2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態に関する事項につき、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要と認識しているリスク)

(1) 許認可及び法的規制について

当社グループのマニュファクチャリングサポート事業、コンストラクションサポート事業及びITサポート事業は、主として製造請負・製造派遣事業、技術者派遣事業にて構成されております。製造請負事業については、管轄省庁の許認可を必要としておらず、製造派遣との区分が明記された「厚生労働省告示第518号(旧労働省告知第37号)」に則り、事業を運営しております。製造派遣事業及び技術者派遣事業は、労働者派遣法に準拠して厚生労働大臣からの「労働者派遣事業許可」を受けて事業を運営しております。当該許可は5年ごとの更新を行っております。

当社グループはコンプライアンスの徹底を図っており、関係法令の教育、周知に努めているため、本書提出日現在で当社グループが認識している限り、これら許認可等の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、万が一法令違反等が発生し、許可欠格事由に該当した場合、付された許可条件に違反した場合、労働者派遣法若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反した場合(労働者派遣法第14条)には、監督官庁による許認可の取消し等の処罰により、当社グループの事業及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループの許可・届出状況

会社名

許認可等の名称

所管官庁等

許認可等の番号

取得年月

有効期限

株式会社ウイルテック

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派 27-180027

2003年8月

2026年7月31日

株式会社ワット・コンサルティング

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派 13-304593

2009年11月

2027年10月31日

株式会社パートナー

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派 13-316463

2023年2月

2026年1月31日

 

(2) 情報セキュリティについて

 当社グループの個人情報や顧客情報は主にファイルサーバーに保管されておりますが、アクセス権限の適切な設定により閲覧者を制限することで、セキュリティを確保しております。個人情報につきましては、適切に管理するため、個人情報の保護に関する法律を遵守するとともに、個人情報管理基本規程等に則り社内管理体制を整備しております。顧客情報につきましては、当社グループの従業員が、取引先企業の生産計画や製品の製造に関する機密情報に接する場合があります。これらの取引先情報が第三者に漏洩しないように、情報セキュリティ管理規程等に則り、従業員に適切な教育を施し、社内管理体制を整備しております。しかし、万が一これらの情報が漏洩した場合には、損害賠償等の法的責任を追及される可能性があり、当社グループの事業及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要と認識しているリスク)

(1) 人材投資について

 当社グループは、長期的な成長を目指して経営をしており、そのための新規事業開拓に注力しております。新規事業を推進するための人材投資を先行して強化しており、短期的な財務成果より投資を優先することがあります。採用人材の多様性、育成機会を担保する等、人材投資の効果向上を図っておりますが、人材の確保や能力開発が計画通りに進まない等の場合、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 社員の定着について

 当社グループは、製造請負・製造派遣事業、技術者派遣事業など主として人材サービスを展開しており、事業の発展のためには、当社グループへの人材の採用と定着が重要な位置を占めております。当社グループでは、Web面接を導入する等採用力向上の取組みを行い、また自社の研修センターを設け、研修を強化することで定着率の向上を図っております。しかし、労働市場の状況によっては、当社グループが必要とする人材を当社グループが計画通りに採用又は定着が進まず、十分な人材を確保できない可能性があります。このような場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 無期雇用社員について

 当社グループは、法令を遵守し派遣社員の無期雇用社員化を促進しております。顧客との派遣契約や請負契約が終了した場合、無期雇用社員には職場異動等により働く場所を確保します。しかしながら、就業場所の確保ができない場合には、無期雇用社員の雇用維持費用が発生し、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 業界の競争激化について

 当社グループが属する製造請負・製造派遣事業、技術者派遣事業は、多数の競合が存在し、M&Aも積極的に行われる業界であります。そのため、営業面においても経営面においても事業規模の拡大を目指し、競争が激化することが予想されます。当社グループも、既存顧客のシェア拡大、新規顧客の開拓、事業計画に応じたM&Aを展開してまいります。しかしながら、競争の影響を受け、事業が想定通りに進まず、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 労働者派遣法等にかかる雇用安定措置について

 労働者派遣法においては、キャリア形成支援や教育訓練が義務付けられているとともに、雇用安定措置が明記されております。雇用の安定と、派遣事業の健全な発展へ向けての措置と認識しており、無期雇用の派遣社員は期間制限なしでの雇用が可能であることから、当社グループにとって事業機会の拡大に資するものと考えております。しかしながら、競争激化等により、当社グループの想定通りに需要が拡大せず、事業が進まない可能性があります。

 

(6) 製造物責任(PL)について

 当社グループの製品には、製造物責任法(PL法)に基づくリスクが内在しております。製品の欠陥に起因して製品回収や損害賠償につながるリスクが顕在化し、これを保険により補填できない事態が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 取引先業種の景況による影響について

 当社グループの取引先企業は、電子部品、電気機器、情報通信機器関連のメーカーが中心であり、連結売上高の約29%を占めております。当社グループは当該分野で製造請負・製造派遣のノウハウを培ってまいりましたが、現状では特定業種に売上が偏った状態となっております。取引先企業の増産減産といった生産変動に対応することで取引先企業のコスト構造をより変動費化する役割を担っているため、電子部品、電気機器、情報通信機器関連分野の景気の影響を受けやすく、これらの顧客業種の市況が悪化した場合には当社グループの売上が急激に変動する等、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 製造拠点の海外移転について

 取引先企業であるメーカーが製造拠点を海外に移転し、国内における製造拠点が減少、あるいは生産量が減少した場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)製造請負の請負事業者責任について

 当社グループが営む製造請負事業は、取引先企業の工場構内の設備等を賃借し、事業所を設け、製品を製造する事業であります。そのため、賃借した設備の管理や製品の生産管理、在庫管理に責任を負うことになります。当社グループは製造請負事業改善推進協議会から「製造請負優良適正事業者」の認定を受ける等製造請負事業の適正運営に努めておりますが、製造請負事業における取引先企業の設備の破損、不良品の発生等が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)労働災害等について

 当社グループが営む製造請負、製造派遣、EMSでは、取引先企業の工場構内あるいは自社工場において当社グループの従業員が従事しております。製造派遣は法律上、人材を取引先企業に派遣し、派遣された労働者は派遣先の指揮命令等に従うこととなり、労務管理が派遣先に委ねられます。一方、製造請負は法律上、請負事業者の指揮命令等に従いますので、労働者の労務管理は請負事業者である当社グループがその責任を負うこととなります。このように製造派遣と製造請負では労務管理の責任主体が異なり、当社グループは製造請負と自社工場にて営むEMSにおいて責任を負うこととなります。

 労働災害に関しては、基本的に労働保険の適用範囲内で解決されるものと考えておりますが、当社グループの瑕疵が原因で発生した労働災害において、当社グループが労働保険の適用を超えて補償を要求される等、訴訟問題に発展した場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)自然災害・感染症について

 当社グループの従業員が就業している場所は主として工場であり日本各地に点在しておりますが、その地域において大規模な自然災害・感染症が発生した場合、工場の被災、就業維持困難、物流の停止等による工場稼働停止が発生する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)為替変動について

 当社グループはベトナムとミャンマーに在外連結子会社を有しております。為替相場の変動は、連結決算における海外連結子会社財務諸表の円貨換算額に影響を与えるため、為替相場に著しい変動が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)カントリーリスクについて

当社グループはベトナム、ミャンマーに在外連結子会社を有していることから海外各国の独自のビジネス環境を前提として事業を展開しております。海外でのビジネスには、各国の政治、経済の諸条件の変更、各種法制度の見直し等、ビジネスに大きな変動が生じる恐れがあります。当社グループは、こうした事業遂行上の環境変化に対して各国の行政窓口、取引先、各種専門家等から常に最新の情報を収集するよう努めておりますが、予期できない政治、経済の変化や自然災害、紛争の勃発などが生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)M&Aについて

当社グループは事業の成長及び領域拡大を目指しておりますが、その中でM&Aを有効な手段のひとつとして位置付けており、今後も必要に応じて実施する方針であります。

M&Aに際しては、対象企業のビジネス、財務及び法務等について詳細なデューデリジェンスを実施したうえで、取締役会において細心の注意を払って判断を行い実施しております。

M&Aに伴い取得したのれん及び無形資産等は、適切に評価を行い買収した事業から得られる将来の収益力を適切に反映しているものと考えておりますが、想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生又は判明した場合や事業環境の悪化等により、当初の予想どおりの収益が得られないと判断され減損を認識した場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)税務について

当社グループは、各国租税法、租税条約及び関連諸規定等を遵守し、適切に納税することを基本理念としております。租税回避を企図した取引は行わず、租税制度の定めに則り、誠実な態度で税務業務に取組んでおります。

しかしながら、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営方針の一つとして位置付けており、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30%を目安として配当を行うこととし、2025年3月期においては、業績にかかわらず安定的な配当を実施する観点から、1株当たり年間40円を配当の下限として、中間配当と期末配当の年2回の配当により、株主の皆様へ安定した利益還元を継続することを基本方針としております。

 剰余金の配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。なお、当社は、取締役会の決議によって、毎年9月末日を基準日として、会社法第454条第5項に定める中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 

 当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月9日

128

20.00

取締役会決議

2024年6月26日

128

20.00

定時株主総会決議