リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済情勢の変化について
当社グループは、日本及び欧米など世界各国に製品を供給しております。当社グループの製品需要は、日本のみならず進出国又は販売地域の経済情勢の変化に大きく影響を受けます。このような経済情勢の変化が、当社グループの予想を超えた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、医用分野などの景気の影響を受けにくい業界分野への販売を推進する一方で、産業用機器分野、分析用機器分野、計測用機器分野、学術研究分野などの様々な業界分野に広く販売することでリスクの分散化並びに平準化に努めております。
(2)市場における競争の激化について
当社グループの電子管事業及び光半導体事業は、世界の主要な医用機器、産業用機器、分析用機器、輸送用機器メーカーに対して、それらのキーデバイスとしての光電子部品を供給しております。画像計測機器事業は、産業用機器、学術研究、医用などのエンドユーザー向けに最終製品を供給しております。これら当社グループの中核をなす3事業が競合他社との価格及び開発競争の激化などにより収益率が著しく低下した場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、継続的な新製品の投入並びに生産能力の増強により、新市場、市場占有率及び収益性の拡大に努めております。
(3)技術革新における競争について
当社グループは、「光を使いこなす技術を開発して社会に役立てる会社」であります。しかしながら、光の本質はほんの一部しか解明されておらず、他から学べるような問題ではなく、当社グループが自ら解決していかなければならない問題であると認識しております。このような状況において、今後、当社グループが、光の本質に関する新たな知識を獲得できなかった、又は、当社グループ以外によって、新たな光に関する技術的な発見があった場合には、当社グループは現在の市場さえも失う可能性とともに、当社グループの行っている研究開発投資は、必ずしも将来の売上高及び収益向上に結びつくとは限らず、将来の当社グループの業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、光子工学についての未知未踏の世界を拓くため、光に関する新技術及び新製品開発に必要な研究開発投資を積極的に行っております。創業以来のベンチャー精神を忘れることなく、新規技術を企画し挑戦し続けること並びにそれを担う人材の育成にも取り組んでおります。
(4)人材の確保、育成について
当社グループの持続的成長は、高い専門性を有し、創業以来のベンチャー精神をもって、人類の未知未踏分野に粘り強く挑戦し続けられる人材の確保・育成並びに「和」の精神のもと、個々の能力の総和以上の総合力を発揮できる企業風土の醸成が重要であると認識しております。こうした人材の確保・育成及び企業風土の醸成が想定通りに進まなかった場合には、当社グループの経営の基盤が揺らぎ、業績や事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、より高い専門性を有したグローバル展開を踏まえた人材の確保を積極的に推し進めるほか、採用後の教育制度の充実、高度なOJTにより専門性の伝承に努めております。また、高水準な研究開発投資を維持する一方で、失敗を恐れず挑戦し続けるマインドを醸成し、絶え間のない挑戦機会を創出することが個々の能力の開発に資するものと考えております。
(5)為替変動について
当社グループの連結売上高に占める海外売上高の比率は8割弱であり、海外子会社の収益、費用、資産等の現地通貨を円換算する換算レートには、現地通貨での価値が変わらなくても、円換算後の価値を変動させるリスクを有しております。ビジネスレベルにおいては、当社は輸出の大部分を円建てで行っており、海外販売子会社において為替リスクを負っております。海外子会社は顧客との交渉により円建てもしくは現地通貨建て等を取り決めておりますが、現地通貨建ての取引の場合は、急激な円高が起こった場合、または、円高傾向が長期にわたる場合には、顧客への価格転嫁等の交渉が必要になり、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、為替変動に対する価格の弾力性が最小化するような高付加価値の製品を投入するよう努めるとともに、海外子会社において顧客との取引を円建てで行うほか為替予約を活用するなど通貨間の為替変動による影響を最小化するよう努めております。
(6)知的財産について
当社グループは、未知未踏を追求し、光技術を用いた新しい産業を創造し、企業価値を向上させるとともに科学技術の発展にも寄与することを経営の基本方針としており、光センサなどのコア技術を高めるための研究開発投資を推進し、それにより得られた知見を知的財産として適切に維持、管理することが事業遂行上重要と認識しております。当社グループは様々な新技術やノウハウを開発しており、独自の光技術を背景に日本、欧米等世界各国に製品を供給しております。当社グループが事業を行う海外の地域によっては、知的財産権の保護が十分ではない場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。一方で、当社グループが知り得ない知的財産権が存在した場合に、第三者の知的財産権を侵害するとともに当社グループが研究開発投資により得られた知的財産の利用を制限される可能性があり、これら知的財産の適切な管理がなされないことで業績上又は事業遂行上の悪影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクに対し、専門の部門を組織し、当社グループが開発した新技術やノウハウは知的財産権として、網羅的に出願、権利化を行うとともに、製品に関わる分野の知的財産権について国内、海外を問わず情報収集を行い、弁護士事務所などと連携し、第三者の知的財産権を侵害しないよう対応を強化することでリスクの最小化に努めております。
(7)地震等自然災害について
当社グループは、当社の本社、生産及び研究開発拠点が静岡県に集中しており、予想される東海大地震、東南海地震が発生した場合、製造ライン、研究開発施設、情報システム及びサプライチェーンの機能麻痺により、生産能力に重大な影響を与え、売上げの大幅な減少や施設の修復等に伴う多額の費用負担等が発生し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、事業継続計画(BCP)の整備を行うとともに、地震保険、地震コミットメントライン契約によるリスクファイナンスの手当を行い、被災からの早期事業復旧に備えております。
(8)感染症等の流行について
当社グループは国内外において事業活動を展開しており、新型コロナウイルスのような各種感染症の各国への拡大・長期化に伴い、航空便減便による製品出荷に対する懸念、当社出張制限による国内外顧客への受注機会の減少並びに製品納入遅延などが生じ、特にサプライチェーン不安による部材調達懸念が顕在化する場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、感染予防・拡大防止のための措置を講じるとともに、当社グループが事業を行う各国、各地域の指針やガイドラインに沿った適時・的確な施策を実施することとしております。資金面においても万が一に備えてのコミットメントラインの締結や社債発行枠の設定などの対策を行っております。
(9)国際的な事業活動について
当社グループの連結売上高に占める海外売上高の比率は8割弱であり、グローバルに事業を展開しております。進出国における政治不安や経済情勢悪化等、法規制や行政指導への抵触及び労使関係・人材確保のリスクなどのほか、テロ、戦争、疾病などによる社会的混乱により事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、当社における窓口担当部署を決定し、定期的な情報収集・情報交換を図るほか、進出国で問題が発生した場合には、窓口担当部署と連携し、問題の早期収拾に努めております。
(10)情報セキュリティリスクについて
当社グループは、事業活動を通じて、事業に関する取引情報、技術情報のほか個人情報などの重要情報を有しております。ネットワークウイルスの感染、サイバー攻撃他によるコンピュータシステムの休止などによりこれら重要情報の漏洩が発生した場合、事業遂行上の悪影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクに対し、社内規定の整備、定期・不定期による従業員の教育等の対策を講じるほか、セキュリティシステムの導入を行うことでリスクの最小化に努めております。また、万が一セキュリティ事故が発生した場合におけるリスクファイナンスの手当て並びに専門家との連携による被害の最小化などを目的としてサイバー保険に加入するなどの対策も並行して行っております。
(11)環境問題について
当社グループは、事業を行う各国の環境規制などの法的規制を遵守することは勿論のこと、世界各地で深刻化する環境問題に適切に対応し、解決に貢献することが重要と考えております。これら環境問題に対する取組みが十分ではない場合、顧客の要望に応えられないばかりか社会的な信用を失い事業遂行上の悪影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクに対し、環境マネジメントシステムを構築し、環境に対する影響を定期的に評価し改善する活動を継続的に行うとともに、再生可能エネルギーの導入をはじめとしたカーボンニュートラルの実現に取り組むなど、各種環境課題への様々な取組みを継続的に行うことでリスクの最小化に努めております。また、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、気候変動が事業に与えるリスク・機会の財務的な影響を分析しております。
(12)企業買収や業務提携による効果について
当社グループの持続的な成長のためには、将来を見据えた戦略的な挑戦が必要であり、その手段として企業買収や業務提携を行う場合があります。それらの企業買収や提携によるシナジー効果の創出や事業展開が当初見込み通りに進まなかった場合は、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、買収・提携前のデューデリジェンスを通じたリスクの洗い出しと共に、取得後はPMI(Post Merger Integration)を進め、定期的に事業計画と実績を比較検討し、迅速な対策を行える体制を構築するとともに、被買収企業とのコミュニケーションを密に行うことで事業戦略への適合を効率的に図れるよう努めております。
(13)材料の調達について
当社グループの生産活動に使用される部品のうち、特殊な原材料で調達先が限定されているなどの理由から調達の遅れや不足が生じた場合に、生産が遅延する可能性があります。当社グループの製品は、顧客における部品にあたるため、顧客等での生産にも影響を与える可能性があります。このように、材料等の調達に関するリスクが顕在化する場合、当社グループの事業戦略と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、調達先との関係強化に努める一方で、海外も含む調達先並びに調達先生産拠点の分散化・多様化を図るとともに、代替材料への切り替えや代替素材の研究開発などにより当該リスクを最少化するよう努めております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元策といたしましては、配当による成果の配分を第一に考えております。そのため当社は、長期的な展望に基づく企業収益力の充実・強化を図ることにより1株当たり利益の継続的な増加に努め、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向30%を目処に、配当の安定的な増加に努めることを配当政策の基本方針としております。
一方で、光のリーディングカンパニーとして高い技術力による競争力を維持するため、長期的な企業価値の拡大に向けた研究開発及び光産業創成のための成長投資は必要不可欠であると考えております。そして、そのための研究開発投資や設備投資に備えた一定水準を自己資金で確保しておくことが重要であると認識しております。加えて、地震等の自然災害に備えた自己資金等も勘案して、当社は内部留保を高水準に維持するよう努めておりますが、これらの資金は将来の競争力の高い製品の開発のための事業投資により、さらなる企業価値の向上に寄与するものと認識しております。
当事業年度の配当につきましては、期末配当金を1株当たり38円実施いたしました。これにより、当期の年間配当金は76円(うち中間配当金38円)となっております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、取締役会の決議によって、毎年3月31日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年5月11日 |
5,894 |
38 |
取締役会決議 |
||
2023年12月22日 |
5,894 |
38 |
定時株主総会決議 |