2023年9月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (人材派遣紹介事業における重要なリスク)

(1) 市場環境の動向について

当社グループは、首都圏を中心とした全国の主要都市に人材派遣紹介関連事業を展開しております。当社グループの属する人材サービス関連業界は、社会情勢や景気変動等の外部環境に影響を受けます。人材派遣紹介事業以外の新規事業の創出に加え、経費の削減による経営効率の改善に継続的に取り組んでおりますが、雇用環境の変動、市場環境が悪化する可能性は不透明であり、悪化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 他社との競合について

当社グループの主要事業である人材派遣紹介事業においては、当社グループと同様の事業を営む企業が多数存在しており、これら企業との競合が生じております。当社グループでは、近年の人手不足の影響による派遣スタッフの人件費高騰を受け、クライアントとの交渉により請求単価へ転嫁することで収益性の確保を図り、競争力の維持向上に努めておりますが、同業他社間における価格競争によって取引単価が低迷した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 派遣スタッフの確保について

当社グループは、クライアントの要求に対応するため、派遣スタッフの安定的な確保が重要課題の一つであると考えております。常時インターネット等で募集するだけでなく、プロモーション活動の強化により当社の認知度を向上させ、安定的な確保に努めております。

また、定着率向上のため就労後の派遣スタッフに対し、初日に営業担当者がアンケート用紙を使用して聞き取り等を行い、派遣スタッフのフォローをしております。その後、月1回の定期的なヒアリングを実施し、その結果をクライアントに対してフィードバックすることで、就業環境の向上に努めております。

しかしながら、今後の雇用情勢や労働需要は先行き不透明であり、当社の意図したとおりの労働需要がなく、人材の確保が進まなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 派遣料金について

当社グループの人材派遣紹介事業においては、クライアントとの個別交渉により決定した派遣料金を請求して売上高を計上しており、売上原価として、市場環境やスキルに応じて派遣スタッフに支払う給与及び法定福利費等を計上しております。当社グループは適正粗利率の維持に努めており、派遣給与支払水準の上昇や社会保険料負担増の際には請求料金についても値上げするべく、クライアントとの料金交渉に随時取り組んでおります。

しかしながら、支払給与と請求料金の値上げまたは値下げが必ずしも連動しない可能性があることから、このような案件が急激に増加したり、連動しない期間が長期化した場合、収益性が低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) コールセンター派遣への依存について

当社グループの中核会社である株式会社キャスティングロードにおいては、コールセンター派遣売上高が大半を占めております。また、株式会社ジョブスにおいても、コールセンター向けの派遣を行っております。これらコールセンター派遣売上高の連結売上高に占める割合は5割を超えております。当社グループでは、販売・オフィスワーク派遣の強化や、RPA分野の拡充を中心に、他分野への事業展開を強化することでリスクの低減を図ってまいりますが、雇用情勢は不透明であり、コールセンター業界の需要が大幅に縮小した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制等について

当社グループが行う人材派遣紹介関連事業に適用される「労働基準法」、「労働者派遣法」、「職業安定法」等は、市場環境等に合わせて、適宜法改正等が今後も行われていくと予想されます。その際、法改正に起因する売上高の減少や費用の増加が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 許認可について

当社グループの主要事業である労働者派遣事業は、「労働者派遣法」に基づき、厚生労働大臣の許可を受け行っております。また、当社グループは、「職業安定法」に基づき、同じく厚生労働大臣の許可を受け有料職業紹介事業を行っております。それぞれの許認可の有効期限と取消事由は以下のとおりです。

 

① 労働者派遣事業

a 有効期限

(a) 株式会社キャスティングロード 2024年10月31日

(b) 株式会社ジョブス       2026年12月31日

(c) 株式会社CRドットアイ    2025年2月28日

(d) 株式会社プロテクス      2025年2月28日

b 取消事由

(a) 「労働者派遣法」または「職業安定法」に違反したとき

(b) 許可条件に違反したとき

(c) 関係派遣先への派遣割合が100分の80以下ではない場合または関係派遣先割合報告書の提出をしない場合で、指導または助言を受け、更に必要な措置をとるべきことの指示を受けたにもかかわらず、なお違反したとき

 

② 有料職業紹介事業

a 有効期限

(a) 株式会社キャスティングロード 2024年1月31日

(b) 株式会社ジョブス       2026年12月31日

(c) 株式会社CRドットアイ    2025年2月28日

(d) 株式会社パレット       2026年4月30日

b 取消事由

(a) 「職業安定法」もしくは「労働者派遣法」の規定またはこれらの規定に基づく命令もしくは処分に違反したとき

(b) 暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段で職業紹介を行った者またはこれらに従事した者

(c) 虚偽の広告をし、または虚偽の条件を提示して職業紹介を行った者またはこれに従事した者

 

現時点において、当社グループでは許可の取消等の事由に該当する事実はないと認識しておりますが、許可要件に違反した場合等には、許可の取消、事業停止命令または事業改善命令を受けることがあります。企業のコンプライアンス及びリスク対策に十分努めてまいりますが、当社グループの売上高の大部分が当該事業で構成されており、今後何らかの理由により許可の取消等があった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(人材派遣紹介事業におけるリスク)

(8) 社会保険料の負担増について

当社グループでは、社会保険の加入対象となる派遣スタッフが多数就労しており、社会保険の加入を徹底しております。今後、制度の改正による社会保険料の会社負担率上昇や、加入対象者の増加等による社会保険料の負担増となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 労災事故による影響について

当社グループの派遣スタッフが派遣先で業務上、または通勤途上において負傷・疾病・障がい・死亡となった場合には、「労働基準法」及び「労働者災害補償保険法」上、使用者である当社グループに災害補償義務が課せられます。当社グループでは、派遣スタッフからの定期的なヒアリングにより、派遣先の就業環境におけるリスクの未然把握に努めておりますが、万が一、当該事象が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

 

(製造請負事業における重要なリスク)

(10) 請負業務について

当社グループにおいては、請負契約に基づく役務提供を行っており、業務完了に関しクライアントに対して責任を負っております。このため、役務提供に先立ち、クライアントとの間で請負業務の範囲及び内容について確認を行っております。しかしながら、請負業務の遂行にあたって、仕様及び完了に関する認識の相違が発生した場合、クライアントからの代金回収が困難または不能となる場合があるほか、賠償金の請求、提訴その他の責任追及がされた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 特定の取引先への依存

株式会社プロテクスにおいては、取引先が特定のメーカー1社及びその関連会社のみとなっております。当社グループとしては、当該取引先とは良好な関係を構築しており、今後も継続的な取引を見込んでおります。また、将来的に当該取引先以外への展開を推進することにより依存度の低下を図ってまいりますが、万が一何らかの理由により当該取引先との取引が継続されない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (当社グループ全体に及ぶリスク)

(12) 個人情報等の情報管理について

当社グループの売上高の大半を人材派遣紹介事業が占めており、派遣スタッフ、職業紹介希望者等の個人情報を多数保有しております。マッチングの最適化のため、クライアントに関する情報や、派遣スタッフの職歴・スキル等を含めた個人情報をITシステム上にデータベース化して管理しております。当該個人情報の管理につきましては、権限を有する者以外の閲覧を当該システム上で制限しております。また、個人情報等の機密情報の漏えいを防止するため、「情報管理規程」を定めるとともに、全役職員を対象に個人情報管理に係る研修を年1回定期的に行う他、各会議体で周知徹底を図っております。更に、情報処理の知識に精通した社外取締役を招聘し、専門家の助言と合わせて適宜指導を受けながら、情報漏えいを未然に防ぐ体制を整備しております。

しかしながら、このような体制を整備しても新技術を用いた高度なサイバー攻撃など、万が一何らかの理由により、クライアント及び派遣スタッフの情報の滅失・漏えい等があった場合には、損害賠償請求や社会的信用の失墜によって、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(13) 大規模な自然災害及びシステム障害について

当社グループは、大規模な地震や風水害等の自然災害の発生により、事業所移転を余儀なくされる可能性があります。また、当社グループだけでなくクライアントが人的・物的被害を受けた場合には、クライアント及び派遣スタッフの安否確認等の対応が必要になることが予想されるため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、データ情報の定期的なバックアップ等によりリスクの低減に努めており、リスクの発生可能性は低いと認識しておりますが、特に当社グループで使用している基幹システム等の障害や停止による派遣スタッフ情報の滅失等があった場合、復旧にかかる費用が発生するとともにクライアントに損失を与える可能性があります。

 

(14) 訴訟について

現時点で、当社グループに対して損害賠償を請求され、または訴訟を提起されている事実はありません。当社グループは法令違反を防止するための内部管理体制を構築し、取引先・従業員その他の第三者との関係において、訴訟リスクを低減するように努めております。しかしながら、当社グループの派遣スタッフによる派遣先等でのトラブルが発生した場合や、取引先等との関係に何らかの問題が生じた場合には、これらに起因して損害賠償を請求され、または訴訟を提起されるリスクがあります。かかる損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 財務制限条項について

当社グループは、事業運営上必要な内部留保を確保することを方針として掲げ、安定的な資金運用を図るため、金融機関から資金調達を行っておりますが、一部の金融機関との取引について、借入契約に財務制限条項が付されたものがあります。万が一、これらの条件に抵触した場合には、借入金利の上昇や期限の利益の喪失等、当社グループの経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 特定の人物への依存リスク

当社の代表取締役社長である古澤孝は、経営戦略の策定や実行において重要な役割を担っております。また、取締役会長である井上弘は、当社の創業者であり、経営方針・経営戦略の策定において重要な役割を果たしております。こうした状況を踏まえ当社グループでは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、上記各人に過度に依存しない経営体制の構築、後継者の育成に努めておりますが、何らかの理由により上記各人が当社の業務を継続することが困難となった場合は、当社グループの事業運営及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 内部管理体制について

当社グループは、企業価値を継続的に高めていくためには、業務執行の適正性及び健全性の確保が重要であると考えております。そのためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう、内部統制運用システムの適切な構築及び運用を実施してまいりますが、構築・運用に最善を尽くしてもなお、内部管理体制及び統制が十分に機能しきれない状況など、万が一、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が発生した場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 人材の確保と育成について

当社グループは、持続的な事業の成長を実現させるために継続した人材の確保が必要であると考えております。そのため教育研修体制を整備することで、人材の育成を図るように努めております。また、非正規社員から正社員への転換や女性管理職の積極登用等、多様な取り組みを推進しております。しかしながら、採用環境の変化等により人材の確保・育成が計画どおりに行えない場合、または優秀な人材が流失した場合には、長期的視点から事業展開、経営成績及び成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 出店政策及び賃貸借契約について

当社グループは、今後も積極的な拠点展開を推進していく方針であります。しかしながら、当社グループの店舗展開に関し、物件の確保が計画どおりに進まない等の理由により、新たな拠点開設ができない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが展開する拠点は賃借物件であることから、何らかの理由により契約が更新できない場合、または契約更新時等に賃料が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 新規事業への参入について

当社グループでは、事業領域の拡大のために、今後も引き続き積極的に新規事業への参入を進めていく方針であります。新規事業が安定した収益基盤を構築し、それを維持するためには、設備投資等を継続的に行う必要がありますが、事業環境の変化や収益性の悪化等により、当初の事業計画通りの十分な投資資金の回収ができなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21) 投資案件について

当社グループは、今後の事業拡大のために企業買収や業務提携などを引き続き有効に活用していく方針であります。投資案件の実施にあたっては、対象となる企業の財務内容や事業内容・事業リスク等のデューデリジェンスを厳密に実施することにより、事前のリスク把握とその対応策に努めてまいります。

しかしながら、投資先の事業の将来の予測を正確に行うことは困難な場合があり、投資先の業績の悪化により、計上した株式・のれんの減損処理など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) 株式価値の希薄化について

当社は、当社グループの役職員に対し、業績向上への意欲や士気を更に高めることを目的として新株予約権を付与しております。当連結会計年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は146,750株であり、発行済株式総数5,484,000株の2.7%に相当しております。加えて、今後においても優秀な人材確保のための新株予約権を発行する可能性があります。現在付与されている、または今後付与する新株予約権の行使により、発行済株式数が増加し、当社の1株当たりの株式価値に希薄化が生じる可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考え、過去において配当を行っておりませんが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。

今後の配当政策の基本方針といたしましては、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況、財政状態、利益水準及び企業を取り巻く事業環境等を総合的に勘案した上で、株主に対する配当を決定する方針であります。また、内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。

剰余金の配当を行う場合、年1回の剰余金の配当を期末に行うことを基本としており、その他年1回中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。これら剰余金の配当の決定機関は取締役会です。なお、当社は取締役会の決議によって、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項を決定できる旨を定款で定めております。