2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業に関し、経営者が投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスク事項には以下のようなものがあります。当社は、これらのリスク可能性を十分に認識したうえで、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針です。

当社のリスク管理体制に関しましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等、(1)コーポレート・ガバナンスの概要、② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由、(リスク・コンプライアンス委員会)」に記載のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、当社に関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 景気動向及び業界動向の変動(発現可能性 低、影響度 小)

当社は、当社商品の特徴であるハイエンド向けラグジュアリーブランドによる事業展開を行っており、景気や個人消費、ゴルフ市場の動向が、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社のゴルフ関連の衣料品及び雑貨等は、今後日本国内においては人口減少に向かうことが予想されており、ゴルフ人口が減少に転じた場合には当該影響を受ける可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

当社では敢えて過度な出店は行わず、当社商品の特徴であるハイエンド向けラグジュアリーブランドとしての個性を表現できる国内及び一部のアジア地域の主要都市の商業施設や百貨店、路面店への限定した出店により在庫リスクを低減し、また、国内向けECサイトであるMARK&LONA公式オンラインストアとグローバル向けECサイトであるMARK&LONA World Marketの2つのサイトを展開しており、D2C(Direct to Consumer)ビジネスにより在庫消化率の更なる向上を目指すことで、景気や個人消費、ゴルフ市場の動向による影響を軽減してまいります。

 

(2) ユーザー嗜好について(発現可能性 低、影響度 中)

当社商品が、消費者のニーズ又は嗜好の変化等に対応できないこと、その提供する商品の訴求力向上を図れないことによって、当社の競争力を維持できなくなる可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

当社では常にマーケットの状況をリサーチし、それに応じた商品開発を迅速に実現していくことで、また、業界の常識にとらわれない斬新な視点で寧ろ消費者の嗜好をリードしていくような商品開発に努め、上記リスクの低減を図っております。

 

(3) 競合について(発現可能性 低、影響度 小)

当社の事業領域であるゴルフ関連の衣料品及び雑貨等業界は、将来の成長が期待される業界であるため、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。今後において十分な差別化等が図られなかった場合や、新規参入により競争が激化した場合には、当社の業績に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。

当社は、国内及び一部のアジア地域においては、当社商品の特徴であるハイエンド向けラグジュアリーブランドとしての差別化を追求し、また、それを加速すべく当社ブランドのアンバサダー等を通じて国内外市場での認知度を更に高めてまいります。

 

(4) 販売チャネルについて(発現可能性 低、影響度 中)

当社商品は、これまでは国内卸や国内店舗を中心に顧客へアプローチしてきましたが、幅広い顧客開拓にむけてグローバルマーケットへの展開も進めております。それらの市場規模は大きく、販売機会の拡大に取り組んでまいりますが、これらの事業活動におきましては取り巻く環境の急激な変化その他要因によって期待通りに拡大しない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当社としては、グローバル向けECサイトを立ち上げるとともに、CRM(※1)ツールを活用したデジタルマーケティングを中心として国内外の顧客へアプローチし、D2C(Direct to Consumer)ビジネスという形で展開することでリスクの低減とともに新たなグローバル市場の開拓に努めてまいります。

(※1) CRM:Customer Relationship Managementの略。顧客の情報を収集・分析して、最適で効率的なアプローチを行い、自社の商品やサービスの競争力を高める経営手法。

 

 

(5) カントリーリスク(発現可能性 低、影響度 中)

当社は、韓国を中心とした海外市場において事業を推進しており、海外売上高比率は、2023年12月期において、当社の販売金額の35.8%となっております。日韓の政治・外交問題等により、我が国とこれらの国との間の関係が悪化した場合、取引機会の縮小等により、当社の事業展開及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。また、海外における事業展開において、海外における当社の事業に係る法規制等の成立・改正が行われた場合、政治情勢により事業運営に支障をきたす事態が生じた場合、自然災害や伝染病などが発生した場合、急激な為替変動や為替制限が行われた場合には、当社の事業展開及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

当社は、海外展開のリスクに関して、迅速な情報収集と適切な対応を検討するリスク管理体制を構築し、リスクの軽減を図っております。

 

(6) 海外の特定販売先への依存について(発現可能性 低、影響度 中)

韓国における当社商品の販売は、JC FAMILY CO., LTD.を総代理店として展開しており、当該販売先への販売金額は、2023年12月期において、当社の販売金額の29.3%となっております。当該販売先の業績の悪化、政策の変更等により取引が減少した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社としましては、当該販売先との緊密な関係を構築する一方で、韓国以外の海外エリアでの事業展開を加速し、販売チャネルのグローバル化を進めることで特定販売先への依存のリスクを低減してまいります。

 

(7) 知的財産権について(発現可能性 中、影響度 中)

当社が保有する知的財産権について、第三者の知的財産権に抵触しないよう細心の注意を払っており、これまで第三者から侵害訴訟を提起されたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないと認識しております。しかしながら、第三者の知的財産権の状況を完全に調査することは極めて困難であり、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償の請求、当該知的財産権の使用に対する対価の支払いまたは商品の販売停止等が発生する可能性があり、また、当社の知的財産権が不正目的で使用されたり、外部に模倣された場合には、当社の事業運営に支障をきたす可能性があり、その際には当社の業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

当社は、商品企画の段階において顧問弁理士と連携し、第三者の知的財産権を侵害しないよう配慮してリスクの軽減を図っております。

 

(8) 情報システムについて(発現可能性 低、影響度 中)

当社の基幹システムや事業運営上利用している各種クラウドサービスは、地震等の自然災害、電力不足、停電、通信障害、テロ等の予見し難い事由により、停止等の影響を受ける可能性があります。また、コンピュータクラッキング(※2)、コンピュータウイルス、人的過失及び顧客企業等の偶発的或いは故意による行為等に起因するサービスの中断も、当社の事業運営を妨げる可能性があります。これにより当社の信用失墜又は事業機会の逸失が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

当社は、これらのシステムやサービスを安定的に運用するためのシステム運用管理体制を整備し、システムの稼働状況の監視、バックアップ、外部からの不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入防止のシステム的な対策等を実施して、障害発生の未然防止と障害発生時の影響最小化に努めております。

(※2) クラッキング:コンピュータネットワークに繋がれたシステムへ不正に侵入したり、コンピュータシステムを破壊・改ざんするなど、コンピュータを不正に利用すること。

 

 

(9) 個人情報について(発現可能性 低、影響度 中)

当社では、業務上、個人情報その他さまざまな機密情報を顧客より受領する場合があります。

当社が取り扱う機密情報及び個人情報について、漏えい、改ざんまたは、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえず、何らかの要因からこれらの問題が発生した場合には、顧客からの損害賠償請求や信用失墜等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

当社は、情報セキュリティに関連する各種規程類を整備するとともに、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止等についてシステム的な対策を講じて情報セキュリティ事故の未然防止に努めております。

また、個人情報保護法への対応を推進し、プライバシーマークを取得して個人情報マネジメントシステムに則り、安全管理に努めております。

 

(10) サプライチェーンについて(発現可能性 低、影響度 中)

当社は、商品や商品サンプルの製造を外部委託し、製造の外部委託先は、そのパートナー企業から部材及び商品の供給を受けております。しかしながら、外部委託の要因による商品の品質不備が発生したり、そのパートナー企業の経営不振等により当社が委託した商品の供給が困難になった場合、当社商品のブランドイメージの毀損や販売機会の喪失に伴い、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

そのため、製造を委託した商品の品質を確保するため、商品企画段階におけるリスクの検討や納品前の専門業者による検品を徹底し、また、複数の製造委託先の確保によりリスクの低減を図っております。

 

(11) 棚卸資産評価損に関するリスク(発現可能性 低、影響度 中)

当社の事業展開においては、需要の急変や、市場への商品投入のタイミングを誤った場合には、販売数量の見込みに相違が生じ、滞留在庫が発生する可能性があります。そうした場合、棚卸資産の評価損を計上することとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを低減するため、システムや営業倉庫を活用したタイムリーなロケーション間の在庫移動等により、店舗及び国内外向けECサイト等の複数の販売チャネルでの流通量のコントロールを図ることで在庫消化率の更なる向上を目指してまいります。

 

(12) 固定資産減損損失に関するリスク(発現可能性 低、影響度 中)

当社は、直営店の内装、事業目的に使用する設備等の固定資産を保有しております。これらの固定資産から生み出されるキャッシュ・フローが、継続的にマイナスであり、投資額の回収が困難となった場合には、減損損失が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、敢えて過度な出店は行わず、主要都市の商業施設や百貨店、路面店を中心とした出店や期間限定のポップアップストアの展開により結果としてリスクの軽減につながっております。

 

(13) 出店政策について(発現可能性 低、影響度 小)

当社は、商業施設、百貨店を中心に店舗を展開しております。そのため、商業施設や百貨店における集客力の変化により影響を受ける可能性があり、集客力が低下した場合不採算店舗が発生する可能性があり、その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社における新規出店形態は、既存の商業施設や百貨店、路面店におけるテナント入れ替えによるため、商業施設や百貨店、路面店の所有者が店舗展開方針を変更するなどの事情により、計画に沿って新規出店を行うことができない場合があり、その結果、当社の経営成績及び財政状態並びに事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 

(14) 人材について(発現可能性 低、影響度 小)

当社は、商品の企画から販売まで行っているため、これらに精通した経験豊富で有能な人材の確保と育成が重要な課題になります。当社が必要とする人材の確保が計画通りに進まずに事業上の制約要因になる場合には、当社の事業展開及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。

当社は、今後も事業規模の拡大に応じて、新卒採用に加え、専門技術や知識を有する優秀な人材の中途採用に努めるとともに、教育制度の充実、人事評価制度の見直し、労働環境の整備など、従業員の働きがいを向上させる取り組みを強化していく方針です。

 

(15) 代表取締役への依存について(発現可能性 低、影響度 中)

当社の創業者である代表取締役社長CEO松村智明は当社事業における豊富な経験を有し、創業以来当社事業を牽引し、大きく成長をさせてまいりました。現在も当社の経営戦略、各事業の連携、組織運営の推進において重要な役割を担っております。しかしながら、何らかの理由により、同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。

当社においては、以前より組織体制の整備、業務の標準化、及びマネジメント機能の強化を図るなど、経営者に過度に依存しない体制の確立に努めております。

 

(16) 自然災害等について

大規模な地震等の自然災害や事故など、当社による予測が不可能かつ突発的な事由によって、事業所・店舗等が壊滅的な損害を被る可能性があり、想定を超える自然災害が発生した場合は、当社の事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社が直接被災しない場合であっても、事業パートナー等の被災により、間接的に損害を被る場合もあります。また、災害等の発生によって、電力等の使用制限による社会インフラ能力の低下、個人消費意欲の低下といった副次的な影響により、当社の事業活動の抑制につながる可能性があり、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクについて予見することは困難であり、リスクは常に存在すると認識しております。

当社は、このような自然災害に備え、新耐震基準を満たしたオフィスや主要都市の耐震性の高い商業施設・百貨店への入居、従業員安否確認手段の整備、オフィスでの備蓄食料・生活物資の確保等を実施し、リスク低減を図っております。

 

(17) 感染症に伴うリスクについて(発現可能性 小、影響度 小)

新型コロナウイルスをはじめとする感染症が拡大・蔓延した場合には、消費者の購買機会の喪失、市場の環境悪化を背景とした顧客企業の新規購買抑制等により、受注の減少、売上の減少や利益率の低下、回収サイトの長期化等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼし、成長スピードが鈍化する可能性があります。また、当社役職員に感染者が出る可能性を完全に排除することは困難であり、社内での感染拡大が発生した場合は、商品開発や商品リリースの遅延等、事業運営の一部に支障をきたす可能性があります。新型コロナウイルス感染症については収束傾向にありますが、今後も類似の感染症が発生する可能性はあり、現在においてリスクを定量化することが困難でありますが、このようなリスクが顕在化する可能性は今後も十分にあると認識しております。

当社では、このような感染症が発生した場合には、政府の方針等を踏まえて、在宅勤務や時差出勤、リモート会議の推奨等、事業運営に極力支障が生じない体制を構築するなど、感染防止に向けた対策を講じてまいります。また、リスクを想定した資金管理を行い予期しない事態の発生に備えるなど、影響の最小化に向けて取り組んでおります。

 

 

(18) 配当政策について

当社は、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、配当を検討することを基本方針としており、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しておりますが、当面の間は内部留保の充実を図り、収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながるものと考え、創業以来配当を実施しておりません。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であり、持続的な成長に向けた投資を戦略的に実行する場合や当社の事業が計画通り推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。なお、その時期は想定されるものではなく当該リスクが短期的に顕在化する可能性は低いと想定しております。

 

(19) グループ会社との関係について

本書提出日現在において、当社は、当社の議決権を35.8%所有するエヌエックスシー・ジャパン合同会社(2016年5月にNXC Corporationグループが日本において世界に通用する先端技術・ブランドへの投資活動を行うことを目的に、東京精密合同会社として設立し、その後、2018年6月に社名をエヌエックスシー・ジャパン合同会社へ変更)を含むNXC Corporationグループに属しており、NXC Corporationは当社のその他の関係会社に該当いたします。NXC Corporationグループは、韓国を拠点に、社会に良い貢献・影響力を与える、世界中の革新的な起業家や企業を資金・経営面でサポートすることを目的に、投資事業を行っており、そのなかで当社は、持分法適用会社として属しておりますが、当社取締役会の承認事項に関して特別な取り扱いを定めた契約等は締結しておらず、当社の取締役会の独立性は確保されております。なお、NXC Corporationグループによる現状の当社への投資方針としては、当面の間は上場時の株式比率を維持していく方針です。

2020年12月期以降、本書提出日に至るまで当社とNXC Corporationグループとの取引はございません。ただし、NXC Corporationグループの事業方針等により取引条件の変更が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 当社株式の流動性について

当社は、当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末時点において26.0%であります。

今後は、当社主要株主等への一部売出しの要請、ストックオプションの行使による流通株式数の増加、従業員持株会による定期的な株式買付等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、配当を検討することを基本方針としており、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しておりますが、当面の間は内部留保の充実を図り、収益力強化のための投資に充当することが株主対する最大の利益還元につながるものと考え、創業以来配当を実施しておりません

将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であります。内部留保資金につきましては、新商品の開発や市場開拓等事業領域拡大のための投資資金として、有効に活用していく方針であります。

なお、当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。当社は、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当を実施することができる旨を定款に定めております。