2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)各事業領域におけるリスク

① Industrial Process事業におけるリスク

本事業では、製品及びサービスの競争力を強化するため、半導体パッケージ及びプリント基板・電子部品市場、EUVリソグラフィマスク検査市場といった成長分野において、関連製品の採用拡大及び新規採用に向け、研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、研究開発投資において想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない可能性、又は競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。これらは、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、世界各国の経済動向や各事業分野における事業環境変化により、消耗品が搭載される機器の需要及び装置の稼働状況に想定を超える大幅な変化が生じた場合、収益力の低下につながる可能性があります。

今後の技術動向や市場環境変化及び取引先動向を早期に情報取得できる体制を構築し、柔軟に事業体制及び技術開発動向変化に対応していく考えです。

② Visual Imaging事業におけるリスク

本事業では、取引先として映画館や公共施設、企業、アミューズメントパーク、代理店等がありますが、市況環境の変化により取引先の経営状況の悪化が加速した場合、取引先が契約の条項を履行できなくなる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。中長期的には映画館市場において、映像コンテンツのストリーミングサービスの充実・普及拡大、消費者のコンテンツ消費行動・スタイルの変化により、シネマチェーンの存続に影響を与えるほどの大きな業界構造変化が起こった場合、プロジェクターを中心とした映像装置の需要に大きな変化が生じ、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、シネマ用ランプにおける固体光源への代替が進んでおりますが、想定を超える更なる革新的な技術の進展があった場合、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、世界各国の経済動向や各事業分野における事業環境変化により、消耗品が搭載される装置の需要及び稼働状況に想定を超える大幅な変化が生じた場合、収益力の低下につながる可能性があります。

 

なお、今後、当社グループとしては、技術の進展を含む事業環境変化から常に長期的な需要予測を更新し、それに応じて柔軟に対応していきます。具体的には、需要予測を基に、それに見合った生産等の体制へ柔軟に変化させていくことや、既存技術や製品を活用した競争優位のある製品を新規市場で展開するなどの新規事業創出に力を入れてまいります。

 

(2)各事業領域共通のリスク

重要リスク

リスクシナリオ

リスク対応策

サプライチェーン

・仕入れ先の廃業、原産国の法規制強化等による原材料・部品・購入品の供給遅延、途絶で操業停止等が発生する。

・資源の枯渇及び需給の逼迫などにより原価が上昇する。

・各部材毎に現状分析し、見える化したリスクに対して代替化案、バックアップ案を明確にする。

・グループの集中購買と分散購買含めて調達方針を立案する。

・価格高騰対応は適正価格査定と適正価格転嫁ができる仕組み作りを行う。

事業継続対応

・特定の国との政治的対立により現地の事業活動が制約を受けるなどにより、売上が激減する。

・地震、津波や噴火により、人的被害や工場、倉庫、事務所、設備・システム等に損害が発生、また、事業も中断する。

・各事業部からの事業方向性情報を元に各拠点の持つ強みを活かした拠点間連携によって適地生産、適地販売の観点で事業継続の取組強化を推進する。

・マニュアルに基づいた防災初動訓練とBCP訓練、自衛消防隊訓練の定期開催、備蓄品や防災設備の更新を行う。

海外危機管理

・戦争、紛争、政情不安などが発生し、当社グループ事業に悪影響が発生する。

・海外拠点との連携開始、定期的に情報を収集できる仕組みを構築する。

・対応、判断すべき事項を整理し、報告ルールや情報共有ラインを整備する。

グローバル人財戦略

・特定の専門知識やスキルを持つ人財を採用することができず、企業として事業成長の停滞や競争力の低下等を招く懸念がある。

・豊富な経験を有する職員が業務を通じて培ってきた技術やノウハウが継承されず、生産性や競争力が失われていく。

・海外拠点HR部門や各事業部とコミュニケーションを強化し、現状認識と問題点の洗い出しを行う。

・事業部や技術分野スペシャリストの協力を仰ぎ、グローバルな人財戦略、人事制度を構築し、施策を実行する。

情報セキュリティ管理

・内部の不正行為、外部からの不正アクセスや脆弱性の悪用、マルウェア感染などのITシステムへの悪意ある攻撃により情報の漏洩、改ざん、消失又はITシステムの停止を引き起こし、事業活動上の損失や賠償責任、事業の中断等が発生する。

・グループで統一した「グループ情報セキュリティポリシー」の浸透を図るため、グループ各社のセキュリティレベルに応じた教育・啓蒙活動を推進する。

・ランサムウェア対策として検知率の高いツール(EDR)と監視サービスを導入することで、グループ全体が情報セキュリティ強化を図る。

・定期的に情報セキュリティアセスメントを実施し、グループ情報セキュリティポリシーの遵守状況の確認と課題抽出を行う。

気候変動対応

・気候変動に係るリスクや具体的な活動状況をTCFDに則って情報開示する対応が遅れる

・取引先等からのCO₂排出量の削減要請に応えられず、取引の解除や企業イメージが低下する。

・サステナビリティに関する重要項目である気候変動の情報開示内容の拡充を行う。

・1.5℃目標前提でSBT目標の見直しを行う。

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主各位に対する利益還元が企業として最重要課題の一つであることを常に認識し、財務体質と経営基盤の強化を図るとともに、株主各位に対し安定的な利益還元を行うことを基本方針としております。

当社は、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

この剰余金の配当の決定機関は、株主総会であります。

当期の期末配当につきましては、上記の基本方針に基づき、また、業績並びに今後の事業展開等を勘案し、前期に引き続き、1株当たり50円と決定いたしました。

内部留保資金につきましては、今後とも長期的な視野に立った新製品・新技術などの研究開発投資や生産性向上のための設備投資等に充当し、企業体質の強化、企業価値の向上を図ってまいります。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月27日

5,145

50

定時株主総会決議