との整合性を図るため、提出会社を本籍とする社員を対象としており、当期より、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含む。)を含めておりません。男性労働者の育児休業取得率は、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。)の割合を記載しております。なお、2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴う他社からの出向者を含める場合の男性労働者の育児休業取得率は100%であります。
5.労働者の男女の賃金の差異は、提出会社における賃金台帳に記載のある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、当社より給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。
6.労働者の男女の賃金の差異は、賃金台帳を基に、その雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。
7.当社では、男女間で賃金体系、昇進・昇給等の運用、採用基準に差を設けておりません。男女の賃金の差異のうち正規労働者の主な要因は、年齢構成を踏まえた男女比率に偏りがあり、相対的に賃金水準の高い高齢層・管理職層の女性比率が低いことにあります。非正規労働者の主な要因は、男性のうち約4割を占める専門職採用者の給与が高いことにあります。将来管理職として活躍することが期待される女性社員に向けたキャリア形成支援の実施など、女性管理職比率向上に引き続き取り組んでまいります。
② 連結子会社
(注)1.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定により公表している指標等に基づき記載しております。
2.管理職に占める女性労働者の割合は2024年4月1日時点の実績を、その他の指標は当連結会計年度における実績を記載しております。
3.管理職に占める女性労働者の割合は、当該連結子会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。
4.男性労働者の育児休業取得率は、当該連結子会社を本籍とする社員を対象としており、当期より、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含む。)を含めておりません。男性労働者の育児休業取得率は、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。)の割合を記載しております。
5.労働者の男女の賃金の差異は、当該連結子会社における賃金台帳に記載のある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、当該連結子会社より給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。
6.労働者の男女の賃金の差異は、賃金台帳を基に、その雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。
7.当該連結子会社では、男女間で賃金体系、昇進・昇給等の運用、採用基準に差を設けておりません。男女の賃金の差異のうち正規労働者の主な要因は、年齢構成を踏まえた男女比率に偏りがあり、相対的に賃金水準の高い高齢層・管理職層の女性比率が低いことにあります。非正規労働者の主な要因は、非正規労働者の男性のうち約6割が、定年退職後も、高い賃金水準で継続的に雇用されている社員であることにあります。将来管理職として活躍することが期待される女性社員に向けたキャリア形成支援の実施など、女性管理職比率向上に引き続き取り組んでまいります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、全国の郵便局ネットワーク等を通じて保険サービスを提供することで、お客さまのいざというときの支えとなり、お客さまの人生をお守りしてまいりました。そうした事業活動そのものがサステナビリティを実現するための取り組みであると位置づけ、当社は、以下の「サステナビリティ方針」を定めております。
(サステナビリティ方針)
かんぽ生命保険は、経営理念を実現し、お客さまの人生を保険の力でお守りするという社会的使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)をめぐる社会課題の解決に貢献し、当社の持続的な成長とSDGsの実現を目指します。
(1) ガバナンス
当社は、サステナビリティ推進規程において、サステナビリティ推進に関する基本的な事項を定めております。これに基づき、サステナビリティ推進部担当執行役を委員長とするサステナビリティ委員会において、サステナビリティ戦略やサステナビリティ実施計画の策定・進捗等に関する協議・報告を行っております。
サステナビリティ委員会での検討・協議の状況は、適時経営会議に報告するとともに、重要なものについては、経営会議で協議・決定の上、取締役会へ報告しております。
(サステナビリティ推進体制)
上記に加え、他の専門委員会で協議・検討する取り組みのうち、サステナビリティに関する取り組みについては、サステナビリティ委員会に取り組み内容の報告等を行っております。具体的には、気候変動リスク・自然関連リスクについてはリスク管理統括部担当執行役を委員長とするリスク管理委員会で、人的資本については人事戦略部担当執行役を委員長とする働き方改革委員会でそれぞれ取り組みを協議・検討するとともに、これらの内容について、サステナビリティ委員会へ適宜報告等を行っております。
(2) リスク管理
当社では、SDGsの17の目標を達成するための具体的な169のターゲットから、当社事業に関連するリスクや機会を考慮の上、取り組むべき社会課題を抽出し、抽出した課題に「ステークホルダーからの期待」と「当社にとっての重要度(戦略的重要性)」の2軸に基づく優先順位をつけて、マテリアリティ(重要課題)として特定しております。特に、「ステークホルダーからの期待」については、業界団体によるガイドラインや外部評価機関等からの要請事項、機関投資家との対話を通じた当社への要請事項、お客さまから当社に寄せられた声及び社員アンケートの内容等を踏まえ、特定作業を行っております。そして、マテリアリティに紐づくサステナビリティ実施計画を策定し、その進捗状況を管理・評価しております。なお、これらの取り組みは適宜サステナビリティ委員会、経営会議及び取締役会へ報告しております。
また、当社はリスク選好ステートメント※を設定し、ERMに基づき事業運営における健全性を確保しつつ、持続的な成長や中長期的な企業価値の向上を目指しております。リスク選好ステートメントでは全体方針に加え、保険引受リスク・資産運用リスク・オペレーショナルリスクをリスク区分として定めております。
下記「(3) 戦略」に記載のマテリアリティを推進するための取り組みと関連するリスク(サステナビリティに関連するリスク)は上記リスク区分を基に管理しております。具体的には、「人的リスク」や「コンプライアンスリスク」はオペレーショナルリスクのリスク区分で管理しております。また、気候変動リスク及び自然関連リスクに関しては、全てのリスク区分でリスクの洗い出し・リスク評価を行う態勢を整備しており、サステナビリティ推進部がリスクを特定及び評価して対応策を検討した上で、リスク管理統括部がリスク評価の妥当性を検証し、検証結果をリスク管理委員会に報告しております。
※ リスク選好ステートメントとは、当社のリスクテイクの方針(目標収益達成を果たす上で、どのようなリスクを取るか)を定めたものです。当社では「定性的なリスク選好」と「定量的なリスク選好」に分けて設定しております。
(3) 戦略
当社では、社会的使命を果たし、サステナビリティをめぐる諸課題に取り組むため、以下の5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、マテリアリティに沿った各取り組みを推進しております。
なお、本マテリアリティは、外部環境の変化等を踏まえ、2024年3月に見直しを行ったものであり、見直しに当たっては、サステナビリティ委員会及び経営会議で協議・決定し、取締役会へ報告しております。
(各マテリアリティの取り組み)
マテリアリティ1 郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供
当社は、前身である簡易生命保険事業の創業以来、郵便局ネットワーク等を通じて全国のお客さまに基礎的な保険商品・サービスをご提供してまいりました。現在も、人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えし、お客さまの人生を保険の力でお守りすることが当社の社会的使命であると認識しており、この使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)をめぐる社会課題の解決に貢献するとともに、当社の持続的な成長を目指しております。そのため、常にお客さまのニーズにお応えする保険サービスをご提案するとともに、お客さまの万が一の際に迅速かつ確実に保険金をお支払いする態勢を整備してまいります。
なお、将来にわたってお客さまに保険サービスを提供する基盤を維持するため、保有契約件数(個人保険)を指標及び目標として設定しております。また、保険サービスに関するお客さまからの評価を把握し、より良いサービスの提供に活かしていくことを目的に、お客さま満足度及びネットプロモータースコア(NPS®)を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
マテリアリティ2 人々の笑顔と健康を守るWell-being向上のためのソリューションの展開
当社は、生命保険会社としてお客さまの万が一を支えるだけでなく、日々の健康づくりのサポートやサステナブル投資の推進に取り組むことにより、人々の毎日の暮らしを元気で笑顔に満ちたものにすることに貢献してまいります。当社がこうした取り組みを推進し、人々の健康で豊かな人生を支えることは、生命保険会社である当社の持続的な成長にも資するものと考えております。
具体的には、当社は、当社発祥のラジオ体操の普及推進等を通じて日々の健康づくりをサポートしたいと考えており、ラジオ体操の普及推進の進捗を把握する指標及び目標として、ラジオ体操実施率を設定しております。また、サステナブル投資の推進については、「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」を重点取り組みテーマとしており、これらの取り組みの進捗を把握する指標及び目標として、インパクト“K”プロジェクト※認証ファンドの累計件数及び金額を設定しております。本指標及び目標は、マテリアリティ3及び4にも関連するものです(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
※ 「インパクト“K”プロジェクト」とは、インパクト投資に関わる国内外の基準や考え方に加え、当社として重視する事項を包摂した社内認証制度です。
マテリアリティ3 多様性と人権が尊重される安心・安全で暮らしやすい地域と社会の発展への貢献
当社は、多様性や人権尊重に関する社会的要請が高まる中、これらを侵害することのない企業活動を行っていく必要があると認識しております。そのため、人々が将来にわたって安心・安全に生活できるよう、多様性や人権を尊重した地域と社会の持続的な発展に資する取り組みを行うことで、誰もが生きがいをもって豊かに暮らせる共生社会の実現に貢献いたします。
なお、地域と社会の持続的な発展に資する取り組みの進捗を把握する指標及び目標として、社会貢献活動の実施を設定しております。また、マテリアリティ2に記載のインパクト“K”プロジェクト認証ファンドの累計件数及び金額も、指標及び目標として設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
マテリアリティ4 豊かな自然を育む地球環境の保全への貢献
当社は、持続的な地球環境があってこそ、当社の持続的な成長が実現できるという考えの下、社会的要請が高まっている気候変動や生物多様性・自然資本といった環境課題への対応を行っております(詳細は、「① 気候変動に関する取り組み」を参照)。
なお、気候変動への対応として、温室効果ガス排出量の削減に向けて、当該排出量に関する指標及び目標を設定しており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでおります。また、マテリアリティ2に記載のインパクト“K”プロジェクト認証ファンドの累計件数及び金額も、指標及び目標として設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
マテリアリティ5 サステナビリティ経営を支える経営基盤の構築
当社では、1~4のマテリアリティの達成のためには、社員一人ひとりが力を発揮できる職場環境や、会社の健全な経営基盤が欠かせないものと認識しています。そのため、社員のエンゲージメントの向上や多様な人材の活躍を進める人的資本経営の推進や、コンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンスの強化を図ってまいります(人的資本経営の詳細は、「② 人的資本経営の推進」を参照)。
なお、人的資本経営の進捗を把握する指標及び目標として、ES調査(エンゲージメントスコア調査)結果や、本社における女性管理職比率、育児休業取得率、障がい者雇用率(日本郵政グループ全体)を設定しております。加えて、コンプライアンスの徹底のため、具体的な実践計画であるコンプライアンス・プログラムに基づき、重点的に取り組むべき事項を選定し、推進しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
以降は、5つのマテリアリティのうち、「4 豊かな自然を育む地球環境の保全への貢献」の取り組みの一つである「気候変動に関する取り組み」及び「5 サステナビリティ経営を支える経営基盤の構築」の取り組みの一つである「人的資本経営の推進」について、詳細を記載いたします。
① 気候変動に関する取り組み
当社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に、2019年4月に賛同を表明しており、気候変動への対応を経営上の重要課題として認識し、取り組みを進めております。具体的には、TCFD提言の内容を踏まえ、気候変動関連のリスクと機会を特定するとともに、それらが当社の生命保険事業や資産運用に及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。引き続き、当社ではカーボンニュートラルの実現に向けて、低炭素社会への移行に関する取り組みを実践し、事業の持続可能性を高めてまいります。
(気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会)
生命保険事業
資産運用
※1 上記リスクと機会の特定に当たっては、想定される大小のリスクを洗い出した上で、当社事業における重要性を勘案し、影響度の高いリスクと機会を開示しております。
※2 影響の時間軸は、短期:5年、中期:15年、長期:30年程度と想定しております。
(主なシナリオ分析の実施内容※1)
※1 気候変動が生命保険事業及び資産運用に及ぼす影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えております。引き続き、調査・分析等を通じた影響把握に取り組んでまいります。
※2 NGFSとは、Network for Greening the Financial Systemの略語で、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するための中央銀行及び金融監督当局の国際的なネットワークのことです。
(低炭素社会への移行に関する取り組み)
② 人的資本経営の推進
ア.人的資本経営の考え方
当社は、お客さまから信頼され選ばれる企業になること及びお客さまに感動いただける保険サービスの提供を通じた持続的な成長を目指しており、そのためには、主体的に行動して付加価値の高い成果を発揮できる多様な人材の確保が必要不可欠であると考えております。一方で、当社では、優秀な専門人材の採用ができない可能性や、魅力的な労働条件や職場環境を提供できない場合に人材の流出、不足等を招く可能性があることを重要なリスクとして認識しております。
こうした中で、2024年5月に見直しを行った中期経営計画(2021年度~2025年度)においても、サステナビリティ経営の重要な課題として「人的資本経営・企業風土改革」を位置づけています。そして、以下に記載する「『人的資本経営』3つの基本理念」の下、人材育成及び社内環境整備の取り組みを進めることで、全役員・社員が会社とともに成長し、自信と誇りをもって堂々と仕事ができる会社を目指しております。
(「人的資本経営」3つの基本理念)
1.社員が主体的に行動する企業風土の定着
2.戦略的な人材確保
3.多様な人材の活躍と柔軟な働き方の推進
イ.「人的資本経営」3つの基本理念とその取り組み
a.(基本理念1)社員が主体的に行動する企業風土の定着
経営陣と社員が将来のビジョンを共有して共感することや、社員の主体性を引き出すマネジメント、多様なキャリアにチャレンジできる機会の提供を通じて、社員のエンゲージメント※1の向上と主体的に行動する企業風土の定着を目指しております。
具体的には、会社が直面している課題やその取り組み等に対して、社長から全社員への定期的なメッセージ発信を行う「社長通信」や経営陣等と社員が定期的に意見交換する「フロントラインミーティング」、社員が社長に直接提案を行う制度の「かんぽ目安箱」を実施しております。これらにより、会社の将来のビジョンや方針等の理解を促進するとともに、経営陣と社員が同じ方針に基づいて全社一体となって課題等に取り組んでおります。
また、社員の主体性を引き出す取り組みとして、キャリアに関する社員本人の希望を踏まえて各社員の育成方針などの議論を行う人材育成会議を実施しております。これにより、社員一人ひとりが自身の強みや弱みに気づき、その改善等に社員自らが取り組むことで、能力やモチベーションの向上を図っております。加えて、管理職の人事評価の中で、部下社員が能力を最大限発揮できる環境の構築が役割であることを明確化するとともに、各拠点の管理職等を対象にコーチング※2研修を実施し、マネジメント手法の改善に取り組んでおります。これらにより、部下社員との定期的な対話等によるコミュニケーションを活性化するとともに、主体的に行動する社員の育成や組織力の強化を図っております。
このほか、社員の自律的な成長等を目的に、現在と異なる職務や環境で新たな業務へ自ら挑戦することができるキャリアチャレンジ制度を導入しております。これにより、社員自らが新たな業務に挑戦し、その領域でのスキル向上や視野を広げることで新たな発想等による課題解決力の向上を図るとともに、人事交流の活性化による組織間の相互理解も促進しております。
これらの取り組み等を通じた社員のエンゲージメントを客観的に把握するため、年2回ES調査を実施しており、その調査結果を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。2023年度は、各種コミュニケーション施策の継続的な取り組みや、かんぽGD制度の導入及び営業部門における組織改編といった人事・組織面の改革、加えて、新商品の販売やご高齢のお客さまへのご提案の再開による活動量や新規契約の増加等により、社員のエンゲージメントにも大きな向上が見られました。今後も、会社の理念・方向性の社員への浸透と相互尊重を中心としたコミュニケーション改革に加え、管理職へのコーチング研修等によるマネジメント力強化や、社員の主体性をさらに引き出す人材育成、社員がやりがいをもって仕事に活き活きと取り組める環境作り等、企業風土改革の取り組みを強化することで、さらなるエンゲージメント向上を目指してまいります。
※1 エンゲージメントとは、会社との深い関わり合いや関係性を意味する言葉です。
※2 コーチングとは、管理職等が部下社員とともに達成したいことを明確にすることで、考え方や行動の選択肢を増やし、社員が主体的に行動するように促すコミュニケーション・スキルです。
b.(基本理念2)戦略的な人材確保
現状及び将来必要な人材の「量」と「質」を把握し、経営戦略に合った人材の採用や強化領域への配置とリスキルの促進、各階層及び領域に応じた育成の実施により、会社の持続的な成長を支える人材を確保してまいります。
具体的には、組織及び人事面から各部門の事業拡大や変革をサポートするツールとして、現状及び将来必要な人材の「量」と「質」を可視化する人材ポートフォリオの策定を進めております。これにより、当社において、重点的に強化すべき組織や今後各領域で必要となる人材を特定し、現状とのギャップ分析を実施することで、ギャップを踏まえて戦略的に採用や配置、育成を行ってまいります。その一環として、新卒採用では会社説明会やインターンシップの強化、積極的なリクルーター活動等に取り組んでまいります。経験者採用では、営業、アクチュアリー※、資産運用・リスク管理、IT・デジタル分野における専門人材等を確保するために、人材紹介会社を経由した採用や、社員からの紹介を通じた採用等を進めてまいります。これらの取り組みを測る指標として、新規採用者数に関する目標を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。また、書類審査等のバックオフィス業務の削減を進め、こうした業務に従事していた人材をリスキルし、お客さま対応を行う部門等の当社の強化領域へシフトしてまいります。
加えて、営業社員一人ひとりの能力や成長度合いを総合的かつ定量的に評価するかんぽGD制度を導入しており、中長期的な視点で営業社員の育成を進めてまいります。このほか、会社の成長を支えていく経営リーダーを、長期的な計画の中で戦略的に育成していくことを目的に、次世代リーダー育成プログラムを策定しており、将来を見据えて、各領域・階層に応じた社員育成を実施してまいります。
※ アクチュアリーとは、確率や統計等の手法を用いて、将来の不確実な事象の評価を行い、保険数理業務、リスクマネジメント等を行う専門職です。
c.(基本理念3)多様な人材の活躍と柔軟な働き方の推進
多様な人材が互いの「個」を尊重し、それぞれの役割を果たして成果を上げることや時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる環境の整備により、多様化する社会のニーズに応え、社員・お客さまの満足度の向上を目指しております。
具体的には、多様な人材の活躍の一環として、将来管理職として活躍することが期待される女性社員に向けたキャリア形成支援研修などの実施により女性活躍を推進しており、進捗を把握する指標及び目標として、本社における女性管理職比率を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
加えて、育児や介護をしながらでも安心して社員が働き続けられるよう、育児休業取得社員に対する職場復帰プログラムの実施の徹底や、仕事と育児の両立支援セミナーの開催等に取り組んでおり、進捗を把握する指標及び目標として、育児休業取得率を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。2023年度は男女ともに育児休業取得率100%となっており、これを継続するために、引き続き各種取り組みを実施いたします。
また、障がいのある方の就労能力を正しく評価し、就業機会を提供することは企業の社会的責任の一環であると考えており、当社を含む日本郵政グループ各社において、障がい者雇用の推進に積極的に取り組んでおります。日本郵政グループ全体では、約6,500人の障がいのある社員が様々な職場で活躍しており(2023年6月1日時点)、さらなる推進に向けて、日本郵政グループ全体の障がい者雇用率を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。加えて、当社では、障がいのある社員との定期的な対話や座談会の実施、専用相談窓口の設置を行うとともに、採用業務を行う拠点にこれらの取り組みを牽引する「障がい者雇用促進リーダー」を配置し、障がいのある社員の職場定着を支援しております。
(4) 指標及び目標
当社は、5つのマテリアリティについて、以下のとおり指標及び目標を設定し、各取り組みの進捗を管理しております。
※1 ラジオ体操実施率は、当社が定期的に実施しているオンライン調査(対象は20歳~69歳の男女2,400名)において、ラジオ体操を知っていると回答した方のうち、1年に1回以上ラジオ体操を実施すると回答した方の割合です。
※2 インパクト“K”プロジェクト認証ファンドの目標及び実績は、2022年度の認証開始からの累計案件数及び当社による投資額(ファンドの形態により投資額もしくはコミットメント額を計上)です。
※3 目標・実績は、当社グループにおいて主要な事業である生命保険事業を営む当社について記載しております。
※4 Scope1とは、自社が直接排出する排出量です。新規事業による増加分を除きます。
※5 Scope2とは、他社から供給された電気などの使用に伴う排出量です。新規事業による増加分を除きます。
※6 上記目標は、現時点の将来見通しに基づいたものであり、社会動向や技術革新の状況の変化によって見直す可能性があります。
※7 温室効果ガス排出量(Scope1・2)の2022年度実績については、当社の組織体制の変更等により変更の可能性があります。また、2023年度実績は集計中のため、2022年度実績を記載しております。
※8 当社の社員が、仕事内容・職場環境・人間関係・福利厚生などについてどの程度満足しているかを、株式会社リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」により評価するものです。全11段階中Bは上位から6段階目、CCは上位から8段階目の評価です。
※9 調査は、社員が外部サイトを通じて回答する方法で行っております。
※10 対象社員は、他社からの出向者を含む在籍社員(他社への出向者、派遣社員及び育児休業や病気休暇等の休職中の社員は除きます。)です。
※11 各年度の翌4月1日現在の本社(サービスセンターを含みます。)管理者のうち、女性の管理者の割合です。
※12 日本郵政グループ各社との整合性を図るため、当社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。
※13 対象期間中に出産(男性の場合は配偶者が出産)した社員のうち、育児休業(育児・介護休業法第2条第1号。以下同じです。)を開始した社員(開始予定の申出者を含みます。)の割合です。また、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。)を含めておりません。
※14 各年度の6月1日現在の日本郵政グループ(日本郵政株式会社・ゆうせいチャレンジド株式会社・日本郵便株式会社・株式会社ゆうちょ銀行・株式会社かんぽ生命保険・日本郵政コーポレートサービス株式会社)の全社員(算定基礎労働者数、期間雇用社員等を含み、派遣社員を除きます。)のうち、障がいのある社員(雇用障がい者数)の割合です。
※15 当社では、障がい者雇用率の算定において障害者雇用促進法に基づくグループ適用を採用しているため、日本郵政グループ全体の障がい者雇用率を目標としております。
また、上記の目標の他にも、5つのマテリアリティに関連して、気候変動に関する取り組み及び人的資本経営の推進のうちの戦略的な人材確保への取り組みについて、それぞれ指標及び目標を設定しております。
① 気候変動に関する取り組み
Scope3※1におけるカテゴリー15(投資先ポートフォリオから発生する温室効果ガス排出量)について、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すとともに、2029年度末までに2020年度末対比で50%削減する中間目標を設定しております※2・3。なお、2023年3月末時点の国内外上場株式及び国内外クレジット(企業融資を含みます。)ポートフォリオの温室効果ガス排出量は、2020年度末対比で13.8%減の約895万tCO2eとなっております※4。
※1 Scope3とは、サプライチェーンにおけるScope1、Scope2以外の間接排出です。15のカテゴリーに分類され、投資ポートフォリオにおける排出はカテゴリー15に該当します。
※2 Scope3におけるカテゴリー15の目標は、投融資先企業のScope1及びScope2の排出量について、当社の持ち分比率をかけて算出した値の合計です。対象資産は、国内外上場株式及び国内外クレジット(企業融資を含みます。)です。
※3 上記目標は、現時点の将来見通しに基づいたものであり、社会動向や技術革新の状況の変化によって見直す可能性があります。
※4 投資先ポートフォリオから発生する温室効果ガス排出量は、直接の計測が困難であることから、各種社外データ等を参照の上、一定の仮定や前提に基づき算出しています。削減率及び排出量実績等の数値は、計測対象資産の変更や計測方法の見直し等により、遡及的に修正する可能性があります。
② 戦略的な人材確保への取り組み
新規採用者数に関する目標※1を設定しております。新卒採用においては、2024年4月1日に特定専門人材※2を8人、営業人材※3を229人採用しております。今後も、同水準以上の採用者数を目指して取り組んでまいります。
※1 目標・実績は、当社グループにおいて主要な事業である生命保険事業を営む当社について記載しております。
※2 アクチュアリー、資産運用・リスク管理、IT・デジタル分野のいずれかに特化して従事する社員です。
※3 当社の支店かんぽサービス部又は法人営業部に所属している社員です。
上記のサステナビリティに関する考え方及び取り組みを通じて、当社グループの持続的な成長とSDGsの実現を目指してまいります。